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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第205話:ただのキッチンの換気扇のギトギト油汚れ洗浄とシロッコファンの浸け置き洗いと、魔界の腐油魔公爵の強制全自動広域排気・無限クリーン換気扇インフラ化

第205話:ただのキッチンの換気扇のギトギト油汚れ洗浄とシロッコファンの浸け置き洗いと、魔界の腐油魔公爵の強制全自動広域排気・無限クリーン換気扇インフラ化(総合ライフサポート企業のハウスクリーニング・換気扇メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうとした創造神や天界の神々が、「気さくで働き者の大家さんたち」としてすっかり定着し、朝のゴミ出しを終えて「今日はプラゴミの日だったな」「分別は大事だぞ」などと談笑している。宇宙の真理からすれば、もはやツッコミを入れる気すら起きないほど平和で家庭的な光景が広がっていた。

 そんな中、キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、極上の胡麻油が弾けるパチパチという快音と、甘辛い醤油ダレが焦げる暴力的なまでの香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々の皆さんも一緒に食べる『幻獣特大車海老と大精霊の春野菜の極上サクサク天丼〜数百年継ぎ足した星屑の甘辛特製ダレをたっぷりかけて〜』だ。まずは、大人の顔ほどもある幻獣特大車海老の筋を丁寧に切り、真っ直ぐに伸ばす。そして、大精霊の清流で育った肉厚のどんこ椎茸、甘みたっぷりの新玉ねぎと春菊の極厚かき揚げを用意する! これらを、神仙小麦と冷水でサックリと混ぜ合わせた特製の衣に潜らせ、数百年熟成させた幻獣の極上胡麻油をブレンドした揚げ油で、強火で一気にカラッと揚げるんだ! 衣の中で海老は極限まで蒸し焼きにされ、プリップリの食感と暴力的なまでの甘みを閉じ込める。炊き立てでツヤツヤの神仙米を深めの丼にたっぷりと盛り、その上に揚げたて熱々の特大天ぷらをそびえ立つ山のように乗せる! 最後に、天界の醤油と和三盆を煮詰め、代々継ぎ足してきた濃厚で甘辛い『特製天丼のタレ』を、ジュワァァァッ!と滝のように回しかけるんだ。付け合わせには、幻獣アサリの出汁が効いた熱々の赤だし。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な胡麻油と甘辛ダレの香りを放つ特大の天丼をダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、ゴミ出しを終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣特大車海老の圧倒的なアミノ酸と春野菜のビタミンが全身の魔力回路を限界突破させ、胡麻油のセサミンと特製ダレの糖分が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の和食フルコース』である。

「うむ……! このタレが染み込んだ衣に歯を立てた瞬間に響き渡る『サクッ、ジュワッ!』という快音のビッグバン! 衣を破って現れる特大車海老のプリプリとした暴力的な弾力と、口いっぱいに広がる海鮮の甘みが、濃厚な甘辛ダレと完璧に混ざり合う! すかさずタレの染みた神仙米をかき込めば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! サクサクの春菊のかき揚げでほろ苦いアクセントを加え、熱々の赤だしで胃袋を温めれば、我が最高福利厚生責任者の職務が、老舗天ぷら屋のカウンターで至福のランチを貪る大富豪のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、箸を持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々の天丼に感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ほうじ茶が振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える大宇宙最強の経営陣。

