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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第268話:ただの町内会の道路パトロールと地図の確認と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』から外の世界へ繋がる外延道路ネットワーク構想の緊急都市計画会議

第268話:ただの町内会の道路パトロールと地図の確認(外部交通インフラ計画)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』から外の世界へ繋がる外延道路ネットワーク構想の緊急都市計画会議(総合ライフサポート企業の新規ロードビルディング事業)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、厳しい木枯らしが吹き荒れる冬の真っ只中でありながら、日だまり郷の中だけは春の陽だまりのような暖かさと清涼な空気に包まれている。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で湯気を立てる極上ほうじ茶をすすりながら、自らとペットたちに起きているさらなる異常現象について、今日も顔を見合わせていた。

「……なあ。昨日も言ったが、俺たちだけじゃなく、この日だまり郷にいるペットや魔物たちまで、完全に未知の進化領域に突入しているんだ。昨夜、少し庭の木を剪定しようとハサミを持ったんだが、俺が指先を動かす前に、俺の体から勝手に放たれた微細な闘気の刃が周囲の枝を完璧な芸術品のように切り揃えてしまった。それどころか、俺が歩くたびに地面の石ころが勝手に磨かれて宝石に変わり、庭の池の水が『どんな病気も一瞬で完治する神水の霊泉』に自己進化している。もはや『人間』の肉体というリミッターが完全に外れて、歩く神話の奇跡製造機みたいになっているんだが」

 勇者が、己の傷一つない屈強な両手を見つめながら首を傾げた。彼の肉体は歴戦の傷跡が完全に消え去っているどころか、肌の表面に神話級のオーラが常時コーティングされ、もはや「老化」や「衰え」という概念そのものが彼を避けて通るようになっている。

「ええ。私もですわ。昨日など、少し庭のベンチで空を見上げてぼんやりしていたのですが、私の視線の先にあったただの雲が、私の思考に共鳴して『数万光年先の銀河系の正確な星図』の形に自動的に組み替わってしまいましたの。美容液どころか、ただ私がそこに存在し、無意識に呼吸をするだけで、周囲の事象が強制的に神域レベルの奇跡へと引き上げられ、世界そのものの寿命が無限に等しくなっていくのを感じますわ」

 魔女グレイシアもまた、自らの白く透き通るような手を見つめながら驚きと共に頷く。

 縁側で丸くなっている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも弾き返す『神話級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが心地よさそうに微睡みながら時折尻尾をパタパタと振るだけで、周囲の空間に局地的な「重力異常の最適化」が展開され、彼らの体はもはや地面に触れることなく、数センチほど空中に浮遊したまま熟睡しているのだ。

 その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。

「……おそらく、社長アルドの力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられ続けているのだ。それは人間に限らず、ペットの魔物たちにまで及んでいる」

「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、ペットたちが不老不死の神話生物へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」

「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の存在を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞や魔力回路の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々が何もしていなくとも能力が日々限界突破していくのは、全て我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ。……特に今日は、都市の『外部への交通網』を広げる重要会議が控えている。頭脳も肉体も絶好調に越したことはない」

 ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。

 そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしいバターの香りと、甘酸っぱいトマトソースの暴力的なまでの香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝から頭脳労働のスタミナを全開にする『幻獣チキンの極上トマト煮込みオムライス〜特製神仙デミグラスソースと天界バターのトロトロ卵乗せ〜と、大精霊の森の野菜たっぷりコンソメスープ』だ! まずは、旨味が限界まで乗った幻獣チキンを、神仙の特製ハーブと完熟トマトでじっくり煮込んで柔らかく仕上げる。そこへ、天界バターをたっぷりと溶かしたフライパンで、外はしっとり、中はトロトロの半熟に仕上げた黄金色のオムレツを作り、炊きたての神仙バターライスの上に乗せるんだ! チキンをたっぷりと添えて、自家製デミグラスソースを贅沢に掛ける! その横で、大精霊の森で採れた色鮮やかな野菜をコトコト煮込んだ、優しい味わいの熱々コンソメスープを添える。……卵が固まらないうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な香りを放つ特大のプレートをダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣チキンの圧倒的なアミノ酸と極上バターが全身の魔力回路を限界突破させ、コンソメスープのビタミンが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の洋食ブレックファスト』である。

「うむ……! この熱々のオムライスをスプーンで割って口に運んだ瞬間に広がる、トロトロの卵とバターライスの濃厚なビッグバン! 完熟トマトの酸味とデミグラスソースのコクがチキンの旨味を何百倍にも引き立て、すかさずコンソメスープをすすれば、野菜の優しい甘みが口の中の脂を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級老舗洋食店で至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 サタナスが、スプーンを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。

 ――そして、至福の朝食が終わり、食後の極上ミルクティーが振る舞われた後。

 アルドは、作業着の袖をまくり上げながら、やる気に満ちた満面の笑みでリビングの広間に立つ役員たちと大家の面々を見渡した。

「みんな、昨日までの作業で『日だまりエコ・スマートシティ』の中は、お家も、お風呂も、通信も、防災も、全部バッチリ完璧に完成したよね! 市民のみんなも毎日笑顔で暮らしてくれていて本当に嬉しいよ。でもさ、町の中がどれだけ綺麗になっても、外の世界と繋がる道がまだ昔のままでデコボコだったり、遠くの街に行くのが大変だったりしたら、お買い物や遊びに行く時に不便だよね。それに、この素晴らしい町のできたての美味しいお野菜や特産品を、他の街の人たちにもおすそ分けしたいなあって思うんだ。だから今日は、外の世界へ向けて新しい道路を作る『道路整備計画』の緊急会議を開こう! 近くの村への道と、次の街への道、そして最終的には王都まで繋がる大きなハイウェイを作るために、どこを通るのがいいかみんなでアイデアを出して!」

