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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第258話:ただの温泉の温度調節と屋台の組み立て(設備点検・イベント準備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の娯楽施設グランドオープン

第258話:ただの温泉の温度調節と屋台の組み立て(設備点検・イベント準備)と、全自動インフラをフル活用した夢の超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の娯楽施設グランドオープン(総合ライフサポート企業の温浴施設管理・イベントプロデュース業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、冬の厳しい冷え込みが世界を覆う季節でありながら、日だまり郷の中だけは春の陽だまりのような暖かさと清涼な空気に包まれている。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で湯気を立てる極上ほうじ茶をすすりながら、自らとペットたちに起きているさらなる異常について、今日も顔を見合わせていた。

「……なあ。昨日も言ったが、俺の体がさらに未知の領域に突入しているんだ。昨夜、書斎でうっかり書類の束を落としてしまったんだが、床に落ちる前に拾おうと手を伸ばした瞬間、俺の反射速度が音速どころか光速を超え、空間に無数の残像を残しながら全ての紙束を空中でキャッチしてしまった。それだけじゃない。俺の筋肉が周囲の重力を自動的に制御し、一切の空気抵抗を無視して動けるようになっているんだが」

 大公レオハルトが、己の引き締まった腕を見つめて首を傾げた。彼の肉体は長年の執務による疲労が完全に消え去っているどころか、肌の表面に神話級のオーラが常時コーティングされ、もはや「老化」や「疲労」という概念そのものが彼を避けて通るようになっている。

「ええ。私もですわ。昨日など、少し庭で鼻歌を歌っただけなのですが、私の声帯から漏れ出す過剰な生命力と魔力が音波に乗って空間に還元され、その音の波が実体化して『神話級の守護精霊』となり、勝手に庭の落ち葉を掃除し始めてしまいましたの。美容液どころか、ただ私がそこに存在し、無意識に声を出すだけで、周囲の事象が強制的に神域レベルの奇跡へと引き上げられ、世界そのものの寿命が無限に等しくなっていくのを感じますわ」

 創造神もまた、自らの白く透き通るような手を見つめながら驚きと共に頷く。

 縁側で丸くなっている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも完全に弾き返す『神話級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが心地よさそうに鼻を鳴らすだけで、周囲の空間の次元の歪みが自動的に修復され、万病を癒す超高濃度のパワースポットと化しているのだ。

 その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。

「……おそらく、社長アルドの力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられ続けているのだ」

「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、肉体や運動能力が完全な不老不死の状態へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」

「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の体を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々が何もしていなくとも戦闘力や体力が日々限界突破していくのは、全て我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ。……特に今日は、都市計画の目玉である『娯楽施設のグランドオープン』が控えている。体が絶好調に越したことはない」

 ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。

 そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、スパイシーな香りと、濃厚なチーズが溶ける暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝からイベント準備のスタミナを全開にする『究極・幻獣牛スジのトロトロ煮込みカレー〜天界の炙り星屑チーズと大精霊の夏野菜素揚げを添えて〜』だ! まずは、コラーゲンたっぷりの幻獣牛のスジ肉を、神仙の特製スパイスと極上出汁で三日三晩、口の中で溶けるまでじっくり煮込む。そこへ、世界樹のリンゴとハチミツを隠し味に加えて、コクと甘みを極限まで引き出したカレールーを合わせるんだ! 炊きたての神仙米にたっぷりとかけ、その上に天界の星屑チーズを乗せてバーナーで香ばしく炙る! さらに、大精霊の森で採れたナスやパプリカの素揚げをトッピングする。……チーズが固まらないうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な香ばしさを放つ特大の大皿をダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣牛の圧倒的なアミノ酸とスパイスの薬効成分が全身の魔力回路を限界突破させ、夏野菜のビタミンが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のカレーブレックファスト』である。

「うむ……! この熱々のカレーをスプーンですくい口に運んだ瞬間に広がる、スパイスの暴力的なまでのビッグバンと、牛スジが舌の上でとろける圧倒的な旨味! 炙られた星屑チーズのコクがスパイシーなルーを完璧に包み込み、すかさず素揚げの夏野菜を噛み締めれば、大地の甘みが口の中を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級スパイス料理店で至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 サタナスが、スプーンを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。

 ――そして、至福の朝食が終わり、食後の極上ラッシーが振る舞われた後。

 アルドは、作業着の袖をまくり上げながら、やる気に満ちた満面の笑みでリビングの広間に立つ役員たちと大家の面々を見渡した。

「みんな、昨日までの引っ越しサポートとお部屋の準備、本当にお疲れ様! 市民のみんなも無事に新しいお家に入居して、いよいよ『日だまりエコ・スマートシティ』での生活が始まったね! でも、ただ寝て食べるだけの町じゃつまらない。緊急都市計画会議で決めた通り、今日はみんなが笑顔で楽しめる娯楽施設のグランドオープンだよ! 『大江戸温泉風・超巨大スーパー銭湯』のお湯の温度を完璧に調整して、『全自動エンタメ闘技場』と『超巨大屋台街フードコート』の屋台をパパッと組み立てる! 今日は『町内会の歓迎会準備(娯楽施設管理・イベントプロデュース)』をやって、最高の初日を飾ろう!」

