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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第221話:ただの洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルター清掃と、激流の海神迷宮の強制全自動広域浄水・無限クリーン洗濯インフラ化

第221話:ただの洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルター清掃と、激流の海神迷宮の強制全自動広域浄水・無限クリーン洗濯インフラ化(総合ライフサポート企業の水回り・洗濯機メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補となった勇者パーティの面々が、朝の澄み切った青空を見上げながら「今日は絶好の洗濯日和だな」「布団やシーツも一気に干してしまおう」「柔軟剤の香りが風に乗ると気持ちがいいからな」などと、ごく一般的な田舎の休日のような爽やかな会話に花を咲かせている。

 世界最凶の深淵迷宮を「庭の定期剪定」として、灼熱の獄炎迷宮を「ボイラー清掃」として、極寒の氷雪迷宮を「冷凍庫の霜取り」として、そして雷鳴の絶嶺迷宮を「エアコン室外機の清掃」として全自動クリーンインフラに改修したアルド。彼の手にかかれば、ダンジョンのスタンピードなど「生活インフラの定期メンテナンスをサボった結果のトラブル」に過ぎず、適度な間引きによって資源を枯渇させることなく安全な設備へとリメイクされてきた。

 今日もまた、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしく焼けた魚の香りと、出汁の効いた味噌の暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる『幻獣鮭の極厚ふっくら塩焼きと、大精霊の根菜たっぷり・極上豚汁〜星屑の自家製ふりかけと炊きたて土鍋ご飯を添えて〜』だ! まずは、脂が限界まで乗った幻獣鮭の極厚切り身に、天界の粗塩を振って一晩寝かせ、余分な水分を抜いて旨味を凝縮させる。これを炭火で皮はパリッと、身はふっくらジューシーに焼き上げるんだ! その横で、幻獣豚のバラ肉と大精霊の森で採れた大根、人参、ゴボウをごま油で炒め、神仙昆布と鰹の合わせ出汁でじっくり煮込む。仕上げに数百年熟成の天界味噌を溶き入れれば、心も体も芯から温まる究極の豚汁の完成だ。神仙米を土鍋でカニ穴ができるほど完璧に炊き上げ、パリパリの星屑海苔で作った特製ふりかけを添える。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な和の香りを放つ特大の朝食お盆をダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、洗濯の相談を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣鮭の圧倒的なオメガ3脂肪酸と豚肉のビタミンが全身の魔力回路を限界突破させ、根菜の食物繊維と発酵食品の酵素が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の和朝食フルコース』である。

「うむ……! この皮までパリッと焼けた極厚の幻獣鮭を箸でほぐし、炊きたての土鍋ご飯に乗せてかぶりついた瞬間に広がる、溢れ出す脂の甘みと絶妙な塩気のビッグバン! 噛むほどに魚の旨味が口いっぱいに広がり、すかさず具沢山の熱々豚汁をすすれば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 根菜の甘みと豚肉のコクが溶け出した味噌スープが五臓六腑に染み渡り、我が最高福利厚生責任者の職務が、高級老舗旅館の離れで至福の朝食を貪る大富豪のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、箸を持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々の豚汁に感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ほうじ茶が振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座り、ふと脱衣所の方を眺めて首を傾げた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、洗濯機を回したら『ゴボボッ……』って変な音がして、洗濯槽の裏側から『ワカメみたいなタチの悪いガンコな黒カビ』がいっぱい浮いてきたんだよね。しかも糸くずフィルターもパンパンに詰まってて、水はけがすごく悪い。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な水資源と水魔法石を供給している『激流と大渦の海神迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の水流魔獣や海魔が異常繁殖して水流が飽和状態になり、洗濯槽ダンジョンの裏側にガンコなヘドロと魔物の死骸がビッシリ詰まって、大水害のスタンピード寸前になってるみたいだね。完全に定期的な洗濯槽クリーナーでの清掃をサボったせいで発生する、洗浄力低下とカビの増殖トラブルだよ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「洗濯機の黒カビとフィルターの詰まり」。それはすなわち、世界の水源と海流を司る最重要ダンジョンの一つ『激流と大渦の海神迷宮』が限界を迎え、無数の水流魔獣と大津波を率いて外の世界へ溢れ出し、大陸全土を濁流とヘドロの底へと沈めようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を洗濯物の生乾き臭やカビの心配がない、いつでも洗い立ての清潔な服が着られる極上の洗濯空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた水源ダンジョンの水流飽和と、スタンピードの危機……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「現在、世界で最も危険な水源として警戒されているのが、その『激流と大渦の海神迷宮』です。内部は完全に水・海属性の魔物が飽和状態にあり、いつ大津波のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に水魔法石や新鮮な海産物、そして清らかな水源を供給する『重要な浄水・洗濯設備(資源)』でもあります。潰すわけにはいかないため、適正な水流と清潔さに調整する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」

