第266話:ただの町内会の歓迎会用テント設営とBBQコンロの組み立てと、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の究極の外交・親睦ネットワーク完全始動
第266話:ただの町内会の歓迎会用テント設営とBBQコンロの組み立て(地域交流・文化インフラ整備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の究極の外交・親睦ネットワーク完全始動(総合ライフサポート企業のコミュニティプロデュース業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、木枯らしが吹き荒れる冬の真っ只中でありながら、日だまり郷の中だけは春の陽だまりのような暖かさと清涼な空気に包まれている。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で湯気を立てる極上ほうじ茶をすすりながら、自らとペットたちに起きているさらなる異常現象について、今日も顔を見合わせていた。
「……なあ。昨日も言ったが、俺たちだけじゃなく、この日だまり郷にいるペットや魔物たちまで、完全に未知の進化領域に突入しているんだ。昨夜、少し体が鈍らないようにと木刀で素振りをしていたんだが、一振りしただけでただの木の棒が『世界樹の聖剣』に自己進化し、剣圧だけで空間の概念ごと斬り裂いて、裏次元に隠れていた魔王の残党の本拠地を自動的に消滅させてしまったんだ。それどころか、俺の呼吸のリズムが勝手に大宇宙の鼓動と同期して、息を吐くたびに周囲の空気が極上の魔力ポーションに変換されている。もはや『人間』の枠を完全にぶっ壊して、歩く神話の創造主みたいになっているんだが」
勇者が、己の傷一つない屈強な腕を見つめながら首を傾げた。彼の肉体は歴戦の傷跡が完全に消え去っているどころか、肌の表面に神話級のオーラが常時コーティングされ、もはや「疲労」や「限界」という概念そのものが彼を避けて通るようになっている。
「ええ。私もですわ。昨日など、趣味のティータイムを楽しんでいただけなのですが、カップの底に残った茶葉の形が、数億年先までの全宇宙の完全な未来予知図を狂いなく形成してしまいましたの。美容液どころか、ただ私がそこに存在し、無意識にお茶を飲むだけで、周囲の事象が強制的に神域レベルの奇跡へと引き上げられ、世界そのものの寿命が無限に等しくなっていくのを感じますわ」
魔女グレイシアもまた、自らの白く透き通るような手を見つめながら驚きと共に頷く。
縁側で丸くなっている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも弾き返す『神仙級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが心地よさそうに微睡みながら時折寝返りを打つだけで、彼らの下にあるただの土が圧縮・純化され、最高純度の「賢者の石(神話級の魔法石)」へと次々に変貌していく。周囲の空間には局地的な「時間の停滞する絶対治癒領域」が展開され、万病を癒す超高濃度のパワースポットと化しているのだ。
その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。
「……おそらく、社長の力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられ続けているのだ。それは人間に限らず、ペットの魔物たちにまで及んでいる」
「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、ペットたちが不老不死の神話生物へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」
「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の存在を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞や魔力回路の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々が何もしていなくとも能力が日々限界突破していくのは、全て我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ。……特に今日は、都市の『心と文化の交流』を支える重要なイベントが控えている。頭脳も肉体も絶好調に越したことはない」
ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。
そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしいバターと海鮮の焼ける匂い、そして濃厚なスープの暴力的なまでの香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝から町内会のイベント準備のスタミナを全開にする『幻獣海鮮の極上黄金ピラフ〜特製神仙ブイヨン仕立て〜と、世界樹の春キャベツの熱々ポタージュ』だ! まずは、旨味が限界まで乗った幻獣エビとホタテを、天界バターで香ばしく炒める。そこへ、神仙米と幻獣の骨から三日三晩かけて取った極上の特製ブイヨンを注ぎ込み、お米の一粒一粒に海の幸の旨味を完全に吸い込ませながらパラパラに炊き上げるんだ! 炊きたての黄金色のピラフを大皿にドーンと盛り付ける! その横で、大精霊の森で採れた甘みたっぷりの春キャベツを、神仙牛乳と一緒にトロトロになるまで煮込んだ、コク深い熱々のポタージュスープを添える。……ピラフが冷めないうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的な香りを放つ特大のお皿をダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣海鮮の圧倒的なタウリンと極上ブイヨンが全身の魔力回路を限界突破させ、春キャベツのビタミンが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の洋食ブレックファスト』である。
「うむ……! この熱々のピラフをスプーンで口に運んだ瞬間に広がる、パラパラのお米から溢れ出す海鮮の旨味と天界バターのビッグバン! 黄金色の米粒が極上のブイヨンを完全に抱き込み、噛むほどにエビのプリプリ感とホタテの甘みが弾ける! すかさず春キャベツのポタージュをすすれば、野菜の優しい甘みとミルクのコクが口の中の脂を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級三ツ星レストランで至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
サタナスが、スプーンを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。
――そして、至福の朝食が終わり、食後の極上ストレートティーが振る舞われた後。
アルドは、作業着の袖をまくり上げながら、やる気に満ちた満面の笑みでリビングの広間に立つ役員たちと大家の面々を見渡した。
「みんな、昨日までの作業で『日だまりエコ・スマートシティ』の行政も、防災も、ゴミ処理もバッチリ完璧に終わったよね! 安全で便利な町になったけど、数百万人の人がいきなり一緒に住み始めたんだから、ご近所さん同士で仲良くならないとね。だから今日は、町内会のみんなで集まって顔合わせをする『町内会の歓迎会用の折りたたみテント設営と、バーベキューコンロの組み立て(地域交流・文化インフラの整備)』をやって、誰もがすぐに親友になれる究極のコミュニティ広場を完成させよう!」
「承知いたしました、社長。我が社の理念の集大成たる『都市開発』……ついに市民同士の争いを未然に防ぎ、完全な相互理解をもたらす『究極の外交・親睦ネットワーク』の確立フェーズに移行します」
【最高財務責任者(CFO)】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いタブレット端末を操作した。
「都市の中央大広場には、既に全市民を収容可能な交流イベント用の用地が確保されております。また、社長が導入する親睦システムにより、言葉の壁や種族の違いという概念を完全に排除した『全自動・相互理解プロトコル』が稼働いたします。社長がテントとBBQコンロをセットし次第、この都市は完全な無争・絶対調和のユートピアとなります」
「その通り! だから今日は、みんなが日差しを避けておしゃべりできるテントをパパッと広げて、美味しいお肉を焼くコンロを用意するよ! まずは『事象展開の神仙ワンタッチテント』の脚を持って、「せーの!」で引っ張って広げる。これを使うと、どれだけ人が増えても自動で無限に広がる快適な日陰ができるんだ。そして、テントの下に『因果親睦の神仙バーベキューコンロ』をガシャン!と置く。このコンロで焼いたお肉や野菜を一緒に食べると、どんなに初対面の人でも一瞬で心が通じ合って、絶対に喧嘩しない一生の友達になれる不思議なコンロだよ! みんなが毎日笑顔で仲良く暮らせるように、完璧にセッティングしちゃおう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート(コミュニティプロデュース部門)』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意に似た作業意欲)に満ちた表情で立ち上がった。
【最高開発・解体執行責任者(CDO)】レイヴンの役割
「社長。BBQで使う大量の幻獣肉の仕込みや、市民同士の間に潜む『見えない心の壁(社会的障壁)』の粉砕は、この俺にお任せを。邪魔なコミュ障や偏見どもは専用のトング(神具の斧)で微塵残さず叩き潰し、完璧な『オープンな交流のための下処理』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型のBBQトングのように構えて不敵に笑う。
【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】エルミナの役割
「ええ。BBQの煙が服につかないよう、特製の極大聖光換気魔法で一瞬にして煙を中和し、さらに会場の空気を『誰もが自然と笑顔になる』極上のリラックス空間へと調律して差し上げますわ。これで親睦会の環境浄化も最高峰の状態が整います」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】シノンの役割
