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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


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27 媚香の効能

⭐︎裏話ではなく本編です⭐︎

 授業を終えたローランが、さっさと教室を出て行ったリアーヌを探すため、校内を移動していたところ、


「あの……少しお話があるのですが……」


と見知らぬ一般クラスの女生徒に声をかけられた。


 面倒には思うが、ローランはこういった呼び出しを断らないことにしている。話も聞いてくれないという理由で恨まれるのは、好青年を演じている以上、得策ではないからだ。


 やむなく指定された場所へ行くと、声をかけて来た生徒とは違う女生徒が待っていた。


 ーーわざと制服の胸元を開けて、扇情的な肢体を晒している。自分の体に相当な自信があるらしい。


(見覚えがあるな)


と記憶を辿りーー思い出した。


(確か、去年演習で一緒になった……オルガとかいったか)


 よりにもよってリアーヌを男に襲わせた張本人だ。嫌悪感が湧くが、ローランは品行方正な学生を演じているので、要件も聞かずに無碍にはできない。


「何か俺に用だろうか?」


 事務的な口調で、手短に話してほしいと匂わせるが相手は、


「貴方に私の思いを伝えたくて」


と怯むこともない。


「……」


 心の底から呆れてしまう。


 あの大演習での出来事を忘れたのだろうか。あの日、ローランは班を代表してオルガを「利敵行為をした者」として報告し、彼女はペナルティとして一時、休学させられていたはずだが。


 しかし分からないなら、はっきりと告げるしかない。


「俺には想う人がいるから無理だ」


 ローランの想い人など、今や全校生徒が知るところだろう。そうなるように、ローランが振る舞っている。

 ましてやオルガは、自分のことが好きだと言う。好きな人間の心が誰に向いているか、分からないものだろうかと思っていると、


「あんなの、ただ綺麗なだけじゃない。中身はがさつで男みたい」


という言葉に、リアーヌのことは認識しているのだなと思った。


 確かにリアーヌは、お淑やかな令嬢とは程遠い。前の人生で男だった影響だろう。がさつというのは悪意ある言い方だが、色気がないのは事実だ。しかし。


(あれで色気があったら、今以上に男が放っておかないだろう)


 だからローランとしては、色気が足りないくらいが丁度良いのである。

 しかしーー。


「絶対に私の方が貴方を満足させられる」


 ローランの拒絶をものともせず、オルガは擦り寄って来ようとする。豊満な体から燻る、ほのかに甘い香り。その香りに思い当たるものがあった。


(媚香か……)


 人を誘惑する魔法を練ったものだ。この手の魔法は主に、媚薬と媚香の二種類がある。


 媚薬は口から摂取させる必要があるため、その気のない対象に摂取させることは極めて困難だ。

 しかし香りであれば、同じ空間にいれば相手に嗅がせられるので、難易度が少し下がる。もちろん拡散している分、効果も落ちるのだが。


 なお、こういった類の魔法の効能は、相手に対し恋情と劣情を誘発させるものだ。が、理性が強い相手には効きづらい。


 ちなみに専門店の媚香の持続時間は数時間であり、市販の媚香は一時間程度だ。身の安全のために研究したこともあるので分かる。これは市販のものだ。


 ーー実のところローランは最初から、相手が媚香を纏わせていることに気付いていた。が、経験上、それが自分には効かないことも知っていた。いわゆる「鉄壁の理性」がある、ということだ。


「残念だが、その香りは効かないようだ」


 ローランは、決して相手に触れられないよう一歩退き、軽く肩をすくめた。


「それに学園内で媚薬の類を利用するのは規律違反だ。確か……退学処分に当たるな」


 指摘すると、相手の顔がさっと青ざめた。

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