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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第229話:ただの加湿器のガンコなカルキ汚れ落としと給水タンクのヌメリ取りと、濃霧の白化迷宮の強制全自動広域加湿・無限クリーンミストインフラ化

第229話:ただの加湿器のガンコなカルキ汚れ落としと給水タンクのヌメリ取りと、濃霧の白化迷宮の強制全自動広域加湿・無限クリーンミストインフラ化(総合ライフサポート企業の空調加湿・水質メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、吐く息が白く染まる冬の朝の乾燥した空気の中で「この時期は喉が乾燥してエヘン虫が湧きやすいな」「肌がカサカサになるから保湿クリームをたっぷり塗っておかないと」「火の元だけでなく、部屋の湿度管理も重要だぞ」などと、ごく一般的な田舎の冬の乾燥対策について真剣に語り合っている。

 世界中のありとあらゆる危険なダンジョンを「お風呂のカビ取り」や「窓ガラスの水垢落とし」、「庭の草むしり」といった定期メンテナンス業務として処理し、次々と全自動クリーンインフラに改修してきたアルド。彼の手にかかれば、世界を滅ぼすスタンピードなど「生活インフラの掃除やメンテナンスをサボった結果の汚れや詰まり」に過ぎず、適度な間引きと清掃によって、資源を枯渇させることなく安全で快適な設備へとリメイクされてきた。

 今日もまた、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、芳醇な赤ワインの香りと、肉の旨味が極限まで溶け出したデミグラスソースの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる『幻獣牛の極厚タンシチュー〜大精霊の赤ワイン煮込みと、焼きたて星屑のガーリックフランスパンを添えて〜』だ! まずは、幻獣牛の希少部位である極太のタンを、天界の赤ワインと神仙の香味野菜で丸三日かけてトロットロになるまで煮込む! 箸でスッと切れるほど柔らかくなったタンに、牛骨の旨味を凝縮した特製デミグラスソースをたっぷりと絡め、さらにオーブンで軽く焼き上げて香ばしさをプラスするんだ。その横で、神仙小麦で焼き上げた外はパリパリ、中はモッチリのバゲットに、大精霊のガーリックバターをたっぷり塗ってこんがりとトーストする。これに、シチューの濃厚なソースをつけて食べる! 彩りに大精霊の森で採れたブロッコリーとミニトマトを添えて……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な洋食の香りを放つ特大の朝食プレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、乾燥対策の相談を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣牛の圧倒的な鉄分とビタミン群が全身の魔力回路を限界突破させ、赤ワインのポリフェノールとガーリックのスタミナ成分が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の煮込みフルコース』である。

「うむ……! この極厚のタンにナイフを入れた瞬間、力を入れずとも崩れる柔らかさに驚愕し、口に運んだ瞬間に広がる、肉の暴力的なまでの旨味と赤ワインの芳醇な香りのビッグバン! 噛むほどに溢れ出すゼラチン質の甘みが、濃厚なデミグラスソースと完璧に混ざり合う! すかさずサクサクのガーリックフランスパンで皿に残ったソースを余すことなく拭って頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! ガーリックのパンチがシチューのコクをさらに引き立て、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の三ツ星フレンチレストランで至福の朝食を貪る大貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、ナイフとフォークを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々のタンシチューに感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ダージリンティーが振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座り、ふと部屋の隅で稼働している大型加湿器を眺めて首を傾げた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、加湿器から『ガリガリッ……ゴポンッ』って変な音がしてて、全然ミストが出てないんだよね。中を開けてみたら、気化フィルターに『タチの悪いガンコな真っ白のカルキ(石灰岩)』がガチガチにこびりついてて、給水タンクの底にはピンク色のヌメリ(赤カビ)が繁殖してる。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な清浄な水と潤いのミスト、そして幻夢の魔法石を供給している『濃霧と幻夢の白化迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の石灰魔獣や赤カビスライムが異常繁殖してミネラルと湿気が飽和状態になり、加湿器ダンジョンがガンコな石灰化とヌメリでビッシリ詰まって、大濃霧と白化のスタンピード寸前になってるみたいだね。完全に定期的なクエン酸でのつけ置き洗いとタンクの清掃をサボったせいで発生する、加湿不良と悪臭のトラブルだよ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「加湿器のカルキ汚れとタンクのヌメリ」。それはすなわち、世界の水質ミネラルと大気の潤いを司る最重要ダンジョンの一つ『濃霧と幻夢の白化迷宮』が限界を迎え、無数の石灰ゴーレムと赤カビ魔獣を率いて外の世界へ溢れ出し、大陸全土を視界ゼロの猛毒の濃霧と石灰化の底へと沈めようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界をガンコなカルキ汚れや赤カビの心配がない、いつでも喉と肌に優しい極上のクリーンミストが漂う快適空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた濃霧ダンジョンのミネラル飽和と、スタンピードの危機……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「現在、世界で最も危険な大気汚染と石灰化の震源地として警戒されているのが、その『濃霧と幻夢の白化迷宮』です。内部は完全に石灰・粘菌属性の魔物が飽和状態にあり、いつ濃霧暴走のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に希少な幻夢の魔法石や、大気を浄化し肌を潤す『最高級の美容ミスト(天然加湿)』を提供する『重要な空調・水質設備(資源)』でもあります。潰すわけにはいかないため、適正な湿度と清潔さに調整する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」

