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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第264話:ただの町内会名簿の作成と町内会費の集金箱の設置(行政・経済インフラ整備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の究極の無税・ポイント経済圏の確立

第264話:ただの町内会名簿の作成と町内会費の集金箱の設置(行政・経済インフラ整備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の究極の無税・ポイント経済圏の確立(総合ライフサポート企業の行政管理・金融プロデュース業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、木枯らしが吹き荒れる冬の真っ只中でありながら、日だまり郷の中だけは春の陽だまりのような暖かさと清涼な空気に包まれている。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で湯気を立てる極上ほうじ茶をすすりながら、自らとペットたちに起きているさらなる異常現象について、今日も顔を見合わせていた。

「……なあ。昨日も言ったが、俺たちだけじゃなく、この日だまり郷にいるペットや魔物たちまで、完全に未知の進化領域に突入しているんだ。昨夜、元・大魔王のサタナスのおっさんと少し手合わせをしたんだが、おっさんの筋肉が物理的な打撃を吸収するだけでなく、受けた威力を『心地よいマッサージの刺激』に自動変換して、逆に肉体を活性化させるというバグみたいな進化を遂げていたんだ。俺の放った神話級の斬撃が、ただの肩もみ扱いされたんだが。しかも、俺自身も剣を振るうたびに大気中の魔素が勝手に剣に集束して、素振りをするだけで空間の次元断層が修復されていく。もはや『修行』という概念が完全にぶっ壊れているんだが」

 勇者が、己の傷一つない屈強な腕を見つめながら首を傾げた。彼の肉体は歴戦の傷跡が完全に消え去っているどころか、肌の表面に神話級のオーラが常時コーティングされ、もはや「ダメージ」という概念そのものが彼を避けて通るようになっている。

「ええ。私もですわ。昨日など、少し庭で本を読んでいたのですが、私の視線から漏れ出す過剰な生命力と魔力が文字に還元され、ただの娯楽小説が『大宇宙の真理を記した神の啓示の書』へと変貌してしまいましたの。美容液どころか、ただ私がそこに存在し、無意識に文字を追うだけで、周囲の事象が強制的に神域レベルの奇跡へと引き上げられ、世界そのものの寿命が無限に等しくなっていくのを感じますわ」

 魔女グレイシアもまた、自らの白く透き通るような手を見つめながら驚きと共に頷く。

 縁側で丸くなっている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも弾き返す『神仙級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが心地よさそうに欠伸をして伸びをするだけで、周囲の空間に局地的な「重力異常の最適化」が展開され、彼らの体はもはや地面に触れることなく、数センチほど空中に浮遊したまま熟睡しているのだ。

 その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。

「……おそらく、社長アルドの力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられ続けているのだ。それは人間に限らず、ペットの魔物たちにまで及んでいる」

「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、ペットたちが不老不死の神話生物へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」

「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の存在を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞や魔力回路の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々が何もしていなくとも能力が日々限界突破していくのは、全て我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ。……特に今日は、都市の『行政と経済』を支えるインフラの整備が控えている。頭脳も肉体も絶好調に越したことはない」

 ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。

 そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、濃厚な海鮮出汁の香りと、蒸し器から立ち上る暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝から頭脳労働のスタミナを全開にする『幻獣フカヒレと世界樹のアワビの極上熱々中華粥〜特製・天界豚の極厚肉まんを添えて〜』だ! まずは、旨味が限界まで乗った幻獣フカヒレとアワビを、神仙の特製土鍋でじっくりと黄金色の出汁をとる。そこへ神仙米を入れ、米の粒が花開くまでトロトロに煮込むんだ! 海の幸の香りが一気に弾ける! その横で、大精霊の森で採れた天界豚の粗挽き肉を、ほんのり甘いフカフカの生地で包み込んだ、肉汁たっぷりの熱々肉まんを蒸し上げる。……お粥が冷めないうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な香りを放つ特大の土鍋と蒸し籠をダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣フカヒレの圧倒的なコラーゲンと極上の出汁が全身の魔力回路を限界突破させ、肉まんの肉汁が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の中華ブレックファスト』である。

