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男友達だと思ってたやつがなんかおかしい  作者: Саша


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25話

抱き枕欲しいな

帰りの電車は、妙に静かだった。


秋山は左隣、響は右隣に座っている。

でもいつもより距離が近い。腕がずっと触れている。



家に着いた瞬間だった。


玄関に入るなり、響が俺の服の裾を掴む。


「……東海林さん」


声が小さい。


「どうした」


「今日……一緒にいてくれる?」


その言い方は反則だろ。


「いつも一緒だろ」


そう返すと、響は少し首を振る。


「……そうじゃなくて」


靴も脱ぎきらないうちに、響は俺の胸に額を押し付けた。

ぎゅ、と。強い。

今までより明らかに強い。


秋山が横で小さく笑う。


「なるほどね」


「何が」


「手放すかもしれないって思ったんだろうね」


響の指が、さらに強く服を握る。

図星みたいだ。


「……向こう、優しかった」


「うん」


「でも、離れるの嫌だなって思った」


それは祖母の家を、じゃない。

俺からのようだ。


「俺は追い出す気ないぞ」


「……ほんと?」


顔を上げる。

不安と期待が混ざった目。


「響が出て行くって言わない限りな」


その瞬間、響が抱きついてきた。

完全に体重を預けるみたいに。


「うわ」


「落ちないでね」


秋山が冷静に言う。


「落とすかよ」


でも正直、バランスが危うい。

響はしばらく離れなかった。



帰宅後、リビングに移動しても、ソファに座っても、隣どころか膝の横にぴったり。


腕を絡めてくる。


「今日、同じ布団?」


「……いつもだろ」


「もっと近く」


もう近いだろ。

秋山がクッションを抱えながら言う。


「依存、加速してないかい?」


「分かってる」


分かってるけど。響を拒否できない。

響が不安そうに俺を見上げる。


「……迷惑?」


「迷惑じゃない」


即答してしまった。

これが依存を加速させると分かっていても。

秋山が目を細める。


「東海林君は甘いね」


「わかってる」


「でも嫌いじゃないよ、そういう所」


響は俺の袖を掴んだまま、小さく呟く。


「……もう、選ばなくていい?」


「何を」


「どっちの家が…とか」


俺は少し考える。


「今は考えなくていい」


その言葉で、響の肩から力が抜けた。


⭐︎

夜。


布団に入ると、いつもよりさらに密着してくる。

足も絡めてくる。抱き枕を超えてる。

抱っこちゃん人形の完成である。


「……東海林さん」


「ん?」


「いなくならない?」


「いなくならない」


「絶対?」


「絶対は言えないけど、勝手には消えない」


少しの沈黙。


「……じゃあ、いい」


満足したみたいに目を閉じる。

だが背後から、もう一つの気配。


「僕もいるけどね」


秋山が布団に潜り込んできた。


「狭い」


「三人で寝ると温かいよ」


響が少しだけ秋山の方を見る。

警戒している。そして秋山は苦笑する。


「取らないよ。安心して」


「……取ったら嫌」


「それは東海林君に言って」


俺はため息をつく。

左右から抱きつかれる状態。

全くもって動けない。


「お前ら、俺を何だと思ってる」


「中心」


「柱」


即答かよ。


響が胸元に顔を埋める。

秋山は背中に腕を回す。

挟まれているのは俺なのに、縋っているのは、二人だ。

「……おやすみ」


小さな声が二つ重なる。

そのまま、三人で眠りに落ちた。


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