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第200話 猛獣起床

 記されていたのは生物災害発生時の出来事だった。前にも『血塗監獄』で日誌を目にした事があったが、これは何つうか……スポンサー側のものだろうか。内容としてはパニックホラーものでやってはいけない行為、そのランキング上位を全て実行しているかのような、見るも無残な記録である。登場人物の全員が全員、駄目な方向に全力投球していらっしゃいますね。以前の日誌では国王の狂気っぷりを知ったが、その配下と後ろ盾も駄目だったようで……スポンサーもスポンサーで、内緒で他国にゾンビを売ろうといているし、もう無茶苦茶だよ!


「ふむ、この日誌の持ち主、先ほどの金の人骨だったのかもしれんな。金に対する執着心が、日誌からありありと察せてしまうぞい」

「この部屋での籠城を破られ死んだのか、それとも一縷(いちる)の望みをかけて脱出を試みたのか……どうであれ、恨みは深そうだ。大黒霊となったのも納得ではある」

「流石に骨まで金色だったのは、黒檻の後付け設定だとは思うが……それよりもここ、結構重要な施設だったみたいだな。特権階級専用とか書いてあるし、接待を受けていた骨はお偉いさん方か」

「特権だか偉いだか知らぬが、今や青霊もどきの餌と同義じゃよ」

「生前の悪行、その反動が反映されたのかねぇ」

「変異を果たした、と言うのも気になるな。この『堕落歓楽街』に居る青霊もどきも、動く屍がベースだったんだろうか? 『感染』の霊刻印は持っていなかった筈だが」

「変異に伴って、能力も変貌したのかもしれないな。上のエリアに厄介なゾンビが居ない事を願う――いや、今のなし。どう考えてもフラグだわ、これ」


 その後、オルカの『修繕』で部屋の中を復元できるだけ復元してみたが、他に情報源になりそうなものはなかった。仕方ないので、金目のものだけ頂戴する。黒檻において金に価値があるとは思えないが、ひょっとしたらキンちゃんのお眼鏡に適うかもしれん。……親父ギャグではないからな!?


「さて、他に探索できそうな場所はなさそうだ。無事に大黒霊戦を終えた事だし、そろそろ帰還するとしようか」

「よし、帰ったら酒を浴びるぞ!」

「私も帰ったらモフカワを浴びるぞ!」

「モフカワは浴びるもんじゃないだろ……」



    ◇    ◇    ◇    



「ベクト、五体目となる大黒霊の討伐、よくぞ成し遂げてくださいました。全ての案内人を代表して、心より感謝申し上げます」

「お、おう……えと、急にどうした? 何か変なものでも食ったのか…」


 探索の成果を確認してもらうところだったんが……何やらいつも以上に、いや、必要以上にゼラが畏まっている感じがする。あっ、そうか! アルコールが切れたのか!


「変なものなど食べていませんし、アルコールも切れていませんよ」

「……ガチで?」

「案内人、嘘つかない」


 嘘くせぇ……


「まあ冷静に考えると、アルコールが切れてないって話もどうかと思うんだが……」

「そのような些事は笑って流してください。兎に角です、大黒霊討伐が折り返しを過ぎ、死の巫女への道のりも現実的なものになって来ましたからね。私としても期待感が高まっているのです」

「ゼラの? ええと、仮に俺が大黒霊八体を倒して死の巫女への道が開けたとして、案内人のゼラにも何か報酬めいたものがあるのか?」

「ええ、ありますよ。ベクトが願いを叶える権利を得るように、その案内人も似たような権利が得られるのです。黒檻から出たい、永遠の生から解き放たれたいなど、願いは色々ですね」


 思いも寄らず重い話になってしまい、何と返答したものかと困ってしまう。そういや、案内人であるゼラは俺なんかよりも長い間、この黒檻に居るんだもんな。それこそ入れ替わりの激しい探索者とは違い、永遠に等しい時間をだ。


「それは、何と言うか……」

「変に気を遣わないでくださいね? 私の願いは全宇宙酒巡りの旅ですから。まだ見ぬ酒を味わわせずして、どうして死を受け入れられるでしょうか!? 論外も論外ですよッ!」

