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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第245話:ただの換気扇のガンコな油汚れ落としとフィルター交換(剪定)と、紅蓮と猛毒の火山煙迷宮の強制全自動広域換気・無限クリーンガスインフラ化

第245話:ただの換気扇のガンコな油汚れ落としとフィルター交換(剪定)と、紅蓮と猛毒の火山煙迷宮の強制全自動広域換気・無限クリーンガスインフラ化(総合ライフサポート企業の空調排気・厨房メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、夏の強い日差しが降り注ぐ中、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、冷たい麦茶を飲みながら、自らとペットたちに起きている奇妙な現象について顔を見合わせていた。

「……なぁ。最近、魔界の反乱分子を鎮圧するために十日十夜ぶっ続けで極大魔法を撃ち続けても、魔力枯渇の気配すらないどころか、呼吸をするだけで大気中のマナが勝手に体内に圧縮されて、細胞が凄まじい勢いで若返っているんだが」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、己の彫刻のように隆起した大胸筋を見つめて首を傾げた。彼の肌は魔界の瘴気で荒れていたかつての面影はなく、まるで神話の青銅像のようにツヤツヤと輝き、生命力が溢れ出している。

「ええ。実は私も、神核の劣化が完全に止まっただけでなく、生命力の器そのものが底なしに広がっているのを感じますの。先日など、うっかり天界の神造兵装の暴発に巻き込まれたのですが、私の肌には傷一つ、赤みすらできず、逆に兵装のほうが粉々に砕け散ってしまいましたわ」

 創造神が驚きと共に頷く。

 足元で日向ぼっこをしている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも完全に弾き返す『神話級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らが欠伸をするだけで、周囲の空間の魔素が極限まで浄化され、大精霊すら平伏すパワースポットと化しているのだ。

 その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、静かに推測を口にした。

「……おそらく、社長アルドの力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられているのだ」

「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、回復力や耐久力が物理法則を完全に無視しているのも、全ては……」

「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の体を『不老不死』に近い状態へと自動アップデートしているのだ。傷は一瞬で治り、老いはなくなり、寿命という概念すら消滅しつつある。全ては、我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ」

 ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。

 そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、油が弾ける小気味良い音と、ソースの暴力的なまでの香ばしい匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝からガッツリ活力をつける『天界豚の極厚ロースカツサンド〜特製星屑マスタードと完熟ソースを絡めて〜と、幻獣とうもろこしの冷製ポタージュ』だ! まずは、大理石のような霜降りが入った天界豚の分厚いロース肉に、神仙小麦の生パン粉をたっぷりつけて、幻獣の極上ラードでカラッと黄金色になるまで揚げる。サクサクに揚がったカツを、世界樹の木の実で作った特製ソースと星屑マスタードにドボンとくぐらせ、シャキシャキの春キャベツと一緒にふわふわの神仙食パンで挟み込むんだ! その横で、甘みを極限まで引き出した幻獣とうもろこしを丁寧に裏ごしし、氷水でキンキンに冷やした冷製ポタージュを添える。……パンがソースを吸う前に完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な香ばしさを放つ特大のプレートをダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた創造神たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば天界豚の圧倒的なビタミンBと極上の脂が全身の魔力回路を限界突破させ、冷製ポタージュの自然な甘みが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の揚げ物ブレックファスト』である。

「うむ……! この極厚カツサンドに大きくかぶりついた瞬間に広がる、サクサクの衣の食感と、分厚い肉から溢れ出す圧倒的な肉汁のビッグバン! 甘辛い完熟ソースとピリッとしたマスタードが豚肉の旨味を完璧に引き立て、すかさず冷製ポタージュを流し込めば、とうもろこしの優しい甘みが口の中の油を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級レストランで至福の朝食を貪る貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 サタナスが、カツサンドを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ストレートティーが振る舞われた後。

