表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/220

第96話:ただの天蓋磨きと、虚空の星喰い竜の強制プラネタリウム化(大宇宙の黒幕の顕現と、極上の星空)

第96話:ただの天蓋磨きと、虚空の星喰い竜の強制プラネタリウム化(大宇宙の黒幕の顕現と、極上の星空)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝は、大陸全土を巻き込んだ大帝国との戦争が終結した余韻など微塵も感じさせない、大宇宙の理すらも平伏す圧倒的な平穏と、魂を根底から蕩かすような極上の匂いと共に幕を開ける。

 今日のアルドは、朝からキッチンの特注オーブンに向かい、見事な手際で『特製・天界牛の極厚ローストビーフと、世界樹の雫の黄金コンソメスープ』を仕上げていた。

「よし! メインは、大精霊の加護を受けて育った天界牛の塊肉を、低温でじっくりと焼き上げた特製ローストビーフだ。そこに、森で採れた幻獣玉ねぎの甘みを限界まで引き出したシャリアピンソースをたっぷりかけて……完成だ!」

 アルドがエプロン姿で、ルビーのように赤く輝く肉の断面が美しい大皿をダイニングテーブルに運ぶと、その圧倒的な生命力と香ばしいソースの匂いに引き寄せられ、神竜ポチとモフモフの星狼シロがテーブルの下でちぎれんばかりに尻尾を振って待機していた。

 このローストビーフ、一口食べれば天界牛の極上のアミノ酸が全身の魔力回路を限界突破させ、黄金コンソメスープの圧倒的な浄化力が致死の呪いや次元の歪みすらも完全に中和し、魂の底から尽きることのない活力を湧き上がらせる『究極の超回復・神仙食』である。

「うむ……! この口の中でとろける肉の柔らかさと、ソースが奏でる神聖なる響き! 見るだけで我が魔界の闘争本能が、日向ぼっこをしている仔猫のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 元・魔界大帝サタナスが、フォークを震わせながら握りしめ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。

 そんな賑やかなダイニングの喧騒から少し離れた、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブル。

 そこでは、大公レオハルト、情報局長アーキヴァル、元・大賢者ゾルタンの三人が、アステリア王国の上空、さらにはるか高い『成層圏』を指し示す立体地図を広げ、極めて深刻な顔つきで極秘の『戦術会議』を行っていた。

「……大公閣下。先日の『終焉の機神』を我々に(極上の遊園地として)無力化され、神聖ザギアス帝国の皇帝アレクサンドロスがチケットもぎりに転職したことで、大陸の軍事的な脅威は完全に消え去りました。しかし、皇帝を裏で狂わせ、操っていた『真の黒幕』がいよいよ直接、この星に干渉を始めました」

 アーキヴァルが、手元の分厚い機密書類を指先で弾きながら冷徹に報告する。

「帝国の背後にいた、次元の外側の存在か。……大宇宙の深淵に潜む邪神どもが、ついに自ら牙を剥いたというわけだな」

 大公レオハルトは、地図の王都はるか上空に広がり始めた、おぞましい漆黒の空間の亀裂を睨みつけた。

「はい。次元の狭間より飛来した、大宇宙の星々を喰らう災厄……『虚空の星喰いヴォイド・スターイーター』です」

 ゾルタンが、魔力測定器に映る、星の寿命そのものを吸い上げるような絶望的な波形を指し示す。

「この星喰い竜は、王都の上空、星の天蓋(成層圏)に巨大な次元の穴を開け、そこから流れ出す『虚無の泥』でこの世界の光を完全に遮断し、星のマナを根こそぎ喰らい尽くす悪魔の宇宙怪獣です。奴の狙いは、もはや国盗りなどという矮小なものではなく、この星そのものを『真の黒幕』への供物として捧げることでしょう」