「……楽しい歓迎会に、外部から空気を読まない乱入者や、悪意を持ったスパイが紛れ込まないよう、『絶対遮断の防犯・防音結界(究極のパーティールーム)』を広場全体に展開する。市民の笑顔と平和な時間には指一本触れさせない」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! テントの設営は指を挟まないように注意しないといけないし、BBQは火を使うからね! しっかり軍手をして安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(いかなる油跳ねや火の粉も弾く特製イベント設営用・完全防護エプロンと耐熱軍手)に着替え、手には「事象展開の神仙ワンタッチテント(収納袋入り)」と、ピカピカに磨かれた「因果親睦の神仙バーベキューコンロ」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『イベント・親睦インフラ整備道具一式』を持っていくよ! みんなの夢の町を完全に仲良しにするために、絶対に日焼けしないテントと、超美味しいお肉が焼けるコンロを『DIY(町内会の行事準備)』してこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、イベント設営仕様に改造された魔導サービスカーに乗り込み、活気に満ちたスマートシティの中央大広場へと向けて出勤したのである。
***
『日だまりエコ・スマートシティ』の心臓部、中央大広場。
そこには、町内会の回覧板でお知らせを見た数百万人の市民たちが、歓迎会に参加するために集まっていた。しかし、世界中から様々な種族(エルフ、ドワーフ、魔族、人間など)が集まっているため、最初は互いに様子を伺い、どこかぎこちない空気が漂っていた。
「さあ、社長。まずはこの広場に漂う鬱陶しい緊張感と、種族間の偏見の粉砕は俺にお任せを。完璧な『フラットな交流のための下準備』をしてご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、広場の中央に向かって旋風のごとく突っ込む。
「超絶仕込み・心の壁完全解体・コミュニケーション一閃斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、空間の「因果の隙間(社会的障壁)」だけを完璧に見切り、まるで巨大なミキサーで一瞬にして空気をかき混ぜるかのように、スパーンッ!と見事な手際で不要な偏見や緊張感のみを粉砕し、誰もが気軽に話しかけやすいオープンな空気感を一瞬にして作り上げてしまった。
「完璧な空気作りですわ、レイヴンさん。では、私はこれからこの広場に、誰もが心を開くリラックスの波動と、BBQの煙を無害化する概念を調律いたしますわ」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光調和・換気魔法』が光の粒子となって広場に浸透し、万が一肉が焦げても嫌な匂いが一切発生せず、吸い込むだけで心がポカポカと温かくなる理想的な状態へと変えていく。
「よし、みんなのおかげで下準備は完璧だね! あとは、僕が『事象展開の神仙ワンタッチテント』を広げて、『因果親睦の神仙バーベキューコンロ』を設置するよ!」
アルドは、特製『神仙ワンタッチテント』を袋から取り出し、四隅のフレームを掴んで「せーの、ガシャン!」と引っ張って広げた。
――当然ながら、その素材と効率は常軌を逸している。神仙ワンタッチテントは大宇宙の空間認識を歪め、参加者の人数に合わせて無限に内部空間を拡張し、完璧な室温と日陰を提供する絶対事象建築ツールである。そして、因果親睦の神仙バーベキューコンロは、上で焼かれた食材に「相互理解」と「絶対平和」の概念を付与し、一口食べた者を争いのない精神領域へと導く『究極の持続可能外交ツール』である。
「まずは、テントの脚をしっかり固定するね! これで何百万人来ても、みんな快適な日陰に入れるよ!」
アルドがテントを展開すると、物理法則を完全に無視したテントの屋根が空を覆うように広がり、数百万人の市民がすっぽりと収まる、柱のない超巨大なドーム状の快適空間が瞬時に出来上がった。
「よし、会場の準備は一瞬で大成功! 次は、歓迎会のメイン、BBQコンロの設置だよ!」
アルドは『因果親睦の神仙バーベキューコンロ(銀色に輝く特大グリル)』を広場の中央に「ドスン!」と設置し、備長炭(特級火魔法石)に火を入れた。
スタイリッシュなデザインのそのコンロは、設置された瞬間、「ジュワァァ♪」という世界で一番食欲をそそる音と共に、都市全域のネットワークと接続された。
レイヴンが仕込んだ特大の幻獣肉を網に乗せると、最高の香りが広場を満たす。かつては敵対していた魔族と人間の市民が、アルドの焼いたお肉を一枚ずつ受け取り、一緒に口に運んだ。
その瞬間、コンロの超次元的な因果計算が行われ、彼らの脳内に互いの歴史、文化、そして「共に生きる喜び」が瞬時にインストールされた。二人は涙を流しながら抱き合い、生涯の友となることを誓い合った。
