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第207話 メタル貴族

 俺達はメイドゾンビを一掃した後、ビクビクしながらその周辺を確認して回った。どうやら無色透明感染靄の心配は杞憂だったようで、メイドゾンビは特に何も残す事なく倒されたようだ。ちなみに、仲間にしたメイドゾンビの名はミタとなった。


「とりあえず、女神像があると思われる正面の通路を進もうか」


 ホワイトの嗅覚を信じて通路を進む俺達。が、そんな俺らを、また新たな黒霊が歓迎してくれる。視界の先に居る黒霊は一体のみ、これも初見の黒霊のようだ。髪を一部ロールさせた貴族ヘアーなゾンビである。見に纏った衣服も質の良く高そうなもので、擦り切れていなければ本当に貴族のような出で立ちをしている。つか、元々はマジで貴族だったんだろう。


「……」


 よたよたと歩いていた貴族ゾンビは、俺達を発見するなりその足を止めた。数秒ほど、ジッと睨み合う展開が続く。が、その次の瞬間。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァッ!」


 貴族ゾンビが急に踵を返し、とんでもないスピードかつとんでもない叫びを上げて、俺達からの逃走を図った。あまりの出来事に反応が僅かに遅れてしまったが、それでも俺は召喚・屍で止まれ黙れと命令。貴族ゾンビが遥か彼方に消える前に、何とか静止させる事に成功したのだ。


「お、驚かされたな……急に逃げ出したのもそうだけど、何だよあの叫び? 俺らの鼓膜を破壊するつもりか?」

「貴族な見た目にしては、逃げ足が恐ろしく速かったな。私やベクトが全力で追っても、恐らくは五分のスピードだったぞ?」


 これまでの黒霊と比べ、明らかに毛色の異なる敵だ。希少種、もしくはメタリックで経験値豊富系な敵なのかな? だとすれば倒すべきだが、まずはこいつも仲間にしておこう。


「……のう、ワシの気のせいなら良いんじゃが、何か足音がせん?」


 不意にダリウスがそんな不吉な事を漏らした。だが、まあうん……さっきから足音がしているのはマジだ。それも一人二人のそれじゃない。もっと大勢の、地響きの如き足音だ。


「これさぁ、ちょっと見覚えのある状況なんだよねぇ」

「奇遇だな、私も血塗監獄での探索を思い出していたところだ」

「ふむ、つまり?」

「……あの貴族野郎、招集の霊刻印で黒霊を大勢呼びやがった!」


 俺がそう愚痴った直後、通路の前後から大量のゾンビが姿を現した。軽く見た感じ、メイドゾンビ五割、騎士ゾンビが三割、魔導ゾンビが二割の配分。母数? 知らん、兎に角多いッ!


「最前線の奴らを可能な限り使役して止める! オルカは残弾を気にせず魔法をぶっ放しまくれ! 杖ズミさん達も頼む!」

「ああ、了解した!」

「ヂュッ!」


 更にはフリジアンを召喚。俺達は両サイドから迫り来るゾンビの津波に対抗する。ああもう、不意にやって来る正念場とか止めてよねッ!



    ◇    ◇    ◇    



 ――疲れた。もう帰りたい。激疲れ。一体どれほどの時間を要したかは分からないが、俺達は貴族ゾンビを発端とした大群を退ける事に成功。何とか無傷でこれを乗り切るに至る。


「いやあ、ラストで通路の狭さを度外視して、無理矢理エンドを召喚したのが利いたな……魔法・炎樹がマジ効果的だった……」

「相棒、今後あの貴族を見つけたら、最優先で止めるのじゃ……絶対止めるのじゃ……」

「ああ、血塗監獄の大黒霊どころでない招集能力だったからな、今回のは……」


 あの貴族ゾンビが使った招集能力、体感ではあるが血塗監獄の倍ほどの大群を呼んでいた。内訳はこれまでに出会った黒霊ばかりだったが、やはり単純に強く全員が感染持ちと言うのが厄介で、一切の油断を捨てての戦いが続いたのだ。きっつい、ホントきっつい。


