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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第232話:ただの洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルターの清掃(剪定)と、渦巻と激流の海溝迷宮の強制全自動広域浄化・無限クリーン水力インフラ化

第232話:ただの洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルターの清掃(剪定)と、渦巻と激流の海溝迷宮の強制全自動広域浄化・無限クリーン水力インフラ化(総合ライフサポート企業の水回り・洗濯機メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、夏の強い日差しと青空を見上げながら「これだけ晴れていると、洗濯物がすぐに乾いて気持ちがいいな」「シーツや毛布などの大物も一気に洗ってしまおう」「風通しの良い日陰に干せば、生地も傷まないぞ」などと、ごく一般的な田舎の夏場の洗濯事情について楽しげに語り合っている。

 世界中のありとあらゆる危険なダンジョンを「お風呂のカビ取り」や「加湿器の清掃」、「暖炉の煤落とし」といった定期メンテナンス業務として処理し、次々と全自動クリーンインフラに改修してきたアルド。彼の手にかかれば、世界を滅ぼすスタンピードなど「生活インフラの掃除や手入れをサボった結果の汚れや詰まり」に過ぎない。ダンジョンは生活の一部であり、完全に塞げば資源が枯渇してしまうため、適度な『剪定(間引き)』を行うことで安全で快適な設備へとリメイクされてきた。

 今日もまた、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしく揚がった肉の脂の香りと、フルーティーで濃厚な特製ソースの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる『幻獣豚の極厚ロースカツサンド〜大精霊の森の完熟フルーツで作った特製ソースと、シャキシャキの神仙キャベツを添えて〜』だ! まずは、脂身まで甘い幻獣豚の極厚ロース肉を筋切りし、天界のパン粉をたっぷりつけて、高温の神仙油でカラッと黄金色に揚げる! ザクッとした衣の中に肉汁を完全に閉じ込めるんだ。その横で、リンゴやトマト、数種のスパイスを三日三晩煮込んだ特製フルーツソースを、揚げたてのカツにたっぷりと潜らせる。これを、軽くトーストして神仙からしバターを塗ったフワフワの極上食パンに、大精霊のキャベツの千切りと一緒に挟み込む! ギュッと押さえてから包丁でスッと切れば、美しい断面からソースの香りが弾け飛ぶ。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な揚げ物とソースの香りを放つ特大の木製プレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、洗濯の相談を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣豚の圧倒的なビタミンB群と良質なタンパク質が全身の魔力回路を限界突破させ、特製フルーツソースの酵素とキャベツの食物繊維が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のカツサンドフルコース』である。

「うむ……! この分厚いカツサンドを両手で持ち、大きく口を開けてかぶりついた瞬間に広がる、衣のザクッという快音と、肉から溢れ出す暴力的なまでの旨味と脂の甘みのビッグバン! 噛むほどにパンの柔らかさとキャベツのシャキシャキ感が絶妙なハーモニーを奏で、フルーツソースのフルーティーな酸味とからしバターのピリッとした辛味が、肉の重さを完全に中和する! すかさずもう一口頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 揚げ物なのにいくらでも食べられそうな爽やかさがあり、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超高級洋食店で至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、両手でカツサンドを震わせながら持ち、神々と肩を並べて熱々の肉汁に感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上アイスコーヒーが振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られた脱衣所の大型魔導洗濯機の前で立ち止まり、真剣な表情で首を傾げた。

「……ねえ。今朝、みんなのシーツを洗おうと思って洗濯機を回した時から気になってたんだけど。洗濯槽の裏側に『タチの悪いガンコな真っ黒いカビと水垢』がビッシリ張り付いてて、水から生乾きみたいな嫌な匂いがするんだよね。おまけに、糸くずフィルターにドロドロのヘドロが詰まってて、排水がうまくできずに水が逆流しそうになってる。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な水産資源と清らかな水流エネルギーを供給している『渦巻と激流の海溝迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の深海魔獣やヘドロスライムが異常繁殖して水圧が飽和状態になり、洗濯機ダンジョンがガンコな黒カビと詰まりでビッシリになって、大洪水のスタンピード寸前になってるみたいだ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドは、世界の理を「生活家電のメンテナンス」として完璧に把握している。

「みんな、聞いて。ダンジョン(洗濯機)って、衣服を綺麗にしたり、生活に必要な綺麗な水とエネルギー(水力)を供給してくれる凄く大事な場所だよね。だから、危険だからって完全に壊して塞いじゃうと、世界中から水がなくなって資源が枯渇しちゃうんだ。でも、放置しすぎるとカビやヘドロ(魔物)が分厚く成長して、スタンピード(大洪水)を起こしてしまう。だからこそ、定期的に危険な場所から優先して『余分な汚れを落として間引く(剪定)』して、スタンピードを防ぎつつ、水資源が枯渇しないように自動で水流を管理する対策が必要なんだ!」

