第136話 偉大なる霊刻印倉庫番
◎本日の成果◎
討伐黒霊
火食らい機竜×3体(息吹・炎LV3、耐性・炎LV3、飛行LV3、噴射LV2)
苦熱の機竜×1体(照準LV5、息吹・炎LV5、吸収・炎LV4、肉鎧LV5、噴射LV3)
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魔剣ダリウス・オルカ
耐久値:107/107(+30)
威力 :90(+22)[+3]
頑強 :143(+34)[+36]
魔力 :67(+4)
魔防 :128(+25)[+41]
速度 :75(+11)[+5]
幸運 :78(+27)[+3]
霊刻印(ダリウス)
◇剣術LV4
◇増殖LV4
◇統率・屍LV4
◇格納・屍LV5
◇融合LV5
◇修繕LV5
霊刻印(オルカ)
◇剣術LV4
◇飛剣LV5
◇魔法・氷剣LV5
◇耐性・氷LV3
◇空蹴LV3
◇隠密LV3
探索者装備
体 :慟哭の軽鎧(頑強+17、魔防+16)
腕 :刃の太陽(威力+3、頑強+4、魔防+4)
足 :慟哭の洋袴(頑強+12、魔防+18)
靴 :慟哭の履物(頑強+3、魔防+3、速度+5)
装飾 :縁故の耳飾(右)
装飾 :縁故の耳飾(左)
装飾 :司教の首飾(幸運+3)
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「はい、私の務めが終わりましたよ。報酬として新酒を差し出してください。これは命令です。さあ、さあ!」
そう言って手を差し出すゼラさん。冗談のような口調だが、目がマジなのは何だろうな。
「案内人のシステムはいつからそうなったんだよ? 確かに、今回の探索でそれっぽいもんは発見できなかったけどさぁ……にしても、想像以上に強くなったな」
防御力関係の項目を中心に、大幅なレベルアップを果たしちゃったぞ。魔力だけは上昇値が小さいが、そこは魔法を使って来るような相手じゃなかったから? ともあれ、大黒霊を倒した時くらいの成長っぷりなのは間違いない。そして新たに入手した霊刻印も高レベルなものばかり、ウキウキである。
「ええ、まさかこれほどの大物を倒してしまうとは。お酒の次の次くらいに案内人冥利に尽きますね」
「……酒は案内人冥利と関係なくない?」
「フフッ、面白い探索者ジョークです。思わず笑ってしまいましたよ」
黒檻の巫女さん、うちの案内人はもう駄目かもしれません。
「格上との邂逅、そして打倒、からの成長――それらは探索者にとっての生きる糧だ。今回の探索でベクトはそれらを全てやり遂げてみせた。本当に偉いぞ、ベクト。ホワイトを撫でる時のように、頭を撫でてやりたいくらいだ」
「わっ、アリーシャも撫でてあげたい! お兄ちゃん、屈んで屈んで! よしよししてあげる~」
「ちょ、ちょっと待て、落ち着いてくれ。俺を撫でたところで良い事なんて何もないぞ?」
「ガハハッ、照れるでない照れるでない」
俺が必死に抗ったのも空しく、アリーシャ師父の巧みな体捌きに翻弄され、俺は撫で撫でを強要されてしまうのであった。クッ、恥ずかしいけど満たされている俺も居る、ぶっちゃけアリ……!