「承知いたしました、社長。我が社の理念の集大成たる『都市開発』……ついに娯楽と文化の提供フェーズに移行します」

 【最高財務責任者(CFO)】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いタブレット端末を操作した。

「水魔迷宮および白銀迷宮、マイクロ波迷宮からのエネルギー供給ラインは完全に安定しております。また、屋台街で提供される世界樹の食材や、温泉の効能を極限まで高めるための特級魔法石も、物流センター経由で各施設に全量納品済みです。ベーシックインカム制度により、市民はこれらの施設を完全無料で無制限に利用可能です」

「その通り! だから今日は、設備が安全に動くか最終チェックして、歓迎会のお祭りの準備をするよ! まずは『事象攪拌の神仙湯かき棒』で、巨大な温泉のお湯をザブッ!と混ぜて、誰もが「ふぃ〜っ」と声が出る最高の適温に調整する。そして、フードコートの屋台や闘技場の客席は『因果構築の神仙木槌(お祭りハンマー)』で、トントンッ!と一瞬で組み上げるんだ。みんなが今日から最高の娯楽を楽しめるように、完璧にセッティングしちゃおう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート(温浴施設管理・イベントプロデュース部門)』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意に似た作業意欲)に満ちた表情で立ち上がった。

【最高開発・解体執行責任者(CDO)】レイヴンの役割

「社長。屋台街で提供される巨大な幻獣肉の解体や、薪割り、そして闘技場のリングの不要なバリ取りは、この俺にお任せを。邪魔な骨や筋は専用の包丁(神具の斧)で一つ残さず切り刻み、完璧な『食材の仕込みと会場設営』をしてご覧に入れましょう」

レイヴンが、神具の斧を大型の出刃包丁のように構えて不敵に笑う。

【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】エルミナの役割

「ええ。数百万人が入浴しても一切汚れないよう、温泉のお湯に特製の極大聖光浄化魔法を常時展開し、湯気には疲労回復の概念を付与しますわ。さらに、屋台街の煙や匂いが居住区に行かないよう、完璧な換気システムを整えて差し上げます」

エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】シノンの役割

「……エンタメ闘技場でどれだけ激しい模擬戦が行われようと、客席に一切の衝撃や破片が飛ばないよう、完璧な絶対防壁のクッション結界を展開する。また、温泉の男湯と女湯の間には、いかなる神の眼力も透過させない『絶対遮断の暖簾結界』を張っておく」

シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! お祭りの準備は活気があるけど、火や熱いお湯を扱うから、しっかり安全確認をして作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(いかなる熱湯や油跳ねも弾く特製イベント設営用・完全防水前掛けと長靴、頭に巻いたタオル)に着替え、手には巨大な「事象攪拌の神仙湯かき棒」と「因果構築の神仙木槌」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『イベント準備・温浴設備メンテナンス道具一式』を持っていくよ! みんなの夢の町での新生活を最高に盛り上げるために、絶対に冷めない温泉と、絶対に美味しい屋台を『DIY(町内会の準備)』してこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、イベントプロデュース仕様に改造された魔導サービスカーに乗り込み、グランドオープンに沸く巨大な娯楽エリアへと向けて出勤したのである。

 ***

 都市の心臓部に位置する『娯楽エリア』。

 そこには、数キロ四方に及ぶ超巨大な『大江戸温泉風スーパー銭湯』と、ネオンが輝く『超巨大屋台街フードコート』、そしてコロッセオのような『全自動エンタメ闘技場』が隣接していた。新生活を始めた数百万の市民たちが、期待に胸を膨らませてゲートの前に集まっている。

「さあ、社長。まずはこの大量の幻獣肉の仕込みと、屋台用の薪割りは俺にお任せを。完璧な『お祭りの下準備』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、食材と薪の山に向かって旋風のごとく突っ込む。

「超絶仕込ミ・ミリ単位骨抜キ・薪割リ一閃斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、肉と骨の「因果の隙間」だけを完璧に見切り、まるで魔法のように食材を極上のサイズに切り分け、シャリィィィン!と見事な手際で薪を均等に割り、屋台のバックヤードへと転送してしまった。

「完璧な仕込み作業ですわ、レイヴンさん。では、私は温泉のお湯を常に一番風呂の清浄さに保ち、屋台街の空気を最高の状態に浄化いたしますわ」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光浄化・調律魔法』が光の粒子となって温泉と屋台街に降り注ぎ、湯船を満たすお湯を神話の霊泉へと変え、屋台から漂う香ばしい匂いだけを残して煙を完全に消し去っていく。

「よし、みんなのおかげで下準備は完璧だね! あとは、僕が『事象攪拌の神仙湯かき棒』で温泉を最高の温度に混ぜて、『因果構築の神仙木槌』で屋台をトントンッ!と組み上げていくよ!」