 アルドは、キッチンの上部にある換気扇を見上げながら、真剣な表情で首を傾げた。

「……ねえ。今朝、カツを揚げてて気付いたんだけど、換気扇の吸い込みが凄く悪くて、中から『ゴゴゴゴ……』って嫌な異音がしてるんだよね。おまけに、奥の方のシロッコファンに『タチの悪いガンコな油汚れとスス』がビッシリこびりついてて、真っ黒な煙を逆流させようとしてるんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な熱源と極上の鉱物資源を供給している『紅蓮と猛毒の火山煙迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の煤炎竜や猛毒ガス魔獣が異常繁殖して油汚れが飽和状態になり、換気扇ダンジョンがガンコな汚れでビッシリになって、猛毒スモークのスタンピード寸前になってるみたいだ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドは、世界の理を「生活設備のメンテナンス」として完璧に把握している。

「みんな、聞いて。ダンジョン(換気設備)って、見えないところにあるけど、家全体の空気を綺麗に保ったり、極上の熱エネルギー(資源)を育てるための凄く大事な生活インフラだよね。だから、気味が悪いからって完全に塞いで壊しちゃうと、空気がこもって息苦しくなるし、ガス資源が枯渇しちゃうんだ。でも、放置しすぎるとガンコな油汚れや煤の魔物が大量発生して、煙が逆流してスタンピード(致死の猛毒ガス爆発)を起こしてしまう。だからこそ、定期的に危険な場所から優先して『油汚れを専用のクリーナーで分解し、フィルターを新しいものに交換する(剪定)』ことで、スタンピードを防ぎつつ、資源が枯渇しないように自動で換気環境を管理する対策が必要なんだ!」

「社長の仰る通りです。ダンジョンの『剪定』と『持続可能な資源管理』……まさに我が社の理念の集大成ですね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「現在、世界で最も危険な大気汚染と有毒ガスの震源地として警戒されているのが、その『紅蓮と猛毒の火山煙迷宮』です。内部は完全に炎・毒煙属性の魔物が飽和状態にあり、いつ致死の火砕流と猛毒ガスのスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に極上の熱源を提供する『気体調整機能』や、最高級の『極上炎魔法石と希少鉱物灰』を提供する『重要なエネルギー・資源設備』でもあります。潰さずに適正な排気とクリーンな環境に剪定する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」

「その通り! だから今日は、換気扇に限界まで溜まったガンコな油汚れと煤の魔物をしっかり分解・洗浄して、安全でスッキリとした排気の状態に剪定するよ! まずは専用の『事象分解の神仙油汚れマジックリン』をシュッシュッ!と吹きかけて、ガンコな汚れを根こそぎ溶かして落とす。そして、こびりついた危険な煤は『事象研磨の神仙スポンジ』で、ゴシゴシッ!と綺麗に磨き上げるんだ。もちろん、資源が枯渇しないように、有用な炎魔法石や良質な鉱物灰の成分は『因果抽出のふるいネット』でしっかり残して回収する。最後に詰まったコアを『最新式・自動換気調整・防汚コーティング機能付き神仙エコ・換気コントローラー』にリフォームして、物理的に二度と油汚れや有毒ガスが発生せず、かつ適度な極上のクリーンガスを永遠に生み出し続ける完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。換気扇のファンに群がった鬱陶しい煤炎竜ども(油汚れの塊)の粉砕と、排気を遮る無駄な障害物の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーとワイヤーブラシで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(汚れ落としと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型のスクレーパーのように構えて不敵に笑う。

