第246話:ただの押し入れのガンコなカビ取りと防虫剤の入れ替え(剪定)と、常闇と瘴気の魔蛾迷宮の強制全自動広域除湿・無限クリーン収納インフラ化
第246話:ただの押し入れのガンコなカビ取りと防虫剤の入れ替え(剪定)と、常闇と瘴気の魔蛾迷宮の強制全自動広域除湿・無限クリーン収納インフラ化(総合ライフサポート企業の収納・衣類防虫メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、秋の澄み切った日差しが降り注ぐ中、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、温かいハーブティーを飲みながら、自らとペットたちに起きている奇妙な現象について顔を見合わせていた。
「……なぁ。最近、魔界の反乱軍百万を一人で制圧する訓練を三日三晩続けても、息ひとつ切れないどころか、関節の可動域が物理法則を無視して広がり、翌朝には筋肉の繊維が神話の金属よりも強靭に再構築されているんだが」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、己の彫刻のように隆起した広背筋を見つめて首を傾げた。彼の肌は魔界の瘴気で荒れていたかつての面影はなく、まるで神々が磨き上げた黒曜石のようにツヤツヤと輝き、生命力が溢れ出している。
「ええ。実は私も、神核の劣化が完全に止まっただけでなく、肉体の構造が『完全な不変の美』へと固定されているのを感じますの。先日など、どれほど甘いケーキを食べてもウエストのサイズがミリ単位で変化せず、かつて私が創造した天界のいかなる女神よりも完璧な均衡を保ったままなのですわ」
創造神が驚きと共に頷く。
足元で日向ぼっこをしている神竜ポチと星狼シロに目を向けると、彼らの毛並みはただ艶やかという次元を越え、大宇宙のいかなる物理・魔法法則すらも完全に弾き返す『神話級の絶対防壁』のような神秘の輝きを放ちながら、ただの犬猫のように無防備に腹を見せて寝転がっている。彼らの抜け毛が一本落ちるだけで、周囲の空間の魔素が極限まで浄化され、万病を癒すパワースポットと化しているのだ。
その光景を見て、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)】の元・大賢者ゾルタンが、静かに推測を口にした。
「……おそらく、社長の力が影響しているのだろう。社長は『全知全能の神仙』そのもの。そんな彼が、我々社員や大家の面々、そしてペットの魔物たちと『これからもずっと一緒に、楽しく賑やかに暮らしたい。誰も欠けてほしくない』と無意識に願った結果、我々に社長の『不老不死に近い力』が少しずつ分け与えられているのだ」
「な、なんと……! 我々の体調が異常なまでに絶好調なのも、肉体が完全な状態へと自動アップデートされ続けているのも、全ては……」
「左様。社長が寂しくならないように、そしてこの平穏な日常が永遠に続くように、世界が我々の体を『不老不死』に近い状態へと書き換えているのだ。老いはなくなり、寿命という概念すら消滅しつつある。全ては、我が黄昏の守護者の最高の手厚い福利厚生というわけさ」
ゾルタンの言葉に、一同はアルドの底知れぬ愛と規格外の力に戦慄しながらも、深い安堵と温かい絆を感じて微笑み合った。
そんな穏やかな閑話が交わされる中、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、上質な脂が弾ける小気味良い音と、フルーツの酸味が効いたソースの暴力的なまでの香ばしい匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる、朝から優雅に活力をつける『幻獣鴨の極厚ロースト〜世界樹の木の実と星屑のハニーマスタードソース〜と、天界カブの濃厚ポタージュ』だ! まずは、脂がたっぷりのった幻獣鴨の分厚い胸肉の皮目を、神仙のフライパンでカリッと黄金色になるまで香ばしく焼き上げる。そこに、大精霊の森で採れた最高級のハチミツと粒マスタードを混ぜ合わせた特製ソースをたっぷりとかけ、肉汁と完全に絡ませるんだ! その横で、甘みを極限まで引き出した天界カブを丁寧に裏ごしし、熱々でクリーミーなポタージュを添える。……肉が冷めないうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的な香ばしさを放つ特大のプレートをダイニングテーブルに運ぶと、不老の話題で盛り上がっていた創造神たちや魔物たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣鴨の圧倒的な鉄分と極上の脂が全身の魔力回路を限界突破させ、天界カブの自然な甘みが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、不老不死に近づきつつある体にさらなる多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のローストブレックファスト』である。
「うむ……! この極厚の鴨肉にナイフを入れ、たっぷりのソースを絡めて口に運んだ瞬間に広がる、パリッとした皮の食感と、分厚い肉から溢れ出す圧倒的な旨味のビッグバン! 甘酸っぱいハニーマスタードが鴨の脂を完璧に引き立て、すかさずポタージュを流し込めば、カブの優しい甘みが口の中を最高にリセットしてくれる! 美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 全身の細胞が歓喜の声を上げるこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級レストランで至福の朝食を貪る貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
サタナスが、フォークとナイフを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて極上の朝食に感涙して咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ストレートティーが振る舞われた後。
アルドは、廊下の奥にある大きな押し入れの襖を開けたまま、真剣な表情で首を傾げた。
