105話
夜。
布団の中。
静かな空気。
ぎゅっ
「……あったかい」
「そればっかだな」
「……うん」
秋山も反対側でくっついてる。
「こういうのさ」
「ん?」
「ちょっと考えたんだけど」
「何を」
「将来」
「……」
少しだけ空気が変わる。
「……早くないか」
「そう?」
「高校一年だぞ」
「でもさ」
秋山は続ける。
「このまま続いたらさ」
「……」
「どうするの?」
「……」
すぐには答えない。
「……東海林さん」
響が小さく言う。
「ん?」
「……ずっと一緒」
「……」
「……だめ?」
「だめじゃない」
「……うん」
「でもさ」
秋山が言う。
「現実的な話もあるよ」
「……例えば」
「進学とか」
「……」
「住む場所とか」
「……」
「あと」
少しだけ間。
「関係」
「……」
「僕はさ」
秋山が静かに言う。
「このままでもいいと思ってる」
「……」
「でも」
「?」
「ちゃんと決めないと」
「……」
「どっかで壊れる」
静かな声。
「……響は?」
秋山が聞く。
「……」
少しだけ考えて、
「……一緒ならいい」
「……雑だな」
「……でもほんと」
「……東海林さんがいて」
「……」
「……秋山さんもいて」
ぎゅっ
「……それでいい」
「……」
「……でもさ」
秋山が続ける。
「外から見たらさ」
「……」
「普通じゃないよね」
「だろうな」
「それでもいいの?」
「……」
少しだけ考える。
腕の中の温もり。
離れない手。
「……いい」
「……ほんと?」
「ほんと」
「……」
秋山が少しだけ笑う。
「そっか」
「じゃあさ」
「?」
「形は後で考えよ」
「今は?」
「今はこのまま」
「……いいのかそれで」
「いいでしょ」
「……」
「……東海林さん」
「ん?」
「……結婚する?」
「飛ぶな」
「……だめ?」
「早い」
「僕もそれは思う」
秋山が笑う。
「……でも」
響が続ける。
「……ずっと一緒にいる方法」
「……」
「……それなら」
「……」
「……考える」
少しだけ現実を見る答え。
「……うん」
秋山が頷く。
「それでいいと思う」
「……東海林さん」
「ん?」
「……約束」
「何をだ」
「……いなくならない」
「……」
少しだけ間。
「……出来るだけな」
「……うん」
ぎゅっ
そのまま三人でくっついたまま。
将来の話なんてまだ曖昧で、何も決まってないけど——
それでも、一緒にいるという方向だけは、
同じまま静かな夜の中でその答えだけを共有して、三人はゆっくり眠りについた。
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