104話
夜。
少し遅い時間。
部屋の電気は落としてある。
布団、三人で並んでいる。
ぎゅっ
「……」
響はいつも通り、胸に顔を埋めてる。
「……静かだな」
「だね」
秋山も小さく答える。
少しだけ間。
「……東海林さん」
「ん?」
「……さっきの」
「……ああ」
「……考えた」
「何を」
「……それでもいい」
「……」
「……私」
「ん?」
「……普通じゃないけど」
「……」
「……それでもいい」
同じ言葉を少しだけ強く。
「……何が」
「……全部」
「……」
「……男でも」
「……」
「……変でも」
「……それでも」
ぎゅっ
少しだけ力が入る。
「……東海林さんがいい」
「……」
少しだけ息を吐く。
「……分かってる」
「……ほんと?」
「ほんと」
「……うん」
少しだけ、安心したように体の力が抜ける。
「……前はさ」
秋山がぽつりと言う。
「ん?」
「ずっと不安そうだったじゃん」
「……」
「今は違うね」
「……うん」
響が小さく頷く。
「……いなくなるかもって」
「……」
「……思うけど」
「……それでもいい」
「……」
「……今があるから」
ぎゅっ
今度は優しく。
「……今があるなら」
「……」
「……それでいい」
静かな声。
「……東海林さん」
「ん?」
「……無理しなくていい」
「……」
「……やらなくてもいいし」
「……」
「……このままでもいい」
「……」
少しだけ目を閉じる。
「……そうだな」
「……うん」
秋山が小さく笑う。
「いいね、それ」
「何が」
「ちゃんと落ち着いてる」
「……うん」
「無理に進まないで」
「……」
「ちゃんと一緒にいる感じ」
「……そうか」
「……東海林さん」
「ん?」
「……好き」
「知ってる」
「……でも」
「?」
「……前より安心して好き」
「……」
そのまま、何も言わずに、ただくっついたまま。
不安で縛るんじゃなくて、安心で繋がる距離に、少しずつ変わっていく。
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