500 なにしろ、暫定長官を名乗った者は
でも、幸いに、レイチェルは東部方面攻撃隊に救出されました。
私の中で、東部方面攻撃隊の存在が大きくなっていきました。
レイチェルはキャリーの記憶としてアンドロ達の動きを知っていますが、自由に活動しようとするでしょう。
そこで私は、レイチェルの保護を東部方面攻撃隊に任せることにしました。
街に戻ってまた危険な目にあうより、東部方面攻撃隊と一緒にいるほうがいいと思ったのです。
そして私自身は、なりふり構わず暫定長官を名乗り、全権を掌握しました。
私がしなければいけないのは、アンドロ軍を黙らせること。
事態の収拾に必死でしたが、タールツーが暫定長官を名乗ったことで、敵に勢いをつけてしまう結果も伴いました。
しかもキャリーとしての私は、多くの人に顔を知られています。
一切、人前には姿を現さずにすべての指示を出すのは骨が折れました。
指示の意図が、上手く伝わらないことも度々ありました。
なにしろ、暫定長官を名乗った者は、あのアンドロ、タールツーということになっていたのですから。
ンドペキ達を困らせた荒地軍。
あれは、元はと言えばタールツーの私兵です。
彼らにしてみれば、最近のタールツーは人が変わったようだ、何らかの報酬によって牙を抜かれてしまったのではないか、と思っていたことでしょう。
タールツーの指示を待たず、勝手な行動を始めていたんです。
もう、いうことを聞きません。
それがあの軍です。
その中枢は、すでに私が拘束を始めていました。
もちろん、秘密裡に。
なので、あのように統率がとれていなかったのです。
しかし、兵の数は予想以上に多い。
まるで、後から後から湧いてくるような勢いでした。
また、統制がとれていないということは、無謀な作戦も選ぶということですし、ゲリラ的な活動も辞さぬ、ということになります。
しかも、ニューキーツの防衛軍を壊滅させるのは、彼らにとって有利な戦いでした。
あの時点では、防衛軍は、念のため、パリサイドとの衝突に備えていましたから。
元々、外部からの敵に備えている軍です。
兵であれ、防御システムであれ。
政府の内部から、つまり後ろからの攻撃に、いとも容易く崩壊してしまったのです。