「あら? ベクトさんにオルカさん、無事に帰還なさったんですね。お怪我は……していないようですね、何よりです」
俺の頭が無茶苦茶にされていると、教会の方からイレーネがやって来た。畑仕事をしていたのか、いつもの修道服姿ではなく、エプロンに農作業用の服装となっている。髪も三つ編みで纏めていて……うん、印象がガラッと変わるもんだな。まあ、頬の辺りが土でうっかり汚れていたりと、らしさもしっかり残しているのだが。
「イレーネ、ワシ! ワシもおるよ!」
「し、失礼しました。ダリウスさんもご無事で……ご無事、なんですよね?」
「実は火傷で重傷じゃよ」
「ええっ!? そ、それは大変じゃないですか! 直ぐに治療を……け、剣の治療……!?」
「違う違う、こいつは元気も元気だから。ダリウス、イレーネの優しさに付け込むんじゃありません」
「てへっ」
黒檻の巫女さん、うちの魔具はもう駄目かもしれません。
「つうか、そんなに自己主張したいのなら、人型の姿になったらどうだ? オルカがそうなれたタイミングで、お前も変化できるようになったんだろ?」
「いや、じゃからワシの姿を晒すにも、それ相応のタイミングと言うものが……」
「ただ単にタイミングを逃して、晒すのが恥ずかしいだけじゃない?」
「うごおぉッ!?」
酒場より現れたサンドラの口撃で、大剣のまま器用にぶっ倒れるダリウス。と言うか、図星かよ。
「ダリウス、お前……」
「違う、違うんじゃ! 決してそのような事はないんじゃ! ただやっぱりちょっと、これだけの女子達が注目している中でナイスガイを晒すのは、厳格な騎士としてどうかなって慮るところがあってぇ……」
「語尾が貧弱になっているところからして、もう厳格も何もないと思うよ?」
「うぎあぁッ!?」
図星で傷口を抉られ、大剣のまま地面を転がり回るダリウス。うん、ダリウスは一生このままかもしれない。
「まったく、騒がしいと思えばくだらぬ事でよく盛り上がれるものだ」
「あ、キンちゃ――キングさん」
渋い声がしたかと思えば、サンドラに背中からキンちゃんが顔を出した。今日もふくよかでいらっしゃる。
「何やら不敬な言葉と思考が飛び交った気がしたが、器の底の知れない余は何も見聞きしなかった事にしよう。それよりもベクトよ、余が預かる霊刻印の枠を二つほど増やしておいた。泣いて喜ぶといい」
「えっ、マジで!? そいつは泣くほどに喜んじゃう――いや、でも待ってくださいよ。今回の探索でキングさんに捧げるような供物はなかった筈。それなのに……ハッ! まさか、あのブラキオサウルスがお気に召したので!?」
いよいよ意味が分からんぞ、キンちゃんの趣味趣向。
「違うわい! 前回の拠点拡張で供物を捧げ、余の舌を唸らせたではないか。その分だ」
「あ、ああー、そういや結構前に、極上のミルクを捧げれば何とやらって、そんな話をした覚えが……えっと、この前に伝え忘れていた感じで?」
「余にだって夢中になる時くらいはある」
前に毛糸を献上した時も、結構な夢中っぷりだったような……とりあえず、ミルクでキンちゃんに預けられる霊刻印が六枠から八枠に増えたようだ。保管しておきたい霊刻印がちょうど増えたタイミングだったから、素直にありがたい。で、今回入手した霊刻印と既に倉庫にある分を確認し、どれを残すか悩むこと暫く。最終的にこうなった。
①強酸LV4
②招集LV3
③再生LV4
④束縛LV3
⑤照準LV5
⑥息吹・炎LV5
⑦吸収・炎LV4
⑧肉鎧LV5
「な、何とか八枠分に収めたんだぜ……!」
すんごい悩んだ。いつも思う事ではあるけど、霊刻印倉庫番のキンちゃんが居るうちとは違って、他の探索者達は魔具の枠分しか霊刻印を保管できないんだよな。つまりそれは、気安く新しい霊刻印を交換する事もできない訳で……キンちゃん、やっぱ偉大ですわ。
でもって、次の大黒霊戦に備えての構成を考えなきゃなんだけど……オルカの『隠密』をどれかと入れ替えた方が良いかな? 流石に対面の状態では効果が薄そうだし、そうでなくても初手の不意打ち以降は意味がなくなるだろう。であれば戦闘中、継続的に頑強値に補正をかけてくれる『肉鎧』や、炎に対する無敵の効果をもたらす『吸収・炎』、攻撃手段として大変に頼もしい『息吹・炎』の方が良い気もする。あ、でも息吹ってブレス攻撃なんだよな? 炎に対する何らかの対策とセットにしないと、攻撃を発した瞬間に俺の口内がやべぇ事になるような……枠、足りねぇ。
「……よし、まずは飯を食べよう! 俺、アップルパイが食べたいです!」
「そう来ると思って練習しておいたよ!」
「おおっ、流石はサンドラ!」
頭を使う時は、やっぱり糖分が必須だよね!




