第259話:ただの家庭菜園の草むしりと町内用自転車のパンク修理(農業・交通インフラ整備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の完全自律循環の開始
第259話:ただの家庭菜園の草むしりと町内用自転車のパンク修理(農業・交通インフラ整備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の完全自律循環の開始(総合ライフサポート企業の農地管理・モビリティプロデュース業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、木枯らしが吹き荒れる冬の真っ只中でありながら、日だまり郷の中だけは春の陽だまりのような暖かさと清涼な空気に包まれている。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で湯気を立てる極上玄米茶をすすりながら、自らとペットたちに起きているさらなる異常現象について、今日も顔を見合わせていた。
「……なあ。昨日も言ったが、俺たちだけじゃなく、この日だまり郷にいるペットや魔物たちまで、完全に未知の進化領域に突入しているんだ。昨夜、縁側で寝ていた神竜ポチが小さくくしゃみをしたんだが、その瞬間に発生した衝撃波が、空間の歪みや微小な魔の残滓を『全自動で浄化する神話級の結界』に変わりやがった。それどころか、星狼シロが庭を散歩しただけで、その足跡から大地の魔脈が極限まで活性化し、最高純度の魔力結晶がタケノコのように生えてきたんだが。もはや『ペット』という概念を通り越して、歩く世界樹みたいになっているんだぞ」
勇者が、庭で無邪気にフライングディスクで遊んでいるポチとシロを見つめて首を傾げた。彼らの毛並みは歴戦の幻獣としての威圧感を完全に消し去り、ただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも弾き返す『神仙級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。
「ええ。私もですわ。昨日など、社長が使役しているお掃除ゴーレムに挨拶をしたのですが、彼らの人工知能が勝手に大宇宙の真理たるアカシックレコードと接続され、ただのゴミ拾いプログラムが『空間の因果律の乱れを検知し、未然に物理法則を整える超次元清掃機能』へと自己進化していましたの。もはや、この空間に存在するだけで、あらゆる存在の寿命という概念が消滅し、無限の進化を遂げていくのを感じますわ」
魔女グレイシアもまた、庭の隅でせっせと落ち葉を掃きながら、ついでに空間の歪みを直しているゴーレムたちを見つめて驚きと共に頷く。
その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。
「……おそらく、社長の力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられ続けているのだ。それは人間に限らず、魔物や無機物のゴーレムにまで及んでいる」
「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、ペットたちが不老不死の神話生物へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」
「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の存在を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞や魔力回路の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々が何もしていなくとも能力が日々限界突破していくのは、全て我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ。……特に今日は、都市の『食』と『足』を支える重要なインフラの最終調整が控えている。心身ともに絶好調に越したことはない」
ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。
そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしい醤油の焦げる匂いと、新鮮な野菜の暴力的なまでの甘い香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝から農作業と交通整備のスタミナを全開にする『幻獣地鶏と大精霊の森の採れたて野菜の極上黒酢炒め〜特製神仙あんかけ仕立て〜と、世界樹のキノコの熱々中華スープ』だ! まずは、弾力が限界まで乗った幻獣地鶏のモモ肉と、神仙農園で採れたばかりのパプリカ、レンコン、ナスを、幻獣ラードでサッと素揚げにして旨味を閉じ込める。そこへ、天界の黒酢と神仙醤油、極上のハチミツを合わせた特製の甘酢ダレをジュワッ!と絡め、最後にトロトロのあんかけで全体をまとめるんだ! 炊きたての神仙米の横にたっぷり盛り付ける! その横で、世界樹のキノコから溢れ出た出汁が効いた、生姜たっぷりの熱々中華スープを添える。……あんかけが冷めないうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的な照りと香ばしさを放つ特大の大皿をダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣地鶏の圧倒的なアミノ酸と黒酢のクエン酸が全身の魔力回路を限界突破させ、新鮮な野菜のビタミンが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の中華ブレックファスト』である。
「うむ……! この熱々の黒酢炒めを白飯と一緒に頬張った瞬間に広がる、地鶏の旨味と黒酢の酸味のビッグバン! シャキシャキとしたレンコンとトロトロのナスの食感が完璧なハーモニーを奏で、すかさずキノコの中華スープをすすれば、生姜の香りが口の中の脂を最高にリセットし、体の芯からポカポカと温めてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級中華料理店で至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
サタナスが、箸を持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。
