第251話:ただのエアコンのガンコなカビ取りとフィルター交換(剪定)と、暴風と毒胞子の天空迷宮の強制全自動広域空調・無限クリーン風力インフラ化
第251話:ただのエアコンのガンコなカビ取りとフィルター交換(剪定)と、暴風と毒胞子の天空迷宮の強制全自動広域空調・無限クリーン風力インフラ化(総合ライフサポート企業の空調設備メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、木枯らしが吹き始める季節でありながら、日だまり郷の中だけは春のような心地よい陽気に包まれていた。かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、縁側で淹れたての極上ほうじ茶をすすりながら、自らとペットたちに起きている奇妙な現象について、今日も顔を見合わせていた。
「……なあ。最近、本当に俺の体がどうもおかしいんだ。昨日の夜、試しに寝ずに魔界の深淵で千日手のような剣の素振りをしてみたんだが、疲労感どころか、振れば振るほど筋肉が勝手に『神の領域』へと再構築されていく。しかも、どれだけ激しく動いても汗一つかかず、息が乱れることもない。まるで自分の肉体が、無限のエネルギーを生み出す永久機関にでもなったようなんだが」
勇者が、己の引き締まった腕を見つめて首を傾げた。彼の肉体は歴戦の傷跡が完全に消え去り、まるで神々が鍛え上げたオリハルコンのようにツヤツヤと輝き、底なしの生命力が溢れ出している。
「私もですわ。昨日など、庭の枯れ葉を掃除しようと拾い上げた瞬間、私の指先から溢れ出す過剰な生命力に当てられて、枯れ葉が一瞬で芽吹き、世界樹の若葉へと変貌してしまいましたの。美容液どころか、ただ呼吸しているだけで世界を癒してしまうような、絶対的な『不変の美と生命』に固定されているのを感じますわ。徹夜で領地の書類仕事をしても、目のクマ一つできませんのよ」
大公レオハルトもまた、自らの白く滑らかな手を見つめながら驚きと共に頷く。
縁側で丸くなっている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも完全に弾き返す『神話級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが心地よさそうに尻尾を振るだけで、周囲の空間の魔素が極限まで浄化され、万病を癒す超高濃度のパワースポットと化しているのだ。
その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、縁側に腰掛けながら静かに推測を口にした。
「……おそらく、社長の力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられているのだ」
「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、肉体が完全な不老の状態へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」
「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の体を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅し、細胞の一つ一つが宇宙の真理に直結している。我々の戦闘力や体力が日々限界突破しているのも、全ては我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ」
ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。
そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、肉が焼ける暴力的なまでの香ばしい匂いと、濃厚なソースの香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝からガッツリ活力をつける『幻獣和牛の極厚肉汁ハンバーグ〜特製神仙デミグラスソース〜と、天界野菜のシャキシャキサラダ』だ! まずは、脂が限界まで乗った幻獣和牛の挽肉を、神仙のスパイスと共に手早くこねて、中に旨味をギュッと閉じ込める。そして、熱した神仙の鉄板で表面をカリッと、中はふっくらジューシーに焼き上げるんだ! そこへ、幻獣牛の骨と香味野菜を三日三晩煮込んだ特製デミグラスソースを、たっぷりとかける! 鉄板の上でソースがジュワァァッ!と弾けて、香ばしい匂いが一気に広がる! その横で、大精霊の森で採れた瑞々しいレタスとトマトを、特製のオニオンドレッシングで和えたサラダを添える。……肉汁が溢れ出すうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的な香ばしさを放つ特大の鉄板プレートをダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた勇者たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣和牛の圧倒的なタンパク質と極上の脂が全身の魔力回路を限界突破させ、天界野菜のビタミンが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の洋食ブレックファスト』である。
「うむ……! この熱々の極厚ハンバーグにナイフを入れた瞬間に溢れ出す、ナイアガラの滝のような肉汁のビッグバン! 濃厚なデミグラスソースと肉の旨味が口の中で完璧に絡み合い、すかさずシャキシャキのサラダを頬張れば、ドレッシングの酸味が口の中の脂を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げて底知れぬパワーが湧き上がるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級三ツ星レストランで至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
サタナスが、フォークとナイフを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ハーブティーが振る舞われた後。
アルドは、リビングの壁の上部に設置されたエアコンを見上げながら、真剣な表情で首を傾げた。