「ええ。ダンジョン内に漂う危険な猛毒の火山ガスや異常な熱気(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・冷却魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全に換気扇掃除ができる涼しい環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、飛び散る汚れた油や煤の残骸が、外の世界やご近所の壁を汚さないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防汚・油飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 換気扇のメンテナンスは高所作業だし、油で滑りやすいから、しっかり防汚養生と換気をして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の猛毒ガスと超高温を完全に弾く特製換気扇清掃用・完全防護エプロンとゴーグル、耐油ゴム手袋)に着替え、手には巨大な「事象分解の神仙油汚れマジックリン」と「事象研磨の神仙スポンジ」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対環境の神仙エコ・換気コントローラー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『換気扇・油汚れメンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの猛毒スモークとスタンピードの悩みを解決するために、邪魔な油汚れと煤を『剪定』して、枯渇しない優良なクリーン排気・ガスインフラにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、換気扇清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力なバキュームと高圧洗浄機搭載)に乗り込み、空間が視界を遮るほどの激しい黒煙と無数の煤の魔物で溢れかえっている次元の迷宮『紅蓮と猛毒の火山煙迷宮』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の迷宮『紅蓮と猛毒の火山煙迷宮』の内部。

 そこは、長年の放置により凶悪な煤炎竜や猛毒ガスを撒き散らす魔獣が異常繁殖し、空中を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの焦熱と猛毒の地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の熱エネルギーと有毒ガスが魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(大爆発と毒煙のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。

「ゴオオオオッ!! 我ら紅蓮の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの猛毒ガスと熱波の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての文明を灰燼に帰し、この世界を我らの新たな灼熱の住処(迷宮)と変えてくれるわ!」

 迷宮の最深部で、無数の炎属性・毒属性魔獣たちを統べる超巨大な『煤と油の紅蓮魔竜スート・アンド・グリース・ドラゴン』が、傲慢な咆哮と共に猛烈な火砕流と猛毒のスモークを乱射していた。

「さあ、燃やし尽くせ! 地上の脆弱な防壁など、我らの圧倒的な熱波と毒煙の前には一瞬で溶け落ちる! スタンピードの恐怖を――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 紅蓮魔竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な熱風が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の炎の群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、巨大な油汚れクリーナーとスポンジを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの耳障りな爆音を完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 換気扇のガンコな油汚れとファンにこびりつく煤さん(魔物たち)、定期的な洗浄とフィルター交換の間引き作業(剪定)に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい換気扇の詰まりっぷりと、外にまで黒煙を撒き散らそうとしてるタチの悪い逆流(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに汚れとガスを溜め込むなんて、排気管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にクリーナーでの分解と、自動換気・防汚機能付きエコ・コントローラーへのリフォームのしがいがあるや!」

 アルドは、防護ゴーグルの位置をカチリと直しつつ、プロの清掃業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ火山煙迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ猛毒ノ熱波デ、一瞬ニシテ炭クズニシテクレルワ!」

 紅蓮魔竜が驚愕の火炎ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、熱風の渦巻く地面へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい空間に湧いた煤の魔獣ども(油汚れの群れ)の粉砕と、排気を塞いでいる無駄なススの解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(防汚と間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ炎魔軍勢ヲ『換気扇の油汚れと煤』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ紅蓮ト毒煙ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ灰ノ底ニ沈メテクレルワ!」

 紅蓮魔竜の怒号と共に、空間を覆うほどの猛烈な毒ガスと狂暴性を纏った魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって黒い津波のごとく押し寄せてきた。

「うわっ、このガンコな油汚れたち、すっごく凶暴でファンの羽に完全にこびりついちゃってる! 放置してたらモーターが焼け焦げて凄く危険だぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で限界までこびりついたタチの悪い換気扇のガンコな汚れ」と完全に認識し、神仙油汚れマジックリンのノズルをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『換気設備の放置による油汚れ発生と排気不良被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを適度に『剪定』して安全でクリーンな排気にして、ピカピカのエコ換気扇にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の換気扇清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。吹き出す黒煙や溢れ出す油が外の世界を汚染しないよう、私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防汚・油飛散防止シートを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防汚シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の換気扇清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の大爆発やスタンピードの魔物は一粒の煤たりとも外の世界に漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな毒煙や猛烈な熱気(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・冷却処理いたしますわ」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力換気魔法』が、超強力な清浄の風となって周囲の狂気の熱波を包み込み、一気に中和して換気扇がスッキリと通る清潔な空間へと変えた。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を灰にする猛烈な毒ガスは、その浄化の魔法を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でポロポロと崩れ落ちる乾燥したホコリへと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの毒煙や油汚れの塊など、ただのスクレーパーのマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に削り落として排気を良くしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「迷宮過剰繁殖煤炎獣解体油汚レ落トシ排気確保斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(油の層)」を完璧に見切り、まるで汚れたシロッコファンを専用のスクレーパーでガリガリッ!と綺麗に削り落とし、本来の金属の輝きを露出させるかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕(剪定)し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ炎魔軍団ト絶対ノ火砕流暴走ガ、タダノ『換気魔法』ト『スクレーパー』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ冷却状態ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」