――そして、至福の朝食が終わり、食後の極上烏龍茶が振る舞われた後。
アルドは、作業着の袖をまくり上げながら、やる気に満ちた満面の笑みでリビングの広間に立つ役員たちと大家の面々を見渡した。
「みんな、昨日までの作業で『日だまりエコ・スマートシティ』の住居や娯楽施設は完璧に稼働したよね! でも、市民のみんなが毎日新鮮で美味しいご飯を食べるための『農園』と、広い都市をスイスイ移動するための『町内用自転車(交通インフラ)』の最終整備がまだ残っているんだ。今日は『家庭菜園の草むしりと、レンタサイクルのパンク修理(全自動農業・交通インフラの稼働)』をやって、この都市を完全に『自律循環型のエコ・スマートシティ』として完成させよう!」
「承知いたしました、社長。我が社の理念の集大成たる『都市開発』……ついに食糧の完全自給と、ゼロエミッション交通網の確立フェーズに移行します」
【最高財務責任者(CFO)】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いタブレット端末を操作した。
「都市の郊外に確保された数万ヘクタールの特級農地は、既に世界樹の魔脈と直結しております。また、各エリアを結ぶスマートモビリティ(神仙レンタサイクル)のステーションも設置済みです。社長がメンテナンスを完了し次第、全市民への食糧の自動配送システムと、瞬間移動レベルの交通網が完全稼働いたします」
「その通り! だから今日は、畑の邪魔な雑草をパパッと抜いて、自転車のタイヤにシュコシュコと空気を入れるよ! まずは『事象除草の神仙草刈り鎌』で、畑の栄養を吸い取るタチの悪い雑草をザクッ!と一掃する。そして、ステーションに並んだ自転車には『因果充填の神仙空気入れ』で、シュコッ!と絶対にパンクしない魔法の空気を入れるんだ。みんなが毎日お腹いっぱい食べて、どこへでもすぐにお出かけできるように、完璧にセッティングしちゃおう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート(農地管理・モビリティプロデュース部門)』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意に似た作業意欲)に満ちた表情で立ち上がった。
【最高開発・解体執行責任者(CDO)】レイヴンの役割
「社長。農地を荒らす害虫や魔獣どもの粉砕、および不要な岩や枯れ木の解体は、この俺にお任せを。邪魔な害虫は専用のハエ叩き(神具の斧)で一匹残さず叩き潰し、完璧な『農地の土壌改良と安全確保』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型のクワのように構えて不敵に笑う。
【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】エルミナの役割
「ええ。農作物が一年中最高の状態で実るよう、農地に特製の極大聖光豊穣魔法を常時展開し、天候の概念を完全にコントロールしますわ。さらに、レンタサイクルが走る専用レーンの空気抵抗をゼロにし、究極に快適なサイクリング環境を整えて差し上げます」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】シノンの役割
「……農地に外部の鳥獣が侵入して作物を荒らさないよう、完璧な絶対防壁の防鳥ネット結界を展開する。また、自転車が絶対に事故を起こさないよう、全車両に『絶対回避の衝撃吸収結界』を付与しておく」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 畑仕事は土で汚れるし、自転車の修理は手が油まみれになるから、しっかり軍手をして安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(いかなる泥汚れも弾く特製農作業・整備用・完全防汚つなぎと長靴、麦わら帽子)に着替え、手には巨大な「事象除草の神仙草刈り鎌」と「因果充填の神仙空気入れ」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『農業・交通メンテナンス道具一式』を持っていくよ! みんなの夢の町を完全に自給自足にするために、絶対に枯れない畑と、絶対にパンクしない自転車を『DIY(町内会の整備)』してこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、農業・交通整備仕様に改造された魔導サービスカーに乗り込み、郊外に広がる巨大な農園エリアとモビリティステーションへと向けて出勤したのである。
***
都市の郊外に広がる『全自動神仙農園』および『モビリティステーション』。
そこには、地平線の彼方まで続く広大な畑と、スタイリッシュなデザインの数万台のレンタサイクルが整然と並んでいた。しかし、畑にはまだ魔の森の残滓である凶悪な吸血雑草が生い茂り、自転車は空気が抜けて稼働前の状態だった。
「さあ、社長。まずはこの農地に湧いた鬱陶しい害獣と、タチの悪い岩塊の粉砕は俺にお任せを。完璧な『農地の土壌作り』をしてご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、畑に向かって旋風のごとく突っ込む。
「超絶土壌改良・害獣完全駆除・耕運一閃斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、土の「因果の隙間」だけを完璧に見切り、まるで巨大なトラクターで一瞬にして大地を耕すかのように、ズガガガガッ!と見事な手際で不要な岩を粉砕し、害獣を塵に帰し、極上にフカフカな栄養満点の土壌へと変えてしまった。
「完璧な耕運作業ですわ、レイヴンさん。では、私はこの農地に、一年中途切れることなく実りの秋が訪れる豊穣の概念を調律し、交通レーンの空気抵抗をゼロにいたしますわ」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光豊穣・調律魔法』が光の粒子となって農地と道路に降り注ぎ、土は生命力に満ち溢れた黄金色に輝き、道路には目に見えない快適な風のレールが敷かれていく。
「よし、みんなのおかげで下準備は完璧だね! あとは、僕が『事象除草の神仙草刈り鎌』で雑草を綺麗に抜いて、『因果充填の神仙空気入れ』で自転車にシュコッ!と空気を入れていくよ!」
アルドは、特製『神仙草刈り鎌』を構え、麦わら帽子を被り直して広大な畑へと飛び出した。
