114話
放課後。
教室。
人はほとんど残ってない。
「……帰るか」
「うん」
荷物をまとめる。
「……東海林さん」
「ん?」
「……さっきの」
「幸せの話か」
「……うん」
少しだけ間。
「……続く?」
「……」
「……さっき言ってた」
「……続くこと」
「……」
ぎゅっ
「……それ」
「……欲しい」
「……」
真っ直ぐな声。
「……ずっと」
「……」
「……途切れないやつ」
「……難しいな」
「……うん」
「……でも」
「……」
「……欲しい」
「……」
教室の外。
夕方の光。
「……東海林さん」
「……なに」
「……どうすれば続く?」
「……」
少し考える。
「……無理しないことだな」
「……?」
「無理に続けようとすると、だいたい壊れる」
「……」
「自然に続くのが一番長い」
「……」
秋山が横から言う。
「あとさ」
「ん?」
「ちゃんと話すこと」
「……」
「ズレたら直す」
「それも大事」
「……」
「響ってさ」
秋山が少し優しく言う。
「一人で抱え込みやすいでしょ」
「……」
「それやると続かないよ」
「……うん」
小さく頷く。
「……じゃあ」
「……」
「……ちゃんと言う」
「何をだ」
「……怖いとか」
「……」
「……離れそうとか」
「……」
「……全部」
「……それでいい」
「……うん」
ぎゅっ
「……東海林さん」
「ん?」
「……続けたい」
「……」
「……終わらせたくない」
「……」
少しだけ息を吐く。
「……終わらせる気はない」
「……うん」
「……でも」
「……」
「……ずっとってのは分からん」
「……」
「……それでもいい?」
「……」
少しだけ考えて、
「……いい」
「……」
「……今があるなら」
「……」
「……その先も」
「……」
「……つなげる」
「……」
秋山が小さく笑う。
「それ、いいね」
「……うん」
「今をちゃんと続ける」
「それが一番現実的」
「……だな」
「……東海林さん」
「……なに」
「……約束」
「またか」
「……今だけでもいい」
「……」
少しだけ間。
「……続ける努力はする」
「……うん」
ぎゅっ
「……それでいい」
そのまま三人で教室を出る。
ずっとじゃなくて、続けるを選ぶ形。
少しだけ現実を見ながらそれでも離れない方向へ。
夕焼けの中、
三人の距離は変わらず並んでいた。
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