111話
夜、部屋。
「……静かだな」
「うん」
「……うん」
布団。
三人で並ぶ。
ぎゅっ
「……ここ」
「はいはい」
響が上から抱きつく。
秋山も横から。
「今日さ」
秋山が言う。
「ん?」
「ちゃんと守ってたね」
「……キスか」
「うん」
「……したかった」
響がぽつり。
「我慢したな」
「……うん」
「えらいね」
秋山が笑う。
「……その分」
「ん?」
「……今いい?」
「……」
少しだけ間。
「……家だからな」
「……うん」
そっと顔を上げる。
「……東海林さん」
「ん?」
「……キス」
「……はいはい」
ちゅ
「……」
すぐに、ぎゅっ
「……これ」
「ん?」
「……いい」
「何がだ」
「……我慢した分」
「……満足?」
「……うん」
秋山も少し近づく。
「僕もいい?」
「順番制か」
「平等でしょ」
「……そうだな」
ちゅ
「……」
「なんかさ」
秋山が小さく言う。
「これの方がいいかも」
「何が」
「メリハリある感じ」
「……」
「学校ではしない」
「家ではする」
「……分かりやすい」
「……確かに」
「……東海林さん」
響が小さく言う。
「ん?」
「……ちゃんと守ったら」
「……」
「……ちゃんとできる」
「……ご褒美かよ」
「……違う」
「……でも」
「……嬉しい」
「……」
ぎゅっ
「……我慢できる」
「ほんとか?」
「……たぶん」
「怪しいな」
「でもさ」
秋山が笑う。
「こうやって決めるとさ」
「ちゃんと続く気がする」
「……」
「……壊れにくい」
「……だな」
「……東海林さん」
「……なに」
「……好き」
「知ってる」
「僕も」
「はいはい」
そのままキスも、触れる距離も、全部がルールの中に収まる。
無理に抑えるんじゃなくて、場所を変えて続ける形。
「……寝るか」
「……うん」
「おやすみ」
「……おやすみ」
そのまま三人で、くっついたまま眠る。
昼は我慢して、夜に埋める。
そんな形で、三人の距離は少しずつ安定していった。
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