第228話:ただの庭のガンコな雑草むしりと伸びすぎた生け垣の剪定と、暴緑の樹海迷宮の強制全自動広域緑化・無限クリーン木材インフラ化
第228話:ただの庭のガンコな雑草むしりと伸びすぎた生け垣の剪定と、暴緑の樹海迷宮の強制全自動広域緑化・無限クリーン木材インフラ化(総合ライフサポート企業の造園・緑地メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、少しずつ暖かくなってきた春の兆しを感じる空気の中で「そろそろ冬野菜の収穫を終えて、春の種まきの準備だな」「花壇のレイアウトはどうしようか」「庭のベンチでお茶を飲むのに最高の季節が来るぞ」などと、ごく一般的な田舎の園芸と庭づくりについて楽しげに語り合っている。
世界中のありとあらゆる危険なダンジョンを「エアコンの修理」や「換気扇の掃除」、「窓ガラスの水垢落とし」といった定期メンテナンス業務として処理し、次々と全自動クリーンインフラに改修してきたアルド。彼の手にかかれば、世界を滅ぼすスタンピードなど「生活インフラの掃除や手入れをサボった結果の汚れや伸びすぎた枝葉」に過ぎず、適度な間引きと手入れによって、資源を枯渇させることなく安全で快適な設備へとリメイクされてきた。
今日もまた、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしく焼けたバターの香りと、極限まで煮詰まったデミグラスソースの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる『幻獣牛と天界豚の黄金比ハンバーグを乗せた、究極のフワトロ・オムライス〜大精霊の森の完熟トマトで作った特製デミグラスソースと、カリカリ星屑フライドポテトを添えて〜』だ! まずは、天界鶏の特濃卵を惜しげもなく3個使い、神仙バターをたっぷり溶かしたフライパンで、外はツルン、中はトロットロの半熟に焼き上げる! その黄金のオムレツを、幻獣鶏の出汁とマッシュルームで炊き上げたケチャップライスの上にドカンと乗せ、ナイフでスッと切れ目を入れて花のように開かせるんだ。そこに、肉汁が溢れ出す極厚の黄金比ハンバーグをトッピングし、牛骨と神仙野菜を三日三晩煮込んだ特製デミグラスソースを滝のようにかける! その横で、幻獣ジャガイモを二度揚げして外はカリッ、中はホクホクに仕上げたフライドポテトに、星屑のハーブソルトをまぶして添える。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的な洋食の香りを放つ特大の朝食プレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、花壇の相談を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば天界卵の圧倒的なアミノ酸とハンバーグの肉汁が全身の魔力回路を限界突破させ、デミグラスソースの深いコクが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の洋食フルコース』である。
「うむ……! このフワトロの卵とケチャップライスをスプーンですくい、たっぷりのデミグラスソースを絡めて口に運んだ瞬間に広がる、卵の甘みとソースの暴力的なまでの深いコクのビッグバン! さらにその上の極厚ハンバーグを崩せば、決壊したダムのように肉汁が溢れ出し、オムライスと完璧なハーモニーを奏でる! すかさずカリッカリのフライドポテトで皿に残ったソースを掬って頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! ハーブソルトの爽やかな香りが肉の重さを完全にリセットし、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超一流洋食店で至福の朝食を貪る皇帝のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、スプーンを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々のオムライスに感涙して咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ブレンドコーヒーが振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座り、ふと窓の外の庭園を眺めて首を傾げた。
「……ねえ。今朝からなんだけど、庭の隅の方に『タチの悪いガンコな雑草(ツル植物)』がビッシリ生えてて、生け垣も伸び放題でボサボサになってるんだよね。おまけに日当たりが悪くなってて、花壇の栄養まで吸い取られそうになってる。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な木材資源と薬草、そして清浄な空気(酸素)を供給している『暴緑と狂蔓の樹海迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の植物魔獣やトレントが異常繁殖して生命力が飽和状態になり、庭がガンコな雑草と伸びすぎた枝葉でビッシリ詰まって、大森林のスタンピード寸前になってるみたいだね。完全に定期的な草むしりと剪定バサミでの手入れをサボったせいで発生する、日照不足と景観悪化のトラブルだよ」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「庭の雑草と伸びすぎた生け垣」。それはすなわち、世界の森林と自然の循環を司る最重要ダンジョンの一つ『暴緑と狂蔓の樹海迷宮』が限界を迎え、無数の植物魔獣と狂気のツルを率いて外の世界へ溢れ出し、大陸全土を魔の樹海の底へと沈めようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界をガンコな雑草や景観悪化の心配がない、いつでも日当たりが良くて綺麗に整えられた極上のガーデンにする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた樹海ダンジョンの生命力飽和と、スタンピードの危機……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「現在、世界で最も危険な植生侵略の震源地として警戒されているのが、その『暴緑と狂蔓の樹海迷宮』です。内部は完全に植物・木属性の魔物が飽和状態にあり、いつ大森林暴走のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に希少な万能薬草や、建築に欠かせない『最高級の魔法木材』を提供する『重要な造園・林業設備(資源)』でもあります。潰すわけにはいかないため、適正な緑量と景観に調整する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」
