507 次元を遡って私になったんだけど
再び語り始めたレイチェル。
「今、お話したのは、キャリーのお話。私、レイチェルの話じゃない」
なるほど。
これはレイチェルでなければ話せない内容だ。
ンドペキは、レイチェルが本当にすべてを語るつもりなのだと悟った。
話すことで、心の荷が軽くなったのか、レイチェルの顔には生気が戻ってきた。
みずみずしい唇をライチジュースで濡らし、ピザを齧った。
マリーリも、どこかほっとしたような表情を見せ、ジルが差し出したワインを口に含んだ。
「んーと、ややこしいけど、なんて言うのかな」
声まで別人のようにレイチェルが話し出す。
「キャリーが次元を遡って私になったんだけど、違う人間というのかな」
もちろん、キャリーの記憶をそのまま持っている。
だから、私、詳しいことは分からないけど、この先どうなるか、ある程度は分かっていた。
たとえば、エーエージーエスに閉じ込められた時、助けてもらえることは分かっていた。東部方面攻撃隊に。
キャリーの元へ、その情報が上がって来ていたから。
「ずるいでしょ。バードは、あ、ごめんなさい、アヤちゃんは私のことを強いねって言ってくれたけど、そうじゃない。助かることが分かっているから頑張れた」
こんなこともあった。
政府の軍が来た時、ロクモンじゃないかと思ってた。
ロクモンが東部方面攻撃隊に合流した情報が入って来ていたから。
それなのに、知らん振りしてて、本当にごめんなさい。




