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40 花を手向けに
「やっ、ハワード!」
鉄の橋をハワード、その後ろからマリーリが渡ってきた。
「珍しいな、こんなところで会うなんて」
「元気かい」
ハワードが、少しばつが悪そうな顔をした。
「どこ行くんだい」
大きな荷物を背負っている。
「ほら、これ」
「おっ、すごいな。そいつは」
マリーリは大きな花束を持っていた。
生の花など、貴重な品物。
「昔、人にはそういう風習があるって聞いたものだから」
プリブはハワードの言葉の意味がすぐにはわからなかったが、シルバックが、
「レイチェルのために?」
と言ったことで、花束の意味が理解できた。
「花を手向けに……」
ハワードは照れたように、肩をすくめた。
「水系へ、その……」
放流するのだという。
「そうなのか……」
なんと応えてよいか、口ごもっている間に、「じゃ、また」と、ハワードは通り過ぎていこうとする。
「その荷物は?」
シルバックの問いかけは、穏やかなものだったが、ハワードは幾分気分を害したのかもしれない。
そもそも、レイチェルが死んだのはンドペキ隊の落ち度なのだ。
「我々の、その、部屋もあるんです」
と、ハワードは早口に言った。
プリブは、また今度、顔を出すよ、と言いかけてやめた。
知られたくない、と言い返されそうな気がした。