 しかし、優雅な空気を切り裂くように、キッチンの換気扇レンジフードの方から「ブォォォ……ギギギ……」という、モーターが重苦しく唸る不快な異音と共に、酸化してドブのように臭くなった古い油の匂いが漂ってきた。見上げれば、換気扇のフィルターから、ドス黒いヘドロのような油のしずくがポタポタと滴り落ち、禍々しい瘴気を放っていた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、換気扇の吸い込みがすごく悪くて、フィルターの隙間から『タチの悪いギトギトの真っ黒な油汚れ』が垂れてきているんだよね。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが次元の底の『奈落の魔界』から、ついに侯爵たちの上に立つ、さらに高位の爵位『魔界公爵(腐敗と停滞の支配者)』の仕業だってわかる。魔界は爵位が上がるほど同格の実力者が増えるけど、侯爵級が全滅したから、ついに魔界の最上位クラスである公爵級の最初の一人が重い腰を上げたみたいだね。完全に何年もシロッコファン(換気扇の羽根)の掃除をサボったせいで発生する、タチの悪い油の固着と排気不良トラブルだよ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「換気扇のギトギト油汚れと異音」。それはすなわち、侯爵たちの相次ぐ敗北を受け、ついに魔界の頂点に迫る大貴族たる『腐油の魔公爵・グリース・マック』が、無数の粘菌魔獣と酸化した腐油を率いて世界の次元の排気(循環)を完全に詰まらせ、世界をドロドロの猛毒ガスと油の底へと変えようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界をギトギトの油汚れや悪臭の心配がない、どんな料理をしても一瞬で空気を綺麗にする極上の換気空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた魔界・公爵級(一人目)の侵攻と、次元換気の停滞被害……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「我が社の情報網にも、奈落の魔界からついに大貴族・公爵級の出陣報告が届いております。公爵位は魔界の軍の中枢を担う実力者ですが、今回は先陣を切って『腐油の魔公爵・グリース・マック』が、猛毒の酸化油(致死の停滞ガス)を撒き散らし、我々の世界の次元の空気穴を全て塞ごうとしております。さらにタチの悪いことに、その魔公爵が生み出す『黒油の粘塊魔獣ども(※触れるものの次元と空気をドロドロのヘドロに変える魔獣群)』が換気扇の奥から溢れ出し、人々の街のキッチンに雪崩れ込んでは、全てを絶望の油地獄の底に沈めようと暴れ回っております」

「なるほど! やっぱり長年レンジフードの奥を掃除しなかったせいで、固まったタチの悪い油の親玉(魔公爵)がシロッコファンの羽の一枚一枚にびっしりこびりついて、モーターの回転を狂わせてるんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロのハウスクリーニング業者としての血を騒がせた。

「僕の力なら魔界の公爵なんて一瞬で消滅させられるけど、ガンコな油汚れの対応はやっぱり、レンジフードのカバーとフィルターを外し、奥のカタツムリみたいなケースから『シロッコファン』をすっぽり取り外す! そして60度の熱めのお湯に『超強力・アルカリ性油汚れ用洗剤』を溶かし、ファンを厚手のポリ袋に入れて数時間『浸け置き』して油を完全にドロドロに溶かす! 最後に古い歯ブラシやヘラで隙間の汚れを根こそぎこそぎ落とし、物理的に一滴の油も残らない完璧な換気扇にリセットするのが一番確実で風通しが良くなるからね! このまま放置すれば、家(世界)中が煙だらけになって火事になっちゃう。安全で快適な居住環境を守るためにも、換気扇をキッチリ分解洗浄して、極上のクリーン排気インフラにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。レンジフードの表面にこびりついた鬱陶しい粘塊ども(魔獣の群れ)と、油で固着して回らなくなったカバーの解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーと電動ドライバーで一つ残さず引っ剥がし、完璧な『下地処理(外装パーツの分解)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型のスクレーパーのように構えて不敵に笑う。

「ええ。魔公爵が撒き散らすガンコな酸化油の悪臭と停滞の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力脱脂・消臭魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、洗剤がしっかり効く完璧な清掃環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、垂れてくる真っ黒な油やアルカリ洗剤の飛沫が、下のコンロや壁を汚さないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、キッチンの周囲に完璧なマスカーテープによる養生と、コンロ上の保護シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 換気扇の掃除は強い洗剤を使うし、ドロドロの油が落ちてくると大惨事になるから、しっかりコンロ周りの養生をして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の腐油を完全に弾く特製ハウスクリーニング用・耐油エプロンと厚手ゴム手袋、保護メガネ)に着替え、手には巨大な「事象溶解の神仙アルカリ洗剤」と、プロ仕様の「因果浸け置きの神仙特厚ポリ袋」、そして「絶対排気の神仙シロッコファン」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『換気扇メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの換気不良と悪臭の悩みを解決するために、邪魔なギトギト汚れを溶かして、換気扇を優良なクリーン排気インフラにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、ハウスクリーニング仕様に改造された魔導サービスカー(大量の熱湯タンクと洗剤搭載)に乗り込み、空間がドス黒い油煙とヘドロに覆われつつある次元の排気口『魔界の腐油域』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の排気口『魔界の腐油域』の中心部。

