41 私が生贄になって
ハワード達と別れ、二人は鉄の橋を渡り始めた。
「それはそうと」
シルバックが橋の中央で立ち止まった。
「火ねえ」
「この地下で、生の火を盛大に見ることができるのは、ここだけよね」
「ああ。だから、かなり探したじゃないか」
くまなく調べていた。
天井まで数十メートルほど。概ね立方体をした空間。
しかし、バーチャルも含めて、出入り口らしきものは発見できていない。
シルバックが天井を見上げている。
天井の四隅には、二メートル四方ほどの縦穴が上部に伸びている。
「あれか? 登っていったら、あっさり街の上空に出たぞ」
その内部にも何も発見できなかった。
「そうよね。あれはただの煙突」
「生贄も空振りだった」
生きた鼠を炎の中に放り込んでもみたりもした。
火に守られた何者かが、この下に潜んでいていて、顔を出すのでは、と。
臨戦体制で固唾を呑んで見守ったが、可哀想な鼠は焼け焦げていっただけだった。
「ねえ、プリブはどう思う? この下に何かいると思う?」
「さあな。大蛇とか?」
「蛇は暖かいところが好きでしょ」
「ふうん。いろいろ調べたんだな」
「そういうわけじゃないけど」
「大蛇がいるとして、シェルタの入り口は?」
「竜神様がシャルタの入口を守っている、とか、まさかね」
「ない。そんなありきたりなストーリーのはずがない」
「そうよねえ。ねえねえ、私が生贄になって、飛び込んでみようか」
「おいおい。やめてくれ」
「私が惜しい?」
「ん……、そうじゃなくて、万一のことがあったら困る」
「困る、だけ?」
「おい」
「だめか」
「当たり前だ」




