第219話:ただの冷凍庫のガンコな霜取りと冷却ファンの清掃と、極寒の氷雪迷宮の強制全自動広域保冷・無限クリーン冷蔵インフラ化
第219話:ただの冷凍庫のガンコな霜取りと冷却ファンの清掃と、極寒の氷雪迷宮の強制全自動広域保冷・無限クリーン冷蔵インフラ化(総合ライフサポート企業の冷蔵・保存メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補となった勇者パーティの面々が、朝のキリッとした冷気の中で「そろそろ冬の保存食を仕込む時期だな」「干し肉やピクルスの樽を地下室に運ぼう」などと、ごく一般的な田舎の冬支度について楽しげに語り合っている。
世界最凶の深淵迷宮を「庭の定期剪定」として、灼熱の獄炎迷宮を「ボイラー清掃」として全自動クリーンインフラに改修したアルド。彼の手にかかれば、ダンジョンのスタンピードなど「生活インフラの定期メンテナンスをサボった結果のトラブル」に過ぎない。
今日もまた、日々のメンテナンス業務への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、芳醇なバターと肉の旨味が溶け合ったデミグラスソースの香りと、サワークリームの爽やかな匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる『冷凍保存しておいた幻獣牛の極上赤身肉を使った、究極の絶品ビーフストロガノフ〜大精霊のバターライスと星屑のサワークリームを添えて〜』だ! まずは、氷温熟成させて旨味を凝縮した幻獣牛を薄切りにし、たっぷりのマッシュルームとタマネギと一緒に神仙バターでサッと炒める。そこに天界の牛骨スープと特製デミグラスソースを注ぎ込み、肉が硬くならないように短時間でサッと煮込むんだ! 仕上げに、星屑のサワークリームをたっぷりと溶かし込み、濃厚なコクの中に爽やかな酸味を加える。その横で、神仙米をブイヨンとバターでパラパラに炊き上げた『極上バターライス』をドーム状に盛り付け、この熱々のビーフストロガノフを滝のようにかけるんだ。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的なソースの香りを放つ特大の朝食プレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、保存食の相談を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣牛の圧倒的なアミノ酸とサワークリームの乳酸菌が全身の魔力回路を限界突破させ、バターライスの芳醇な香りが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のウインターフルコース』である。
「うむ……! このソースがたっぷり絡んだバターライスをスプーンですくい、口に運んだ瞬間に広がる、肉の暴力的なまでの旨味とサワークリームの爽やかな酸味のビッグバン! 氷温熟成された肉は噛むほどに深い味わいが溢れ出し、濃厚なソースが五臓六腑に染み渡る! すかさずマッシュルームの食感を楽しみながら頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! クリーミーなコクと酸味が完璧なハーモニーを奏で、我が最高福利厚生責任者の職務が、北国の高級レストランで至福の朝食を貪る貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、スプーンを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々のストロガノフに感涙して咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ロシアンティーが振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座り、ふとキッチンの奥を見て首を傾げた。
「……ねえ。今朝お肉を取り出した時から気になってたんだけど、冷凍庫の壁面に『タチの悪いガンコな分厚い霜』がガチガチにこびりついてて、冷気の循環が悪くなってるんだよね。しかも奥の冷却ファンから『ガリガリッ……』って氷が当たる異音がしてる。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な保冷機能と氷魔法石を供給している『極寒の氷雪迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の氷雪魔物が異常繁殖して冷気が飽和状態になり、ガンコな霜がビッシリ詰まって、スタンピード寸前になってるみたいだね。完全に定期的な冷凍庫の霜取りとファンの清掃をサボったせいで発生する、冷却効率の低下とコンプレッサーの故障トラブルだよ」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「冷凍庫の分厚い霜とファンの異音」。それはすなわち、世界の食料保存と冷気を司る最重要ダンジョンの一つ『極寒の氷雪迷宮』が限界を迎え、無数の氷雪魔獣と絶対零度の吹雪を率いて外の世界へ溢れ出し、大陸全土を永遠の氷河期へと沈めようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界をガンコな霜や冷却不良の心配がない、いつでも食材を新鮮に長期保存できる極上の冷蔵空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた保冷ダンジョンの冷気暴走と、スタンピードの危機……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「現在、世界で最も危険な冷気源として警戒されているのが、その『極寒の氷雪迷宮』です。内部は完全に氷雪魔物が飽和状態にあり、いつ絶対零度のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に氷魔法石や冷媒ガス、食料の長期保存環境を供給する『重要な冷蔵・保冷設備(資源)』でもあります。潰すわけにはいかないため、適正な温度と冷気循環に調整する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」