 世界の次元換気をギトギトの油で塞ぎ、全ての存在を永遠の窒息と悪臭の底に沈める『腐油の魔公爵・グリース・マック』が、空間を覆い尽くすほどの巨大なドス黒い油の塊として蠢き、傲慢な粘着音を響かせていた。

「ドップチャァァァ……!! 素晴らしいぞ! 侯爵どもが敗れようとも、我ら大貴族・公爵級の粘着力の前では、この軟弱な世界の空気穴など容易く油で塞がれる! 我が致死の腐油さえあれば、地上の次元排気など一瞬で固着し、永遠の息苦しさに絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の停滞を!」

 魔公爵は、巨大なヘドロの奥からドス黒い猛毒の酸化油を放ち、無数の黒油の粘塊魔獣たちを次元の換気扇へと放った。

「愚かな地上の生命どもめ。我ら魔界の公爵が排気を握ったからには、もはやこの世界のどこにも新鮮な空気などないと知れ! さあ、もっとだ! 全てのシロッコファンの羽をギトギトの油で埋め尽くし、大陸全土を永遠の油地獄へと沈めよ!」

「我ら公爵級の腐油の力は絶対だ! この魔界の腐油域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 魔公爵が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な油煙が吹き荒れる腐油域のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の猛毒と油をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、アルカリ洗剤とポリ袋を持った青年の明るくも呆れた声が、魔界の粘着ノイズを完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 換気扇のガンコなギトギト油さん(魔公爵)、シロッコファンの分解洗浄と浸け置き工事に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい油の層っぷりと、フィルターにへばりついてるタチの悪いスライム(粘塊魔獣)だね! 大掃除を何年もサボってこんなに油を化石化させるなんて、キッチンの衛生管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にアルカリ洗剤での浸け置きとヘラでの削ぎ落としのしがいがあるや!」

 アルドは、厚手のゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロのハウスクリーニング業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対腐敗領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 魔公爵が驚愕の酸化油ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながらギトギトの足場へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しいフィルターに湧いた粘塊ども(魔獣の群れ)と、油で固まって外れない古いカバーから、綺麗に『下地処理・分解作業』して差し上げましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の油煙の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ魔界公爵ヲ『換気扇の油汚れ』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ粘塊魔獣群デ、貴様ラノ肺ヲ永遠ニギトギトニ塞イデクレルワ!」

 魔公爵の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い酸化油と粘着の呪力を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の腐食弾を放ちながら這い寄ってきた。

「うわっ、この油汚れたち、すっごく粘り気が強くて新しいコンロまでギトギトにしようとしてる! 放置してたら火事に繋がっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の群れを「料理の油煙が冷えてホコリと結びついたタチの悪いガンコな油汚れ」と完全に認識し、神仙スクレーパーをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『換気扇の油固着と排気不良被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを完璧に分解して新品みたいに風通しを良くするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の換気扇清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。強いアルカリ洗剤の飛沫や溶けた油が周囲の家具を汚さないよう、まずは私が完璧にコンロ周りのマスカー養生と床面の保護シートを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔界の腐油域とキッチンの周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、コンロや壁面全体をすっぽりと覆うように透明なマスカーテープが展開され、床には絶対的な強度を誇る『神仙の清掃用・耐油保護結界』が展開された。これで、致死の猛毒の油や洗剤は一ミリたりとも大切なキッチンを汚すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は魔界が撒き散らすガンコな酸化油の悪臭と停滞の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に強力脱脂・消臭処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光アルカリ脱脂魔法』が、超強力なオレンジオイルの光のミストとなって周囲の狂気の油煙を包み込み、一気に中和してサラサラに分解した。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を塞ぐ猛毒の油は、その浄化の光のミストを浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で洗剤が効きやすいサラサラの汚れへと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの油や固まったカバーなど、ただのスクレーパーのマトだ! そして、邪魔な古いフィルターとネジは俺が綺麗に引っ剥がしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した粘塊の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「換気扇油固着魔獣解体分解斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、粘塊魔獣と古いカバーの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで油で固着したネジや整流板を専用の工具でパキッ!と綺麗に外すかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に分解し、換気扇の奥のシロッコファンを丸裸にしてしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ粘塊魔獣軍団ト絶対ノ固着力ガ、タダノ『脱脂魔法』ト『カバー外し』ノ前ニ、一瞬デ急所ノファンヲ剥キ出シニサレテイクゥゥッ!?」

