103話
夜、リビング。
3人でソファにいる。
ぎゅっ
「……いつも通りだな」
「……ここ」
響が膝の上。
秋山も横。
「落ち着くね」
「そうだな」
少し静かな時間。
「……東海林さん」
「ん?」
「……聞いていい?」
「内容による」
少しだけ間。
「……私で」
「?」
「……そういうの」
「……」
「……なる?」
「何がだ」
「……その」
言葉を探して、
「……反応」
「……」
一瞬、止まる。
「……急だな」
「……気になる」
秋山も少しだけ真面目な顔。
「……俺に聞くな」
「……でも」
「……」
「……私、男だし」
「知ってる」
「……普通じゃない」
「お前がな」
「……そう」
少しだけ俯く。
「……だから」
「……」
「……無理ならいい」
「……」
少し考える。
「……無理じゃない」
「……ほんと?」
「ほんと」
「……」
少しだけ顔を上げる。
「……じゃあ」
「何だ」
「……やる?」
「やらない」
即答。
「……なんで」
「なんでも何もあるか」
秋山が苦笑する。
「さすがに早いよ」
「だよな」
「……でも」
響が続ける。
「……気になる」
「……」
「……私」
「ん?」
「……立たないし」
「……」
「……病気っていうか」
「……体質か」
「……うん」
「……顔も声も」
「……知ってる」
「……治らない」
「……そうか」
少しだけ沈黙。
「……それでも?」
小さく聞く。
「……それでも」
短く答える。
「……」
少しだけ安心した顔。
ぎゅっ
「……よかった」
「何がだ」
「……嫌じゃないなら」
「……」
秋山が横から言う。
「東海林君ってさ」
「ん?」
「そういうとこ、ちゃんと見るよね」
「何をだ」
「中身」
「……普通だろ」
「普通じゃないよ」
「……東海林さん」
「ん?」
「……好き」
「知ってる」
「……変でも?」
「変だけどな」
「……ひどい」
「でも」
少しだけ間を置いて、
「……関係ない」
「……」
一瞬、
言葉が止まる。
ぎゅっ
「……それでいい」
「……やるはやらないけどな」
「……今は」
「今はって何」
秋山が突っ込む。
「未来の話だ」
「濁したね」
「……でも」
響が小さく言う。
「……いつか」
「……」
「……その時は」
「……」
「……考える」
「……うん」
満足そうに頷く。
そのまま三人で寄りかかったまま。
さっきまでより、少しだけ踏み込んだ距離で、
でも—無理には進まないまま、静かに夜が過ぎていった。