「なるほど! やっぱりダンジョンは生活の一部インフラだから、完全に塞いじゃうとみんなの肌がカサカサになっちゃうし、魔法石の素材も採れなくなっちゃうんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロの空調・水回り清掃業者としての血を騒がせた。

「フィルターにガチガチに固まったカルキ(魔物)を溶かして、ガンコなタンクのヌメリを綺麗にスポンジで洗い落とし、安全にミストを放出できる状態を維持する。これが持続可能な湿度管理の鉄則だよ! まずは専用の『事象溶解の神仙クエン酸クリーナー』をたっぷり吹きかけて、カチカチの石灰汚れをシュワシュワッと根こそぎ溶かす。タンクのピンク汚れは『事象除菌の神仙スポンジ』でキュッキュッ!と一滴のヌメリも残さず洗い上げるんだ! さらに不要な魔物を間引きつつ、有用な幻夢の魔法石や高純度の美容純水は『因果抽出のふるいネット』でしっかり回収。最後に詰まったコアを『最新式・自動給水・除菌機能付き神仙エコ加湿器チューナー』にリフォームして、物理的に二度とカルキが固まらない完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。フィルターの網目にこびりついた鬱陶しい石灰魔獣ども(魔獣の群れ)の粉砕と、水の通り道を塞いでいる無駄なカルキ塊の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーとハンマーで一つ残さず叩き割り、完璧な『下地処理(カルキ砕きと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の硬質スクレーパーのように構えて不敵に笑う。

「ええ。ダンジョン内に漂う危険な猛毒の濃霧や赤カビの胞子(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・除湿魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全に清掃作業ができるクリアで適度な湿度の環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、溶け落ちたカルキ水や飛び散る赤カビが、外の世界やご近所の壁紙を汚さないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防水・防湿飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 加湿器掃除はクエン酸の匂いがするし、石灰の粉が舞う危険があるから、しっかり防湿養生をして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の白化呪いと胞子を完全に弾く特製水回り清掃用・完全防水エプロンとゴム手袋、防護マスク)に着替え、手には巨大な「事象溶解の神仙クエン酸クリーナー」と「神仙スポンジ」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対加湿の神仙エコ加湿器チューナー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『空調加湿・水質メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの加湿不良とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔なカルキと赤カビを間引いて、迷宮を優良なクリーンミストインフラにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、加湿器清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力なクエン酸溶液タンクと洗浄スポンジ搭載)に乗り込み、空間が視界ゼロの濃霧と真っ白な石灰の地表で溢れかえっている次元の迷宮『濃霧と幻夢の白化迷宮』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の迷宮『濃霧と幻夢の白化迷宮』の内部。

 そこは、長年の放置により凶悪な石灰ゴーレムや赤カビスライムが異常繁殖し、地表を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの白化地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の過剰ミネラルと水分が魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(大濃霧と石灰化のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。

「シュゴォォォッ!! 我ら白化の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの石灰の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての生命の喉を塞ぎ、この世界を我らの新たな真っ白な化石(迷宮)と変えてくれるわ!」

 迷宮の最深部で、無数の石灰魔獣たちを統べる超巨大な『白霧の幻夢竜カルキ・ドラゴン』が、傲慢なノイズの咆哮と共に猛烈な石灰の霧と赤カビの胞子を乱射していた。

「さあ、固まれ! 地上の脆弱な浄化結界など、我らの圧倒的な白化現象とヌメリの前には一瞬で呼吸困難に陥る! スタンピードの恐怖を――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 白霧の幻夢竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な濃霧が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の石灰の雨と赤カビの群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、巨大なクエン酸クリーナーとスポンジを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの耳障りな析出音を完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 加湿器のガンコなカルキ汚れとタンクの赤カビさん(魔物たち)、定期つけ置き洗いとスポンジ清掃に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいフィルターのガチガチっぷりと、外にまで濃霧を撒き散らそうとしてるタチの悪い加湿不良(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなにミネラルとピンク汚れを溜め込むなんて、空調管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にクエン酸での溶解と、自動除菌機能付きエコ加湿器へのリフォームのしがいがあるや!」