 魔公爵グリース・マックは、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのパーツ」として分解され、本体の急所(巨大なシロッコファン)が露わになった光景に、驚愕のあまり巨大な油の体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保とカバーの分解は完璧だね! あとは、あの一番デカくて風の通り道を塞いでいる『ガンコな油の親玉グリース・マック』のシロッコファンを取り外し、因果浸け置きの神仙特厚ポリ袋に入れて60度のお湯を注ぎ、事象溶解の神仙アルカリ洗剤をドバッ!と入れて数時間浸け置きして完全にドロドロに溶かし、最後にブラシで水洗いして絶対排気の神仙シロッコファンとしてカチッと元に戻すだけだ!」

 アルドは、特製『事象溶解の神仙アルカリ洗剤』のボトルを魔公爵の巨大な本体(次元の停滞と油の中核)へと向けて構え、足場を蹴って突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙アルカリ洗剤は星の因果の腐油を物理的に鹸化させて溶かす絶対事象洗浄ツールであり、神仙シロッコファンは大宇宙のいかなる次元の魔界の公爵や神話級の猛毒の油煙すらも、物理的に『強靭な遠心力で吸い込んで浄化する』だけで完璧に無害化し、極上の澄み切った排気を取り戻す『究極の換気扇修繕ツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ呼吸ヲ止メル『終焉ノ絶対油地獄アビス・グリース・デッドロック』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノヘドロノ底ニ沈メテクレルワ!」

 魔公爵が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを塞ぎ尽くす超巨大な猛毒の酸化油の波を放ってきた。

「うわっ! ファンの隙間から、すっごく強烈でタチの悪い化石みたいな油が吹き出してきた! でも、この特製アルカリ洗剤と浸け置き袋の前には、どんなに酷い油汚れも一発で完全に溶け落ちてピカピカだ!」

 アルドが魔公爵の巨大なシロッコファン(世界の排気の中心)を「カポッ!」と取り外し、因果浸け置きの神仙特厚ポリ袋にすっぽりと入れる。そこへ給湯器から60度の熱湯をドバドバと注ぎ、事象溶解の神仙アルカリ洗剤を惜しげもなく投入する。

 「シュワァァァァッ!!」という強烈な化学反応の音と共に、事象の停滞(魔界の魔力圏)の油が、洗剤の力で完全に鹸化し、ドロドロの茶色い液体となって浮き上がってくる。数十分の浸け置きの後、アルドは袋からファンを取り出し、専用のヘラと古歯ブラシで羽の隙間を「サッサッ」と軽く擦るだけで、こびりついていた魔界の魔力ごと完璧にツルンと剥がれ落ちた。

 完全に銀色の輝きを取り戻した絶対排気の神仙シロッコファンを元の位置に「カチッ」とはめ込み、スイッチを入れると、「ブォォォォォン!!」という力強くて静かなモーター音と共に、眩く輝く平和で絶対に油の匂いがしない、新築のようにピカピカのクリーン換気扇へと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒油地獄ガ、タダノアルカリ洗剤デ溶カサレ、ポリ袋デ因果ゴト浸ケ置キサレ、古歯ブラシデ一ミリモ残ラズ削ギ落トサレタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコなシロッコファンの油汚れは完全に溶け落ちて、モーターの回転もスムーズになってすっごく排気効率の良い換気扇になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域排気&無限クリーン換気システム』をレンジフードにカチッと取り付けて……あ、そうだ。この油汚れの親玉、綺麗に洗浄してファンを組み直したら、凄く強力で絶対に油がこびりつかない、巨大な全自動の広域排気・無限クリーン換気インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、魔界の有害な酸化油や悪臭を完全に吸い込んで浄化し、代わりに極上のクリーンな空気と無限の快適な換気だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域排気&無限クリーン換気インフラ』にできそうだよ!」