「あ、そう……ちなみに、その案内人の願いの件はいつ知ったの?」

「ベクトが今回の大黒霊を討伐したのと同じタイミングです。その瞬間、私の中に棲まうやる気と言う名の猛獣が起き上がりましたよ、ええ! これからは全面的に協力しますとも!」

「最初から全面的に協力してほしいんだけどな~?」


 でも良かった。ゼラはゼラ、ガチでゼラだった。


 とまあ、衝撃の真実(?)を知ったのもそこそこに、今回の成果を確認させてもらう。


「これが今回の成果となります」


◎本日の成果◎


討伐大黒霊

金色の亡者LV5(金衣悪食LV7、擬態・青霊LV6、再生LV7、飛行LV6、水泳LV6、自爆LV6、強酸LV7、耐性・溶解LV7、耐性・魅了LV5)


大黒霊を討伐した事により、所持霊刻印が成長

霊刻印(ダリウス)

飛剣術LV5⇒飛剣術LV6

増殖LV5⇒増殖LV6

召喚・屍LV5⇒召喚・屍LV6

耐性・溶解LV6⇒耐性・溶解LV7

空蹴LV4⇒空蹴LV5

強健LV4⇒強健LV5

魔法・毒嵐LV4⇒魔法・毒嵐LV5


霊刻印(オルカ)

魔法剣術・氷LV5⇒魔法剣術・氷LV6

竜人・炎LV5⇒竜人・炎LV6

修繕LV6⇒修繕LV7

照準LV6⇒照準LV7

魔法・氷刻LV4⇒魔法・氷刻LV5

耐性・溶解LV6⇒耐性・溶解LV7

魔法・炎樹LV4⇒魔法・炎樹LV5


大黒霊を討伐した事により、霊刻印の所持上限が成長

霊刻印数7⇒霊刻印数8


大黒霊を討伐した事により、魔具のアイテム収納上限が成長

アイテム枠11⇒アイテム枠13


大黒霊を討伐した事により、魔具の装備枠が解禁


=====================================

魔剣ダリウス・オルカ

耐久値:253/253(+55)

威力 :250(+36)[+3]

頑強 :354(+59)[+87+20]

魔力 :142(+11)[+30]

魔防 :283(+22)[+92+26]

速度 :241(+27)[+11]

幸運 :293(+46)[+75+■]


霊刻印(ダリウス)

◇飛剣術LV6

◇増殖LV6

◇召喚・屍LV6

◇耐性・溶解LV7

◇空蹴LV5

◇強健LV5

◇魔法・毒嵐LV5


霊刻印(オルカ)

◇魔法剣術・氷LV6

◇竜人・炎LV6

◇修繕LV7

◇照準LV7

◇魔法・氷刻LV5

◇耐性・溶解LV7

◇魔法・炎樹LV5


探索者装備(ベクト)

体  :滂沱(ぼうだ)の軽鎧(頑強+40、魔防+38、幸運+25)

腕  :刃の太陽(威力+3、頑強+4、魔防+4)

足  :滂沱(ぼうだ)の洋袴(頑強+35、魔防+42、幸運+25)

靴  :滂沱(ぼうだ)の履物(頑強+8、魔防+8、速度+11、幸運+25)

装飾 :縁故(えんこ)の耳飾(右)

装飾 :縁故(えんこ)の耳飾(左)

装飾 :夢魔の祝福(幸運+■)


魔具装備(ダリウス)

体  :無

腕  :無

足  :無


魔具装備(オルカ)

体  :銀狐の軽鎧(頑強+10、魔力+12、魔防+14)

腕  :銀狐の腕甲(頑強+2、魔力+4、魔防+3)

足  :銀狐の足甲鎧(頑強+8、魔力+14、魔防+9)

装飾 :縁故(えんこ)の耳飾(左)

=====================================


「……ステータス欄の項目、何か色々と増えてない?」


 それとこう言って良いのか分からないんだが、ダリウスってば素っ裸じゃね?

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