「……ねえ。今朝、少し冷えるから暖房をつけようと思ってエアコンを稼働させたら、風が全然出てこないし、中から『ゴォォォッ……』って嫌な異音がするんだよね。おまけに、吹き出し口から『タチの悪いガンコなカビ臭い風とホコリ』が撒き散らされてて、凄く空気が悪いんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な大気循環と極上の風魔法石を供給している『暴風と毒胞子の天空迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の暴風竜やカビ魔獣が異常繁殖して毒胞子が飽和状態になり、エアコン(ダンジョン)がガンコなカビとホコリでビッシリになって、猛毒トルネードの大規模スタンピード寸前になってるみたいだ」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドは、世界の理を「生活設備のメンテナンス」として完璧に把握している。
「みんな、聞いて。ダンジョン(空調設備)って、生活に快適な温度の風を送ったり、世界中の大気を循環させるための風力(資源)を供給してくれる凄く大事な生活インフラだよね。だから、気味が悪いからって完全にコンクリートで塞いじゃうと、空気がよどんで息苦しくなるし、風魔法石の資源が枯渇しちゃうんだ。でも、放置しすぎるとホコリやカビ(魔物)が大量発生して、フィルターが詰まって暴走し、スタンピード(致死の猛毒竜巻)を起こしてしまう。だからこそ、定期的に危険な場所から優先して『フィルターのホコリを掃除機で吸い取り、内部のカビを専用のエアコンクリーナーで洗浄する(剪定)』ことで、スタンピードを防ぎつつ、資源が枯渇しないように自動で空調環境を管理する対策が必要なんだ!」
「社長の仰る通りです。ダンジョンの『剪定』と『持続可能な資源管理』……まさに我が社の理念の集大成ですね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「現在、世界で最も危険な大気汚染と超巨大竜巻の震源地として警戒されているのが、その『暴風と毒胞子の天空迷宮』です。内部は完全に風・猛毒属性の魔物が飽和状態にあり、いつ致死の毒胞子トルネードと暴風のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に極上の『特級風魔法石』や、大気を浄化する『最高級のクリーン気流』を提供する『重要な大気・資源設備』でもあります。潰さずに適正な風量と防カビ環境に剪定する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」
「その通り! だから今日は、エアコンに限界まで溜まったガンコなホコリとカビの魔物をしっかり吸い取り・洗浄して、安全でクリーンな風が出る状態に剪定するよ! まずは専用の『事象吸引の神仙掃除機』をフィルターに当てて、ビッシリ詰まったホコリを根こそぎ吸い取る。そして、内部のフィンにこびりついた危険なカビは『事象洗浄の神仙エアコンクリーナー』を、シューッ!と吹きかけて根こそぎ洗い流すんだ。もちろん、資源が枯渇しないように、有用な特級風魔法石や良質なクリーン気流成分は『因果抽出のふるいネット』でしっかり残して回収する。最後に詰まったコアを『最新式・自動風量調整・防カビコーティング機能付き神仙エコ・空調コントローラー』にリフォームして、物理的に二度とフィルターの詰まりやカビが発生せず、かつ適度な極上の風を永遠に生み出し続ける完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。フィルターにこびりついた鬱陶しいホコリ魔獣ども(胞子の群れ)の粉砕と、風の流れを乱している無駄なカビの塊の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のエアダスターとスクレーパーで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(汚れ落としと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型のスクレーパーのように構えて不敵に笑う。
「ええ。ダンジョン内に漂う危険なカビの臭いや異常な暴風(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・脱臭魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全にエアコン掃除ができる無風の環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、飛び散る汚水やカビの残骸が、外の世界やご近所の壁を汚さないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防汚・洗浄水漏洩防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! エアコンのメンテナンスは高所作業だし、カビや汚水が垂れてくるから、しっかり防汚・防水養生をして安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の猛毒胞子と暴風を完全に弾く特製空調清掃用・完全防護マスクとエプロン、安全ゴーグル)に着替え、手には巨大な「事象吸引の神仙掃除機」と「事象洗浄の神仙エアコンクリーナー」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対空調の神仙エコ・空調コントローラー」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『空調設備・フィルターメンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの有毒竜巻とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔なホコリとカビを『剪定』して、枯渇しない優良なクリーン風力・大気インフラにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、空調清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力なバキュームと高圧洗浄ポンプ搭載)に乗り込み、空間が視界を遮るほどの激しい猛毒の暴風と無数のカビ魔獣で溢れかえっている次元の迷宮『暴風と毒胞子の天空迷宮』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、次元の迷宮『暴風と毒胞子の天空迷宮』の内部。