「星の空を真っ黒な泥で覆い尽くし、太陽と星々の光を奪うとは。……生命の根源を絶つ、決して許されざる究極の暴挙だな」

 大公レオハルトは、怒りで拳を強く握りしめ、テーブルを軋ませた。

「ええ、まさに宇宙規模の狂気です。ですが、我々が『事前に』その空間の汚れを完全に把握している以上、この星の空の美しさを一ミリたりとも損なわせることはありません。敵の宇宙怪獣が星を喰らう前に、根こそぎ拭き取ってお掃除して差し上げましょう。……高い場所のガンコな汚れ落としといえば、アルド様にとって最も得意とする『天窓拭き』の領域ですからね」

 アーキヴァルは、悪魔のように完璧な微笑みを浮かべた。

 相手はもはや人間でも国家でもない。大宇宙の法則の外側にいる神話的脅威である。しかし、アーキヴァルの手帳の新たなページには、一切の躊躇いもなく『対・大宇宙の黒幕・ご請求書(第一弾)』と優雅な筆記体で書き込まれていく。

 彼はそのままペンを滑らせ、一枚の『依頼書』を迅速に作成した。

 ちょうどそこへ、食後の極上ブレンドコーヒーを運んできたアルドに、アーキヴァルは深々と頭を下げて依頼書を差し出した。

「アルド様、美味しい朝食の最中に申し訳ありません。大公閣下より、急ぎの『高所の窓拭き依頼』が入っております」

「おや、急ぎのお仕事かい? どれどれ……『王都の観測塔のさらに上、空の天窓に、真っ黒なカビと泥のようなガンコな汚れがこびりついていて、星の光が全く見えなくなっている。さらに変なトカゲが巣を作っているので、至急汚れの拭き取りと害獣駆除をお願いしたい』……なるほど!」

 アルドは、依頼書を見て真剣な表情でコクリと頷いた。

「空の天窓が泥まみれになっちゃうなんて一大事だ! 光が入らなくなったら、畑の野菜も育たなくなっちゃうし、みんなが綺麗な星空を見られなくなっちゃう。よっぽど長い間、誰も掃除してなかったんだろうね。よーし、今日は僕の特製『事象払拭の伸縮ワイパー』と、『絶対透明の神仙ガラスクリーナー』を持って、空の天窓をピカピカに磨き上げてこよう!」

 アルドが意気揚々と作業着(宇宙空間の真空や絶対零度を完全に無効化する特製防寒ツナギ)に着替え、信じられないほど長く伸びる柄のついたワイパーと、巨大なスプレーボトルを持って部屋を出て行った後。

 リビングの影から、レイヴンとシノンが音もなく立ち上がった。

「主の『窓拭き』の邪魔をする、薄汚い邪神の眷属どもは、俺たちが星の観測塔の屋上で待ち構え、処理しておく。……さあ、大宇宙の黒幕を完全に解体するための、壮大な集金ざまぁの始まりだ」

 クランメンバーたちによる、星の存亡をかけた大戦――能動的な悪の事前粉砕が、ついに大宇宙というかつてない規模の舞台へと突入したのである。

 ***

 その頃、アステリア王国の王都はるか上空、成層圏にぽっかりと開いた漆黒の次元の穴。

 その深淵から半身を乗り出し、星のマナを貪り食う『虚空の星喰い竜』の背に乗った、邪神の神官長ザラキアは、眼下に広がる絶望の闇を眺めながら、狂気に満ちた高笑いを上げていた。

「フハハハハ! 素晴らしいぞ! ついに我らが『真の黒幕』たる深淵の王の御使いが、この星の空を覆い尽くした! 見よ、この圧倒的な絶望の泥を! アステリアの小賢しい策など、大宇宙の災厄の前には一瞬で飲み込まれるわ!」

 神官長ザラキアは、血走った目で星喰い竜の禍々しい鱗を撫でながら傲慢に叫んだ。

「帝国の皇帝は使えない駒であったが、もはや人間どもの軍隊など不要! この星喰い竜の『虚無の泥』が空を完全に覆い尽くせば、光は永遠に失われ、星の命は我らが邪神の極上のディナーとなるのだ! さあ、星喰い竜よ! 虚無のブレスを吐き出し、この星の空をドロドロに汚し尽くせ!」

