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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


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33-1 最終話

(そろそろ覚悟を決めないとなぁ)


 先日のローランのがっつきように、リアーヌは危機感を抱いた。


(このままでは、ヤられる)


 しかしリアーヌは次期女領主だ。なあなあで一線を越えるわけにはいかない。

 それに、最近ローランが読んでいる本が不穏なのである。


 「家族を暗殺する方法」「完全犯罪のすすめ」「証拠を残さない毒殺魔法」など。殺る気も満々だ。


 そういうわけでリアーヌは、シリル王子に頼んでカミーユ王子と接触する機会を設けてもらったのである。


⭐︎


 指定された高級食事処アザレアの待合室で待っていると、お忍び姿のカミーユ王子が現れた。


 リアーヌにとって、以前の世界におけるカミーユ王子の評価は、こうだ。人は良いが頼りない、力無き次期王位継承者。

 しかし今世では、義理の母となった正妃の指導の元、政治と帝王学をしっかり学び、為政者として日々、研鑽を積んでいるようだ。


 リアーヌが貴人に対する礼をとると、カミーユ王子は穏やかな口調で、


「久しぶりだね」


と応じた。


「私のことを覚えていてくださったのですね」

「もちろんだよ。弟がお世話になってるし、何よりローランの彼女だし」


 そして、


「あれ、彼女って言っても否定しないんだね」


と言って、にやりと笑った。


「もうやったの?」

「やってません!」


 顔や雰囲気は、ローランに次いで王子様! という爽やかさなのに、意外と下品だな、と思った。しかし。


「そうか。ローランもやっと報われたんだなぁ。幸せにしてやってくれ」


 そう言う王子の目は、思いのほか優しかった。きっと、この方はローランを大切に思っているのだろうと感じた。

 と同時に、優秀なローランをずっと手元に置いておきたいと願っているはずだ。政治の世界は綺麗事だけではない、感情と打算が織り混ざった場所である。だからこそ、信頼のおける臣下というのは貴重な存在なのだ。


「君から話があると聞いて来たけれど、二人きりは気が引けるな。ローランを呼ぶことはできないのかい?」


 妙な誤解が生まれることを懸念する王子からは、やはりローランに対する思いやりが感じられた。


(この方なら信用できる)


 そう確信し、リアーヌは切り出した。


「そのローランのことで、相談させていただきたいのです」


 カミーユ王子が興味深そうに自分を見た。話を遮らないということは、続けても良いということだろう。リアーヌは王子を個室に案内し、今日の目的を告げる。


「そろそろローランを、シャルトル家から引き離したく思っておりまして」


 自分たちがお付き合いを公表するには、両親に告げたとおり、ローランがシャルトル家に所属したままでは難しい。


 ーーそれ以前に、このまま彼をシャルトル家に置いておくのは、まずいように感じている。沈む泥舟に乗せておくわけにはいかない。


「奇遇だね。私も同じことを考えていたところだ」


 王子は「シャルトル家は黒い噂が絶えないからね」と物憂げに続ける。


「ローラン一人でも出来るだろうけどーー手段を選ばなさそうだからね」


 彼、見た目より過激だからねぇ、という言葉に心から同意する。

 

 ローランはリアーヌのことになると、たがが外れるところがある。そのためシャルトル家に対して、とんでもない荒事をしかねない。


(ローランに任せてたら、血の海にしそう……)


 リアーヌが攫われたあの日。リアーヌが止めなければ、ローランはドミニクを殺していただろう。

 しかしリアーヌは、できるだけ穏便に事を進めたい。力で人をねじ伏せることが常態化したローランは最早、魔王だろう。それだけは阻止したいところだ。


 ーーなお、野盗については、元々騎士の征伐対象だったはずなので数に入れない。


(それにシャルトル家のことは、ちゃんと法に則って始末をつけないと)


 私刑がまかり通る世界は、前世で懲り懲りだった。


 リアーヌが今後の流れについて提案すると、カミーユ王子は同意した。


「やっぱり、それしかないだろうね。でも勝手なことをして、怒ったりしないだろうか? 先にローランに話しておいた方が良くないかい?」


 ローランが本気で怒ったら手をつけられなさそうだ、とカミーユ王子は本気で心配している。

 ここで王子に尻込みされては、こちらが困る。


「いいえ。ローランに話したら『私の家のことで王子のお手を煩わせるわけにはまいりません』とか言って断られると思います」

「……君、ローランの物真似、うまいね」

「付き合いが長いので」

「?」


 カミーユ王子からすると不思議な台詞だろう。リアーヌとローランは、この世界では出会ってまだ二年しか経っていないのだから。


(これからも長い付き合いになりそうだなぁ)


と思いながら、


「ご褒美をぶら下げようと思います。ローランのことは私にお任せください」


とリアーヌは言って、にっこりと微笑んだ。




なんとーーあと2回で完結です!


番外編とか需要あるかなぁ? と思いながらも、まだ形になっていないので、一旦完結させる予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しく思います!

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