 アルドは、防水ゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの清掃業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ白化迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ濃霧デ、一瞬ニシテ肺ヲ石灰化シテクレルワ!」

 白霧の幻夢竜が驚愕のカルキブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、ガチガチに固まった白い地面へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しいフィルターに湧いた石灰塊ども(魔獣の群れ)の伐採と、ミストの通り道を塞いでいる無駄なカルキの解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(カルキ砕きと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ石灰軍勢ヲ『加湿器のカルキと赤カビ』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ濃霧ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ化石ニ変エテクレルワ!」

 幻夢竜の怒号と共に、空間を覆うほどの視界ゼロの濃霧と狂暴性を纏ったゴーレムの群れが、一斉にアルドたちに向かって白い雪崩のごとく押し寄せてきた。

「うわっ、このカルキたち、すっごく硬くこびりついててフィルターの目を完全に塞いじゃってる! 放置してたら部屋の中が乾燥したままで風邪引いちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で結晶化したタチの悪いガンコな加湿器のカルキ汚れ」と完全に認識し、神仙クエン酸クリーナーのボトルをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『空調設備の放置による石灰化と加湿不良被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は加湿器清掃業者として、こいつらを完璧に溶かして洗い落として、ピカピカのエコ加湿器にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の加湿器清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。飛び散るカルキの粉や溢れ出す濃霧が外の世界を汚染しないよう、まずは私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防水・防湿飛散防止シートを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防湿シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の加湿器清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の白化現象やスタンピードの魔物は一滴の濃霧たりとも外の世界に漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな過剰湿気や猛毒の濃霧(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・除湿処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力除湿魔法』が、超強力なドライの風とクリアな空気となって周囲の狂気の霧を包み込み、一気に中和して視界が晴れ渡る適正な湿度の空間へと変えた。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を石灰化させる猛毒の濃霧は、その浄化の除湿効果を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でポロポロと崩れやすい乾燥した汚れへと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの石灰の塊や赤カビなど、ただのスクレーパーのマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に削り落としてミストの通りを良くしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「迷宮過剰繁殖石灰獣解体カルキ砕キ加湿確保斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(結晶の繋ぎ目)」を完璧に見切り、まるでガチガチのフィルターを専用のヘラでガリガリッ!と綺麗に削り落とし、水分の蒸発を良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ石灰軍団ト絶対ノ濃霧暴走ガ、タダノ『除湿魔法』ト『スクレーパー削リ』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ湿度ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」

 白霧の幻夢竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に削り落とされて通気性が良くなったフィルター」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保と余分なカルキの削り落としは完璧だね! あとは、あの一番デカくて加湿器を詰まらせている『ガンコな親玉(幻夢竜とコア)』に、事象溶解の神仙クエン酸クリーナーをシュッシュッ!とたっぷり吹きかけて汚れを酸の力でシュワシュワ浮かす! そして、赤カビが生えてる給水タンクの底を『事象除菌の神仙スポンジ』でキュッ、キュッ!と擦ってヌメリを完全に洗い流す! その後、洗い落とした魔物から因果抽出のふるいネットで有用な幻夢の魔法石や極上の美容純水成分だけを綺麗に分別して回収する! 最後に絶対加湿の神仙エコ加湿器チューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度とカルキが固まらないように自動調整するだけだ!」

 アルドは、特製『事象溶解の神仙クエン酸クリーナー』と『神仙スポンジ』を幻夢竜の巨大な本体(次元の濃霧暴走の中核)へと向けて構え、防水シューズで石灰の破片を踏みしめて突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙クエン酸クリーナーは星の因果の石灰化を物理的に溶解して清潔なフィルターに整える絶対事象洗浄ツールであり、神仙スポンジとエコ加湿器チューナーは大宇宙のいかなる次元の白化迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要なゴミを洗い流して必要な資源だけを抽出し、加湿と水質浄化効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な空調環境を取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ化石ニ変エル『終焉ノ絶対白化(アビス・カルキ化)』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ石ノ中ニ封ジ込メテクレルワ!」

