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男友達だと思ってたやつがなんかおかしい  作者: Саша


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35/74

35話

風呂も終わって、部屋の灯りを落とす。

祖母の家から戻ったばかりのせいか、いつもより部屋が少しだけ狭く感じる。


布団を敷く音。エアコンの低い唸り。


「……なんか、落ち着くね」


秋山が呟く。


「いつもの部屋だからな」


「楓ちゃん、結構攻めてたよね」


「それは言うな」


余計なことを思い出させるな。

その瞬間。後ろから、ぎゅっと腕が回る。


「……東海林」


響だ。今日はやけに強い。


「どうした」


「……離れないで」


「離れてない」


「……ちゃんと、こっち向いて」


俺は仕方なく体を向ける。

響はほぼ女子にしか見えない顔で、じっと俺を見る。声も柔らかい。目も潤んでる。

でも男。ややこしい。


「楓に何か言われた?」


「……言われてない」


嘘だな。でも追及しない。

響はそっと俺の胸に顔を埋める。


「……取られるかと思った」


「誰に」


「……楓」


秋山が布団の向こうで静かに聞いている。

俺は響の頭に手を置く。


「俺は物じゃないって言っただろ」


「……分かってる」


「なら大丈夫だ」


響は少しだけ震えている。夏なのに。


「……でも」


小さな声。


「東海林さん…優しいから」


「それ悪口?」


「……違う」


「……優しいから…誰でも好きに…なる」


それは違う。俺は少しだけ考える。


「好きな奴は、もう決まってる」


空気が止まる。秋山の視線が刺さる。

響の指が服を掴む力が強くなる。


「……誰」


「目の前で泣きそうになってる奴」


響が固まる。


数秒。


それから、ぎゅううううっと抱きついてくる。


「……ばか」


「なんでだよ」


「……ずるい」


秋山が小さく笑う。


「東海林君、たまに爆弾投げるよね」


「投げてない」


「投げてるよ」


秋山がこちらに近づいてくる。

そして俺の背中側に座る。逃げ場がなくなる。


「響君」


秋山が優しく言う。


「独り占めはしない約束だよ」


「……分かってる」


「でも今日は特別?」


「……今日だけ」


秋山は少し考えてから、俺の背中に寄りかかる。


「じゃあ今日は我慢する」


「偉いね」


「褒めないで」


三人で横になる。いつもの形。

でも今日は違う。響の抱きつき方が、明らかに強い。


足も絡んでる。

完全にホールド。


「……東海林」


「ん」


「ずっと一緒にいる?」


「前も言っただろ」


「……もう一回」


「気が済むまでいる」


「……ずっと?」


「響がずっとって言うなら」


響の呼吸が少しずつ落ち着く。

でも腕は緩まない。秋山が小さく呟く。


「依存、加速してるね」


「自覚ある」


「止める?」


俺は天井を見る。静かな夜。


この重さ。この体温。


「……今は、いい」


秋山が少しだけ笑う。


「甘いなぁ」


「知ってる」


響が眠りに落ちる直前、かすれた声で言う。


「……東海林さん好き」


それは今までで一番素直な声だった。

俺は小さく返す。


「知ってる」


数秒後。寝息。

でも腕は離れない。

秋山が俺の背中に額を当てる。


「僕も好きだよ」


「はいはい」


「ちゃんと答えて」


「……知ってる」


「ずるい」


三人の呼吸が重なる。楓の影は、もうない。

代わりに、依存は、確実に深くなっている。


このまま進んだらどうなるか。

分かってる。でも今はまだ――

この温度を、手放す気はなかった。


もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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