↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/108

30 悪戯と不本意な誤解

 朝起きて身支度を終え、寮の自室から出ようとすると、ドアが開きませんでした。


(うん……どうしんだろう。ーー壊れた?)


 リアーヌは首を傾げる。もう一度ノブを回そうとするが、やはりぴくりとも動かない。物理的な故障ではなく、何らかの魔力を感じた。


(結界?)


 何故、結界がリアーヌの扉に張られているのか、その理由が分からず、しばし考え込む。記憶を探ってみてーー不意に思い出したローランの言葉があった。


『君は一歩も外に出るべきじゃない』


 ……………。


 リアーヌは額を押さえる。


(あれは、私の家族と会っていい感じになって、全部うやむやになった流れだったでしょ)


 しっかり覚えていたらしい。さすが、粘着質である。


 ノブに手を触れたまま魔法で探ると、扉全体に緻密に練られた結界の存在を感じた。

 ただ「絶対に逃さない」というほどの強い意志は感じられず、悪戯っぽさのような意図を感じる。


 ちなみに、これは攻撃魔法ではなく防御ーー対象を結界の中で保護する護衛魔法である。


 先日の誘拐事件以来、移動魔法と攻撃魔法に対する監視魔法を強化していたのだが、この監視魔法は護衛魔法を感知しない。

 そもそも、この寮には元から護衛魔法がかかっているため、これを感知すると四六時中、監視魔法が反応してしまい、逆に使い勝手が悪くなるからだ。


(うーん……)


 頑張れば解けないこともなさそうだが。


「面倒……」


 思わず一人ごちた。


(遅刻決定だな、これは)


 そんな諦念を抱きつつも、このままローランの思惑どおり閉じ込められたままなのも腹が立つので、結界の解除に取り掛かった。


⭐︎


 二時間ほどかけ、何とか無事に結界を解除したものの、朝から魔力と精神力を無駄に使って、全身が気怠い。

 例えるならこれは、数え切れないほどの縫い針の細い穴に、延々と糸を通し続けるような、そんな作業に似ている。


 幸いにも一限は勝手知ったるコルトーの授業だったので、


「すみません、遅れました」


と謝罪の言葉を述べて席に着く。するとコルトーが、


「体調が悪いと聞いたが、大丈夫なのか?」


と尋ねてきた。


(……別に体調が悪くて遅刻したんじゃないんだけど……)


と思っていると、コルトーの視線が隣の席に向けられていることに気付き、ローランがそんな嘘を説明したのだと分かった。


「もう大丈夫です」


と答え、こっそりローランを睨みつけたが、彼は黒板を見つめたまま、素知らぬ顔をしていた。


⭐︎


(……眠い………)


 神経を使ったせいか、妙に眠たい。授業の最中も、うっかりウトウトしそうになるのを、手の甲を抓って何とか紛らわせた。


 そうしてようやく授業が終わると、隣の席のローランが手を伸ばしてきて、リアーヌの頬に触れた。


「辛そうだな。大丈夫?」


 はたから聞けば気遣わしげに聞こえる声音だが。

 自分のせいであるにもかかわらず、いけしゃあしゃあとのたまうローランに、リアーヌは小声で抗議した。


「誰のせいだと思っているんでしょうか……?」

「俺のせいかと思うと責任を感じるな」


 悪びれもせず、にっこりと微笑むローランに「このやろう」と一瞬、殺意を覚えたリアーヌだが、ふと級友の視線が集まっていることに気付く。


 その視線の種類は様々だ。にこにこと微笑ましく見ている者。少し頬を赤らめている者。


(一体、何……?)


 よく分からない視線に戸惑っていると、


「セネヴィル、昼休みに生徒指導室に来るように」


と周りに聞こえないような小さな声で、コルトーに呼び出された。


 最近は呼び出されることもなかったのに珍しい、と思いつつ生徒指導室に立ち寄った。


 ーー生徒指導室で待っていたコルトーは、リアーヌを見るなり何とも言えない表情で口を開く。


「リアーヌ。あってなきがごとき校則だが、一応、言っておく」


 いつになく真剣な表情に、リアーヌは居住まいをただす。


「不純異性交遊は禁止だからな」

「違う!」


 即座に否定した。


 同時に、あの時、級友たちが生暖かい目で自分たちを見ていた理由が分かった。


「まだ学生なんだから、万が一、子供ができるようなことは……」

「だから、してないって!」


 何故か疑わしげな目で見られている。

 コルトーは昔馴染みなのだから、ローランのことはともかく、自分のことは信じてほしいな、と思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。