「なるほど! やっぱりダンジョンは生活の一部だから、完全に塞いじゃうとみんなが夏に冷たい飲み物を飲めなくなるし、食材も腐っちゃうんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロの冷蔵設備メンテナンス業者としての血を騒がせた。
「伸びすぎた霜(魔物)を削り落として、ガンコな冷却ファンの詰まりを直し、安全に冷気を循環できる状態を維持する。これが持続可能な保冷管理の鉄則だよ! まずは専用の『事象融解の神仙霜取りヘラ』でガリガリと分厚い氷を削り落とし、熱湯をかけてドロドロに溶かす! さらに不要な魔物を間引きつつ、有用な氷魔法石や極上の天然氷は『因果抽出のふるいネット』でしっかり回収。最後に古くなった冷却コアを『最新式・自動霜取り機能付き神仙エコ冷蔵コアチューナー』にリフォームして、物理的に二度と霜がこびりつかない完璧な冷蔵インフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。冷凍庫にこびりついた鬱陶しい氷雪魔獣ども(魔獣の群れ)の伐採と、冷気ファンを塞いでいる無駄な氷塊の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のアイスピックとハンマーで一つ残さず引っ剥がし、完璧な『下地処理(粗砕きと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の砕氷ハンマーのように構えて不敵に笑う。
「ええ。ダンジョン内に漂う絶対零度の吹雪や凍結の瘴気(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力温風・解凍魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、快適に霜取り作業ができる適温の環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、削り落とした氷や漏れ出す冷気が、外の世界やご近所の農作物を凍らせないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と断熱飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 冷凍庫の清掃は霜が飛んで冷たいし、ファンに指を巻き込まれる危険があるから、しっかり断熱養生をして安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(絶対零度の吹雪と氷を完全に弾く特製冷蔵庫作業用・完全防寒ツナギと厚手防寒手袋、ゴーグル)に着替え、手には巨大な「事象融解の神仙霜取りヘラ」と、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対保冷の神仙エコ冷蔵コアチューナー」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『冷蔵・保存メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの冷却不良とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔な霜と魔物を間引いて、迷宮を優良なクリーン冷蔵インフラにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、冷蔵庫清掃仕様に改造された魔導サービスカー(強力な温風ヒーターと霜取り道具搭載)に乗り込み、空間が真っ白な吹雪と極寒の氷で溢れかえっている次元の迷宮『極寒の氷雪迷宮』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、次元の迷宮『極寒の氷雪迷宮』の内部。
そこは、長年の放置により凶悪な氷雪魔獣やアイスゴーレムが異常繁殖し、足の踏み場もないほどにひしめき合う、文字通りの極寒地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の冷気エネルギーが魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(冷気暴走スタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。
「ピュルルルォォォォッ!! 我ら氷雪の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの絶対零度の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての生命を凍結させ、この世界を我らの新たな永久凍土(迷宮)と変えてくれるわ!」
迷宮の最深部で、無数の魔獣たちを統べる超巨大な『絶対零度の氷竜』が、傲慢な咆哮と共に猛烈な吹雪を上げていた。
「さあ、凍てつけ! 地上の脆弱な炎の結界など、我らの圧倒的な冷気と数の前には一瞬で鎮火する! スタンピードの恐怖を――」
――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!