――当然ながら、その素材と効率は常軌を逸している。神仙草刈り鎌は大宇宙のいかなる凶悪な魔草や呪いの根であっても、空間の因果ごと「雑草」として根絶やしにし、同時に極上の作物の種を自動播種する絶対事象農業ツールである。そして、神仙空気入れは、自転車のタイヤに大宇宙の推進エネルギーを充填し、漕がずとも搭乗者の意志のままに光速で移動し、絶対にパンクしない『究極の持続可能モビリティツール』である。
「まずは、この畑の雑草むしりだね! 栄養を独り占めする悪い草は抜いちゃうよ!」
アルドが神仙草刈り鎌を大地に向けて「ザクッ、ザザッ!!」と軽快に振るう。物理法則を完全に無視した除草力により、吸血雑草たちは一瞬で無害な肥料へと変わり、その跡地からは、世界樹の果実、幻獣の肉が実る不思議な木、あらゆる病を治す野菜が、早送りを見ているかのような速度で芽吹き、瞬く間に黄金色の収穫期を迎えた。
「よし、畑は完璧! 次は町内用のレンタサイクルの空気入れだ!」
アルドは『因果充填の神仙空気入れ』を取り出し、ズラリと並んだ数万台の自転車のバルブに向けて「シュコッ、シュココッ!!」とテンズよく空気を送り込んでいく。すると、ペチャンコだったタイヤがパンッ!と張りを取り戻し、自転車自体が神仙の魔力を帯びて、意志を持つかのように淡く発光し始めた。これに乗れば、老若男女問わず、疲れることなく都市のどこへでも瞬間移動のように安全に移動できる。
「うわぁ、凄い! 畑からは次々と極上の野菜やお肉が全自動収穫システムで物流センターに運ばれていくし、自転車もピカピカになって市民のみんなが嬉しそうに乗って移動してる! シノンの結界のおかげで、自転車がぶつかりそうになってもフワッと避けるから、交通事故も絶対ゼロだね!」
アルドが鎌を振るい、空気入れを押すたびに、ただの農地と駐輪場だった空間が、都市の生命線を支える究極の自律循環インフラへと変わり、市民たちが歓声を上げてその恩恵を享受し始めていく。
労働を免除された市民たちは、ボタン一つで自宅に届く極上の食材で料理を楽しみ、神仙レンタサイクルで風を切って娯楽施設へと一瞬で移動し、日だまりエコ・スマートシティの完璧な生活を満喫していた。
その作業スピードとインフラ構築力は、もはや神話の豊穣神すら裸足で逃げ出すレベルであった。
アルドが雑草を抜き、空気を入れるたびに、数百万人の食と移動を支える究極のエコ・システムが、わずか数時間のうちに完全稼働していく。
かつて世界を脅かした魔の森の跡地に作られた都市は、アルドの「ただの家庭菜園の草むしりと自転車の空気入れ(町内会の整備)」によって、完全に自給自足とゼロエミッションを実現した理想郷へと起動した。
誰もが笑顔で美味しいものを食べ、自由にどこへでも移動できる、美しき超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』が、ここに真の完全完成を果たしたのである。
「よしよし! 畑の雑草も綺麗になったし、自転車の空気もバッチリだぞ! これで、みんな毎日お腹いっぱい食べて、楽しくお出かけできるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの便利な生活を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが神仙空気入れを腰袋に収めて額の汗を拭うと、豊穣の香りを乗せた心地よい風が農園を吹き抜け、眼下には活気に満ちた奇跡の巨大な都市の光景が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮と『インフラ整備』でした、社長。我が社が運営するこのスマートシティは、本日をもって『食』と『交通』の完全自律循環システムを確立いたしました。外部からの物資補給を一切必要とせず、永久に繁栄し続ける究極のエコ・シティの完成です」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、農園から採れたての幻獣リンゴをかじりながら、神仙レンタサイクルで空を飛ぶように移動してきた勇者パーティが「俺たちが昔、飢えと疲労に苦しみながら旅をしたのがバカバカしくなるくらい、この便利屋が数日で作り上げた畑とチャリのほうが、よっぽど人類を救済しちまってる……!」とドン引きしながらも、満面の笑みでペダルを漕いでいる。
「これからは、畑に岩が転がってこようが、社長の作業前に俺が全部『不要な障害物ごと斧で粉砕』して適度に土壌改良してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。農業および交通インフラ整備完了。都市の完全自律循環開始。異常なし。』
ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。数百万人が永久に飢えることなく、一瞬で移動できる究極のエコ・システムの確立という、歴史に刻まれるべき偉業が達成されようとも、社長の前では「家庭菜園の草をむしって、自転車に空気を入れた」という、便利屋の町内会スケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす偉業など、黄昏の守護者の前では永遠に日常のインフラ管理・交通整備業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、都市が真の意味で完成した事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、農作業と空気入れお疲れ様! 今日の3時のおやつは、農園で採れたてのさつまいもを使った『特製・大精霊のほかほかスイートポテト〜星屑のバニラアイスを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が焼き上げるスイートポテトは、ことのほか芋の甘みとバターのコクが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの家庭菜園の草むしりと自転車の空気入れ」は、世界中のインフラをフル活用した夢の都市に究極の自給自足と移動の自由をもたらし、真のスマートシティを完成させた。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界最高の農地管理・モビリティプロデュース事業を成功させ、いかなる邪悪も入り込めない究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜
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