 アルドが魔公爵の本体であったレンジフードに専用の自動洗浄ユニットを施し、事象調律のスイッチを「24時間自動排気・オイルスマッシャーモード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な換気施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた魔界の禍々しい腐油と停滞の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな排気エネルギーと無限の換気機能へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ窒息ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【家ノ中オ煙ヤ匂イカラ守ッテ快適ニサセル為ノ最新ノ自動洗浄機能付キレンジフード】ノヨウニ……!? イヤ、アルカリ洗剤デ洗ワレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ排気力ト、極上ノ空気環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ塞グノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ安心ト極上ノ深呼吸オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン換気扇」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……! 下位ノ侯爵ドモガ抗エナカッタ理由ガ、公爵タル我ニモヨウヤク理解デキタ……!!』

 かつて世界を脅かした腐敗した油と停滞の化身たる魔界の魔公爵(一人目)は、アルドの「換気扇のギトギト油汚れ洗浄とシロッコファンの浸け置き洗い」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を塞ぐ禍々しい魔界の腐油域は、気がつけば「世界の排気を美しく輝く巨大な換気施設に変え、魔界のどんな油煙や悪臭も一瞬で無害化し、極上の爽やかな空気を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域排気・無限クリーン換気インフラ(見た目は巨大で新築のようにピカピカに輝く純白の最新式レンジフードとオイルスマッシャー)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌な異音とギトギト油のリスクは片付いて、すっごく綺麗でピカピカの排気バッチリな換気扇になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが大掃除の手間や油汚れを気にせずに、どんな料理をしても安心な環境で笑顔で美味しいご飯を作れるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの清潔なキッチンと綺麗な空気を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドが古歯ブラシを片付けて額の汗を拭うと、腐油域を覆っていたドス黒い油煙は一瞬にして晴れ渡り、マスカーテープが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大なレンジフードと、澄み切った清らかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域排気・クリーン換気システムは、これより大陸全土の住宅設備・換気基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。魔界の大貴族・公爵(一人目)からのハウスクリーニング代行費用の徴収も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、完全に大家さんとして定着した神々が「ほら見ろ、魔界の公爵といえど、年末の大掃除の換気扇洗い扱いで溶かされたぞ……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな魔界のバケモノやガンコな化石油が出ようが、社長の作業前に俺が全部『外装カバーのツメ折り無し分解』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで魔界側の次元防衛・住宅設備利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。魔界の公爵級(一人目)による次元排気停滞侵攻を「換気扇の油汚れ洗浄およびシロッコファン浸け置き洗い」として処理完了。世界を窒息に沈める魔公爵を事象のアルカリ洗剤とポリ袋で溶解・洗浄させ、立派な特大全自動広域排気・無限クリーン換気システムへと改修完了。異常なし。以上。』

 ゾルタンは非常に簡潔に、わずか数行で記録を終えた。魔界の大貴族たる公爵が現れようとも、社長の前では「年末の大掃除で一番面倒な換気扇掃除」という、家事のルーティンが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす魔界の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常のハウスクリーニング業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔界の公爵すらもピカピカのシロッコファンの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、換気扇の掃除お疲れ様! 今日の3時のおやつは、油汚れをスッキリさせた後にぴったりの、爽やかで冷たい『特製・大精霊のレモンたっぷり・極上はちみつレモンゼリー〜星屑のミントを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるはちみつレモンゼリーは、ことのほか酸味の爽やかさと甘みが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただのキッチンの換気扇のギトギト油汚れ洗浄とシロッコファンの浸け置き洗い」は、世界窒息の危機をただの換気扇修繕メンテナンスとして解決し、魔界の公爵(一人目)の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域排気・無限クリーン換気インフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に魔界からの次元排気防衛と住宅設備の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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