第269話:ただのデコボコ道の草刈りとアスファルト舗装と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』発・オリーブの村直通神仙ハイウェイの開通
第269話:ただのデコボコ道の草刈りとアスファルト舗装(広域交通インフラ整備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』発・オリーブの村直通神仙ハイウェイの開通(総合ライフサポート企業の道路プロデュース業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、厳しい木枯らしが吹き荒れる冬の真っ只中でありながら、日だまり郷の中だけは春の陽だまりのような暖かさと清涼な空気に包まれている。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で湯気を立てる極上ほうじ茶をすすりながら、自らとペットたちに起きているさらなる異常現象について、今日も顔を見合わせていた。
「……なあ。昨日も言ったが、俺たちだけじゃなく、この日だまり郷にいるペットや魔物たちまで、完全に未知の進化領域に突入しているんだ。昨夜、うっかり剣の手入れ中に刃を素手で握り込んでしまったんだが、俺の皮膚が切れるどころか、神話級のオリハルコンの刃の方が『この皮膚には勝てない』と自己判断して粉々に砕け散ったんだ。それどころか、俺の心臓の鼓動が勝手に大地の魔脈と同期して、俺が呼吸をするだけで周囲に大精霊がポコポコと生まれていく。もはや『人間』の肉体というリミッターが完全に外れて、歩く神話の奇跡製造機みたいになっているんだが」
勇者が、己の傷一つない屈強な両手を見つめながら首を傾げた。彼の肉体は歴戦の傷跡が完全に消え去っているどころか、肌の表面に神話級のオーラが常時コーティングされ、もはや「怪我」や「限界」という概念そのものが彼を避けて通るようになっている。
「ええ。私もですわ。昨日など、少し庭のベンチで空を見上げてぼんやりしていたのですが、私の視線の先にあったただの雲が、私の思考に共鳴して『数万光年先の銀河系の正確な星図』の形に自動的に組み替わってしまいましたの。さらに、私が瞬きをするたびに、空間の次元断層が自動修復されています。美容液どころか、ただ私がそこに存在し、無意識に息をするだけで、周囲の事象が強制的に神域レベルの奇跡へと引き上げられ、世界そのものの寿命が無限に等しくなっていくのを感じますわ」
魔女グレイシアもまた、自らの白く透き通るような手を見つめながら驚きと共に頷く。
縁側で丸くなっている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも弾き返す『神仙級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが心地よさそうに微睡みながら時折尻尾をパタパタと振るだけで、周囲の空間に局地的な「重力異常の最適化」が展開され、彼らの体はもはや地面に触れることなく、数センチほど空中に浮遊したまま熟睡している。その直下の土壌は、彼らから漏れ出す気によって最高純度の「賢者の石(神話級の魔法石)」へと次々に変貌していた。
その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。
「……おそらく、社長の力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられ続けているのだ。それは人間に限らず、ペットの魔物たちにまで及んでいる」
「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、ペットたちが不老不死の神話生物へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」
「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の存在を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞や魔力回路の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々が何もしていなくとも能力が日々限界突破していくのは、全て我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ。……特に今日は、都市から外の世界へと繋がる『道路整備』という肉体労働が控えている。体が絶好調に越したことはない」
ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。
そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしい生姜と醤油が焦げる暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝から道路工事のスタミナを全開にする『幻獣豚の極厚スタミナ生姜焼き〜特製神仙ジンジャーソースと天界キャベツの山盛り添え〜と、大精霊の森のなめこたっぷり熱々味噌汁』だ! まずは、脂が限界まで乗った幻獣豚の分厚いロース肉を、すりおろした世界樹の生姜と神仙醤油、極上のハチミツを合わせた特製ダレに漬け込む。それを神仙の鉄板で、表面に香ばしい焦げ目がつくまで一気に焼き上げるんだ! 炊きたての神仙米の上にドーンと乗せて、溢れ出た肉汁とタレが絡み合った極上のソースをたっぷりとかける! その横で、シャキシャキの天界キャベツと、大精霊の森で採れた特大なめこの熱々味噌汁を添える。……お肉が硬くならないうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的な香りを放つ特大のプレートをダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣豚の圧倒的なビタミンB群と極上ラードが全身の魔力回路を限界突破させ、生姜の成分が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の肉料理ブレックファスト』である。
「うむ……! この熱々の生姜焼きを噛み締めた瞬間に広がる、圧倒的な肉汁とピリッとした生姜のビッグバン! 甘辛い極上ソースが豚の脂を完全に抱き込み、ご飯が無限に進む! すかさずシャキシャキのキャベツを頬張り、なめこの味噌汁をすすれば、大地の甘みが口の中を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級老舗定食屋で至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
サタナスが、箸を持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。
――そして、至福の朝食が終わり、食後の極上緑茶が振る舞われた後。
アルドは、作業着の袖をまくり上げながら、やる気に満ちた満面の笑みでリビングの広間に立つ役員たちと大家の面々を見渡した。
「みんな、昨日の『緊急都市計画会議』で決まった通り、今日からいよいよ『日だまりエコ・スマートシティ』と外の世界を繋ぐ道路整備をスタートするよ! まずは第一段階として、ここから北へ十キロ先にある『オリーブの村』までのデコボコな獣道を綺麗にお掃除して、立派なアスファルトのハイウェイに変えちゃおう! これができれば、村の人たちも気軽にうちの町に遊びに来れるし、新鮮なお野菜の交換もすっごく楽になるからね。今日は『村道の草刈りとアスファルト舗装(外延インフラの整備)』をやって、あっという間にオリーブの村まで道を開通させよう!」
「承知いたしました、社長。我が社の理念の集大成たる『都市開発』……ついに外の世界との物理的なコネクションを確立する広域交通プロデュースのフェーズに移行します」
【最高財務責任者(CFO)】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いタブレット端末を操作した。
「オリーブの村までのルート上にある魔の森の残滓や岩山のデータは既に解析済みです。また、道路の舗装に使用する『特級魔導アスファルト(自己修復機能・衝撃吸収機能付き)』も、物流ネットワークを通じて社長の作業位置へリアルタイムで空間転送される手はずとなっております」
「その通り! だから今日は、邪魔な草や岩をパパッとどかして、真っ直ぐな道を作るよ! まずは『事象舗装の神仙ローラー』で、デコボコの地面にアツアツのアスファルトをゴロゴロ〜ッ!と敷き詰めて、絶対にひび割れない平らな道にする。そして、仕上げに『因果白線の神仙チョーク』で、ピーッ!と真っ直ぐな線を引くんだ。この線の上を通れば、どんな馬車でも絶対に事故を起こさずに、快適に村まで自動運転でたどり着ける不思議な道になるよ! みんなが安全にお出かけできるように、完璧にセッティングしちゃおう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート(広域交通プロデュース部門)』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意に似た作業意欲)に満ちた表情で立ち上がった。
【最高開発・解体執行責任者(CDO)】レイヴンの役割
「社長。村までのルート上に立ち塞がる鬱陶しい岩山や、未開拓の魔の森の残骸の粉砕は、この俺にお任せを。邪魔な障害物どもは専用のチェーンソー(神具の斧)で微塵残さず切り刻み、完璧な『直線ルートの確保と整地』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の重機のように構えて不敵に笑う。
【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】エルミナの役割