「なるほど! やっぱりダンジョンは生活の一部だから、完全に塞いじゃうとみんなが家を建てる木材に困るし、病気を治す薬草も採れなくなっちゃうんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロの造園・緑地メンテナンス業者としての血を騒がせた。
「庭を侵食してる雑草(魔物)を根元から引き抜いて、ガンコな生け垣を綺麗に刈り込み、安全に自然の恵みを受け取れる状態を維持する。これが持続可能な緑地管理の鉄則だよ! まずは専用の『事象抜根の神仙草むしりカマ』で、深く根を張ったツルをスパスパッ!と刈り取り、ボサボサの枝葉を『事象剪定の神仙刈り込みバサミ』でチョキチョキッ!と綺麗な丸い形に整えるんだ! さらに不要な魔物を間引きつつ、有用な万能薬草や極上木材は『因果抽出のふるいネット』でしっかり回収。最後に暴走気味のコアを『最新式・自動散水機能付き神仙エコ・スプリンクラーチューナー』にリフォームして、物理的に二度と雑草が蔓延らない完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。庭にこびりついた鬱陶しい雑草ども(植物魔獣の群れ)の伐採と、日差しを塞いでいる無駄な巨木の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のチェーンソーと草刈り機で一つ残さず切り倒し、完璧な『下地処理(草刈りと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型のエンジン式草刈り機のように構えて不敵に笑う。
「ええ。ダンジョン内に漂う危険な毒花粉や狂乱の胞子(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・空気清浄魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全に庭いじりができる澄み切った空気の環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、刈り取った雑草や飛び散る樹液が、外の世界やご近所の敷地を汚さないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防虫・防粉飛散防止ネット(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 草むしりは虫に刺されるし、切った枝が目に当たる危険があるから、しっかり防虫養生をして安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の猛毒花粉とツルを完全に弾く特製造園作業用・完全防護エプロンと厚手革手袋、麦わら帽子と防護メガネ)に着替え、手には巨大な「事象抜根の神仙草むしりカマ」と「神仙刈り込みバサミ」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対緑化の神仙エコ・スプリンクラーチューナー」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『造園・緑地メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの景観悪化とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔な雑草と枝葉を間引いて、迷宮を優良なクリーン木材インフラにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、造園仕様に改造された魔導サービスカー(強力な剪定機と肥料タンク搭載)に乗り込み、空間が鬱蒼とした狂気のツルと巨木で溢れかえっている次元の迷宮『暴緑と狂蔓の樹海迷宮』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、次元の迷宮『暴緑と狂蔓の樹海迷宮』の内部。
そこは、長年の放置により凶悪なトレントや食人花が異常繁殖し、空を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの緑の魔境であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の生命エネルギーが魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(大森林暴走のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。
「ゴゴゴォォォッ!! 我ら樹海の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの生命力の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての文明を飲み込み、この世界を我らの新たな大密林(迷宮)と変えてくれるわ!」
迷宮の最深部で、無数の植物魔獣たちを統べる超巨大な『狂蔓の樹海竜』が、傲慢な葉鳴りの咆哮と共に猛烈な毒花粉と鋼鉄のツルを乱射していた。
「さあ、根を張れ! 地上の脆弱な城壁など、我らの圧倒的な成長速度と絞め殺しのツルの前には一瞬で崩壊する! スタンピードの恐怖を――」
――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!
