第171話 可能性の塊
白の空間に帰還し、ゼラに成果報告をする。夢魔の森ではノー成長を叩き出してしまったからな、堕落歓楽街の黒霊達には何とか可能性を見出したいところだ。
◎本日の成果◎
討伐黒霊
人狼の街娼×3体(擬態・青霊LV4、再生LV5、瞬発LV5、強酸LV6、耐性・溶解LV6、耐性・魅了LV3)
人面鳥の街娼×2体(擬態・青霊LV4、再生LV5、飛行LV5、強酸LV6、耐性・溶解LV6、耐性・魅了LV3)
人爆弾の街娼×1体(擬態・青霊LV4、再生LV5、自爆LV5、強酸LV6、耐性・溶解LV6、耐性・魅了LV3)
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魔剣ダリウス・オルカ
耐久値:163/163(+13)
威力 :146(+25)[+3]
頑強 :184(+11)[+36]
魔力 :86(+2)
魔防 :170(+1)[+41]
速度 :131(+35)[+5]
幸運 :128(+18)[+■]
霊刻印(ダリウス)
◇飛剣術LV5
◇増殖LV5
◇召喚・屍LV5
◇融合LV6
◇空蹴LV4
◇強健LV4
◇魔法・氷刻LV4
霊刻印(オルカ)
◇魔法剣術・氷LV5
◇竜人・炎LV5
◇修繕LV6
◇照準LV6
◇強酸LV5
◇隠密LV3
◇魔法・炎樹LV4
探索者装備
体 :慟哭の軽鎧(頑強+17、魔防+16)
腕 :刃の太陽(威力+3、頑強+4、魔防+4)
足 :慟哭の洋袴(頑強+12、魔防+18)
靴 :慟哭の履物(頑強+3、魔防+3、速度+5)
装飾 :縁故の耳飾(右)
装飾 :縁故の耳飾(左)
装飾 :夢魔の祝福(幸運+■)
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――すんごい可能性の塊だった! めっちゃ杞憂だった!
「たった六体の通常種を倒しただけで、この成長っぷり、だと……!? い、いや、それも驚くべきポイントだが、持ってる霊刻印のレベルが総じて高ぇ! しかも六つもあるし!」
「このスペックだけを見れば、レベル4相当の大黒霊にも匹敵するな。いや、とんでもなく強敵だったから、ある意味で納得できもするのだが」
うん、あれだけの凶悪性能だったのも納得ですよ。
「『強酸』やそれに対応した耐性があるのは納得として……この『擬態・青霊』と言うのは、やはり青霊に化ける能力なのかの?」
「その通りです。能力を発動する事で、姿のみをランダムな青霊に変化させる事ができます」
と、ゼラが解説。
「なるほど、ランダムに……ん? でも今回の探索で戦った黒霊達、全員が年頃の女性だったぞ? しかも、ええと――」
「――その名を冠したような姿をしていたな」
言い淀んでいた俺に代わって、オルカが続きを言ってくれた。すまぬ、助かる。
「ランダムはあくまで容姿の話で、姿格好は能力を発動させたエリアに適したものとなる傾向にあります。堕落歓楽街はそういった場所なのでしょう」
「ふむ、まあ納得ではあるか」
「ちなみにレベルが高くなる事で、ランダムに変化する容姿もより良いものになりやすいようです。レベル4ともなれば、大抵は美女になるでしょうね」
「綺麗だからこそ、その後の変化も衝撃的だったんだけどな」
蔓さん三世パックン事件の衝撃は、暫く夢に出るレベルだったぞ。目玉大量生成とかブリッジ走法とかも、文字列以上のインパクトだった……
「まあゾンビと同じで、これもじきに慣れるんだろうけどさ……」
「分からんぞ? ゾンビよりも変化の仕方が種類豊富じゃったし」
「いいや、今後の為に慣れてもらわねば困る」
と、終始冷静さを貫いたオルカの言。今回のエリア、欠片もモフカワが絡まないからなのか、オルカが頼りになり過ぎる。ああ、いや、いつも頼りにはなっているんだけど、モフカワでぶち上げたテンションによる暴走で、全てが掻き消えてしまっていたと言うか……うん、だから尚更にそう感じてしまうんだろう。その分、これからキンちゃんや牧場で発散しそうだけど。
