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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第217話:ただの庭(ダンジョン)の定期間引き・剪定作業と、最凶迷宮の強制全自動安全ファーム化

第217話:ただのダンジョンの定期間引き・剪定作業と、最凶迷宮の強制全自動安全ファーム化(総合ライフサポート企業の持続可能な資源メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々が、「気さくで働き者の大家さんたち」としてすっかり定着し、朝の日差しの中で「昨日は冷えたから霜柱が立っているな」「冬用のスタッドレスタイヤに履き替える時期か」などと、ごく一般的な田舎の冬の備えについて真剣に語り合っている。

 魔王軍の幹部から始まり、天界の神々、創造神、そしてついには魔界の階級制度の頂点である魔王筆頭までもを「大掃除の対象」として完全に平定し、全自動クリーンインフラへとリフォームしてしまった現在。世界からは一切の脅威と厄災が消え去り、かつてないほどの完璧な平和が訪れていた。

 しかし、そのあまりにも完璧すぎる平和ゆえに、縁側に座る一人の青年――大宇宙最強の便利屋アルドは、深いため息をつきながら頭を抱えていた。

「……平和だなぁ。屋根は壊れないし、床下も屋根裏もピカピカだし、水回りも全自動で浄化されてる。……やることが、何もないよ……」

 そう、アルドは「日々のメンテナンス業務」を愛する男である。直すべき場所、掃除すべき場所が完全に無くなってしまったことは、彼にとって深刻な「やりがい消失の危機」であった。

 そんな中、キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、魚介の旨味が溶け出したクリーミーな香りと、香ばしく焼けたパンの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 仕事がないなら、せめて朝ごはんは最高のものを作ろう! 今日のメインは、大家の神々や居候のみんなも一緒に食べる『幻獣ホタテと大精霊のキノコを贅沢に使った、極上特濃クラムチャウダー〜こんがり焼いた星屑のチーズフランスパンを添えて〜』だ! まずは、大人の拳ほどもある幻獣ホタテと、旨味の塊である幻獣ベーコン、そして大精霊の森で採れた新鮮なタマネギやマッシュルームを、神仙バターでじっくりと炒める。そこに天界の特濃ミルクと生クリーム、そしてホタテの出汁をたっぷりと注ぎ込み、弱火でトロトロになるまで煮詰めるんだ! 仕上げに星屑の黒コショウとパセリを散らせば、冷えた体を芯から温める究極のスープが完成する。その横で、神仙小麦で焼き上げたフランスパンに、数種類の天界チーズをたっぷり乗せてオーブンでカリカリに焼き上げる! これを熱々のスープにディップして食べるんだ。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的なミルクと魚介の香りを放つ特大のスープボウルをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、大家の神々、そして「常連の居候」としてすっかり定着した勇者パーティの四人までもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣ホタテの圧倒的なタウリンと特濃ミルクのカルシウムが全身の魔力回路を限界突破させ、チーズフランスパンの香ばしさが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のウインターブレックファスト』である。

「うむ……! この熱々のクラムチャウダーをスプーンですくい、口に運んだ瞬間に広がる、ホタテの暴力的なまでの旨味とミルクの優しい甘みのビッグバン! 噛みしめるたびに弾けるキノコの食感とベーコンの塩気が、スープのコクと完璧に混ざり合う! すかさずカリッカリのチーズフランスパンをスープに浸して頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! クリーミーな温かさが五臓六腑に染み渡り、我が最高福利厚生責任者の職務が、雪山の高級ロッジで至福の朝食を貪る貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、スプーンを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々のスープに感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ストレートティーが振る舞われた後。

 アルドは再び「はぁ……」とため息をついた。

「ご飯は美味しくできたけど……やっぱり、お掃除や修理の依頼がないと体が鈍っちゃうなぁ……」

 その言葉を聞いて、向かいの席でチーズフランスパンのおかわりを咀嚼していた勇者・レイルドが、ふと思い出したように口を開いた。

「アルド殿。もしやることがなくて暇を持て余しているなら……『ダンジョン』の様子でも見に行ってみてはどうだ?」

「えっ? ダンジョン?」

「ああ。俺たち勇者パーティも、昔は武者修行と資金稼ぎのためにダンジョンに潜っていたんだ。世界中の魔王や魔獣がアルド殿の手で一掃されたとはいえ、地下に広がる迷宮ダンジョンは自然発生する環境のようなものだから、手付かずの場所も多いはずだぞ」