 アルドは、特製『神仙湯かき棒』を構え、長靴を鳴らして巨大な露天風呂の縁へと飛び出した。

 ――当然ながら、その素材と効率は常軌を逸している。神仙湯かき棒は大宇宙のいかなる熱源と冷却源をも完全に中和し、全生命体が「至福」と感じる絶対適温へと一瞬で均一化する絶対事象調律ツールであり、神仙木槌は釘一本使わずに、叩くだけで最も強固で華やかな店舗や建物を瞬時に組み上げる『究極の持続可能DIYツール』である。

「まずは、この広大な露天風呂の温度調節だね! 熱いところとぬるいところを無くすよ!」

 アルドが神仙湯かき棒を湖のように広い湯船に突き入れ、「ザブッ、ザブーン!!」と力強くかき混ぜる。物理法則を完全に無視した攪拌力により、地下から湧き出る熱水と冷却ガスが完璧に混ざり合い、一瞬にして広大な温泉の隅々までが、細胞の芯まで解きほぐす「永遠の42度(黄金比)」に保たれるようになった。

「よし、お湯は完璧! 次はフードコートの屋台と、闘技場の観客席だ!」

 アルドは『因果構築の神仙木槌』を取り出し、広場に積まれた木材に向けて「トントンッ、カンカンッ!!」と軽快なリズムで叩き始める。すると、木材たちが自らの意志を持ったかのように空中に浮き上がり、神仙の因果律に従って一瞬にして華やかな提灯が飾られた屋台群や、絶対に崩れない安全なコロッセオの客席へと姿を変えていく。

「うわぁ、凄い! 温泉からは最高の湯気が上がってるし、屋台からはレイヴンが仕込んだお肉の焼けるすっごくいい匂いがしてる! シノンの結界のおかげで、闘技場でサタナスたちがどれだけ派手な魔法を撃ち合っても安全に観戦できるね!」

 アルドが湯かき棒と木槌を振るうたびに、ただの巨大な施設だった空間が、活気と多幸感に満ちた究極の娯楽空間へと変わり、待ちわびていた市民たちが歓声を上げて雪崩れ込んでいく。

 労働を免除され、無限の資源を享受する市民たちは、安全な闘技場の試合(勇者パーティによるエキシビションマッチ)に熱狂し、屋台で極上のグルメを無料で堪能し、温泉で全てを忘れてくつろぎ始めていた。

 その作業スピードとイベント運営力は、もはや神話の祭神すら裸足で逃げ出すレベルであった。

 アルドが湯を混ぜ、木槌を振るうたびに、数百万人が同時に楽しめる究極の娯楽インフラが、わずか数時間のうちに完全稼働していく。

 かつて世界を脅かしたダンジョンの資源で作られた施設は、アルドの「ただの温泉の温度調節と屋台の組み立て(町内会の準備)」によって、完全に生きたパラダイスへと起動した。

 誰もが笑顔で楽しみ、日々のストレスすら存在しない、美しき超絶エコ・スマートシティ『日だまり郷』の娯楽エリアが、ついに本格的なグランドオープンを果たしたのである。

「よしよし! 温泉の温度も最高だし、屋台も闘技場もバッチリだぞ! これで、みんな毎日がお祭りみたいに楽しい生活を送れるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの笑顔を作るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドが神仙木槌を腰袋に収めて額の汗を拭うと、温泉の心地よい湯気と屋台の香ばしい匂いが広場を包み込み、眼下には活気に満ちた奇跡の巨大なお祭りの光景が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮と『イベントプロデュース』でした、社長。我が社が運営するこの娯楽施設は、本日をもって正式に稼働を開始いたしました。ベーシックインカムの支給および、全自動インフラの巡回監視も正常。市民の幸福度は既に計測不能な数値を叩き出しております」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、闘技場のリングでサタナスと大魔王級の模擬戦を繰り広げていた勇者が「俺たちが昔、国中を歩き回って魔王を倒した結果より、この便利屋が数日で作り上げた温泉と屋台のほうが、よっぽど世界を平和にしちまってる……!」とドン引きしながらも、満面の笑みで歓声に応えている。

「これからは、闘技場がどれだけぶっ壊れようが、社長の作業前に俺が全部『不要な瓦礫ごと斧で粉砕』して適度にリフォーム準備をしてやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。娯楽施設グランドオープン。温泉温度調整・屋台設営完了。市民の幸福度MAX。異常なし。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。数百万人が熱狂する究極のパラダイス建設という、歴史に刻まれるべき偉業が達成されようとも、社長の前では「お風呂のお湯をかき混ぜて、お祭りの屋台を組み立てた」という、便利屋の町内会スケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす偉業など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の施設管理・イベントプロデュース業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、都市の娯楽が完璧に始まった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、イベント準備お疲れ様! 今日の3時のおやつは、温泉上がりに最高の『特製・大精霊のフルーツ牛乳と、もっちもちの星屑温泉まんじゅう』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が用意する温泉まんじゅうは、ことのほか生地の甘みとフルーツ牛乳の爽やかさが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの温泉の温度調節と屋台の組み立て」は、世界中のインフラをフル活用した夢の都市に究極の娯楽と笑顔をもたらし、真のパラダイスを完成させた。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界最高の温浴施設管理・イベントプロデュース事業を成功させ、いかなる邪悪も入り込めない究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

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