そこは、長年の放置により凶悪な暴風竜や異常な毒胞子を撒き散らすカビ魔獣が異常繁殖し、空間を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの猛毒と暴風の地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の気流と毒素が魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(猛毒竜巻のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。
「ゴオオオオッ!! 我ら天空の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの猛毒胞子と暴風の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての文明を吹き飛ばし、この世界を我らの新たなカビの苗床(迷宮)と変えてくれるわ!」
迷宮の最深部で、無数の風属性・毒属性魔獣たちを統べる超巨大な『毒胞子と暴風の天空竜』が、傲慢な風切りの咆哮と共に猛烈な有毒トルネードと鋭い真空刃を乱射していた。
「さあ、巻き上げろ! 地上の脆弱な防壁など、我らの圧倒的な暴風と猛毒の前には一瞬で腐食し吹き飛ぶ! スタンピードの恐怖を――」
――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!
天空竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な暴風が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の竜巻の群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、作業車のドアから、巨大な掃除機とエアコンクリーナーを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの耳障りな暴風音を完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! エアコンのガンコなフィルターの詰まりと内部にこびりつくカビさん(魔物たち)、定期的な吸引と洗浄の間引き作業(剪定)に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいフィルターの目詰まりっぷりと、外にまでカビ臭い風を撒き散らそうとしてるタチの悪い空調不良(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなにホコリとカビを溜め込むなんて、大気管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にクリーナーでの洗浄と、自動風量調整機能付きエコ・コントローラーへのリフォームのしがいがあるや!」
アルドは、防護マスクをキュッと締め直しつつ、プロの清掃業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ天空迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ猛毒ノ暴風デ、一瞬ニシテ塵ニシテクレルワ!」
天空竜が驚愕の竜巻ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、暴風の渦巻く地面へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい空間に湧いたホコリ魔獣ども(胞子の群れ)の粉砕と、風の流れを乱している無駄なカビの塊の解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のエアダスターとスクレーパーで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(汚れ落としと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ暴風軍勢ヲ『エアコンのホコリとカビ』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ暴風ト猛毒ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニカビノ底ニ沈メテクレルワ!」
天空竜の怒号と共に、空間を覆うほどの猛烈な毒胞子と狂暴性を纏った魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって黒い竜巻のごとく押し寄せてきた。
「うわっ、このガンコなホコリたち、すっごく凶暴でフィルターの網目に完全に詰まっちゃってる! 放置してたら風が出なくてモーターが焼き切れて凄く危険だぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で限界までこびりついたタチの悪いエアコンのガンコな汚れ」と完全に認識し、神仙掃除機のノズルをカチャリと構えた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『空調設備の放置によるフィルター詰まりと悪臭被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを適度に『剪定』して安全で風通しのいいエアコンにして、ピカピカのエコ空調にするだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常のエアコン掃除現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。吹き出す毒胞子や溢れ出す悪臭が外の世界を汚染しないよう、私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防汚・汚水漏洩防止シートを張り巡らせます」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――バサッ! ピィィィィンッ!
瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防汚シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の空調清掃作業用・完全密閉シールド結界』が展開された。これで、致死の有毒竜巻やスタンピードの魔物は一粒のカビ胞子たりとも外の世界に漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコなカビの臭いや異常な暴風(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・脱臭処理いたしますわ」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力脱臭魔法』が、超強力な清浄の光となって周囲の狂気の暴風を包み込み、一気に中和してエアコン内部がスッキリと無臭の静かな空間へと変えた。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を腐食させる猛烈な悪臭は、その浄化の魔法を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でポロポロと崩れ落ちる乾燥したチリへと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの悪臭やカビの塊など、ただのスクレーパーのマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に削り落として風の流れを良くしてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「迷宮過剰繁殖暴風獣解体カビ落トシ風量確保斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(汚れの層)」を完璧に見切り、まるで汚れた冷却フィンを専用のブラシでゴシゴシッ!と綺麗に削り落とし、本来の清潔な金属面を露出させるかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕(剪定)し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ天空軍団ト絶対ノ暴風暴走ガ、タダノ『脱臭魔法』ト『スクレーパー』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ風量状態ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」
天空竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に間引かれてカビが落ちたエアコン」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な汚れの剪定は完璧だね! あとは、あの一番デカくて吹き出し口の奥に陣取っている『ガンコな親玉(天空竜とコア)』に、事象吸引の神仙掃除機をブイィィン!と当てて、ガンコなホコリを完全に吸い取る! そして、内部に残った厄介なカビには『事象洗浄の神仙エアコンクリーナー』をシューッ!と吹きかけて、奥の奥まで洗い流す! その後、ただ綺麗にするだけじゃなくて、資源が枯渇しないように因果抽出のふるいネットで『有用な極上風魔法石』や『良質なクリーン気流成分』だけを綺麗に分別して残しつつ回収する! 最後に絶対空調の神仙エコ・空調コントローラーをコアにガチャン!と取り付けて、二度とフィルターの詰まりやカビが発生せず、永遠に一定の安全な気流を生み出し続けるように自動調整するだけだ!」
アルドは、特製『事象吸引の神仙掃除機』と『神仙エアコンクリーナー』を天空竜の巨大な本体(次元の空調不良の中核)へと向けて構え、防護エプロンをなびかせて突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙掃除機は星の因果の過剰な暴風を物理的に吸引して安全な風量に整える絶対事象剪定ツールであり、神仙エアコンクリーナーとエコ・空調コントローラーは大宇宙のいかなる次元の天空迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要な汚れを間引いて洗い流し、必要な資源だけを抽出し、大気・空調効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な空調環境を枯渇させずに取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ猛毒ニ帰ス『終焉ノ絶対竜巻』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノカビ胞子ニ巻キ込ンデクレルワ!」
天空竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒竜巻の波を放ってきた。
「うわっ! 奥の方から、すっごく強烈でタチの悪い巨大なホコリの塊とカビがせり出してきた! でも、この特製掃除機とクリーナーの前には、どんなにガンコな汚れも一発で綺麗に吸い取られて、スッキリと爽やかな風が出る安全なエアコンになるんだ!」
アルドが天空竜の巨大な竜巻暴走(世界の空調不良の中心)に向けて、事象吸引の神仙掃除機を「ブイィィン!!」と力強く当て、続けて事象洗浄の神仙エアコンクリーナーを「シューッ!!」と隅々まで吹きかける。事象の竜巻の暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的吸引と洗浄パワーによって面白いようにシュワシュワと無害化され、そこにアルドがクリーナーを吹き続けると、強烈な猛毒を持っていた呪いは瞬く間に無臭の安全な汚水となって専用のホースから排出され、心地よい駆動音と共に透明な輝きを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の大竜巻も、神仙のメンテナンス力の前にはただのクリーナーで落ちるカビとホコリとなって分解され、天空竜はあれよあれよという間に、ピカピカに清掃された無害な特注の高級エアコンの内部ファンのような姿へと整えられていく。
同時に、アルドは因果抽出のふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて崩れ落ちた魔物の残骸から、有用な極上風魔法石や世界を潤す良質なクリーン気流成分だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、資源が枯渇しないように適切な量を迷宮に残しつつ、余剰分を収穫用コンテナへと回収していく。
完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部に、絶対空調の神仙エコ・空調コントローラーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動風量管理・適度な気流供給・防カビコーティングモード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対にホコリやカビが発生せず、いつでも極上のクリーンな風と安定した空調を生み出す、最新式自動風量調整機能付きエアコンのように管理されたクリーン風力インフラへと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶大竜巻ガ、タダノ掃除機デ一瞬デ吸イ取ラレ、クリーナーデカビモ綺麗ニ洗イ流サレ、エコ・コントローラーデ一ミリモ残ラズフィルターヲ詰マラセナクナッタだトォォォッ!? シカモ、私ノ命(風毒マナ)ガ完全ニ枯渇スルコトナク、心地ヨイ風量デ永遠ニ満タサレ続ケルヨウニ調整サレテイル……!?」