「なるほど! やっぱりダンジョンは生活の一部インフラだから、完全に塞いじゃうとみんなが飲み水に困るし、服も洗えなくなっちゃうんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロの水回り・洗濯機メンテナンス業者としての血を騒がせた。

「伸びすぎた黒カビ(魔物)を溶かして、ガンコな糸くずフィルターの詰まりを綺麗に掃除し、安全に水を循環できる状態を維持する。これが持続可能な水源管理の鉄則だよ! まずは専用の『事象漂白の神仙洗濯槽クリーナー』をドバドバッと入れて一晩つけ置きし、見えない裏側のカビを根こそぎ剥がして浮き上がらせる! さらに不要な魔物を間引きつつ、有用な水魔法石や美味しい幻獣魚は『因果抽出のふるいネット』でしっかり回収。最後に古くなった浄水コアを『最新式・自動槽洗浄機能付き神仙エコ洗濯機チューナー』にリフォームして、物理的に二度とカビが生えない完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。洗濯槽の裏側にこびりついた鬱陶しい海魔ども(魔獣の群れ)の伐採と、水流を塞いでいる無駄な糸くずの塊の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のドライバーと分解工具で一つ残さず引っ剥がし、完璧な『下地処理(洗濯槽の分解と間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型のパルセーター外し用工具のように構えて不敵に笑う。

「ええ。ダンジョン内に漂う危険なヘドロの悪臭や濁流の瘴気(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・除菌乾燥魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全に水回り工事ができる清潔・乾燥の環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、浮き上がったカビや溢れ出す濁流が、外の世界やご近所を水浸しにしないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防水飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 洗濯機の清掃は水がこぼれるし、カビ取り剤は匂いが強いから、しっかり防水養生と換気をして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の大津波と猛毒を完全に弾く特製水回り作業用・完全防水エプロンとゴム手袋、長靴)に着替え、手には巨大な「事象漂白の神仙洗濯槽クリーナー」と、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対洗浄の神仙エコ洗濯機チューナー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『水回り・洗濯設備メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの水害とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔な黒カビと魔物を間引いて、迷宮を優良なクリーン浄水インフラにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、水回り清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力な給水ポンプと漂白剤搭載)に乗り込み、空間がドス黒い濁流とヘドロで溢れかえっている次元の迷宮『激流と大渦の海神迷宮』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の迷宮『激流と大渦の海神迷宮』の内部。

 そこは、長年の放置により凶悪な海魔や水流竜が異常繁殖し、海面を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの濁流地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の水エネルギーが魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(大津波のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。

「ザバァァァッ!! 我ら海神の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの水圧の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての生命を溺れさせ、この世界を我らの新たな深海(迷宮)と変えてくれるわ!」

 迷宮の最深部で、無数の魔獣たちを統べる超巨大な『海神の渦竜』が、傲慢な咆哮と共に猛烈な大渦と津波を上げていた。

「さあ、呑み込め! 地上の脆弱な防波堤など、我らの圧倒的な水圧の前には一瞬で決壊する! スタンピードの恐怖を――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 海神の渦竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な大渦が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の津波と濁流をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、巨大な洗濯槽クリーナーとふるいネットを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの水音を完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 洗濯槽のガンコな黒カビと糸くず詰まりさん(魔物たち)、定期つけ置き清掃とフィルター交換に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい槽の裏側のヘドロっぷりと、外にまで溢れ出そうとしてるタチの悪い水漏れ暴走(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに汚れを溜め込むなんて、水回り管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にクリーナーでの漂白と、自動槽洗浄機能付きエコ洗濯機への交換のしがいがあるや!」

