第203話:ただの外壁のひび割れ(クラック)補修と防水塗装と、魔界の崩壁魔侯爵の強制全自動広域防壁・無限クリーン外装インフラ化
第203話:ただの外壁のひび割れ(クラック)補修と防水塗装と、魔界の崩壁魔侯爵の強制全自動広域防壁・無限クリーン外装インフラ化(総合ライフサポート企業の外装・ペンキ塗りメンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうとした創造神や天界の神々が、「気さくで働き者の大家さんたち」としてすっかり定着し、朝の日差しの中で外壁の汚れをホースの水で洗い流す手伝いをしている。宇宙の真理からすれば、もはやツッコミを入れる気すら起きないほど平和で家庭的な光景が広がっていた。
そんな中、キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、芳醇なバターが焦げる甘美な香りと、濃厚な卵と牛乳が焼ける暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大家の神々の皆さんも一緒に食べる『幻獣ブリオッシュの極厚フレンチトースト〜星屑の焦がしキャラメルバナナと、大精霊の特製メープルシロップをたっぷりと添えて〜』だ。まずは、バターと卵を限界まで練り込んで焼き上げた幻獣小麦の極上ブリオッシュを、大人の拳ほどの分厚さにカットする。これを、天界鶏の濃厚な卵黄、幻獣の特濃牛乳、そして星屑のバニラビーンズを混ぜ合わせた『黄金のアパレイユ(卵液)』に一晩じっくりと浸し込み、中まで完全に染み込ませておくんだ! そして、数百年熟成の幻獣バターをたっぷりと溶かしたフライパンで、弱火でじっくりと両面を黄金色に香ばしく焼き上げる。さらに魔法のオーブンで数分焼き、スフレのように限界までフワッフワに膨らませる! その横で、天界バナナに和三盆をまぶしてバーナーで炙り、表面をパリッパリのキャラメリゼに仕上げる。焼き立て熱々でプルプルの極厚フレンチトーストをお皿に乗せ、焦がしキャラメルバナナを添え、最後に大精霊の森で採れた純度100%の特製メープルシロップをジュワァァァッ!と滝のように回しかけるんだ。付け合わせには、幻獣ベリーの甘酸っぱいスムージー。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、圧倒的なバターとメープルの香りを放つ特大のフレンチトーストプレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、外壁掃除を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣ブリオッシュの圧倒的な炭水化物と卵のタンパク質が全身の魔力回路を限界突破させ、メープルシロップのミネラルとバナナのカリウムが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のスイーツ朝食フルコース』である。
「うむ……! この極厚フレンチトーストにナイフを入れた瞬間にわかる、表面のカリッとした抵抗と、中のトロットロなプリンのような感触! 黄金の断面から湯気が立ち上り、メープルシロップをたっぷりと吸い込んだ一切れを口に運べば、バターの暴力的なコクと卵の優しい甘みが口の中で奇跡のハーモニーを奏でて一瞬で溶けていく! すかさず表面パリパリ、中トロトロの焦がしキャラメルバナナを頬張れば、ほろ苦さと甘さの完璧なコントラストが生まれ、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 我が最高福利厚生責任者の職務が、パリの高級サロンで至福のモーニングを貪る貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、フォークとナイフを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて感涙に咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ダージリンティーが振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える大宇宙最強の経営陣。
しかし、優雅な空気を切り裂くように、城塞の外壁の方から「ピシッ……パラパラ……」という不快な音と共に、漆喰が剥がれ落ちるような振動と、雨漏りを予感させるカビ臭い湿気が漂ってきた。剥がれ落ちた外壁の欠片には、禍々しい瘴気と共に新たな挑戦状が刻まれていた。
「……ねえ。今朝からなんだけど、建物の外壁に『すごく深くてタチの悪いヒビ割れ(クラック)』がたくさん入ってて、塗装も指で触ると白い粉がつくくらい劣化してるんだよね。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが次元の底の『奈落の魔界』から、前回の伯爵たちよりさらに上位の爵位である『魔界侯爵(壁と境界の破壊者)』の仕業だってわかる。魔界は上位の爵位になるほど同格の実力者がひしめき合っているから、今回も侯爵級の最初のひとりが名乗りを上げて壁を壊しに来たみたいだね。完全に長年の紫外線と雨風を放置したせいで発生する、タチの悪い外壁の劣化と雨漏りリスクだよ」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「外壁のクラックと塗装の剥がれ」。それはすなわち、伯爵たちの相次ぐ敗北を受け、魔界のさらに上位貴族たる『崩壁の魔侯爵・クラムブル・ウォール』が、無数の破壊魔獣と風化の呪いを率いて世界の次元の壁(境界)を完全に粉砕し、世界を防御力ゼロの廃墟へと変えようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界をヒビ割れや雨漏りの心配がない、いつでもピカピカで頑丈な外壁に守られた極上の安全空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた魔界・侯爵級の侵攻と、次元外壁の崩壊被害……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「我が社の情報網にも、奈落の魔界からついに侯爵級の出陣報告が届いております。