「社長の仰る通りです。ダンジョンの『剪定』と『持続可能な資源管理』……まさに我が社の理念の集大成ですね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「現在、世界で最も危険な水害暴走の震源地として警戒されているのが、その『渦巻と激流の海溝迷宮』です。内部は完全に水・汚泥属性の魔物が飽和状態にあり、いつ大洪水と大渦巻のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に希少な『極上水魔法石』や、生活を支える『清浄な水流(水力)』を提供する『重要な浄水・動力設備』でもあります。潰さずに適正な水質と清潔さに剪定する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」

「その通り! だから今日は、洗濯槽にこびりついたガンコな黒カビ(魔物)をしっかり溶かし落として、安全に水が循環できる状態に剪定するよ! まずは専用の『事象洗浄の神仙洗濯槽クリーナー』をドバーッと入れて、奥深くまでこびりついた汚れをシュワシュワッ!と根こそぎ浮かし落とす。そして詰まった糸くずフィルターは『事象清掃の神仙専用ブラシ』で擦って、ドロドロのヘドロを掻き出すんだ。もちろん、資源が枯渇しないように、有用な水魔法石や綺麗な浄水成分は『因果抽出のふるいネット』でしっかり残して回収する。最後に詰まったコアを『最新式・自動槽洗浄機能付き神仙エコ洗濯機チューナー』にリフォームして、物理的に二度とカビが詰まらず、かつ適度な水流を永遠に生み出し続ける完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。洗濯槽の裏にこびりついた鬱陶しいヘドロスライムども(魔獣の群れ)の粉砕と、排水を塞いでいる無駄な汚泥塊の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の高圧洗浄ノズルとブラシで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(カビ落としと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の高圧洗浄機のように構えて不敵に笑う。

「ええ。ダンジョン内に漂う危険な猛毒の汚水や嫌な生乾き臭(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・除菌魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全に洗浄作業ができる清潔な環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、溶け落ちたヘドロや飛び散る汚水が、外の世界やご近所の床を水浸しにしないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防水・飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 洗濯槽の掃除は塩素の匂いがするし、汚水が溢れる危険があるから、しっかり防水養生をして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の猛毒水と水圧を完全に弾く特製水回り清掃用・完全防水エプロンと長靴、ゴム手袋)に着替え、手には巨大な「事象洗浄の神仙洗濯槽クリーナー」と「神仙専用ブラシ」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対浄水の神仙エコ洗濯機チューナー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『水回り・洗濯機メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの水害被害とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔なカビを『剪定』して、枯渇しない優良なクリーン水力インフラにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、洗濯機清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力なクリーナー溶液タンクと高圧洗浄機搭載)に乗り込み、空間が視界を遮るほどの激しい渦とドス黒い水流で溢れかえっている次元の迷宮『渦巻と激流の海溝迷宮』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の迷宮『渦巻と激流の海溝迷宮』の内部。

 そこは、長年の放置により凶悪な深海竜やヘドロスライムが異常繁殖し、地底湖を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの激流地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の過剰水圧と汚泥が魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(大洪水のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。

「ゴボボボォォォッ!! 我ら激流の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの水圧の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての文明を飲み込み、この世界を我らの新たな海の底(迷宮)と変えてくれるわ!」

 迷宮の最深部で、無数の水棲魔獣たちを統べる超巨大な『激流の海竜ヴォルテックス・ドラゴン』が、傲慢な渦巻の咆哮と共に猛烈な水流と黒いヘドロを乱射していた。

「さあ、氾濫せよ! 地上の脆弱な治水防壁など、我らの圧倒的な水圧と激流の前には一瞬で決壊する! スタンピードの恐怖を――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 激流の海竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な渦巻が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の大津波とヘドロの群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、巨大な洗濯槽クリーナーと専用ブラシを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの耳障りな水音を完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 洗濯機のガンコな黒カビと嫌な生乾き臭さん(魔物たち)、定期槽洗浄とフィルターの間引き作業(剪定)に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい槽の裏側のドロドロっぷりと、外にまで汚水を撒き散らそうとしてるタチの悪い排水不良(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなにカビを溜め込むなんて、水回り管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にクリーナーでの洗浄と、自動槽洗浄機能付きエコ洗濯機へのリフォームのしがいがあるや!」

 アルドは、防水ゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの清掃業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ海溝迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ激流デ、一瞬ニシテ海ノ藻屑ニシテクレルワ!」

