106話
朝。
目が覚める。
「……朝か」
ぼんやり天井を見る。
ぎゅっ
「……」
響はそのままくっついてる。
反対側。
「……おはよう」
秋山はもう起きてる。
「おはよう」
「……東海林さん」
「ん?」
「……起きてる」
「見れば分かる」
少しだけ静かな時間。
「……学校」
「あるな」
「……行く」
「当たり前だ」
でも——ぎゅっ
離れない。
「……準備しろ」
「……あと」
「毎回それだな」
「……東海林さん」
「ん?」
「……昨日の」
「……将来か」
「……うん」
少しだけ間。
「……考えた」
「早いな」
「……ずっと一緒」
「……」
「……どうやるか」
「……」
思ったより具体的だ。
「……何かあるのか」
「……同じ家」
「……」
「……一緒に住む」
「それはまぁ現実的だな」
「……あと」
「まだあるのか」
「……名字」
「は?」
「……同じにする」
「飛ぶな」
「……でも」
「……」
「……家族になるなら」
「……」
秋山が苦笑する。
「響、ちょっとずつでいいよ」
「……でも」
「今すぐ決めることじゃないでしょ」
「……」
少しだけ黙る。
「……でも」
ぎゅっ
「……離れたくない」
「それは分かる」
「……だから」
「……形がほしい」
「……」
昨日より、一歩踏み込んでる。
「……東海林さん」
「ん?」
「……約束じゃ足りない」
「……」
「……ちゃんとしたの」
「……」
少しだけ考える。
「……今はまだ無理だな」
「……」
「……でも」
「……」
「……考える」
「……ほんと?」
「ほんと」
「……うん」
少しだけ、安心した顔。
「……焦らなくていいよ」
秋山が言う。
「ん?」
「ちゃんと一緒にいるんだから」
「……うん」
「……東海林さん」
「……なに」
「……今日も一緒」
「学校だぞ」
「……昼」
「来るなとは言わん」
「……うん」
ぎゅっ
「……よし」
軽く息を吐く。
「……行くか」
「……うん」
「いこっか」
そのまま三人で準備して、
いつも通り家を出る。
でも——
「……東海林さん」
「ん?」
「……ちゃんと考えて」
「……分かってる」
昨日の将来がただの話じゃなくなってきている。
それでも、今はまだ——三人で並んで歩く、この距離がちゃんと続いていた。
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