侯爵位は実力伯仲の激戦区ですが、今回は先陣を切って『崩壁の魔侯爵・クラムブル・ウォール』が、猛毒の風化作用(致死の崩壊呪力)を撒き散らし、我々の世界の次元障壁を全てヒビ割れさせて崩そうとしております。さらにタチの悪いことに、その魔侯爵が生み出す『白化の粉塵魔獣ども(※触れるものの次元と硬度をボロボロの粉に変える魔獣群)』が外壁の隙間から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の瓦礫の底に沈めようと暴れ回っております」
「なるほど! やっぱり10年以上外壁のメンテナンスをサボったせいで、タチの悪い紫外線ダメージとヒビ割れの親玉(魔侯爵)が壁の奥深くまで浸透して、建物全体の寿命を縮めてるんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロの外装・ペンキ塗りメンテナンス業者としての血を騒がせた。
「僕の力なら魔界の侯爵なんて一瞬で消し飛ばせるけど、ガンコな外壁のクラックと劣化の対応はやっぱり、家の周りに『足場』をしっかり組んで飛散防止ネットを張り、専用の『高圧洗浄機』で古い汚れとチョーキングを完全に洗い流す! そしてヒビ割れには『超強力・防水コーキング』を奥までギュッと充填して隙間を埋め、最後に『高耐久・フッ素シリコン防水塗料』をローラーで下塗り、中塗り、上塗りの三度塗りで仕上げて、物理的に雨も紫外線も完全に弾く強靭な膜を作るのが一番確実で家が新築みたいになるからね! このまま放置すれば、家(世界)中に雨水が染み込んで柱が腐っちゃう。安全で頑丈な居住環境を守るためにも、外壁をキッチリ補修・塗装して、極上の防壁インフラにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。外壁にこびりついた鬱陶しい粉塵ども(魔獣の群れ)と、剥がれかけた古い塗装の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のスクレーパーとエンジン式高圧洗浄機で一つ残さず削ぎ落とし、完璧な『下地処理(ケレン作業と洗浄)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の塗装用スクレーパーのように構えて不敵に笑う。
「ええ。魔侯爵が撒き散らすガンコな粉っぽさと風化の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力定着・プライマー魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、塗料が密着する完璧な塗装環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、高所作業の危険や、塗料の飛沫がご近所の家や車に飛び散らないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧な単管パイプの足場と飛散防止養生ネット(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 外壁塗装は塗料が風で飛ぶとご近所トラブルになるし、高所作業は転落の危険があるから、しっかり足場と養生ネットを張って安全第一で作業しようね!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の風化粉塵と塗料を完全に弾く特製塗装作業用・防汚ツナギとヘルメット、安全帯)に着替え、手には巨大な「事象充填の神仙コーキングガン」と、プロ仕様の「因果防壁の神仙防水塗料」、そして「絶対塗布の神仙特大ローラー」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『外装・ペンキ塗りメンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの外壁のヒビ割れと雨漏りの悩みを解決するために、邪魔なクラックを埋めて、外壁を優良なクリーン外装にリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、外壁塗装仕様に改造された魔導クレーン付きトラック(大量の足場材と塗料缶搭載)に乗り込み、空間がドス黒いヒビ割れと粉塵に覆われつつある次元の境界『魔界の崩壁前線』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、次元の境界『魔界の崩壁前線』の中心部。
世界の次元障壁に無数のヒビを入れ、全ての存在を永遠の瓦礫と絶望の底に沈める『崩壁の魔侯爵・クラムブル・ウォール』が、空間を覆い尽くすほどの巨大なヒビ割れた岩壁の塊として蠢き、傲慢な崩壊音を響かせていた。
「ガラガラガラッ……!! 素晴らしいぞ! 伯爵どもが敗れようとも、我ら上位貴族・侯爵級の破壊力の前では、この軟弱な世界の壁など容易く粉々に砕け散る! 我が致死の風化呪力さえあれば、地上の次元防壁など一瞬で砂と化し、永遠の廃墟に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の崩壊を!」
魔侯爵は、巨大なヒビ割れの奥からドス黒い猛毒の粉塵を放ち、無数の白化の粉塵魔獣たちを次元の壁面へと放った。
「愚かな地上の生命どもめ。我ら魔界の侯爵が壁を叩いたからには、もはやこの世界のどこにも雨風を防ぐ安全な家などないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての壁面にクラックを入れ、大陸全土を永遠の瓦礫の底に変えよ!」