 社長の号令と共に、【黄昏の守護者】の役員たちと大家の面々による、世界最強の頭脳と力を持った者たちの白熱の都市計画会議(道路インフラ編)がスタートした。

「素晴らしい提案です、社長」

 【最高財務責任者(CFO)】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、大陸全図が描かれた巨大な魔導ホログラムマップをテーブルの上に展開した。

「我が社がプロデュースした『日だまりエコ・スマートシティ』は、内部の自律循環が完璧に完了いたしました。しかし、経済のさらなる発展と、周辺地域への文明の波及を考慮すれば、外の世界との強固な交通インフラの構築は不可欠の課題であります。現在の地図データによりますと、当都市の周辺には、いくつかの重要な拠点が存在しております」

 アーキヴァルがホログラムマップを指し示すと、日だまり郷の周囲の地形が立体的に浮かび上がった。

「まず、当都市から北へ約十キロメートルの距離に位置する『オリーブの村』。かつては細いけもの道で細々と交易をしていた小さな農業集落ですが、我が町の全自動農園の余剰作物を運ぶ最初のパートナーとして最適の場所であります。次に、東へ約五十キロメートル離れた商業都市『カレ和の街』。ここは周辺地域の中継地点であり、多くの商人が往来する賑やかな街ですが、道路の整備不良により物流が滞りがちという問題を抱えております。そして、さらにその遥か彼方、大陸の中心にそびえ立つ『王都グランディール』。最終的にこの三箇所を繋ぐ幹線道路を敷設すれば、我が社は大陸全体の経済と交通の覇権を完全に掌握することができます」

「なるほど……! オリーブの村ならすぐ近くお散歩気分で行けるし、カレ和の街なら大きなお買い物や他のお友達とも交流できそうだね! そして、最終的には王都まで一本の綺麗な道で繋がっちゃうんだ!」

 アルドは目を輝かせながらホログラムマップを覗き込んだ。

「社長の仰る通りですわ」

 【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】のエルミナが優雅に頷きながら補足する。

「しかし、闇雲に道路を通せば良いというわけではありませんわね。途中にはかつて魔物たちがうろついていた危険な森林地帯や、急峻な岩山も存在します。ですが、我が社の技術力と、社長の神仙パワーがあれば、山を迂回する必要すらありません。山そのものをトンネルで貫通させ、川には美しいアーチ橋を架け、一歩も足を踏み外さない究極の安全高速道路を造り上げることができますわ」

「防犯面と走行安全性も俺に任せてもらおう」

 【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】のシノンが静かに腕を組んで告げる。

キュリティを常時展開する。万が一、暴走した魔物が飛び込んできたとしても、結界が自動的に車体をガードし、不審者は一瞬でゲート外へと弾き飛ばすシステムにしよう。これで交通事故も強盗の危険もゼロになる」

「さらに、娯楽性も忘れてはならんぞ!」

 サタナスが筋肉を誇示しながら声を張り上げる。

「ただの道路では味気ない! 道の途中には、ドライバーが疲れたときに極上の幻獣牛ステーキや特製ソフトクリームを食べてくつろげる『超豪華サービスエリア(道の駅)』を何箇所も設置するのだ! 旅の楽しみが倍増する最高のドライブコースにするべきだ!」

 【最高開発・解体執行責任者(CDO)】のレイヴンも不敵な笑みを浮かべて頷いた。

「賛成だな。道路の邪魔になる岩山や、古い橋の残骸などは、俺が神具の斧(ブルドーザー仕様)で一瞬にして粉砕し、完璧な平坦地を用意してやろう。工事の遅れなど絶対にあり得ない」

 白熱した議論の末、まずは段階的に計画を進めることが決定された。

 第一段階として、もっとも身近な拠点である「オリーブの村」までの道路整備計画を最優先で実行し、その成功実績をもとに中継都市「カレ和の街」、そして最終的な「王都」へと道路網を延伸していく方針が満場一致で可決されたのである。

「よし、決まりだ!」

 アルドは力強く拳を握りしめた。

「まずは『オリーブの村』までの道を作ろう! 名付けて、日だまり郷・村道拡張&快適ハイウェイ化プロジェクトだ! 明日から早速、測量と道路の土台作りに出発するよ。便利屋の新しい出張お仕事、いよいよスタートだ!」

 最強の役員たちと大家の面々ビシッと揃って頷き、社長の壮大な道路プロデュース事業の幕が上がったのだった。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。外部道路整備計画会議開催。村・街・王都へのハイウェイ建設決定。まずは村までの計画着手。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を繋ぐ巨大インフラの敷設という、歴史の教科書を書き換えるような一大プロジェクトが始まろうとも、社長の前では「お隣の村までのお散歩道を綺麗に舗装する」という、便利屋のスケジュールが一つ追加された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす偉業など、黄昏の守護者の前では永遠に日常のロードメンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、新たな仕事の始まりに安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、道路の会議お疲れ様! 今日の3時のおやつは、遠くへお出かけしたくなるような『特製・大精霊の特大フルーツロールケーキ〜世界樹の生クリームをたっぷりと〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が巻き上げるロールケーキは、ことのほかスポンジのふんわり感とフルーツの酸味が、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「近くの村への道路整備の計画」は、世界中のインフラをフル活用した夢の都市にさらなる外の世界との繋がりをもたらし、真の平和と繁栄のネットワークを拡大していく。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界最高の道路建設・交通プロデュース事業をスタートさせ、いかなる険道も入り込めず、誰もが安全に行き来できる究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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