「……ねえ。今朝、そろそろ冬物のコートを出そうと思って押し入れを開けたら、中が凄く『ジメジメしてカビ臭い』し、奥のほうの衣類に『タチの悪いガンコな服食い蛾』がビッシリ群がってて、お気に入りのセーターを食い荒らそうとしてるんだよね。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な暗黒エネルギーと極上の絹資源を供給している『常闇と瘴気の魔蛾迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の瘴気雲や魔蛾獣が異常繁殖して湿気が飽和状態になり、押し入れ(ダンジョン)がガンコなカビと害虫でビッシリになって、猛毒の粉と布食いのスタンピード寸前になってるみたいだ」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドは、世界の理を「生活設備のメンテナンス」として完璧に把握している。
「みんな、聞いて。ダンジョン(収納設備)って、見えないところにあるけど、家の中の物を綺麗にしまったり、極上の絹糸(資源)を育てるための凄く大事な生活インフラだよね。だから、気味が悪いからって完全にコンクリートで塞いじゃうと、家の中が散らかるし、衣服の資源が枯渇しちゃうんだ。でも、放置しすぎるとカビや蛾(魔物)が大量発生して、大切な服を食い荒らしてスタンピード(致死の猛毒粉塵爆発)を起こしてしまう。だからこそ、定期的に危険な場所から優先して『カビを除菌スプレーで拭き取り、蛾を専用の防虫剤で駆除する(剪定)』ことで、スタンピードを防ぎつつ、資源が枯渇しないように自動で収納環境を管理する対策が必要なんだ!」
「社長の仰る通りです。ダンジョンの『剪定』と『持続可能な資源管理』……まさに我が社の理念の集大成ですね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「現在、世界で最も危険な瘴気汚染と物質崩壊の震源地として警戒されているのが、その『常闇と瘴気の魔蛾迷宮』です。内部は完全に闇・猛毒属性の魔物が飽和状態にあり、いつ致死の猛毒粉塵と物質捕食のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に極上の『特級幻獣絹』や、最高級の『闇魔法石』を提供する『重要な繊維・資源設備』でもあります。潰さずに適正な通気性と防虫環境に剪定する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」
「その通り! だから今日は、押し入れに限界まで溜まったガンコなカビと蛾の魔物をしっかり除菌・駆除して、安全でカラッとした収納の状態に剪定するよ! まずは専用の『事象除菌の神仙アルコールスプレー』をシュッシュッ!と吹きかけて、ガンコなカビを根こそぎ拭き取る。そして、大切な服を食う危険な蛾は『事象防虫の神仙クローゼット用防虫剤』で、ポンッ!と置いて根こそぎ退治するんだ。もちろん、資源が枯渇しないように、有用な特級幻獣絹や良質な魔法石の成分は『因果抽出のふるいネット』でしっかり残して回収する。最後に詰まったコアを『最新式・自動調湿・防虫機能付き神仙エコ・収納コントローラー』にリフォームして、物理的に二度とカビや害虫が発生せず、かつ適度な極上の絹を永遠に生み出し続ける完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。押し入れの奥に群がった鬱陶しい魔蛾ども(害虫の群れ)の粉砕と、通気を塞いでいる無駄なクモの巣の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーとハタキで一つ残さず払い落とし、完璧な『下地処理(汚れ落としと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型のハタキのように構えて不敵に笑う。
「ええ。ダンジョン内に漂う危険な猛毒の瘴気や異常な湿気(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・除湿魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全に押し入れ掃除ができるカラッとした環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、飛び散る猛毒の鱗粉や害虫の残骸が、外の世界やご近所の部屋を汚さないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防虫・鱗粉飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 押し入れのメンテナンスはホコリが舞いやすいし、虫が飛んでくるから、しっかり防虫養生と換気をして安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の猛毒鱗粉と瘴気を完全に弾く特製押し入れ清掃用・完全防護マスクとエプロン、ゴム手袋)に着替え、手には巨大な「事象除菌の神仙アルコールスプレー」と「事象防虫の神仙クローゼット用防虫剤」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対環境の神仙エコ・収納コントローラー」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『押し入れ・衣類防虫メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの猛毒粉塵とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔なカビと蛾を『剪定』して、枯渇しない優良なクリーン繊維・収納インフラにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、収納清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力なバキュームと除湿機搭載)に乗り込み、空間が視界を遮るほどの激しい瘴気と無数の魔蛾で溢れかえっている次元の迷宮『常闇と瘴気の魔蛾迷宮』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、次元の迷宮『常闇と瘴気の魔蛾迷宮』の内部。