「神官長様! 星喰い竜の魔力充填、臨界点に達しようとしています! しかし……」

 付き従う狂信者が、下界の王都から伸びてくる『謎の棒』を見て声を震わせた。

「王都の観測塔から、信じられない長さの『棒(伸縮ワイパー)』が、成層圏まで伸びてきています! その先端には、スポンジとゴムベラが……!」

「なんだと!? アステリアの抵抗か!? 構わん、星喰い竜の『絶対虚無の吐息ヴォイド・ブレス』で、その棒切れごと原子レベルで消し飛ばせェェェッ!」

 神官長の狂笑が、星喰い竜の咆哮と共に成層圏の真空に虚しく響き渡っていた。

 ***

「よし、天窓拭きと害獣駆除の準備は完璧だ!」

 アルドは、王都で最も高い星の観測塔の屋上に立ち、手作りの『事象払拭の伸縮ワイパー』を限界まで伸ばし、成層圏に向かって『絶対透明の神仙ガラスクリーナー』のノズルを向けた。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。伸縮ワイパーは、世界樹の主幹を圧縮し、空間の歪みを無視してどこまでも伸びる『究極の拭き取り棒』。神仙ガラスクリーナーは、天界の浄化水と星々の瞬きを液状化した、いかなる宇宙的汚染や虚無の泥も一瞬で分解し、絶対的な透明度を与える『究極の洗浄スプレー』である。

「うわぁ……。大公様が言っていた通り、これはひどいな。空の天窓に、真っ黒な泥(虚無の泥)がベッタリこびりついてて、太陽の光が全然入ってこないぞ。おまけに、泥の中から『すっごくデカくて汚いトカゲ』が顔を出してて、不衛生極まりない」

 アルドは、首に巻いたタオルで汗を拭いながら、プロの清掃業者としてのダメ出しを始めた。

 彼の驚異的な「日常フィルター(事象の誤認)」は、大宇宙の星を喰らう次元の竜を、「長年放置されて異常繁殖し、天窓に巣を作って泥を撒き散らしている極度にガンコで厄介な害獣(巨大なヤモリか何か)」だと完全に誤認していた。

「よし! こんなに泥まみれだったら、空がずっと真っ暗だ! 一気にクリーナーを吹きかけて泥を浮かせてから、ワイパーでトカゲごと綺麗に拭き取ってやるぞ!」

『標的確認。絶対虚無ノ吐息、発射』

 星喰い竜の禍々しい顎から、全てを無に還す漆黒のブレスが、アルドの伸ばしたワイパーに向かって一直線に放たれた。

「うわっ! このトカゲ、威嚇して真っ黒なスミを吐いてきた! でも、この特製・神仙ガラスクリーナーの泡の前には、どんなガンコな汚れも一発で分解だ!」

 アルドがスプレーボトルのトリガーを思い切り引くと、成層圏まで届く勢いで放たれた『神仙の泡』が、迫り来る虚無のブレスと星喰い竜の巨大な顔面に激突した。

 ――プシュワァァァァァァァッ!!!!

 星を消滅させるはずの虚無のブレスは、アルドの「天窓のガンコな汚れを洗剤で落としたい」という圧倒的で暴力的なまでの意思の前に、物理的に「シュワワワッ!」と情けない音を立てて、まるでただの石鹸水に触れた泥のように、一瞬にして無害な白い泡へと分解されてしまった。

『ギ、ギィィィィィィッ!? な、何ダコノ異常ナ洗浄力ハ!? 我ガ大宇宙ノ絶望ノ泥ガ、タダノ窓拭キ用ノ洗剤デ簡単ニ中和サレテイクゥゥゥッ!?』

「よし、汚れが浮いてきたぞ! このままワイパーで、一気にキュッキュッと拭き上げてやる!」

 アルドが観測塔の屋上から、手首のスナップを利かせて超ロングワイパーを動かすと、成層圏の星喰い竜は巨大なゴムベラによって「キュギュギュッ!」と情けない音を立てながら、次元の穴ごと激しくこすり上げられた。

