107話
昼休み。
チャイムが鳴る。
「……やっとか」
「お腹すいたね」
秋山は自分の席から少し離れてる。
軽く手を振ってくる。
「あとでな」
「うん」
席に座ったまま、弁当を出す。
東が横でぽつり。
「……来る」
「だろうな」
ガラッ
「……東海林さん」
来た。
「……毎回だな」
「……来た」
「見れば分かる」
すとん
「乗るな」
でももう言い方も弱い。
ぎゅっ
「……ここ」
「はいはい」
周りの視線。
でも前より騒がしくはない。
「また来てる」
「もう日常だろ」
「慣れたわ」
「……東海林さん」
「ん?」
「……今日も」
「ん?」
「……一緒」
「昼はな」
「……うん」
弁当を開く。
「食うか」
「……食べる」
でも、手は離さない。
「……どうやって食うんだ」
「……こう」
器用に片手で食べ始める。
「慣れたな」
「……うん」
「……東海林さん」
「ん?」
「……今日」
「ん?」
「……考えてる?」
「……朝のやつか」
「……うん」
少しだけ間。
「……考えてる」
「……ほんと?」
「ほんと」
ぎゅっ
少しだけ強くなる。
「……嬉しい」
「そうか」
「……でも」
「?」
「……急がなくていい」
「……」
「……このままでも」
「……」
「……大丈夫」
前より落ち着いた声。
「……変わったな」
「……そう?」
「……前はもっと」
「……」
「……怖いって言ってた」
「……うん」
少しだけ俯く。
「……今も怖いけど」
「……」
「……ちゃんといるから」
ぎゅっ
「……大丈夫」
「……そうか」
秋山が少し近づいてくる。
「混ざるよ」
「来るな」
でも——ぎゅ
「……来たな」
「いいじゃん」
「狭い」
「……東海林さん」
「ん?」
「……三人」
「……」
「……このまま」
「……」
東が横で小さく言う。
「……見られてる」
「知ってる」
でも——もうあまり気にしてない。
「……東海林さん」
「……なに」
「……好き」
「知ってる」
「僕も」
「はいはい」
そのまま、三人でくっついたまま昼休み。
前みたいな不安での強さじゃなくて、少しだけ落ち着いた距離。
でも——離れる気は一切ないまま、
いつも通りの時間が流れていった。
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