 賢者リアナも頷く。

「そうですわね。特に、最深部に位置する『最凶の深淵迷宮』などは、長年誰も手入れをしていないため、内部で魔物が異常繁殖し、外へ溢れ出す『スタンピード』が発生する危険性があると言われていますわ」

 その言葉を聞いた瞬間、アルドの目にキラリと「プロの職人」としての光が宿った。

「……なるほど。僕の全知全能のセンサーでも確認してみたよ。世界中に点在するダンジョンは、魔法石やレアメタル、薬草なんかを産出する『生活に欠かせない資源の供給源(畑)』なんだね。だから完全に潰して更地にしちゃうと、世界中の人たちが資源不足で困っちゃう。でも、長期間放置しすぎると、中でタチの悪い魔物(雑草や害虫)が増えすぎて、外に溢れ出す『スタンピード(ゴミの不法投棄や雑草の越境)』を引き起こすのか!」

 アルドはパンッと手を叩いた。

「完全に、庭の植木の剪定をサボったせいで枝が伸び放題になって、お隣さんの敷地にまで葉っぱが落ちて迷惑をかけてる状態じゃないか! あるいは、家庭菜園の野菜を間引きしないで放置したせいで、全部が腐りかけてる状態だ! 生活に必要な資源を枯渇させないように根っこ(コア)は残しつつ、増えすぎた魔物を定期的に『間引き・剪定』して、安全に収穫できる状態を維持する。これが持続可能なダンジョン管理の鉄則だよ! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えたダンジョンの生態系と、スタンピードの危機……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「現在、世界で最も危険視されているのは、旧魔王領のさらに奥地に存在する『最凶の深淵迷宮』です。内部は完全に魔物が飽和状態にあり、いつ決壊してもおかしくない状況。資源の枯渇を防ぎつつ、適正な個体数に調整する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」

「社長。ダンジョン内に蔓延る鬱陶しい過剰な魔獣ども(伸びすぎた枝葉)の伐採と、安全な動線の確保は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のチェーンソーと剪定バサミで一つ残さず切り落とし、完璧な『下地処理(間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の刈り込みバサミのように構えて不敵に笑う。

「ええ。ダンジョン内に漂うガンコな瘴気や毒沼(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・除草魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、快適に収穫作業ができる清潔な環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、間引いた魔物や採取した資源が外に散らかってご近所迷惑にならないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と飛散防止ネット(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 庭のお手入れは枝が目に入ったり虫に刺されたりするから、しっかり養生と虫除けをして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の瘴気と魔物の体液を完全に弾く特製ガーデニング用・完全防護エプロンと厚手手袋、麦わら帽子)に着替え、手には巨大な「事象剪定の神仙刈り込みバサミ」と、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対環境の神仙コアチューナー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『お庭・資源メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの資源不足とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔な雑草を間引いて、迷宮を優良なクリーンファームにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、ガーデニング仕様に改造された魔導サービスカー(大量の剪定道具と収穫カゴ搭載)に乗り込み、空間がドス黒い魔物の群れで溢れかえっている次元の迷宮『最凶の深淵』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の迷宮『最凶の深淵』の内部。

 そこは、長年の放置により凶悪な魔獣や古代竜が異常繁殖し、足の踏み場もないほどにひしめき合う、文字通りの地獄絵図であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の魔力が、魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(スタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。

「グォォォォッ!! 我ら深淵の軍勢よ! 長きにわたる沈黙を破り、今こそ地上へ溢れ出す時が来た! 全ての生命を蹂躙し、この世界を我らの新たな住処(迷宮)と変えてくれるわ!」