「うむ……! この熱々の中華粥をレンゲでふーふーしながら口に運んだ瞬間に広がる、フカヒレの食感とアワビの旨味のビッグバン! トロトロのお粥が極上の出汁を完全に抱き込み、すかさず極厚の肉まんを割れば、中から溢れ出す濃厚な肉汁スープが口の中を支配する! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級中華料亭で至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 サタナスが、レンゲを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。

 ――そして、至福の朝食が終わり、食後の極上ジャスミンティーが振る舞われた後。

 アルドは、作業着の袖をまくり上げながら、やる気に満ちた満面の笑みでリビングの広間に立つ役員たちと大家の面々を見渡した。

「みんな、昨日までの作業で『日だまりエコ・スマートシティ』の建物も、通信も、ゴミ処理もバッチリ完璧に終わったよね! でも、これだけたくさんの人が住むようになったから、誰がどこのお家に住んでいるか、町内会のみんなの名前をしっかり覚える『名簿』が必要だよね。それに、これからみんなでお祭りやイベントをするための『町内会費』を集める仕組みも作らなきゃ。だから今日は『町内会名簿の作成と、町内会費の集金箱の設置(行政管理・経済インフラの整備)』をやって、誰もが平等に豊かに暮らせる究極の町内会を完成させよう!」

「承知いたしました、社長。我が社の理念の集大成たる『都市開発』……ついに国家に匹敵する『戸籍・行政管理システム』と、中央銀行を凌駕する『独自通貨・金融インフラ』の確立フェーズに移行します」

 【最高財務責任者(CFO)】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いタブレット端末を操作した。

「都市の中央管理棟には、既に全市民のデータを統括するメインフレーム(町内会本部)の用地が確保されております。また、社長が導入する金融システムにより、税金や搾取という概念を完全に排除した『善行ポイント還元型のベーシックインカム経済圏』が稼働いたします。社長が名簿と集金箱をセットし次第、この都市は完全な無税・豊穣のユートピアとなります」

「その通り! だから今日は、みんなの名前をパパッと控えて、便利な貯金箱を置くよ! まずは『事象記録の神仙バインダー』で、各家庭を回って「お名前教えてね〜」って書き留める。これに挟むだけで、誰がどんなお手伝い(お仕事)が得意かすぐに分かるんだ。そして、広場に『因果集金の神仙貯金箱』をドスン!と置く。この貯金箱は、みんながゴミを拾ったり、誰かに親切にしたりするだけで、チャリン!とおポイントが貯まって、それが美味しいご飯や便利な道具に変わる不思議な貯金箱だよ! みんなが毎日ニコニコ暮らせるように、完璧にセッティングしちゃおう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート(行政管理・金融プロデュース部門)』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意に似た作業意欲)に満ちた表情で立ち上がった。

【最高開発・解体執行責任者(CDO)】レイヴンの役割

「社長。名簿作成を阻害する不審者の偽造身分証や、経済を乱す悪徳商人の不正な裏帳簿の粉砕は、この俺にお任せを。邪魔な不正データや詐欺師どもは専用のシュレッダー(神具の斧)で微塵残さず叩き潰し、完璧な『クリーンな戸籍と経済の地盤固め』をしてご覧に入れましょう」

レイヴンが、神具の斧を大型の裁断機のように構えて不敵に笑う。

【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】エルミナの役割

「ええ。お金や名簿にまつわる人間のドロドロとした欲望や、経済的格差の概念は、私が特製の極大聖光浄化魔法で一瞬にして中和し、都市の経済活動を常に清廉潔白で、分かち合いの精神に満ちたものに調律して差し上げますわ。これで金融の浄化も最高峰の環境が整います」

エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】シノンの役割

「……名簿に登録された市民の個人情報や、貯金箱に集まる膨大な資産が、外部からのハッキングや盗難に遭わないよう、『絶対遮断のセキュリティ結界(究極の暗号化)』を管理棟全体に展開する。市民のプライバシーと財産には指一本触れさせない」

シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 名簿作りは間違いがないようにしなきゃいけないし、お金の管理はきっちりしないとね! しっかりボールペンと電卓を持って安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(いかなるインク漏れも弾く特製事務作業用・完全防汚ベストとアームカバー)に着替え、手には「事象記録の神仙バインダー」と、ピカピカに光る豚の形をした「因果集金の神仙貯金箱」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『行政・金融整備道具一式』を持っていくよ! みんなの夢の町を完全に平等にするために、絶対に書き間違えないバインダーと、超便利な貯金箱を『DIY(町内会の事務)』してこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、事務作業仕様に改造された魔導サービスカーに乗り込み、活気に満ちたスマートシティの中央管理棟へと向けて出勤したのである。

 ***

 『日だまりエコ・スマートシティ』の心臓部、中央管理棟の広場。

 そこには、新生活を始めた数百万人の市民たちが、自分の住所や名前を登録するために集まっていた。しかし、旧時代の役所仕事の名残で、一部には偽名を使おうとする不審者や、不当な利益を得ようとする悪徳商人の影も紛れ込んでいた。

「さあ、社長。まずはこの列に紛れ込んだ鬱陶しい詐欺師どもと、偽造書類の粉砕は俺にお任せを。完璧な『クリーンな市民登録の下準備』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、列の暗がりに向かって旋風のごとく突っ込む。

「超絶審査・不正書類完全解体・悪徳商人粉砕一閃斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、書類の「因果の隙間(嘘と偽証)」だけを完璧に見切り、まるで巨大なシュレッダーで一瞬にして吸い込むかのように、スパーンッ!と見事な手際で偽造身分証や裏帳簿のみを粉砕し、悪意を持つ者たちを物理的に街の外へと弾き飛ばしてしまった。

「完璧な審査作業ですわ、レイヴンさん。では、私はこれからこの広場に渦巻く金銭欲や自己中心的な概念を完全に消し去り、利他の精神と清廉な空気を調律いたしますわ」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光浄化・利他魔法』が光の粒子となって広場に浸透し、人々の心から嫉妬や強欲を一瞬で漂白し、誰もが笑顔で助け合う理想的な精神状態へと変えていく。

「よし、みんなのおかげで下準備は完璧だね! あとは、僕が『事象記録の神仙バインダー』でみんなの名前を控えて、『因果集金の神仙貯金箱』を広場に設置するよ!」

 アルドは、特製『神仙バインダー』を構え、ボールペンの芯を出して市民の列へと飛び出した。

 ――当然ながら、その素材と効率は常軌を逸している。神仙バインダーは大宇宙のいかなる存在の過去・現在・未来の適性をも瞬時に読み取り、書き込むことなく自動で「最も幸福になる役割と居住区」へと最適化登録する絶対事象戸籍ツールである。そして、因果集金の神仙貯金箱は、市民のあらゆる「善行」を大宇宙の因果律を通じて自動で検知し、瞬時に無限の価値を持つポイント(独自通貨)へと変換し、全市民に平等に分配する『究極の持続可能金融ツール』である。

「まずは、みんなの名前と住所をバインダーにパチン!と挟むね! これで町内会の名簿はバッチリだよ!」

 アルドが神仙バインダーを掲げると、物理法則を完全に無視した記録力により、数百万人の市民の顔を見ただけで、彼らの名前、得意なこと、健康状態が瞬時に完璧なデータとして記録され、都市のシステムと連動していく。

「よし、名簿は一瞬で完成! 次は、町内会費を集める貯金箱の設置だよ!」

 アルドは『因果集金の神仙貯金箱(巨大な金色の豚のオブジェ)』を管理棟の前に「ドスン!」と設置した。

 スタイリッシュかつ可愛らしいデザインのその箱は、設置された瞬間、「チャリン♪」という心地よい電子音と共に、都市全域のネットワークと接続された。

 試しに市民の一人が、広場で転んだ子供に手を差し伸べて助け起こすと、貯金箱の内部で超次元的な因果計算が行われ、瞬時に助けた市民の端末に「善行ポイント」が付与された。そのポイントは、税金として徴収されることなく、そのまま屋台での極上ステーキや、温泉のアップグレードに使える完全な通貨として機能するのだ。