絶対零度の氷竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な吹雪が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の猛吹雪と分厚い氷をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、作業車のドアから、巨大な霜取りヘラと温風ヒーターを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの咆哮を完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 冷凍庫のガンコな霜と冷却ファンの詰まりさん(魔物たち)、定期霜取りと間引き作業に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい壁面の分厚い霜っぷりと、外にまで吹き出そうとしてるタチの悪い冷気暴走(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに氷を溜め込むなんて、保冷管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にヘラでのガリガリ削りと、自動霜取り機能付きエコ冷蔵庫への交換のしがいがあるや!」
アルドは、防寒手袋をキュッと締め直しつつ、プロの冷蔵庫清掃業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ氷雪迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」
絶対零度の氷竜が驚愕の吹雪ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、冷気が立ち込める氷床へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい冷却ファンに湧いた氷塊ども(魔獣の群れ)の伐採と、冷気の通り道を塞いでいる無駄な霜の塊の解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のハンマーと工具で一つ残さず引っ剥がし、完璧な『下地処理(粗砕きと間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ氷雪軍勢ヲ『冷凍庫の霜とファンの詰まり』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ絶対零度ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ氷像ニシテクレルワ!」
氷竜の怒号と共に、空間を覆うほどの真っ白な吹雪と狂暴性を纏ったアイス魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって雪崩のごとく押し寄せてきた。
「うわっ、この霜たち、すっごくガチガチに固まっててファンの羽を完全に塞いじゃってる! 放置してたらコンプレッサーが壊れて中の食材が全部ダメになっちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で分厚く成長したタチの悪いガンコな冷凍庫の霜と氷塊」と完全に認識し、神仙霜取りヘラをカチャリと構えた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『保冷設備の放置によるファンの異音と冷気暴走被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は冷蔵庫メンテナンス業者として、こいつらを完璧に削り落として適正温度に調整して、ピカピカのエコ冷蔵庫にするだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の霜取り作業現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。削り落とした氷や漏れ出す冷気が外の世界を凍らせないよう、まずは私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と断熱飛散防止シートを張り巡らせます」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――バサッ! ピィィィィンッ!
瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な断熱シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の防寒清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の吹雪やスタンピードの魔物は一匹たりとも外の世界に漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな吹雪や絶対零度の冷気(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力温風・解凍処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力温風魔法』が、超強力な暖気と清浄な空気となって周囲の狂気の吹雪を包み込み、一気に中和して霜が溶けやすい適温空間へと変えた。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を凍結させる猛毒の冷気は、その浄化の温風を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でポロポロと剥がれやすいシャーベット状へと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの霜や氷塊など、ただのアイスピックのマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に砕き落として冷気の通りを良くしてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「迷宮過剰繁殖氷雪魔獣解体霜砕キ冷却ファン貫通斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(ファンの詰まり)」を完璧に見切り、まるで密集しすぎた氷の塊を専用のハンマーでガキンッ!と綺麗に砕き落とし、冷気の循環を良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ氷雪軍団ト絶対ノ冷気暴走ガ、タダノ『温風魔法』ト『霜砕キ』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ温度ニ上ゲラレテイクゥゥッ!?」
絶対零度の氷竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「適度に清掃された冷凍庫のファン」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な霜の間引きは完璧だね! あとは、あの一番デカくてファンを詰まらせている『ガンコな親玉(氷竜とコア)』の壁面に、事象融解の神仙霜取りヘラを当ててガリガリと削り落とし、残った氷は熱湯をかけてドロドロに溶かす! そして、倒した魔物から因果抽出のふるいネットで有用な氷魔法石や天然氷の成分だけを綺麗に分別して回収する! 最後に絶対保冷の神仙エコ冷蔵コアチューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度と霜がこびりつかないように自動調整するだけだ!」
アルドは、特製『事象融解の神仙霜取りヘラ』と『ふるいネット』を氷竜の巨大な本体(次元の冷気暴走の中核)へと向けて構え、防寒長靴で氷床を踏みしめて突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙霜取りヘラは星の因果の結氷を物理的に削り落として適正な空間に整える絶対事象融解ツールであり、神仙ふるいネットとエコ冷蔵コアチューナーは大宇宙のいかなる次元の極寒迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要なゴミを落として必要な資源だけを抽出し、冷却効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な保冷源を取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ凍テツカセル『終焉ノ絶対氷河』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ永久凍土ノ底ニ沈メテクレルワ!」
氷竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の吹雪の波を放ってきた。
「うわっ! ファンの奥から、すっごく強烈でタチの悪い分厚い霜がせり出してきた! でも、この特製霜取りヘラとエコ冷蔵チューナーの前には、どんなに凶暴な冷気も一発で綺麗に適温に調整されて、安全なマイナス保存空間になるんだ!」