 迷宮の最深部で、無数の魔獣たちを統べる超巨大な『深淵の迷宮竜』が、傲慢な咆哮を響かせていた。

「さあ、進め! 地上の脆弱な結界など、我らの圧倒的な数と力の前には紙切れ同然! スタンピードの恐怖を――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 迷宮竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な瘴気が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の猛毒と魔物の群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、巨大な刈り込みバサミと収穫ネットを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの咆哮を完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! お庭のガンコな伸びすぎた枝葉さん(魔物たち)、定期剪定と間引き作業に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい雑草の生え放題っぷりと、敷地の外にまで飛び出そうとしてるタチの悪い越境状態(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに環境を悪化させるなんて、資源管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にバサミでの間引きと、ふるいネットでの資源分別回収のしがいがあるや!」

 アルドは、麦わら帽子をキュッと被り直しつつ、プロの庭師としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 迷宮竜が驚愕のブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「剪定・収穫用具(兵器)」を手にして、魔物がひしめく荒地へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい通路に湧いた雑草ども(魔獣の群れ)と、伸び放題で道を塞いでいる無駄な枝葉から、綺麗に『下地処理・物理間引き』して差し上げましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ迷宮軍勢ヲ『伸びすぎた枝葉と雑草』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ深淵ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ蹂躙シテクレルワ!」

 迷宮竜の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い瘴気と狂暴性を纏った魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって雪崩のごとく押し寄せてきた。

「うわっ、この雑草たち、すっごく元気で通路を完全に塞いじゃってる! 放置してたらお隣さんの敷地(人間の街)まで根を張っちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で伸び放題になったタチの悪いガンコな庭の雑草と害虫」と完全に認識し、神仙刈り込みバサミをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『お庭の放置による越境被害と資源の腐敗』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は庭師として、こいつらを完璧に間引いて剪定して、綺麗な家庭菜園にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常のガーデニング現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。間引いた雑草や土埃が外の世界を汚さないよう、まずは私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と飛散防止ネットを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防鳥ネットのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の剪定作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の猛毒やスタンピードの魔物は一匹たりとも外の世界に漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコな瘴気や毒沼の悪臭(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・土壌改良処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力土壌改良魔法』が、超強力な浄化の風と肥料となって周囲の狂気の毒沼を包み込み、一気に中和してフカフカの栄養満点な土へと変えた。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を腐らせる猛毒の瘴気は、その浄化の風を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で植物が育ちやすいクリーンな状態へと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの雑草や枯れ枝など、ただの剪定バサミのマトだ! そして、邪魔な伸び放題の魔物どもは俺が綺麗に切り落として風通しを良くしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「迷宮過剰繁殖魔獣解体間引キ剪定斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(適切な間隔)」を完璧に見切り、まるで密集しすぎた枝葉を専用のチェーンソーでギュイィィンッ!と綺麗に切り落とし、風通しと日当たりを良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕し、迷宮内の安全な通路を確保してしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ魔獣軍団ト絶対ノ暴走力ガ、タダノ『土壌改良』ト『枝の剪定』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ数ニ減ラサレテイクゥゥッ!?」

 迷宮竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「適度に剪定された庭木」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な雑草の間引きは完璧だね! あとは、あの一番デカくて迷宮の根っこを握っている『ガンコな親玉(迷宮竜とコア)』の所に行って、事象剪定の神仙刈り込みバサミでチョキチョキと形を整え、倒した魔物から因果抽出の神仙ふるいネットで有用な魔法石や素材だけを綺麗に分別して回収する! 最後に絶対環境の神仙コアチューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度と魔物が増えすぎないように自動調整するだけだ!」

 アルドは、特製『事象剪定の神仙刈り込みバサミ』と『ふるいネット』を迷宮竜の巨大な本体(次元の暴走の中核)へと向けて構え、長靴で土を踏みしめて突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙刈り込みバサミは星の因果の暴走を物理的に断ち切って適正なサイズに整える絶対事象剪定ツールであり、神仙ふるいネットとコアチューナーは大宇宙のいかなる次元の最凶迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要なゴミを落として必要な資源だけを抽出し、魔力濃度を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な資源供給地を取り戻す『究極の持続可能ガーデニングツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ踏ミニジル『終焉ノ絶対暴走アビス・スタンピード』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ混沌ノ底ニ沈メテクレルワ!」

 迷宮竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒のエネルギー波を放ってきた。

「うわっ! 根っこの奥から、すっごく強烈でタチの悪いトゲトゲの太い枝が伸びてきた! でも、この特製刈り込みバサミとコアチューナーの前には、どんなに凶暴な枝葉も一発で綺麗に丸く剪定されて、安全なお庭になるんだ!」

