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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


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31-2

 教室の反応に、リアーヌはうろたえる。


(え? 何かおかしかった?)


 自分で鏡を見た時は、結構いい感じだと思っていたのだが。


「かっ………」


 マリアンヌが口を手で押さえた。


「か?」


 か、とは何だろう。首を傾げていると。


「格好いいですわ……!!」


 そう言って、マリアンヌはきらっきら目を輝かせた。


「わたくし、リアーヌとはお友達なのに、うっかりときめいてしまいましたわ」


 ユミナもマリアンヌの傍らで、両の頬に手を当てて、うんうんと満足げに頷いている。周りを見渡すと、女子の大半が、ぽっと頬を染めていた。


(アンリの学生時代、モテたことなかったから、不思議な感じ)


 そう、ローランの言葉を借りれば、学生時代のアンリはもっさりしており「モテ」とは縁遠かった。


 今思えば、学生時代も騎士の時と同じように顔を晒していれば、そこそこモテていたのではないかと思うが、それはそれで勉学の妨げになって煩わしかっただろう。


 今世は当時より精神的に安定しているから、こんなふうに女生徒から憧れの目で見られるのも、純粋に「可愛らしいな」と思えるのだろう。


 ちなみに男はーーローランが目を光らせているから、余程の覚悟がないと近づいてこないのだが。


⭐︎


 こうして終礼の時間は終わり、クラスの生徒たちはばらばらと教室を後にする。やがてローランと二人だけになった。


 ローランはリアーヌの男役を面白がるかと思っていたが、予想に反して機嫌があまりよろしくない。


「なんだか機嫌が悪いですね。私が相手役なの、不満?」

「そんなことはない」


 しかし、そう言っている声が既に不機嫌だ。そんな彼の心をほぐそうと思い、リアーヌは少し悪戯心を出してみた。


「アンリを思い出して懐かしくならないか?」


 アンリの口調で語りかけ覗き込むと、ローランは息を呑んだ。だが、すぐに子供がするようにぷいと顔を逸らした。


「……その姿も口調も、本当は俺だけのものなのに」


 その言葉に、リアーヌはローランの不機嫌の理由を悟った。


(……拗ねてる)


 完璧王子と称されるローランが、こんなことで機嫌を損ねるなど、この学園の誰もーーただしコルトーは除くーー思いもよらないだろう。


「みんなの視線が君に釘付けだ。今以上に、みんなが君を放っておけなくなる」


 以前の人生では分からなかったが、目の前の男はびっくりするほど独占欲が強い。

 しかし拗ねられたままだと、学園の行事に支障をきたしてしまう。ここは一つ、宥めておかなければ。


「でも、お前の相手ができるのは俺だけじゃないのか?」

「それはそうだが……」

「お前がしないなら、他の誰かがお前の代わりに俺の相手役になるよ?」

「それは駄目だ!」


 ローランがばんと机を叩いて立ち上がった。


「ーーじゃあ諦めて、私と一緒に騎士役を立派に勤めましょね」


 にこっと笑ってみせると、ローランは降参というように両手を広げた。


⭐︎


 結局ローランはクラスのために、ちゃんと役の練習をした。


 むしろ、脚本を読むと俄然やる気になった。


 リアーヌは、ローランと共にキャロ教師に学習室に呼び出され、台本を読んだ日のことを思い出す。


 キャロ教師作の騎士物語は、こうだ。


 あるところに赤薔薇の騎士と白薔薇の騎士がいた。

 親友同士であり、ライバル同士でもある二人は、切磋琢磨して腕を磨いていた。


 しかし仕える主人が異なる彼らは、勃発した王位継承権争いのせいで敵同士となってしまう。

 彼らは騎士として、主君のために、相手と殺し合わなければならない定めであった。


(うーん。……なんかトラウマを呼び起こす物語なんだけど……)


 親友だった、という部分を除けば、アンリとローランの境遇にそっくりだ。

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