 アルドは、防水ゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの清掃業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ海神迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 海神の渦竜が驚愕の激流ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、水しぶきが舞う岩礁へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい水流に湧いたワカメみたいな黒カビども(魔獣の群れ)の伐採と、フィルターを塞いでいる無駄な糸くずの解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の工具で一つ残さず引っ剥がし、完璧な『下地処理(洗濯槽の分解と間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ海神軍勢ヲ『洗濯機の黒カビと糸くず』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ大津波ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ水底ニ沈メテクレルワ!」

 渦竜の怒号と共に、空間を覆うほどの真っ黒な濁流と狂暴性を纏った海魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって津波のごとく押し寄せてきた。

「うわっ、この黒カビたち、すっごく粘り気があって洗濯槽にビッシリ絡みついてる! 放置してたら服にワカメみたいなゴミがいっぱいついちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で繁殖したタチの悪いガンコな洗濯機の黒カビと糸くず」と完全に認識し、神仙洗濯槽クリーナーのボトルをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『水回り設備の放置による水漏れと洗浄力低下被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は洗濯機メンテナンス業者として、こいつらを完璧に漂白して分解処理して、ピカピカのエコ洗濯機にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の洗濯機清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。溢れ出す濁流や飛び散る洗剤が外の世界を水浸しにしないよう、まずは私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防水飛散防止シートを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防水シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の防水清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の大津波やスタンピードの魔物は一滴たりとも外の世界に漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコなヘドロ臭や濁流の瘴気(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・除菌乾燥処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力乾燥魔法』が、超強力な温風と除菌イオンとなって周囲の狂気の濁流を包み込み、一気に中和してカビが死滅しやすい乾燥空間へと変えた。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を飲み込む猛毒の濁流は、その浄化の除菌効果を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でポロポロと剥がれやすい乾燥した汚れへと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただのカビや糸くずなど、ただの分解工具のマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に分解して水はけを良くしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「迷宮過剰繁殖海魔解体洗濯槽分解水流確保斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(フィルターの詰まり)」を完璧に見切り、まるで汚れきったパーツを専用の工具でバコンッ!と綺麗に外し、排水の通りを良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕し、迷宮内の安全な水流導線を確保してしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ海神軍団ト絶対ノ津波暴走ガ、タダノ『乾燥魔法』ト『洗濯槽分解』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ水量ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」

 海神の渦竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に分解された洗濯機のパーツ」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な黒カビの間引きは完璧だね! あとは、あの一番デカくて洗濯槽を詰まらせている『ガンコな親玉(渦竜とコア)』に、事象漂白の神仙洗濯槽クリーナーをドバドバッと投入して一晩(※神仙時間で数秒)つけ置きする! そして、浮き上がった魔物から因果抽出のふるいネットで有用な水魔法石や新鮮な海産物の成分だけを綺麗に分別して回収する! 最後に絶対洗浄の神仙エコ洗濯機チューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度とカビがこびりつかないように自動調整するだけだ!」

 アルドは、特製『事象漂白の神仙洗濯槽クリーナー』と『ふるいネット』を渦竜の巨大な本体(次元の水暴走の中核)へと向けて構え、防水長靴で岩礁を踏みしめて突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙洗濯槽クリーナーは星の因果の汚れを物理的に分解して適正な清潔さに整える絶対事象漂白ツールであり、神仙ふるいネットとエコ洗濯機チューナーは大宇宙のいかなる次元の海神迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要なゴミを溶かして必要な資源だけを抽出し、浄水と洗浄効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な水資源を取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ飲ミ込ム『終焉ノ絶対大渦アビス・メイルシュトローム』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ水底ニ沈メテクレルワ!」