そこは、長年の放置により凶悪な瘴気雲や猛毒の鱗粉を撒き散らす魔蛾が異常繁殖し、空中を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの暗黒と猛毒の地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の湿気と猛毒が魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(猛毒粉塵のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。
「バサバサバサッ!! 我ら常闇の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの猛毒鱗粉と飢餓の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての文明の産物を食い尽くし、この世界を我らの新たな巨大な繭(迷宮)と変えてくれるわ!」
迷宮の最深部で、無数の闇属性・毒属性魔獣たちを統べる超巨大な『常闇の魔蛾女王』が、傲慢な羽音と共に猛烈な猛毒の粉と瘴気を乱射していた。
「さあ、食い荒らせ! 地上の脆弱な防壁など、我らの圧倒的な鱗粉と大顎の前には一瞬でボロボロに崩れ去る! スタンピードの恐怖を――」
――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!
魔蛾女王がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な瘴気が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の蟲の群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、作業車のドアから、巨大な除菌スプレーと防虫剤を持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの耳障りな羽音を完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 押し入れのガンコなカビと衣類を食い荒らす蛾さん(魔物たち)、定期的な除菌と防虫剤交換の間引き作業(剪定)に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい押し入れのジメジメっぷりと、外にまで粉を撒き散らそうとしてるタチの悪い害虫の大量発生(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに湿気と蛾を溜め込むなんて、収納管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的に除菌スプレーでのカビ取りと、自動調湿・防虫機能付きエコ・コントローラーへのリフォームのしがいがあるや!」
アルドは、防護マスクの位置をカチリと直しつつ、プロの清掃業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ魔蛾迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ猛毒ノ鱗粉デ、一瞬ニシテ塵ニシテクレルワ!」
魔蛾女王が驚愕の鱗粉ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、瘴気の渦巻く地面へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい空間に湧いた魔蛾ども(害虫の群れ)の粉砕と、通気を塞いでいる無駄なクモの巣の解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のハタキとスクレーパーで一つ残さず払い落とし、完璧な『下地処理(防虫と間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ蟲軍勢ヲ『押し入れのカビと蛾』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ常闇ト猛毒ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ繭ノ底ニ沈メテクレルワ!」
魔蛾女王の怒号と共に、空間を覆うほどの猛烈な毒粉と狂暴性を纏った魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって黒い津波のごとく押し寄せてきた。
「うわっ、このガンコな蛾たち、すっごく凶暴で服の繊維に完全に噛みついちゃってる! 放置してたらお気に入りのセーターが穴だらけになって凄く危険だぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で限界まで繁殖したタチの悪い押し入れの害虫」と完全に認識し、神仙アルコールスプレーのノズルをカチャリと構えた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『収納設備の放置によるカビ発生と害虫被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを適度に『剪定』して安全でカラッとした収納にして、ピカピカのエコ押し入れにするだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の押し入れ清掃現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。吹き出す毒粉や溢れ出す瘴気が外の世界を汚染しないよう、私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防虫・鱗粉飛散防止シートを張り巡らせます」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――バサッ! ピィィィィンッ!
瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防虫シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の押し入れ清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の猛毒粉塵爆発やスタンピードの魔物は一粒の鱗粉たりとも外の世界に漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな毒瘴気や異常な湿気(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・除湿処理いたしますわ」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力換気魔法』が、超強力な清浄の風となって周囲の狂気の瘴気を包み込み、一気に中和して押し入れがカラッと乾いた清潔な空間へと変えた。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を腐食させる猛烈な瘴気雲は、その浄化の魔法を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でポロポロと崩れ落ちる乾燥したホコリへと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの瘴気やカビの塊など、ただのハタキのマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に払い落として通気を良くしてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「迷宮過剰繁殖魔蛾獣解体クモの巣払イ通気確保斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(カビの層)」を完璧に見切り、まるで汚れた壁面を専用のハタキでバサバサッ!と綺麗に払い落とし、本来の清潔な板張りを露出させるかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕(剪定)し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ蟲軍団ト絶対ノ瘴気暴走ガ、タダノ『換気魔法』ト『ハタキ』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ乾燥状態ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」
魔蛾女王は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に間引かれてカビが落ちた押し入れ」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで安全確保と余分なカビの剪定は完璧だね! あとは、あの一番デカくて奥に陣取っている『ガンコな親玉(魔蛾女王とコア)』の周りに、事象除菌の神仙アルコールスプレーをシュッシュッ!と吹きかけて、ガンコなカビの根を完全に除菌する! そして、残った厄介な蛾には『事象防虫の神仙クローゼット用防虫剤』をポンッ!と置いて、ニオイで根こそぎ駆除する! その後、ただ綺麗にするだけじゃなくて、資源が枯渇しないように因果抽出のふるいネットで『有用な極上闇魔法石』や『良質な特級幻獣絹成分』だけを綺麗に分別して残しつつ回収する! 最後に絶対環境の神仙エコ・収納コントローラーをコアにガチャン!と取り付けて、二度とカビや害虫が発生せず、永遠に一定の安全な絹を生み出し続けるように自動調整するだけだ!」
アルドは、特製『事象除菌の神仙アルコールスプレー』と『神仙防虫剤』を魔蛾女王の巨大な本体(次元の物質崩壊の中核)へと向けて構え、ゴム手袋でしっかりと握りしめて突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙除菌スプレーは星の因果の過剰な汚染を物理的に分解して安全な空間に整える絶対事象剪定ツールであり、神仙防虫剤とエコ・収納コントローラーは大宇宙のいかなる次元の瘴気迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要な害虫を間引いて駆除し、必要な資源だけを抽出し、収納・防虫効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な収納環境を枯渇させずに取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ猛毒ニ帰ス『終焉ノ絶対粉塵』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ繭ニ飲ミ込ンデクレルワ!」
魔蛾女王が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の鱗粉の波を放ってきた。
「うわっ! 奥の方から、すっごく強烈でタチの悪い巨大な蛾の群れとカビがせり出してきた! でも、この特製スプレーと防虫剤の前には、どんなにガンコな害虫も一発で綺麗に駆除されて、スッキリと片付いた安全な押し入れになるんだ!」
アルドが魔蛾女王の巨大な粉塵暴走(世界の物質崩壊の中心)に向けて、事象除菌の神仙アルコールスプレーを「シュッシュッ!!」と塗布し、続けて事象防虫の神仙クローゼット用防虫剤を「ポンッ!!」と力強く配置する。事象の毒粉の暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的除菌と防虫パワーによって面白いようにシュワシュワと無害化され、そこにアルドがスプレーを吹き続けると、強烈な毒素を持っていた呪いは瞬く間に無臭の安全な乾燥した絹糸となって崩れ落ち、心地よいハーブの香りと共に透明な輝きを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の粉塵爆発も、神仙のメンテナンス力の前にはただの除菌スプレーで落ちるカビと害虫となって分解され、魔蛾女王はあれよあれよという間に、ピカピカに清掃された無害な特注の高級クローゼットの防虫ケースのような姿へと整えられていく。
同時に、アルドは因果抽出のふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて崩れ落ちた魔物の残骸から、有用な極上闇魔法石や世界を豊かにする良質な特級幻獣絹成分だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、資源が枯渇しないように適切な量を迷宮に残しつつ、余剰分を収穫用コンテナへと回収していく。
完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部に、絶対環境の神仙エコ・収納コントローラーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動調湿管理・適度な絹生産・防虫コーティングモード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対にカビや蛾が発生せず、いつでも極上の絹糸とクリーンな空間を生み出す、最新式自動調湿機能付き押し入れのように管理されたクリーン収納インフラへと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶大粉塵ガ、タダノ除菌スプレーデ一瞬デ分解サレ、防虫剤デ害虫モ綺麗ニ駆除サレ、エコ・コントローラーデ一ミリモ残ラズ服ヲ食イ荒ラセナクナッタだトォォォッ!? シカモ、私ノ命(闇マナ)ガ完全ニ枯渇スルコトナク、心地ヨイ湿度デ永遠ニ満タサレ続ケルヨウニ調整サレテイル……!?」