「ゼラ、私の『強酸』をよりレベルの高い方に入れ替えてくれ――と言いたいところだが、堕落歓楽街では外すのも手か」
「ああ、この霊刻印の構成を見る限り、全員が『耐性・溶解』ってのを持っているからな」
「溶解の耐性、つまりは溶けないと言う事かの? しかも、レベルが6じゃから……」
「少なくとも同レベル以下の『強酸』じゃ、殆ど効果がないだろうな。まあそれを言ったら、俺の『召喚・屍』も完全に置物状態になってんだが……」
あのピンク靄が充満している限り、堕落歓楽街では使役した黒霊を出す訳にはいかない。さっき言った蔓さん三世の衝撃映像、その二の舞になってしまうからな。
「相棒の強みを完全に殺しに来ているエリアじゃからのう。夢魔の祝福がある今、『耐性・魅了』で霊刻印の枠を潰さんで良いのは利点なのじゃが」
「そもそも、ここの黒霊と戦闘をする前に手に入れる必要のある要素なんだが、それ……まあそれはそれとして、堕落歓楽街の攻略を本格的に考えないとな。例の青霊もどきの爆弾……ええと、人爆弾の街娼だったか? 名前まで物騒なこいつを避ける方法がないと、探索が常に死と隣り合わせ状態だよ」
無策で赴き、間近で顔を合わせた途端にニッコリ爆発――そんな未来しか見えませぬ。
「オルカはどう思う?」
「最初に考えられるとすれば、堕落歓楽街の青霊もどきを『感染』でゾンビ使役する事だな。他の黒霊達とは違い、あの者達は『耐性・魅了』を自前で持っている。靄の中だろうと、こちらの指示を聞いてくれる筈だ」
「ふむ、それで探索先へと先行させ、安全を確保すると言う訳か。確かにその方法であれば、出会い頭の不幸は防げそうじゃわい」
「問題があるとすれば、そうだな……『感染』アタッカーだったホワイト達を出せない今、どちらかが『感染』の霊刻印を組み込む必要がある、それくらいか?」
「ならば私が装着している『強酸』と入れ替えよう。さっきも言った通り、今のところ使い道がなさそうだからな。それにドラゴンブレスと共に使用すれば、遠距離から一方的にゾンビ化させる事もできそうだ」
「ゾンビ化を伴う狙撃か。敵からすれば、一点突破型強酸性ドラゴンブレスよりもえげつない攻撃になりそう――あっ、そうだ! また新しい技名も考えないと!」
「相棒、もう無駄に長いやつは要らんと思うのじゃが……」
ダリウスソード、お前は何を言っているんだ? ダリウスジョークでも言って良い事と悪い事があるんだぞ?
「ところで俺も一つ考えたんだけどさ、『増殖』で増やしたフェイクシリーズに先行させるのも手だと思うんだ」
「フェイク? それはつまり……これまで相棒が戦闘中に使っていた、フェイクホワイトやフェイクシュラの事かの?」
「そうそう。予め『召喚・屍』の枠内で増やしておいて、必要な場面でのみ先行させる。もちろん堕落歓楽街の黒霊と違ってピンク靄に耐性がないから、正気を失ってしまう事にはなる。それでも先攻させて敵が居ないかどうかを確認するだけなら、十分仕事はしてくれると思うんだ」
尤も、蔓さん三世と違った挙動を取られると、それもまた難しいかもだが……仮に失敗して想定していない行動を取ったとして、『召喚・屍』に即戻す事は可能、そもそもフェイクシリーズはその場での使い切り目的だから、破壊されても懐は痛まないと言う寸法だ。フェイクホワイト辺りなら持ち前の『嗅覚』を本能的に使い、敵の位置を割り出してくれるんじゃないかと期待していたり。
「むう、確かにフェイクなら、特にフェイクホワイトなら多大な成果が期待できる――が、フェイクと言えどもホワイトと杖ズミさんに、あのような惨たらしい死を迎えさせるのは、むむむむむむむ……!」
……どうやらオルカも同じ考えに至ったようだが、懐よりも心を痛めてしまっているようだった。これは素直に現地の黒霊を使った方が良いかも?




