499 レイチェルは恋人探しを
実際はタールツーの意図を離れて、信奉者達は自分の意志で活動を始めていたんです。
彼らにとってのタールツー、つまり私の言動が彼らの失望を招いたのでしょう。
焦りました。
早く手を打たねば。
でも、私の元の部下を大挙して治安省に移し、不測の事態に備えさせるわけにもいきません。
そんなことをすれば、彼らは警戒して、ますますアンダーグラウンドに潜ってしまう。
あるいはベータディメンジョンに本拠を移されてしまえば、もうお手上げ。
私は、いざという時のために、治安省付きの隊を構築しようとはしていました。
レイチェルはすでに長官でしたけど、まだ職員はじめ親衛隊も騎士団も掌握しきれている状態ではありませんでした。
将来は、合流させるつもりで。
さまざまなところに情報提供者を配置し、人選を開始していました。
そう。ヘルシードのマスターにも依頼して。
一方で、レイチェルは恋人探しをスタートさせている。
私は、陰で長官レイチェルの代役もしながら、多忙を極めていました。
もちろん、顔を見せるような会議には一切出席せずに。
でもやはり、抜かりがあったのです。
とんでもないことが起きました。
パリサイドの問題で、政府中が浮足立っているときでした。
レイチェルが捕えられたという情報が飛び込んできたのです。
続いて、エーエージーエスに閉じ込められたという報せが。
レイチェルを助けなければ。
直ぐに、救出部隊をエーエージーエスに派遣しなければ。
しかし、まだ私の隊は機能していない。
本来なら頼むところはレイチェル騎士団。でも、治安省長官の権限で動かすことは出来ない。
親衛隊なら、防衛省の管轄。
防衛省に掛け合ったところ、すぐに動いてくれました。
ただ、公式作戦ではない。
まさか、長官救出作戦というわけにはいかなかったのです。
オーエンがなぜ、親衛隊を壊滅させたのか、それは分かりません。
パリサイドを憎んでいた。それを受け入れようとするニューキーツ長官へのあてつけ。
そんな理由もあるでしょう。
でもきっと、ホトキンさんを連れてくる、そのためにこれ以上ない餌だと思ったのでしょう。
そういう男です。
他人のことは言えないけれど。
結局、救出に向かった親衛隊は全滅。
それが、その後の戦局を非常に不利な状況にしてしまったことは事実です。