「よしよし、これで完全に泥は拭き取れたぞ! でも、このトカゲ、ただ追い払うだけじゃまた巣を作りそうだな。……そうだ! 大きさも形もちょうどいいし、これなら夜空を彩る『綺麗なプラネタリウムの投影機』に作り直せるぞ!」

 アルドがワイパーの先端から、仕上げの『星屑コーティング』を竜の身体に塗り込むと、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 虚無の泥を撒き散らしていた竜の身体と次元の穴は、アルドのコーティングを受けた瞬間に、禍々しい破壊の力を完全に調律された。

 代わりにアルドの清掃が持つ『究極の透明感と極上の星空』という概念が、物理的な限界と次元の壁を超えて、星喰い竜の存在そのものを書き換えていった。

『ア……ァァ……。我ノ、大宇宙ノ星ヲ喰ラウハズノ虚無ノ身体ガ、マルデ都合ノイイ【美しい星座ヲ映シ出ス為ノ幻灯機】ノヨウニ……!? イヤ、磨カレル度ニ、鱗ノ一枚一枚ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ輝キヲ放ツクリスタルガラス】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ絶望ニ沈メルノデハナク、コウシテアステリアノ夜空ニ永遠ノ天体ショーヲ提供スル「極上ノ全自動・神仙プラネタリウム竜」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 邪神の眷属としての星喰い竜の意思は、アルドの「天窓拭きとコーティング」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を消滅させる禍々しい竜は、気がつけば「成層圏に美しく滞空し、そのクリスタルの身体を通して太陽の光を極上のオーロラに変換し、夜には満天の星々を王都の空に鮮やかに投影する、超高性能な『永久・エコ神仙投影機(見た目は光り輝く美しい半透明の竜)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌な泥は完全に消えて、代わりにすっごく綺麗なガラス張りの天窓に戻ったぞ! おまけに、あのトカゲがキラキラ光って、夜空に綺麗な星を映し出してくれるようになった。これでみんな、毎晩ロマンチックな星空を楽しめるね!」

 アルドがワイパーを片付けて額の汗を拭うと、王都上空を覆っていたドス黒い絶望の空気は一瞬にして晴れ渡り、眼上の空は極上のオーロラが揺らめく『奇跡の神仙プラネタリウム』へと進化を遂げていた。

 ***

 一方その頃、プラネタリウムの光源バルブに改造され、美しい星の光を放ち始めた元・次元の穴の内部(邪神の神官たちが潜んでいた空間)では、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されていた。

「な、なんだこれはァァァッ!?」

 神官長ザラキアが絶叫する。

 彼が星喰い竜を制御するために握っていた邪神の錫杖は、いつの間にか『プラネタリウムの投影プログラムを切り替えるリモコン』に書き換えられていた。

 穴の中にいた狂信者たちが着ていた禍々しいローブは全て『星空を案内するお洒落な学芸員の制服』に変わり、彼らの手には『星座の解説ボードと、レーザーポインター』が強制的に握らされてしまっていた。

 アルドの「プラネタリウムを管理して、みんなに星空の解説をするスタッフが必要だ」という無自覚な意思は、邪神の眷属たちを「優秀な天文台の解説員」と認識し、彼らの持つあらゆる邪悪な魔力を強制的に【安全でロマンチックな天体観測施設】へと書き換えてしまったのだ。

「ば、馬鹿な……。我らが邪神の放った大宇宙の災厄が、ただの『星空の幻灯機』に変わるだと……!? 大宇宙の深淵が、ただの『お洒落なデートスポット』にされたというのか……!」