「ええ。道路が雨でぬかるんだり、雪で凍結したりしないよう、特製の極大聖光全天候調律魔法を道路の地盤に付与し、常にカラッと乾いた最高のドライブコンディションを保って差し上げますわ。これで道中の環境も最高峰に整います」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】シノンの役割
「……開通した道路に、森の奥から魔物や盗賊が飛び出してこないよう、道路の両脇に『絶対遮断のガードレール結界』を展開する。この道を走る者には、いかなる外的脅威も指一本触れさせない」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 道路工事はアスファルトが熱いし、重いローラーを転がすから、しっかり安全靴を履いて安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(いかなる超高温や摩擦も弾く特製舗装作業用・完全耐熱つなぎと安全靴、ヘルメット)に着替え、手には巨大な「事象舗装の神仙ローラー」と、ピカピカに光る「因果白線の神仙チョーク」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『道路整備メンテナンス道具一式』を持っていくよ! みんなの夢の町を外の世界と繋ぐために、絶対にひび割れない道と、超便利な白線を『DIY(町内会の道普請)』してこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、大規模土木仕様に改造された魔導サービスカーに乗り込み、日だまりエコ・スマートシティの北ゲートを出て、鬱蒼とした荒野へと向けて出勤したのである。
***
『日だまりエコ・スマートシティ』の北、オリーブの村へと続く荒野。
かつては魔物が跋扈していた名残で、巨大な岩山や底なしの沼地、枯れた大樹の根が複雑に絡み合い、馬車はおろか人が歩くのすら困難な獣道が続いていた。
「さあ、社長。まずはこの進行方向を塞ぐ鬱陶しい岩山と、邪魔な森の残骸の粉砕は俺にお任せを。完璧な『真っ直ぐなキャンバス(直線ルート)』を用意してご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、荒野に向かって旋風のごとく突っ込む。
「超絶整地・障害物完全解体・直線ルート一閃斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、大地と岩山の「因果の隙間」だけを完璧に見切り、まるで巨大なレーザーメスで一瞬にして空間を切り開くかのように、スパーンッ!と見事な手際で不要な岩や木々のみを粉砕し、オリーブの村まで続く幅数十メートルの完璧な平地を一瞬にして作り上げてしまった。
「完璧な整地ですわ、レイヴンさん。では、私はこれからこの道に、いかなる豪雨や大雪でも決して劣化しない全天候型の概念を調律いたしますわ」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光地盤改良・全天候型調律魔法』が光の粒子となって平地に浸透し、泥濘むことのない強固な地盤と、常に適温を保つ奇跡の環境へと変えていく。
「よし、みんなのおかげで下準備は完璧だね! あとは、僕が『事象舗装の神仙ローラー』でアスファルトを敷いて、『因果白線の神仙チョーク』で綺麗な線を引くよ!」
アルドは、特製『神仙ローラー』を構え、ヘルメットの紐を締め直して平地へと飛び出した。
――当然ながら、その素材と効率は常軌を逸している。神仙ローラーは大宇宙のいかなる摩擦や衝撃をも吸収し、無限の自己修復機能を持つ「特級魔導アスファルト」を瞬時に大地へ定着させる絶対事象土木ツールである。そして、因果白線の神仙チョークは、引かれた線の上を通るあらゆる乗り物に「絶対の直進安定性」と「衝突回避の自動ナビゲーション」を付与する『究極の持続可能交通ツール』である。
「まずは、このローラーでアツアツのアスファルトをゴロゴロ〜ッ!と平らにするね! これで馬車もガタガタ揺れないよ!」
アルドが神仙ローラーを押し出すと、アーキヴァルの空間転送で絶え間なく供給される魔導アスファルトが、物理法則を完全に無視した速度で敷き詰められていく。アルドが小走りで進むだけで、ピカピカに黒光りする完璧なハイウェイが、地平線の彼方まで魔法のように伸びていった。
「よし、道は一瞬で真っ平らになった! 次は、みんなが迷わないようにチョークで白線を引くよ!」
アルドは『因果白線の神仙チョーク』をアスファルトに押し当て、「ピーッ!」と軽快な音を立てながら中央分離帯と路肩の線を引いていく。
チョークで引かれた白線は、ただの塗料ではなく、淡く発光する神仙の道標となった。この道の上では、車輪の摩擦抵抗は最適化され、疲労は半減し、夜になれば白線自体が美しく光ってドライバーを安全に導いてくれる。さらに、シノンが設置した見えない『ガードレール結界』により、森の中から魔物が飛び出してきても、自動的に弾き返される完璧な防犯仕様だ。