 激流の海竜が驚愕の水圧ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、ドス黒い水たまりの地面へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい壁面に湧いたヘドロ塊ども(魔獣の群れ)の伐採と、水流の循環を塞いでいる無駄な汚泥の解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の高圧洗浄機とブラシで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(カビ落としと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ激流軍勢ヲ『洗濯機の黒カビと嫌な匂い』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ大渦巻ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ海溝ノ底ニ沈メテクレルワ!」

 海竜の怒号と共に、空間を覆うほどの猛毒の汚水と狂暴性を纏ったスライムの群れが、一斉にアルドたちに向かって黒い津波のごとく押し寄せてきた。

「うわっ、この黒カビたち、すっごく分厚くこびりついてて水の通り道を完全に塞いじゃってる! 放置してたら洗った服まで汚れが移って臭くなっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で増殖したタチの悪いガンコな洗濯機のカビ汚れ」と完全に認識し、神仙洗濯槽クリーナーのボトルをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『浄水設備の放置によるカビ詰まりと排水不良被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は水回り清掃業者として、こいつらを適度に『剪定』して安全に水が回るようにし、ピカピカのエコ洗濯機にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の洗濯機清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。洗い落としたカビや溢れ出す激流が外の世界を水浸しにしないよう、まずは私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防水・飛散防止シートを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防水シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の洗濯機清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の大洪水やスタンピードの魔物は一滴の汚水たりとも外の世界に漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな生乾き臭や猛毒の汚泥(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・除菌処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力換気・除菌魔法』が、超強力な清浄な風とクリアな空気となって周囲の狂気の濁流を包み込み、一気に中和してカビが分解しやすい清潔な空間へと変えた。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を腐敗させる猛毒の水流は、その浄化の除菌効果を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でサラサラと流れやすい薄い水垢へと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただのカビの塊やヘドロなど、ただの洗浄ブラシのマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に削り落として水流の通りを良くしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「迷宮過剰繁殖水棲獣解体カビ落トシ排水確保斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(汚れの繋ぎ目)」を完璧に見切り、まるでドロドロの洗濯槽の裏側を専用のブラシと高圧水でシャワワワッ!と綺麗に洗い落とし、水の循環を良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕(剪定)し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ激流軍団ト絶対ノ洪水暴走ガ、タダノ『除菌魔法』ト『カビ削リ落トシ』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ水量ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」

 激流の海竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に間引かれて水が回りやすくなった洗濯槽」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保と余分なカビの剪定は完璧だね! あとは、あの一番デカくて洗濯機を詰まらせている『ガンコな親玉(海竜とコア)』に、事象洗浄の神仙洗濯槽クリーナーをドバーッ!と入れて、シュワシュワッ!と分厚い汚れを徹底的に浮かし落とす! そして、ゴミが詰まった糸くずフィルター(コアの周辺)は『事象清掃の神仙専用ブラシ』でゴシゴシッ!と擦ってヘドロを完全に掻き出す! その後、ただ洗い流すだけじゃなくて、資源が枯渇しないように因果抽出のふるいネットで『有用な極上水魔法石』や『良質な浄水成分』だけを綺麗に分別して残しつつ回収する! 最後に絶対浄水の神仙エコ洗濯機チューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度とカビが詰まらず、永遠に一定の水流を出し続けるように自動調整するだけだ!」

 アルドは、特製『事象洗浄の神仙洗濯槽クリーナー』と『神仙専用ブラシ』を海竜の巨大な本体(次元の洪水暴走の中核)へと向けて構え、防水長靴で水たまりを踏みしめて突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙クリーナーは星の因果の過剰汚染を物理的に溶かし落として安全な洗濯機に整える絶対事象剪定ツールであり、神仙ブラシとエコ洗濯機チューナーは大宇宙のいかなる次元の海溝迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要なゴミを間引いて必要な資源だけを抽出し、浄水と資源供給効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な水力環境を枯渇させずに取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ海ノ底ニ帰ス『終焉ノ絶対洪水アビス・フラッド』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ激流ノ中ニ飲ミ込メテクレルワ!」

 海竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の激流の波を放ってきた。

「うわっ! 洗濯槽の奥から、すっごく強烈でタチの悪い巨大なカビとヘドロの塊がせり出してきた! でも、この特製クリーナーと専用ブラシの前には、どんなに凶暴な汚れも一発で綺麗に洗い落とされて、ピカピカで無臭の安全な洗濯機になるんだ!」