「よし、ガンコな押し入れのカビと服食い蛾は完全に剪定されて通気が良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な収納設備になったぞ! 枯渇しないように資源の残量もバッチリ管理したからね! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域除湿コントロール&無限クリーン収納システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に点検してコントローラーをつけたら、凄く強力で絶対に猛毒粉塵爆発を起こさず、定期的に魔法石や極上のシルクをドロップしてくれる、巨大な全自動の広域調湿コントロール・無限クリーン収納インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な粉塵暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな空間と無限の安全な絹糸だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域収納・無限クリーン繊維インフラ』にできそうだよ!」
アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動調湿・超エコ防虫・極上シルク生産モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰な闇マナは、瞬く間に安全でクリーンな空間エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ猛毒ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニシルクト魔法石オ供給スル為ノ最新ノ自動調湿機能付キ・エコ押し入れ】ノヨウニ……!? イヤ、コントローラーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ繊維供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ食イ荒ラスノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノクリーンナ空間ト極上ノ衣服オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン収納プラント」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした魔蛾迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「押し入れのガンコなカビ取りと防虫剤の入れ替え(剪定)作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を崩壊させる禍々しい狂気の毒粉は、気がつけば「世界の収納・繊維環境を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな物質崩壊の暴走も一瞬で無害化し、極上のシルクと魔法石を枯渇することなく24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域調湿コントロール・無限クリーン収納インフラ(見た目は巨大でカラッと乾いた純白の最新式クローゼットと繊維プラント)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌なスタンピードと猛毒粉塵のリスクは片付いて、しかも資源が枯渇しないすっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな収納施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物のカビや蛾を気にせずに、どんな時でも安心な家で大切な服をしまっておけるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカの押し入れを守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが防虫剤の空き箱を片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い瘴気は一瞬にして晴れ渡り、防虫・鱗粉飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式収納設備と、澄み切った爽やかなハーブの香りが広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮と『剪定』でした、社長。我が社の広域調湿コントロール・クリーン収納システムは、これより大陸全土の迷宮維持・衣類管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。枯渇を防ぐための魔蛾迷宮からの定期防虫料金の自動引き落とし設定も完了いたしました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、全身を猛毒の粉で真っ白にしながら潜ってた瘴気のダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な無人シルク工場と高級住宅のウォークインクローゼットみたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。
「これからは、どんなカビ魔物やガンコな蛾の兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な汚れごとハタキで粉砕』して適度に剪定してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・繊維インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。魔蛾迷宮。押し入れのカビ取りと防虫剤設置(スタンピード及び枯渇対策の剪定)完了。全自動調湿・シルクインフラ化。異常なし。以上。』
ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす瘴気迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「押し入れがジメジメしてきたための定期的なカビ取りと防虫」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔蛾迷宮すらもピカピカの最新式収納システムの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、押し入れ清掃お疲れ様! 今日の3時のおやつは、回収した極上のハチミツをたっぷりかけた『特製・大精霊のふんわりシフォンケーキ〜星屑のホイップクリームを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるシフォンケーキは、ことのほか生地の軽さとクリームの甘みが、不老不死に近づいた五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの押し入れのガンコなカビ取りと防虫剤の入れ替え(剪定)作業」は、世界滅亡の猛毒粉塵スタンピードの危機をただの収納・衣類防虫メンテナンスとして解決し、資源を枯渇させることなく迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域除湿コントロール・無限クリーン収納インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常の持続可能なメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜
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