「うわぁ、凄い! デコボコだった獣道が、あっという間にピカピカのハイウェイになっちゃった! これなら、うちの町のレンタサイクルや、お隣の村の馬車でも、一瞬で安全に行き来できるね! シノンの結界のおかげで、交通事故も魔物の襲撃も絶対ゼロだ!」
アルドがローラーを転がし、チョークで線を引いただけで、ただの荒野だった空間が、都市と外部を繋ぐ究極の大動脈へと起動した。
作業を開始してからわずか数時間。アルドたちが敷いた神仙ハイウェイは、十キロ先の『オリーブの村』の入り口へと、寸分の狂いもなく到達したのである。
***
オリーブの村の入り口。
村長をはじめとする素朴な村人たちは、突如として地鳴りとともに村の前に現れた「黒光りする巨大な平らな道」と、その道を涼しい顔でローラーを引きながら歩いてきたアルドたちを見て、ポカンと口を開けて固まっていた。
「ちわーっす! 『日だまり郷』の町内会の者です! 村のみんながうちの町に遊びに来やすいように、ちょっと前の道を綺麗に草刈りして、アスファルトで舗装しておきましたー! これで、荷馬車でもガタガタ揺れずに、あっという間に着くからね! 良かったら、うちの町の温泉や屋台に遊びに来てね!」
アルドがヘルメットを取って爽やかに笑いかけると、村人たちはようやく我に返り、信じられないものを見る目でハイウェイを撫で回した。
「な、なんじゃこりゃあ!? わしらが何日もかけて泥まみれになりながら越えていた魔の森の道が、たった半日で、王都の城の床よりも平らで綺麗な道になっとる……! し、しかも、この道の上に立つだけで足の疲れがスッと消えていくぞ!」
「本当に凄いです! これなら、村のオリーブを新鮮なまま、すぐに日だまり郷に届けられます!」
村人たちは、歓喜の声を上げてアルドたちを取り囲み、感謝の言葉を口々に叫んだ。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮と『広域交通インフラ整備』でした、社長。我が社がプロデュースするこのハイウェイは、本日をもって『距離』や『悪路』という概念を完全に抹消し、外の世界との絶対的な物流ネットワークを確立いたしました。これにより、都市の経済圏は爆発的に拡大し続けるでしょう」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、完成したばかりのハイウェイを神仙レンタサイクルで爆走してきた勇者パーティが「俺たちが昔、野宿しながら何日もかけて旅をしたのがバカバカしくなるくらい、この便利屋が数時間で引いた白線のほうが、よっぽど世界を繋いでる……!」とドン引きしながらも、満面の笑みで風を切っている。
「これからは、万が一道に岩が転がってこようが、社長の作業前に俺が全部『不要な障害物ごと斧で粉砕』して適度に道路清掃の準備をしてやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。オリーブの村への道路舗装完了。ハイウェイ開通。異常なし。以上。』
ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を繋ぐ大動脈の開通という、歴史の地図を塗り替える偉業が達成されようとも、社長の前では「お隣の村までの道の草を刈って、アスファルトを敷いた」という、便利屋のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす偉業など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の道路整備・土木業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、都市が真の意味で外の世界と繋がり始めた事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、道路の舗装と白線引きお疲れ様! 今日の3時のおやつは、遠足気分で食べる『特製・大精霊の特大フルーツタルト〜世界樹のカスタードクリームをたっぷりと〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が焼き上げるタルトは、ことのほか生地のサクサク感とフルーツの甘みが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただのデコボコ道の草刈りとアスファルト舗装」は、世界中のインフラをフル活用した夢の都市に、外の世界との究極の繋がりと物流をもたらし、真の広域ネットワークの第一歩を刻み込んだ。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界最高の広域交通プロデュース事業を成功させ、いかなる悪路も入り込めず、誰もが安全に旅立てる究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜
https://ncode.syosetu.com/n5506ma/