 神官長がへたり込み、星座解説ボードを抱えて絶望の涙を流したその時。

「――ご苦労だったな、薄汚い宇宙のドブネズミども。随分と『ロマンチックで星が綺麗に見える場所』になったじゃないか」

 浄化された次元の穴の空間が歪み、音もなくシノンの短剣が閃いた。

 空間の奥からは、神具の斧を肩に担いだレイヴンが、凄まじい威圧感を放ちながら現れる。そしてその後ろには、冷徹な執事服に身を包んだアーキヴァルと、大公レオハルトの姿があった。

「主の『天窓拭き』のおかげで、貴様らの薄汚い宇宙の塵の拭き掃除は済んだようだな。大宇宙の黒幕とやらの玄関マットまで集金に来てやったぞ」

 レイヴンが、冷酷な瞳で見下ろす。

「ヒィッ……! き、貴様ら、邪神の御使いである私に向かって……!」

「証拠も大義名分も十分に揃いましたよ、ザラキア殿。これにて、真の黒幕の先兵部隊は完全な無力化(天文台スタッフへの強制転換)です。そして、貴方たちの邪神には、今日この日を以て実質的な『清掃の最終通告』がなされました」

 アーキヴァルが、分厚いバインダーから【大宇宙の黒幕への第一の請求書】を取り出し、神官長の目の前にドンッと突きつけた。

「さあ、この莫大な『事象払拭と天窓磨きの手数料』、貴様らの身と魂を労働力に変えて、このプラネタリウムで永遠に星座の解説をし続けてもらいましょうか。星を喰らう邪神の眷属の末路としては、最高に平和でロマンチックな舞台ざまぁですね」

 シノンの冷たい宣告と共に、神官長ザラキアと狂信者たちは完全に心をへし折られ、解説ボードとレーザーポインターを持ったまま大人しく星座解説の業務へと就かされていった。

 ***

 数日後。日だまり郷の黄金の城塞。

「……終わりましたね。星を喰らう大宇宙の災厄が、アルド様の腕によって見事な超大型プラネタリウム投影機に成り下がりました。そして、捕らえた邪神の眷属たちは、成層圏の天文台で立派な『学芸員』として汗を流し、カップルたちに星空の解説をしております」

 記録係のアーキヴァルが、大公から送られてきた莫大な報酬と、王都の住民たちから届いた感謝の手紙の山を確認しながら、手帳の『対・大宇宙の黒幕・請求書』の第一ページ目に羽ペンを走らせる。

「アルド殿が磨き上げたあの天窓、今では『奇跡の神仙プラネタリウム』と呼ばれ、大陸中から恋人たちが押し寄せる極上のデートスポットになっているそうだな。邪神の世界破滅計画など、完全に極上の夜空作りの手伝いにされたというわけだ」

 レイヴンが、暖炉の前でシロ(星狼)にブラッシングをしてやるアルドを眺めながら、不敵に笑う。

「ええ。ですが、これは真の黒幕との戦いの序曲に過ぎません。先兵を『プラネタリウムの電球』に変えられた邪神本体は、いよいよ次元の壁を越えて、この世界そのものを汚染しにやってくるでしょう」

 アーキヴァルの眼鏡の奥で、全てを計算し尽くした冷徹な死神の光が、鋭く煌めいた。

「しかし、我々の完璧な情報網とアルド様の【究極の家事】が、大宇宙の邪神すらも完全に解体し、最後は宇宙の果てまでチリトリで掃除して差し上げます。究極の『大掃除』の時間が近づいています」

 最強の便利屋の「ただの天窓拭き」は、星の滅亡の危機をただのガラス磨きとして解決し、大宇宙の邪神の侵略を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の星空をもたらす奇跡のプラネタリウムを誕生させてしまったのである。

 城塞の住人たちによる「能動的な悪の粉砕」は、ついに次元の外側の黒幕を敵に回し、大宇宙のバグ取りとも言える壮大な最終決戦へと、着実に駒を進めたのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