狂蔓の樹海竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な胞子が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の猛毒と鋼鉄のツルをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、作業車のドアから、巨大な草むしりカマと刈り込みバサミを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちのざわめきを完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 庭のガンコな雑草と伸びすぎた生け垣さん(魔物たち)、定期草むしりと剪定作業に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい敷地内のボサボサっぷりと、外にまでツルを伸ばそうとしてるタチの悪い景観悪化(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに枝葉を溜め込むなんて、緑地管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にカマでの抜根と、自動散水機能付きエコ・スプリンクラーへのリフォームのしがいがあるや!」
アルドは、革手袋をキュッと締め直しつつ、プロの造園業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ樹海迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ猛毒花粉デ、一瞬ニシテ養分ニ変エテクレルワ!」
狂蔓の樹海竜が驚愕のツルムチを振り上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、苔むした地面へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい地面に湧いた雑草ども(魔獣の群れ)の伐採と、日差しを塞いでいる無駄な枝葉の解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の草刈り機で一つ残さず刈り払い、完璧な『下地処理(草刈りと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ樹海軍勢ヲ『庭の雑草とボサボサの生け垣』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ狂蔓ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ絞メ殺シテクレルワ!」
樹海竜の怒号と共に、空間を覆うほどの猛毒の花粉と狂暴性を纏ったトレントの群れが、一斉にアルドたちに向かって緑の津波のごとく押し寄せてきた。
「うわっ、この雑草たち、すっごく根が深くて地面にビッシリ絡みついちゃってる! 放置してたら家の中までツルが伸びてきて床が抜けちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で野生化したタチの悪いガンコな庭の雑草とツル」と完全に認識し、神仙草むしりカマをカチャリと構えた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『緑地設備の放置による雑草の蔓延と景観悪化被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は造園業者として、こいつらを完璧に刈り取って形を整えて、ピカピカのエコスプリンクラーの庭にするだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の草むしり現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。飛び散る毒花粉や刈り飛ばされる枝葉が外の世界を汚染しないよう、まずは私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防虫・防粉飛散防止ネットを張り巡らせます」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――バサッ! ピィィィィンッ!
瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防虫ネットのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の造園作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の毒花粉やスタンピードの魔物は一枚の落ち葉たりとも外の世界に漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな毒胞子や狂乱のフェロモン(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・空気清浄処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力清浄魔法』が、超強力なマイナスイオンの風と浄化の光となって周囲の狂気の花粉を包み込み、一気に中和して深呼吸したくなるほど澄み切った森の空気へと変えた。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を養分にする猛毒の胞子は、その浄化の清浄効果を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で爽やかなフィトンチッドの香りへと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの雑草やボサボサの枝など、ただの草刈り機のマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に刈り払って日当たりを良くしてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「迷宮過剰繁殖植物獣解体草刈リ日照確保斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(ツルの絡まり)」を完璧に見切り、まるでボウボウの庭を専用の草刈り機でブイィィンッ!と綺麗に刈り払い、風通しを良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ樹海軍団ト絶対ノ植物暴走ガ、タダノ『空気清浄魔法』ト『草刈リ』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ緑量ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」
狂蔓の樹海竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に刈り揃えられて歩きやすくなった芝生」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な雑草の草刈りは完璧だね! あとは、あの一番デカくて庭の景観を損ねている『ガンコな親玉(樹海竜とコア)』に、事象抜根の神仙草むしりカマをサクッ!と刺して根こそぎ引き抜く! そして、ボサボサに伸びた頭を『事象剪定の神仙刈り込みバサミ』でチョキチョキッ!と綺麗な丸い形に整える! その後、刈り取った魔物から因果抽出のふるいネットで有用な万能薬草や極上の魔法木材だけを綺麗に分別して回収する! 最後に絶対緑化の神仙エコ・スプリンクラーチューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度と雑草が蔓延らないように自動調整するだけだ!」
アルドは、特製『事象抜根の神仙草むしりカマ』と『神仙刈り込みバサミ』を樹海竜の巨大な本体(次元の大森林暴走の中核)へと向けて構え、安全靴で刈り取られた草を踏みしめて突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙のカマとバサミは星の因果の乱れを物理的に剪定して美しい景観に整える絶対事象造園ツールであり、神仙ふるいネットとエコ・スプリンクラーチューナーは大宇宙のいかなる次元の樹海迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要な雑草を刈り取って必要な資源だけを抽出し、緑化と林業効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な緑地環境を取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ絞メ殺ス『終焉ノ絶対狂蔓』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ密林ノ中ニ埋メ込メテクレルワ!」
樹海竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒のツルの波を放ってきた。
「うわっ! 生け垣の奥から、すっごく強烈でタチの悪い巨大なツルの塊がせり出してきた! でも、この特製草むしりカマと刈り込みバサミの前には、どんなに凶暴な枝葉も一発で綺麗に整えられて、可愛いまん丸の生け垣になるんだ!」