「うわぁ、凄い! ゴミを拾ったり、誰かに優しくするだけでポイントが貯まって、それがこの町のお金になるんだ! これなら、税金なんて集めなくても、みんなが優しくすればするほど町が豊かになるね! シノンの結界のおかげで、名簿の個人情報もお金のデータも絶対にハッキングされないから安心だ!」

 アルドがバインダーを開き、貯金箱を設置しただけで、ただの居住区だった空間が、完全に搾取ゼロを実現する究極の善行経済圏へと起動した。

 労働を免除された市民たちは、自ら進んで他者を助け、街を良くするという行為すらも豊かな生活の糧として享受し、日だまりエコ・スマートシティの完璧なシステムを心から満喫していた。

 その作業スピードと行政・金融インフラ構築力は、もはや神話の統治神すら裸足で逃げ出すレベルであった。

 アルドが名簿を作り、貯金箱を置いただけで、数百万人の生活基盤となる戸籍と経済の究極のエコ・システムが、わずか数時間のうちに完全稼働していく。

 かつて世界を脅かした魔の森の跡地に作られた都市は、アルドの「ただの町内会名簿の作成と貯金箱の設置(事務仕事)」によって、一切の貧困と格差が存在しない完全無欠のエコ・スマートシティへと至った。

 誰もが永遠の平等を享受し、笑顔で豊かさを分かち合う、美しき超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の究極の行政・経済が、ここに完成を果たしたのである。

「よしよし! 名簿も綺麗に作れたし、便利な貯金箱もバッチリ設置できたぞ! これで、みんな毎日安心して、豊かに暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの平等な生活を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドが神仙バインダーを腰袋に収めて額の汗を拭うと、目に見えない豊かな空気が都市を包み込み、眼下には活気と笑顔に溢れた奇跡の巨大な都市の光景が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮と『行政・金融インフラ整備』でした、社長。我が社が運営するこのスマートシティは、本日をもって『税金』や『搾取』という概念を完全に抹消し、全市民の善意がそのまま価値となる究極のポイント経済システムを確立いたしました。これにより、都市は永遠に豊かさを自己増殖し続ける、真のユートピアとなりました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、広場の掃除を手伝っただけで付与された莫大なポイントを使って、屋台の特大パフェを大人買いしている勇者パーティが「俺たちが昔、王様から安い報酬で魔王討伐をやらされていたのがバカバカしくなるくらい、この便利屋が設置した豚の貯金箱のほうが、よっぽど世界を豊かにしてる……!」とドン引きしながらも、満面の笑みでパフェを頬張っている。

「これからは、万が一不正なデータが出ようが、社長の作業前に俺が全部『不要なバグごと斧で粉砕』して適度にシステム保守の準備をしてやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。町内会名簿と貯金箱設置完了。無税・ポイント経済圏確立。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。数百万人が搾取から解放され、善意がそのまま価値となる究極の経済システムの確立という、歴史に刻まれるべき偉業が達成されようとも、社長の前では「町内会の名簿を作って、豚の貯金箱を置いた」という、便利屋のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす偉業など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の事務・経理業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、都市が真の意味で永遠の豊かさを手に入れた事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、名簿作りと集金箱の設置お疲れ様! 今日の3時のおやつは、頭を使ったあとに甘さが染み渡る『特製・大精霊のサクサクミルフィーユ〜世界樹のカスタードクリームをたっぷりと〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が焼き上げるミルフィーユは、ことのほかパイ生地の香ばしさとクリームの甘みが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの町内会名簿の作成と町内会費の集金箱の設置」は、世界中のインフラをフル活用した夢の都市に究極の平等と豊かさをもたらし、真のスマートシティの永遠の繁栄を約束した。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界最高の行政・金融プロデュース事業を成功させ、いかなる邪悪も入り込めず、貧困すら存在しない究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

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