 アルドが迷宮竜の巨大なエネルギー(世界の暴走の中心)に向けて、事象剪定の神仙刈り込みバサミを「チョキッ、チョキッ!」とリズミカルに動かす。事象の暴走(迷宮の魔力圏)が、神仙の強烈な剪定力によって刃が触れるたびにポロポロと切り落とされ、迷宮竜はあれよあれよという間に、丸く可愛らしく刈り込まれたトピアリー(庭木アート)のような無害な姿へと整えられていく。

 同時に、アルドは因果抽出の神仙ふるいネットをバサァッ!と広げ、剪定されて落ちた魔物の残骸から、有用な魔法石やレアメタル、薬草だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、収穫カゴへと次々に回収していく。

 完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部ダンジョンコアに、絶対環境の神仙コアチューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対に魔物が増えすぎない、新築のビニールハウスのように管理されたクリーンファームへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒暴走ガ、タダノ刈リ込ミバサミデ丸ク剪定サレ、ふるいネットデ資源ダケ抽出サレ、コアチューナーデ一ミリモ残ラズ許容量ヲ超エラレナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコな伸び放題の魔物は完全に剪定されて風通しが良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全なお庭になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域資源管理&無限クリーンファームシステム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に剪定してチューナーをつけたら、凄く強力で絶対に魔物を溢れさせず、定期的に魔法石や素材をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域資源管理・無限クリーンファームインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな資源と無限の持続可能性だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域資源管理&無限クリーンファームインフラ』にできそうだよ!」

 アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動適正間引き・超資源ドロップ安全モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた迷宮の禍々しい狂気と増殖の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな生産エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ混沌ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ魔法石ト素材オ収穫スル為ノ最新ノ自動温度管理機能付キ・システムファーム】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ資源供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ壊スノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ資源ト極上ノ豊カサオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーンファーム」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした最凶迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「ダンジョンの定期剪定・間引き作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を蹂躙する禍々しい最凶の深淵は、気がつけば「世界の資源供給を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな魔物の暴走も一瞬で無害化し、極上の魔法石と素材を24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域資源管理・無限クリーンファームインフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式植物工場と自動収穫コンベア)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌なスタンピードと資源枯渇のリスクは片付いて、すっごく綺麗で安全な持続可能バッチリなお庭になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の暴走や物資不足を気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で生活の糧を手に入れられるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤と豊かな資源を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドが刈り込みバサミを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い瘴気は一瞬にして晴れ渡り、飛散防止ネットが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式ファームと、澄み切った清らかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域資源管理・クリーンファームシステムは、これより大陸全土の迷宮維持・資源供給基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。最凶迷宮からの定期メンテナンス費用の自動引き落とし設定も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔命がけで潜ってたダンジョンが、完全にオートメーション化されたトマト農園みたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな最凶の魔物やガンコなスタンピードの兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な枝葉ごとチェーンソーで間引き』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・資源インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。最凶迷宮によるスタンピードおよび資源枯渇の危機を「定期的なお庭の剪定および間引き作業」として処理完了。世界を暴走に沈める迷宮を事象の刈り込みバサミとコアチューナーで剪定・調整させ、立派な特大全自動広域資源管理・無限クリーンファームシステムへと改修完了。異常なし。以上。』

 ゾルタンは非常に簡潔に、わずか数行で記録を終えた。世界を滅ぼす最凶迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「やることがない日のちょっとした庭の手入れと収穫作業」という、ガーデニングのスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の造園メンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、最凶迷宮すらもピカピカの最新式農園の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、お庭の手入れお疲れ様! 今日の3時のおやつは、新しく収穫した果物みたいにツヤツヤで甘い『特製・大精霊のフルーツたっぷり・極上カスタードフルーツタルト〜星屑の粉砂糖を雪のように降らせて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるフルーツタルトは、ことのほか果物の瑞々しさとカスタードのコクが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただのダンジョンの定期間引き・剪定作業と資源の持続可能管理」は、世界滅亡のスタンピードの危機をただのガーデニングメンテナンスとして解決し、迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域資源管理・無限クリーンファームインフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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