 幻夢竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の石灰ミストの波を放ってきた。

「うわっ! フィルターの奥から、すっごく強烈でタチの悪い巨大な石灰の塊がせり出してきた! でも、この特製クエン酸クリーナーとスポンジの前には、どんなに凶暴な汚れも一発で綺麗に溶かされて、ピカピカの清潔なタンクになるんだ!」

 アルドが幻夢竜の巨大な白化現象(世界の濃霧暴走の中心)に向けて、事象溶解の神仙クエン酸クリーナーを「シュッシュッ!!」と満遍なく吹き付ける。事象の濃霧暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的酸性パワーによって面白いようにシュワシュワと発泡して溶け出し、そこにアルドが神仙スポンジを「キュッ、キュッ!」とリズミカルに滑らせると、強烈な石灰化の力を持っていたミストは瞬く間に一滴のヌメリも残さず洗い流され、心地よい摩擦音と共に透明な輝きを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の白化現象も、神仙の清掃力の前にはただの洗い流されるミネラル汚れとなって分解され、幻夢竜はあれよあれよという間に、ピカピカに磨き上げられた無害な特注の給水タンクとフィルターのような姿へと整えられていく。

 同時に、アルドは因果抽出の神仙ふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて溶け落ちた魔物の残骸から、有用な極上の幻夢魔法石や肌を潤す美容純水の素材だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、収穫用タンクへと次々に回収していく。

 完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部ダンジョンコアに、絶対加湿の神仙エコ加湿器チューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動除菌給水・快適ミスト・防カルキモード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対にカルキがこびりつかない、最新式自動除菌ハイブリッド加湿器のように管理されたクリーン加湿インフラへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒白化ガ、タダノクエン酸デシュワシュワ溶カサレ、スポンジデキュッキュッ!ト洗イ流サレ、エコ加湿器チューナーデ一ミリモ残ラズ加湿不良ヲ起コセナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコなフィルターのカルキとタンクの赤カビは完全に取れてミストの出が良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な空調設備になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域加湿&無限クリーンミストシステム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に掃除してチューナーをつけたら、凄く強力で絶対に濃霧を溢れさせず、定期的に幻夢魔法石や極上の美容ミストをドロップしてくれる、巨大な全自動の広域加湿・無限クリーンミストインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な白化暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな潤いミストと無限の純水だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域加湿&無限クリーンミストインフラ』にできそうだよ!」

 アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動除菌・超エコ加湿・極上美容ミストモード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰ミネラルの魔力は、瞬く間に安全でクリーンな加湿エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ化石ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ潤イト純水オ供給スル為ノ最新ノ自動除菌機能付キ・エコ加湿器】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ空調供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ石灰化スルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ潤イト極上ノ空気オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン加湿器」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした白化迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「加湿器のガンコなカルキ汚れ落としとタンクのヌメリ取り作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を石灰化させる禍々しい狂気の濃霧は、気がつけば「世界の加湿・水質環境を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんなカルキの暴走も一瞬で無害化し、極上の純水と美容ミストを24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域加湿・無限クリーンミストインフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式ハイブリッド加湿器と除菌給水タンク)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌なスタンピードと加湿不良のリスクは片付いて、すっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな空調施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の濃霧暴走や肌の乾燥を気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で潤った空気を吸えるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカの加湿器を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがスポンジを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い濃霧は一瞬にして晴れ渡り、防湿飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式加湿設備と、澄み切った潤いのある清らかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域加湿・クリーンミストシステムは、これより大陸全土の迷宮維持・空調管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。白化迷宮からの定期メンテナンス費用の自動引き落とし設定も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、全身が石になりかけながら潜ってた濃霧ダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な無人美容スパの加湿器みたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな石灰の魔物やガンコなカルキの兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な汚れごとスクレーパーで削り落とし』てやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・空調インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。白化迷宮のスタンピード危機を「加湿器のカルキ落としとヌメリ取り」として処理。全自動加湿・美容ミストインフラ化完了。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす白化迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「部屋が乾燥してきたための定期的な加湿器掃除」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、白化迷宮すらもピカピカの最新式加湿器の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、加湿器掃除お疲れ様! 今日の3時のおやつは、乾燥した喉を優しく潤してくれる『特製・大精霊のハチミツレモン・ホットカリン酒(アルコール飛ばし)と、星屑の特製のど飴風フルーツドロップ』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるホットドリンクは、ことのほかハチミツの甘さとカリンの香りが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの加湿器のガンコなカルキ汚れ落としと給水タンクのヌメリ取り作業」は、世界滅亡の濃霧スタンピードの危機をただの空調加湿メンテナンスとして解決し、迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域加湿・無限クリーンミストインフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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