「うわぁ、凄い! テントのおかげで日差しも気にならないし、コンロで焼いたお肉を一緒に食べただけで、みんなすっごく仲良くなってる! これなら、どんな種族の人でも絶対に喧嘩しないね! シノンの結界のおかげで、外の雑音も入ってこないから、会話も弾んで最高だ!」
アルドがテントを広げ、コンロを設置しただけで、ただの広場だった空間が、完全に争いゼロを実現する究極の絶対調和コミュニティへと起動した。
労働を免除された市民たちは、孤立や対立の恐怖から完全に解放され、種族の壁を越えて笑顔で肉を頬張り、日だまりエコ・スマートシティの完璧なシステムを心から満喫していた。
その作業スピードとコミュニティ構築力は、もはや神話の和合神すら裸足で逃げ出すレベルであった。
アルドがテントを立て、BBQを始めただけで、数百万人の心を一つにする究極の外交・親睦エコ・システムが、わずか数時間のうちに完全稼働していく。
かつて世界を脅かした魔の森の跡地に作られた都市は、アルドの「ただの町内会の歓迎会準備(BBQ大会)」によって、一切の戦争と差別が存在しない完全無欠のエコ・スマートシティへと至った。
誰もが永遠の相互理解を享受し、笑顔で食卓を囲む、美しき超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の究極のコミュニティが、ここに完成を果たしたのである。
「よしよし! テントもバッチリ広がったし、BBQのお肉も最高に美味しく焼けたぞ! これで、みんな毎日仲良く、笑顔で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの絆と平和を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが神仙トングを腰袋に収めて額の汗を拭うと、目に見えない優しい絆の結界が都市を包み込み、眼下には活気と笑い声に溢れた奇跡の巨大な都市の光景が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮と『文化・交流インフラ整備』でした、社長。我が社が運営するこのスマートシティは、本日をもって『差別』や『対立』という概念を完全に抹消し、全市民の絶対的な調和を保障する究極のコミュニティシステムを確立いたしました。これにより、都市は永遠に平和を維持し続ける、真のユートピアとなりました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、コンロで焼かれた野菜をかつての宿敵であった大魔王と肩を組んで食べている勇者が「俺たちが昔、血みどろの戦争をしていたのがバカバカしくなるくらい、この便利屋が組み立てたBBQコンロのほうが、よっぽど世界を平和にしてる……!」とドン引きしながらも、満面の笑みでジョッキを傾けている。
「これからは、万が一空気を読まない奴が現れようが、社長の作業前に俺が全部『不要な緊張感ごと斧で粉砕』して適度に宴会の準備をしてやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。テント設営およびBBQ大会終了。完全平和・絶対調和達成。異常なし。以上。』
ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。数百万人が種族の壁を越え、絶対の相互理解が約束される究極の外交システムの確立という、歴史に刻まれるべき偉業が達成されようとも、社長の前では「町内会の歓迎会のためにテントを広げてお肉を焼いた」という、便利屋のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす偉業など、黄昏の守護者の前では永遠に日常のイベント・親睦運営業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、都市が真の意味で永遠の調和を手に入れた事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、テント設営とBBQお疲れ様! 食後のデザートは、お肉のあとにさっぱり美味しい『特製・大精霊の丸ごとフルーツシャーベット〜天界のミントを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が凍らせるシャーベットは、ことのほか果汁の爽やかさとミントの香りが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの町内会の歓迎会用の折りたたみテント設営とバーベキューコンロの組み立て」は、世界中のインフラをフル活用した夢の都市に究極の絆と平和をもたらし、真のスマートシティの永遠の調和を約束した。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界最高のコミュニティプロデュース事業を成功させ、いかなる争いも入り込めず、孤独すら存在しない究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜
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