「よし、ガンコなフィルターのホコリと内部のカビは完全に剪定されて風通しが良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な大気管理設備になったぞ! 枯渇しないように資源の残量もバッチリ管理したからね! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域大気コントロール&無限クリーン風力システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に点検してコントローラーをつけたら、凄く強力で絶対に猛毒竜巻を起こさず、定期的に風魔法石や極上のクリーン気流をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域空調コントロール・無限クリーン風力インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な暴風暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな風と無限の安全な風魔法石だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域空調・無限クリーン風力インフラ』にできそうだよ!」
アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動風量調整・超エコ防カビ・極上クリーン気流生産モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰な風マナは、瞬く間に安全でクリーンな空調エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ竜巻ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニクリーン気流ト魔法石オ供給スル為ノ最新ノ自動風量調整機能付キ・エコエアコン】ノヨウニ……!? イヤ、コントローラーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ空調供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ汚染サセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノクリーンナ風ト極上ノ空気オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン空調プラント」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした天空迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「エアコンのガンコなカビ取りとフィルター交換(剪定)作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を吹き飛ばす禍々しい狂気の暴風は、気がつけば「世界の大気・空調環境を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな有毒竜巻の暴走も一瞬で無害化し、極上のクリーン気流と風魔法石を枯渇することなく24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域空調コントロール・無限クリーン風力インフラ(見た目は巨大でピカピカに磨かれた純白の最新式エアコンと風力プラント)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌なスタンピードと猛毒竜巻のリスクは片付いて、しかも資源が枯渇しないすっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな空調施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物のカビや悪臭を気にせずに、どんな時でも安心な家で気持ちいい風にあたれるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカのエアコンを守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドがエアコンクリーナーの空き缶を片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い毒胞子は一瞬にして晴れ渡り、防汚・汚水漏洩防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式空調設備と、澄み切った無臭の爽やかな風が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮と『剪定』でした、社長。我が社の広域空調コントロール・クリーン風力システムは、これより大陸全土の迷宮維持・大気管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。枯渇を防ぐための天空迷宮からの定期清掃料金の自動引き落とし設定も完了いたしました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、全身を猛毒の暴風で切り刻まれながら潜ってた天空のダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な無人風力発電所と高級住宅のエアコンみたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。
「これからは、どんなカビ魔物やガンコなホコリの兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な汚れごとエアダスターで粉砕』して適度に剪定してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・空調インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。天空迷宮。エアコンのフィルター掃除とカビ取り(スタンピード及び枯渇対策の剪定)完了。全自動空調コントロール・風力インフラ化。異常なし。以上。』
ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす天空迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「エアコンの風がカビ臭くなってきたための定期的なフィルター掃除」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、天空迷宮すらもピカピカの最新式空調システムの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、エアコン掃除お疲れ様! 今日の3時のおやつは、回収した極上のクリーンな風でふんわりと冷やした『特製・大精霊のふんわりロールケーキ〜星屑のミントクリームを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるロールケーキは、ことのほか生地の軽さとクリームの爽やかさが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただのエアコンのガンコなカビ取りとフィルター交換(剪定)作業」は、世界滅亡の猛毒竜巻スタンピードの危機をただの空調設備・フィルターメンテナンスとして解決し、資源を枯渇させることなく迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域空調コントロール・無限クリーン風力インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常の持続可能なメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜
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