 渦竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の濁流の波を放ってきた。

「うわっ! 洗濯槽の奥から、すっごく強烈でタチの悪い分厚いワカメみたいな黒カビがせり出してきた! でも、この特製洗濯槽クリーナーとエコ洗濯機チューナーの前には、どんなに凶暴な濁流も一発で綺麗に適正水量に調整されて、安全なクリーンウォーターになるんだ!」

 アルドが渦竜の巨大な黒カビ(世界の水暴走の中心)に向けて、事象漂白の神仙洗濯槽クリーナーを「ドバドバァァッ!!」と惜しげもなく注ぎ込む。事象の水暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的発泡パワーによって面白いようにシュワシュワと浮き上がり、残った汚れは完全に漂白されていく。魔界のどんな濁流も、神仙の清掃力の前にはただの浮いたゴミとなってネットに絡め取られ、渦竜はあれよあれよという間に、ピカピカに磨き上げられた無害なステンレス槽のような姿へと整えられていく。

 同時に、アルドは因果抽出の神仙ふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて浮いた魔物の残骸から、有用な水魔法石や新鮮な幻獣魚介類だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、収穫クーラーボックスへと次々に回収していく。

 完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部ダンジョンコアに、絶対洗浄の神仙エコ洗濯機チューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動槽洗浄・快適浄水モード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対にカビがこびりつかない、最新式ドラム式エコ洗濯機のように管理されたクリーン浄水インフラへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒津波ガ、タダノクリーナーデシュワシュワ浮キ上ガラサレ、ふるいネットデ水魔法石ダケ抽出サレ、エコ洗濯機チューナーデ一ミリモ残ラズ水害ヲ起コセナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコな洗濯槽の黒カビと糸くずは完全に取れて水はけが良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な水源設備になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域浄水&無限クリーン洗濯システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗にカビ取りしてチューナーをつけたら、凄く強力で絶対に濁流を溢れさせず、定期的に水魔法石や綺麗な水をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域浄水・無限クリーン洗濯インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な水暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな水資源と無限の清潔な洗い上がりだけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域浄水&無限クリーン洗濯インフラ』にできそうだよ!」

 アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動槽洗浄・超エコ節水・ふんわり乾燥モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰水量の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな水資源エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ水底ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ水ト清潔オ供給スル為ノ最新ノ自動洗浄機能付キ・ドラム式洗濯機】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ水資源供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ壊スノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ浄水ト極上ノ清潔オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン洗濯機」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした激流迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルター清掃作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を飲み込む禍々しい大渦は、気がつけば「世界の水資源供給を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな濁流の暴走も一瞬で無害化し、極上の浄水と海産物を24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域浄水・無限クリーン洗濯インフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式大型ドラム式洗濯機と自動浄水システム)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌なスタンピードと水漏れ故障のリスクは片付いて、すっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな水源になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の水暴走や生乾き臭を気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で綺麗な水を使えるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤と清潔な服を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドが空になったクリーナーのボトルを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い濁流は一瞬にして晴れ渡り、防水飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式浄水設備と、澄み切った清らかな水面が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域浄水・クリーン洗濯システムは、これより大陸全土の迷宮維持・水資源供給基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。激流迷宮からの定期メンテナンス費用の自動引き落とし設定も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、溺れかけながら潜ってた海神ダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な浄水場とコインランドリーみたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな大渦の魔物やガンコな黒カビの兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な糸くずごとドライバーで間引き』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・水資源インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。激流迷宮のスタンピード危機を「洗濯機の黒カビ除去とフィルター清掃」として処理。全自動浄水・洗濯インフラ化完了。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす激流迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「洗濯機が臭くなったための定期的な槽洗浄」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、激流迷宮すらもピカピカの最新式洗濯機の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、洗濯機清掃お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になったお水で炊いた小豆を使った『特製・大精霊の極上白玉ぜんざい〜星屑の塩昆布を添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるぜんざいは、ことのほか小豆の優しい甘さと塩昆布の塩気が五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの洗濯機のガンコな黒カビ落としと糸くずフィルター清掃作業」は、世界滅亡の大津波スタンピードの危機をただの水回りメンテナンスとして解決し、迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域浄水・無限クリーン洗濯インフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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