 アルドが海竜の巨大な洪水現象(世界の水流暴走の中心)に向けて、事象洗浄の神仙洗濯槽クリーナーを「ドバーッ、シュワシュワッ!!」と豪快に注ぎ込む。事象の洪水暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的洗浄パワーによって面白いようにボロボロと剥がれ落ち、そこにアルドが神仙専用ブラシを「ゴシッ、ゴシゴシッ!」と力強く当てると、強烈な生乾き臭を持っていた激流は瞬く間に無臭の安全な水流となって落ち着き、心地よい水音と共に透明な輝きを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の大洪水も、神仙の清掃力の前にはただの洗い流されるカビ汚れとなって分解され、海竜はあれよあれよという間に、ピカピカに磨き上げられた無害な特注の大型洗濯機のステンレス槽のような姿へと整えられていく。

 同時に、アルドは因果抽出の神仙ふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて崩れ落ちた魔物の残骸から、有用な極上の水魔法石や生活を支える良質な浄水成分だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、資源が枯渇しないように適切な量を迷宮に残しつつ、余剰分を収穫用バケツへと回収していく。

 完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部ダンジョンコアに、絶対浄水の神仙エコ洗濯機チューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動水量調節・適度な水流・自動槽洗浄モード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対にカビがこびりつかず、匂いもない、最新式自動洗浄機能付き大型ドラム式洗濯機のように管理されたクリーン水力インフラへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒洪水ガ、タダノクリーナーデシュワシュワ溶カサレ、ブラシデゴシゴシ擦ラレ、エコ洗濯機チューナーデ一ミリモ残ラズ排水不良ヲ起コセナクナッタだトォォォッ!? シカモ、私ノ命(水流)ガ完全ニ枯渇スルコトナク、心地ヨイ水量デ永遠ニ流レ続ケルヨウニ調整サレテイル……!?」

「よし、ガンコな洗濯槽のカビと嫌な匂いは完全に剪定されて水流の循環が良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な浄水設備になったぞ! 枯渇しないように資源の残量もバッチリ管理したからね! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域浄水&無限クリーン水力システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に掃除してチューナーをつけたら、凄く強力で絶対に汚水を溢れさせず、定期的に水魔法石や極上の清らかな水をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域浄化・無限クリーン水力インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な洪水暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな水流と無限の安全な水魔法石だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域浄水&無限クリーン水力インフラ』にできそうだよ!」

 アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動槽洗浄・超エコ節水・極上ピカピカ浄水モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰水流の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな水力エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ海底ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ水流ト魔法石オ供給スル為ノ最新ノ自動槽洗浄機能付キ・エコ洗濯機】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ水力供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ飲ミ込ムノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ清ラカナ水ト極上ノエネルギーオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン洗濯機」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした海溝迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルターの清掃(剪定)作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を飲み込む禍々しい狂気の洪水は、気がつけば「世界の浄水・水力環境を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな激流の暴走も一瞬で無害化し、極上の浄水と水魔法石を枯渇することなく24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域浄化・無限クリーン水力インフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式ドラム式洗濯機と浄水プラント)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌なスタンピードと排水不良のリスクは片付いて、しかも資源が枯渇しないすっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな浄水施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の洪水暴走や生乾き臭を気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で綺麗なお水を使えるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカの洗濯機を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドが専用ブラシを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い汚水は一瞬にして晴れ渡り、防水飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式浄水設備と、澄み切った清らかな水の香りが広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮と『剪定』でした、社長。我が社の広域浄水・クリーン水力システムは、これより大陸全土の迷宮維持・水質管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。枯渇を防ぐための海溝迷宮からの定期水道料金の自動引き落とし設定も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、全身を水浸しにされながら潜ってた深海ダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な無人浄水工場とコインランドリーみたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな水棲魔物やガンコなカビの兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な汚れごと高圧洗浄機で洗い落とし』て適度に剪定してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・水力インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。海溝迷宮。洗濯機の槽洗浄とフィルター清掃(スタンピード及び枯渇対策の剪定)完了。全自動浄水・水力インフラ化。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす海溝迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「洗濯機から嫌な匂いがしたための定期的な槽洗浄掃除」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、海溝迷宮すらもピカピカの最新式洗濯機の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、洗濯機の掃除お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になったお水から作った『特製・大精霊の果汁たっぷり・極上フルーツポンチサイダー〜星屑のミントと透明なゼリーを浮かべて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるフルーツポンチは、ことのほか果実の甘さと炭酸の爽快感が五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルターの清掃(剪定)作業」は、世界滅亡の大洪水スタンピードの危機をただの水回り・洗濯機メンテナンスとして解決し、資源を枯渇させることなく迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域浄化・無限クリーン水力インフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常の持続可能なメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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