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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


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23

 フィリウス王立学園に編入してから、あっという間に一年が過ぎ、リアーヌは十六歳になっていた。

 四年生の総合順位は、ローランが首席、リアーヌは四位だった。まあ、最初の頃の様子見していた時の点数も含まれるので、仕方ない。


 なお、学年が進んで五年生になっても、特別クラスの面々はほとんど変わらず、相変わらず級長はローランで、副級長はユミナである。


 そういうわけで、特に何事もなく日は進み、すぐに暖2の月の試験が行われた。


 その試験結果が掲示板に張り出され、リアーヌは新学期早々、現実を突きつけられた。


(またローランが一位……)


 空を仰ぐ。リアーヌは二位だ。最早、前世からの見慣れた光景である。


 以前のような対抗心はないが、やはり悔しいものは悔しい。

 リアーヌが小さな溜め息をついていると、いつの間にか側に寄ってきていたローランから、


「リアーヌ、少し話がある」


と声をかけられた。


「えー、ここじゃダメなの?」

「駄目だ。静かに話せる場所に移動したい」


 頑として譲らない雰囲気のローランにリアーヌは降参し、彼について行くことになった。


 まあ、話といっても、このタイミングだ。一位のお祝いの話であることは想像がつく。しかし、何故ローランが一位を取ったら、自分がお祝いしないといけないのか。


(解せぬ)


とずっと思っているのだが、前回、ローランがあまりに嬉しそうな顔をしたものだから、毒気を抜かれて「まあ、今回も仕方ないな」と考えてしまうのだった。


(また、どこかに行きたいのかな?)


 なぜ私と、と思わないでもないが、ローランの立場になって考えれば答えは明白だった。

 要するに彼は、いつも優等生の顔を貼り付けているので、素のまま気軽に過ごすことができる相手がリアーヌくらいしかいないのだろう。ちょっとだけ可哀想である。


 しかし、その相談ならば、わざわざ場所を変える必要もないと思うのだが。


 ローランに連れられて、改修中の訓練場裏に辿り着く。人の気配のない、ちょっと嫌な思い出のあるその場所で、ローランは姿勢を正しリアーヌに向き合った。


 何故だろう、ローランから少し緊張した空気が伝わってくる。


「今回も、首位のお祝いをもらっていいか?」


 いつも傍若無人にリアーヌを引っ張り回しているのに、何を今更、改まる必要があるのだろうか。どうせ承諾するまでしつこく付きまとってくるので、断るのも労力の無駄だ。


「いいですよ、次はどこに行……」


 気軽なリアーヌの言葉を遮るようにして、ローランは告げた。


「口づけが欲しい」

「………」


 言葉の意味が理解できなかった。


「はい?」


 口づけが欲しい、と聞こえたような気もしたが、そんなはずはない。聞き間違えだろう。


「ええと、よく聞こえなかった」

「君からの口づけが欲しい」


 即座に繰り返され……リアーヌは、聞き間違えではないことを理解した。

 何の冗談、と相手の顔を窺えばーーすごく本気の表情だった。


 リアーヌは、ぶんぶんと首を横に振る。


「いやいやいやいや」


 何を言っているのだろうか、この男は。


「駄目ですよ」


 きっぱりと断った。するとローランが不服げな表情になる。


「君はさっき、いいって言った」

「いや、それは出かけるだけかと思ったから……」

「いいって言ったよな? 前言撤回するのか? 騎士ともあろうものが」

「今は騎士じゃないから!」


 いや、騎士だってたまには前言撤回するだろう。と思っている間にも、右手首を掴まれた。


 ぐぐっと前のめりになってくるローランの胸を、リアーヌは自由になる左手で押し返す。


「ちょ、ちょっと待った」

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