「たま~に新たな貴族ゾンビも紛れ込んでいたりして、そいつを叫ぶ前に見つけるのが大変だったよ……忘れた頃にやって来るよ、あいつ……」

「マッドーも厄介だったぞ……手当たり次第に他ゾンビのスピードを上げて、わざと前線の進行ペースをずらして来る……そして不意打ち気味に沈黙の状態異常も投げて来る……」

「かと言ってその者達を先に処理しようとすると、キッシーが謎の圧を放って強制的な視線誘導を使ってきおる……相棒のゾンビ支配能力で何とかできたが、完全にパーティでの運用を狙った構成じゃわい、これ……」

「結局メイドゾンビだけは歩くだけだったけど、やっぱ数は脅威だわ……」


 とまあ、俺達は体力的にも精神的にもギリギリだ。久し振りにドワーフ殺しをぶん投げまくって、強制浄化を図ったくらいだからな。どれほどの激戦だったか、それで何とか察してほしい。


「まっ、その苦労のお陰か、無事に女神像のある部屋には辿り着けたんだが」


 激戦を繰り広げた通路の先、そこにあった扉を潜ると、女神像が安置された部屋へと繋がっていたのだ。セーフティーエリアの確保と共に、俺達はこうしてぶっ倒れている訳である。


「ひとまず、これでこのエリアへの直通転送場所は確保できた。もう魔法の残弾もすっからかんだし、一度帰還して出直した方が良いな」

「ああ、マチ・イタミの捜索は次にした方が良いだろう。流石にこの状態で、あのゾンビ集団を打破するのは困難だ」

「相性が良くてもこれじゃからのう、黒檻ってマジ黒檻じゃて……」


 皆が皆の言葉に同意した後、俺達は女神像に祈り、白の空間へと移動した。



    ◇    ◇    ◇    



「お疲れ様です、ベクト。さあ、今回の成果を見せていただきますよ」


 帰還した瞬間に成果確認をしてくれるゼラ。お、おう、ホント真面目になったね、君……



◎本日の成果◎


討伐黒霊

悴(か)せる忠誠×23体(感染LV5、剣術LV6、耐性・物理LV5、騎士道LV6、守護者LV5)

悴(か)せる魔術×11体(感染LV5、魔法・炎弾LV6、魔法・回復LV6、魔法・沈黙LV5、魔法・超速LV4)

悴(か)せる従者×62体(感染LV7、耐性・感染LV7)

悴(か)せる貴族×3体(感染LV6、招集LV6、疾駆LV7)


=====================================

魔剣ダリウス・オルカ

耐久値:264/264(+11)

威力 :258(+8)[+3]

頑強 :371(+17)[+87+20]

魔力 :209(+67)[+30]

魔防 :331(+48)[+92+26]

速度 :245(+4)[+11]

幸運 :295(+2)[+75+■]


霊刻印(ダリウス)

◇飛剣術LV6

◇増殖LV6

◇召喚・屍LV6

◇耐性・溶解LV7

◇空蹴LV5

◇強健LV5

◇魔法・毒嵐LV5

◇再生LV7


霊刻印(オルカ)

◇魔法剣術・氷LV6

◇竜人・炎LV6

◇修繕LV7

◇照準LV7

◇魔法・氷刻LV5

◇耐性・溶解LV7

◇魔法・炎樹LV5

◇強酸LV7


探索者装備(ベクト)

体  :滂沱(ぼうだ)の軽鎧(頑強+40、魔防+38、幸運+25)

腕  :刃の太陽(威力+3、頑強+4、魔防+4)

足  :滂沱(ぼうだ)の洋袴(頑強+35、魔防+42、幸運+25)

靴  :滂沱(ぼうだ)の履物(頑強+8、魔防+8、速度+11、幸運+25)

装飾 :縁故(えんこ)の耳飾(右)

装飾 :縁故(えんこ)の耳飾(左)

装飾 :夢魔の祝福(幸運+■)


魔具装備(ダリウス)

体  :無

腕  :無

足  :無


魔具装備(オルカ)

体  :銀狐の軽鎧(頑強+10、魔力+12、魔防+14)

腕  :銀狐の腕甲(頑強+2、魔力+4、魔防+3)

足  :銀狐の足甲鎧(頑強+8、魔力+14、魔防+9)

装飾 :縁故(えんこ)の耳飾(左)

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