 紅蓮魔竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に間引かれて煤が落ちた換気扇」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な煤の剪定は完璧だね! あとは、あの一番デカくて排気口に詰まっている『ガンコな親玉(紅蓮魔竜とコア)』の周りに、事象分解の神仙油汚れマジックリンをシュッシュッ!と吹きかけて、ガンコな油の塊を完全に溶かす! そして、残った厄介な汚れには『事象研磨の神仙スポンジ』をゴシゴシッ!と擦り付けて、根こそぎ落とす! その後、ただ綺麗にするだけじゃなくて、資源が枯渇しないように因果抽出のふるいネットで『有用な極上炎魔法石』や『良質な鉱物灰成分』だけを綺麗に分別して残しつつ回収する! 最後に絶対環境の神仙エコ・換気コントローラーをコアにガチャン!と取り付けて、二度と油汚れや有毒ガスが発生せず、永遠に一定の安全なクリーンガスを生み出し続けるように自動調整するだけだ!」

 アルドは、特製『事象分解の神仙油汚れマジックリン』と『神仙スポンジ』を紅蓮魔竜の巨大な本体(次元の大気汚染の中核)へと向けて構え、耐油ゴム手袋でしっかりと握りしめて突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙マジックリンは星の因果の過剰な汚染を物理的に分解して安全な空気に整える絶対事象剪定ツールであり、神仙スポンジとエコ・換気コントローラーは大宇宙のいかなる次元の火山迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要な汚れを間引いて洗浄し、必要な資源だけを抽出し、排気・ガス効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な換気環境を枯渇させずに取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ猛毒ニ帰ス『終焉ノ絶対黒煙アビス・ブラックスモーク』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ煤ニ飲ミ込ンデクレルワ!」

 紅蓮魔竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の煙の波を放ってきた。

「うわっ! 奥の方から、すっごく強烈でタチの悪い巨大な油の塊と黒煙がせり出してきた! でも、この特製マジックリンとスポンジの前には、どんなにガンコな汚れも一発で綺麗に分解されて、スッキリと排気される安全な換気扇になるんだ!」

 アルドが紅蓮魔竜の巨大な黒煙暴走(世界の大気汚染の中心)に向けて、事象分解の神仙油汚れマジックリンを「シュッシュッ!!」と塗布し、続けて事象研磨の神仙スポンジを「ゴシゴシッ!!」と力強く擦り付ける。事象の煙の暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的分解と研磨パワーによって面白いようにシュワシュワと無害化され、そこにアルドがスポンジを滑らせ続けると、強烈な毒素を持っていた呪いは瞬く間に無臭の安全な乾燥した灰となって崩れ落ち、心地よい換気音と共に透明な輝きを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の大爆発も、神仙のメンテナンス力の前にはただの洗剤で落ちる油汚れとなって分解され、紅蓮魔竜はあれよあれよという間に、ピカピカに清掃された無害な特注の高級換気扇のシロッコファンのような姿へと整えられていく。

 同時に、アルドは因果抽出のふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて崩れ落ちた魔物の残骸から、有用な極上炎魔法石や世界を豊かにする良質な鉱物灰成分だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、資源が枯渇しないように適切な量を迷宮に残しつつ、余剰分を収穫用コンテナへと回収していく。