アルドが樹海竜の巨大なツル(世界の植物暴走の中心)に向けて、事象抜根の神仙草むしりカマを「サクッ、スポッ!!」と根本から鮮やかに引き抜く。事象の植物暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的抜根パワーによって面白いように力を失い、そこにアルドが神仙刈り込みバサミを「チョキチョキ、シャキッ!」とリズミカルに滑らせると、強烈な絞め殺しの力を持っていたツルは瞬く間に一枚の無駄な葉も残さず刈り揃えられ、心地よいハサミの音と共に美しいフォルムを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の密林も、神仙の造園力の前にはただの綺麗にトリミングされる庭木となって大人しくなり、樹海竜はあれよあれよという間に、可愛らしく丸く整えられた無害なプードル型の巨大トピアリーのような姿へと変えられていく。
同時に、アルドは因果抽出の神仙ふるいネットをバサァッ!と広げ、剪定されて落ちた魔物の残骸から、有用な極上の万能薬草や最高級の魔法木材だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、収穫用カートへと次々に回収していく。
完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部に、絶対緑化の神仙エコ・スプリンクラーチューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動散水・適正緑化・景観維持モード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対に雑草が蔓延らない、最新式自動散水システムのように管理されたクリーン造園インフラへと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒密林ガ、タダノカマデ抜根サレ、バサミデチョキチョキ丸ク整エラレ、エコ・スプリンクラーチューナーデ一ミリモ残ラズ植物暴走ヲ起コセナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコな庭の雑草とボサボサの生け垣は完全に綺麗になって日当たりが良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な緑地設備になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域緑化&無限クリーン木材システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に剪定してチューナーをつけたら、凄く強力で絶対にツルを溢れさせず、定期的に万能薬草や極上の木材をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域緑化・無限クリーン木材インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な大森林暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな酸素と無限の最高級木材だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域緑化&無限クリーン木材インフラ』にできそうだよ!」
アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動散水・超エコ剪定・最高級木材育成モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰な生命力の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな林業エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ魔境ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ木材ト薬草オ供給スル為ノ最新ノ自動散水機能付キ・スプリンクラー】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ緑地供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ飲ミ込ムノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ木材ト極上ノ癒ヤシオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン植物園」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした樹海迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「庭のガンコな雑草むしりと伸びすぎた生け垣の剪定作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を飲み込む禍々しい狂気の密林は、気がつけば「世界の木材・薬草供給を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな植物の暴走も一瞬で無害化し、極上の木材と酸素を24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域緑化・無限クリーン木材インフラ(見た目は美しく整えられた巨大な植物園と自動散水スプリンクラー)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌なスタンピードと景観悪化のリスクは片付いて、すっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな造園施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の植物暴走や日照不足を気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で綺麗な庭と良い木材を使えるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカのお庭を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが刈り込みバサミを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い毒花粉は一瞬にして晴れ渡り、防虫飛散防止ネットが魔法のように片付けられ、眼下には美しく整えられた奇跡の巨大な最新式植物園と、澄み切った清らかな森の空気が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域緑化・クリーン木材システムは、これより大陸全土の迷宮維持・林業管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。樹海迷宮からの定期造園費用の自動引き落とし設定も完了いたしました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、食人花に食われかけながら潜ってた大樹海ダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な王立植物園の庭木みたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。
「これからは、どんなトレントの魔物やガンコな雑草の兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な枝葉ごと草刈り機で刈り払い』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・林業インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。樹海迷宮のスタンピード危機を「庭の草むしりと生け垣の剪定」として処理。全自動造園・木材インフラ化完了。異常なし。以上。』
ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす樹海迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「庭がボサボサになったための定期的な草刈り」という、庭仕事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、樹海迷宮すらも美しく整えられたトピアリーの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、草むしりお疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になったお庭を眺めながら食べるのにぴったりの、サクサクの『特製・大精霊の旬のフルーツたっぷり・極上ガーデンタルト〜星屑のミントティーを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるフルーツタルトは、ことのほか果実の甘さとタルト生地の香ばしさが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの庭のガンコな雑草むしりと伸びすぎた生け垣の剪定作業」は、世界滅亡の大森林スタンピードの危機をただの造園・緑地メンテナンスとして解決し、迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域緑化・無限クリーン木材インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!
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