アルドが氷竜の巨大な霜(世界の冷気暴走の中心)に向けて、事象融解の神仙霜取りヘラを「ガリッ、ガリガリッ!」と壁面を傷つけない絶妙な角度で押し当てる。事象の冷気暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的削ぎ落としによって面白いようにポロポロと崩れ落ち、残った氷には特製の熱湯スプレーを吹きかけて完全に溶かし去る。魔界のどんな冷気も、神仙の清掃力の前にはただの溶けた水となって排水溝に流れ、氷竜はあれよあれよという間に、ピカピカに磨き上げられた無害な冷却パイプのような姿へと整えられていく。
同時に、アルドは因果抽出の神仙ふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて落ちた魔物の残骸から、有用な氷魔法石や冷媒ガス、そして極上の天然氷だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、収穫クーラーボックスへと次々に回収していく。
完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部に、絶対保冷の神仙エコ冷蔵コアチューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動霜取り・快適冷蔵モード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対に霜がこびりつかない、最新式エコ冷蔵庫のように管理されたクリーン保冷インフラへと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒氷河ガ、タダノ霜取リヘラデガリガリ削リ落トサレ、ふるいネットデ氷魔法石ダケ抽出サレ、エコ冷蔵チューナーデ一ミリモ残ラズ過剰冷却ヲ起コセナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコなファンの霜と魔物は完全に落とされて冷気の循環が良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な冷蔵庫になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域保冷&無限クリーン冷蔵システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に霜取りしてチューナーをつけたら、凄く強力で絶対に吹雪を溢れさせず、定期的に氷魔法石や天然氷をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域保冷・無限クリーン冷蔵インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な冷気暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな冷気エネルギーと無限の新鮮な保存環境だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域保冷&無限クリーン冷蔵インフラ』にできそうだよ!」
アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動霜取り・超エコ冷蔵・鮮度保持モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過冷却の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな保冷エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ永久凍土ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ食材オ保存スル為ノ最新ノ自動霜取リ機能付キ・エコ冷蔵庫】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ保冷供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ凍ラセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ鮮度ト極上ノ氷オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン冷蔵庫」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした氷雪迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「冷凍庫のガンコな霜取りと冷却ファンの清掃作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を凍結させる禍々しい極寒の吹雪は、気がつけば「世界の保冷供給を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな冷気の暴走も一瞬で無害化し、極上の氷と保存環境を24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域保冷・無限クリーン冷蔵インフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式大型エコ冷蔵庫と自動霜取りシステム)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌なスタンピードと冷蔵庫故障のリスクは片付いて、すっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな保冷源になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の冷気暴走や夏の暑さを気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で新鮮な食材を食べられるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤と冷たい氷を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが霜取りヘラを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い吹雪は一瞬にして晴れ渡り、断熱飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式冷蔵設備と、澄み切った清らかな冷気が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域保冷・クリーン冷蔵システムは、これより大陸全土の迷宮維持・保冷供給基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。氷雪迷宮からの定期メンテナンス費用の自動引き落とし設定も完了いたしました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、凍傷になりながら潜ってた氷雪ダンジョンが、完全にオートメーション化された業務スーパーの巨大冷凍庫みたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。
「これからは、どんな極寒の魔物やガンコな霜の兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な氷塊ごとハンマーで間引き』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・保冷インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。氷雪迷宮によるスタンピードおよび冷気暴走の危機を「冷凍庫の霜取りおよびファン清掃作業」として処理完了。世界を氷河に沈める迷宮を事象の霜取りヘラとコアチューナーで洗浄・調整させ、立派な特大全自動広域保冷・無限クリーン冷蔵システムへと改修完了。異常なし。以上。』
ゾルタンは非常に簡潔に、わずか数行で記録を終えた。世界を滅ぼす氷雪迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「冷凍庫の冷えが悪くなったための定期メンテナンスと自動霜取り機能へのアップグレード」という、家電修理のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、氷雪迷宮すらもピカピカの最新式冷蔵庫の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、霜取り清掃お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になった冷凍庫で作った冷たくて甘い『特製・大精霊の果実たっぷり・極上イタリアンジェラート〜星屑のピスタチオとベリーソースを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるジェラートは、ことのほか果実の瑞々しさと冷たさが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの冷凍庫のガンコな霜取りと冷却ファンの清掃作業」は、世界滅亡の冷気スタンピードの危機をただの保冷メンテナンスとして解決し、迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域保冷・無限クリーン冷蔵インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
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