 完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部ダンジョンコアに、絶対環境の神仙エコ・換気コントローラーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動排気管理・適度な熱源供給・防汚コーティングモード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対に油汚れが発生せず、いつでも極上のクリーンガスと適度な排気を生み出す、最新式自動換気調整機能付き換気扇のように管理されたクリーンガスインフラへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶大黒煙ガ、タダノマジックリンデ一瞬デ分解サレ、スポンジデ汚れモ綺麗ニ研磨サレ、エコ・コントローラーデ一ミリモ残ラズ排気ヲ塞ゲナクナッタだトォォォッ!? シカモ、私ノ命(炎マナ)ガ完全ニ枯渇スルコトナク、心地ヨイ排気デ永遠ニ満タサレ続ケルヨウニ調整サレテイル……!?」

「よし、ガンコな換気扇の油汚れと煤は完全に剪定されて排気が良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な気体設備になったぞ! 枯渇しないように資源の残量もバッチリ管理したからね! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域換気コントロール&無限クリーンガスシステム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に点検してコントローラーをつけたら、凄く強力で絶対に有毒ガス爆発を起こさず、定期的に炎魔法石や極上のクリーンガスをドロップしてくれる、巨大な全自動の広域換気コントロール・無限クリーンガスインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な黒煙暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな排気と無限の安全なガスだけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域換気・無限クリーンガスインフラ』にできそうだよ!」

 アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動換気調整・超エコ防汚・極上ガス生産モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰な炎マナは、瞬く間に安全でクリーンな気体エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ猛毒ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニクリーンガスト魔法石オ供給スル為ノ最新ノ自動換気調整機能付キ・エコ換気扇】ノヨウニ……!? イヤ、コントローラーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ気体供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ汚染サセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノクリーンナ空気ト極上ノガスオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン排気プラント」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした火山煙迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「換気扇のガンコな油汚れ落としとフィルター交換(剪定)作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を崩壊させる禍々しい狂気の黒煙は、気がつけば「世界の排気・空調環境を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな有毒ガスの暴走も一瞬で無害化し、極上のクリーンガスと炎魔法石を枯渇することなく24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域換気コントロール・無限クリーンガスインフラ(見た目は巨大でピカピカに磨かれた純白の最新式換気システムとガスタンクプラント)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌なスタンピードと猛毒ガスのリスクは片付いて、しかも資源が枯渇しないすっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな空調施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の油汚れや煤を気にせずに、どんな時でも安心な家で笑顔で美味しいご飯が作れるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカの換気扇を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがスポンジを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い毒煙は一瞬にして晴れ渡り、防汚・油飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式換気設備と、澄み切った爽やかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮と『剪定』でした、社長。我が社の広域換気コントロール・クリーンガスシステムは、これより大陸全土の迷宮維持・空調管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。枯渇を防ぐための火山煙迷宮からの定期清掃料金の自動引き落とし設定も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、全身を煤で真っ黒にしながら潜ってた火山のダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な無人ガスタンクと高級住宅の換気扇みたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな油汚れ魔物やガンコな煤の兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な汚れごとスクレーパーで粉砕』して適度に剪定してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・空調インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。火山煙迷宮。換気扇の油汚れ落としとフィルター交換(スタンピード及び枯渇対策の剪定)完了。全自動換気コントロール・ガスインフラ化。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす火山迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「換気扇が油で汚れてきたための定期的な掃除」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、火山煙迷宮すらもピカピカの最新式換気システムの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、換気扇清掃お疲れ様! 今日の3時のおやつは、回収した極上の熱源でふんわり焼き上げた『特製・大精霊のキャラメルシフォンケーキ〜星屑のホイップクリームを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるシフォンケーキは、ことのほかキャラメルのほろ苦さとクリームの甘みが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの換気扇のガンコな油汚れ落としとフィルター交換(剪定)作業」は、世界滅亡の猛毒スモークスタンピードの危機をただの空調・排気メンテナンスとして解決し、資源を枯渇させることなく迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域換気コントロール・無限クリーンガスインフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常の持続可能なメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

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