「我ら侯爵級の崩壊力は絶対だ! この魔界の崩壁前線まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」
――キキィィィィッ!! ガキンッ、ガキンッ!!
魔侯爵が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な砂埃が吹き荒れる崩壁前線のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導トラック)が、神話級の猛毒と粉塵をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、作業車のドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、コーキングガンと塗料ローラーを持った青年の明るくも呆れた声が、魔界のノイズを完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 外壁のガンコなヒビ割れさん(魔侯爵)、クラック補修と防水ペンキの三度塗り工事に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい外壁の劣化っぷりと、壁面にこびりついてるタチの悪い白い粉(粉塵魔獣)だね! メンテナンスをサボってこんなにチョーキングを発生させるなんて、建物の資産価値低下も甚だしいよ。こりゃ徹底的にコーキング充填と防水塗装のしがいがあるや!」
アルドは、安全帯のフックをカチッと確認しつつ、プロの外装業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対崩壊領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」
魔侯爵が驚愕の風化ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「塗装・足場用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながら崩れかけの壁へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい壁にこびりついた粉塵ども(魔獣の群れ)と、剥がれかけた古い塗膜から、綺麗に『下地処理・ケレン作業』して差し上げましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の廃墟の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ魔界侯爵ヲ『外壁のヒビ割れと劣化塗装』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ粉塵魔獣群デ、貴様ラノ防壁ヲ永遠ニボロボロニ風化サセテクレルワ!」
魔侯爵の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い粉塵と崩壊の呪力を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の風化弾を放ちながら襲い掛かってきた。
「うわっ、この白い粉たち、すっごくチョーキングが進行してて服につくと真っ白になっちゃう! 放置してたら壁が水を吸って雨漏りしちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の群れを「紫外線で劣化した古い塗膜の粉」と完全に認識し、神仙コーキングガンのレバーをカチャリと構えた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『外壁のクラックと塗装劣化被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は塗装業者として、こいつらを完璧に補修して新築みたいにピカピカにするだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の外壁塗装現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。高所作業の足場確保と、ペンキの飛沫が周囲の街に漏れ出ないよう、まずは私が完璧に単管パイプの足場と飛散防止養生ネットを組み上げます」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔界の崩壁前線と魔侯爵の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――ガキンッ! ピィィィィンッ!
瞬間、魔侯爵の巨大な壁面全体をすっぽりと覆うように、鋼鉄の単管パイプが組み上がり、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の外壁塗装用・飛散防止ネット結界』が展開された。これで、致死の猛毒の粉塵や塗料は一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。
「完璧な足場ですわ、シノンさん。では、私は魔界が撒き散らすガンコな粉っぽさと風化の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に強力下塗り・プライマー処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光下地密着魔法』が、超強力なシーラー(下塗り剤)の光の霧となって周囲の狂気の粉塵を包み込み、一気に固めて塗料の密着性を高めた。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を風化させる猛毒の粉塵は、その浄化の光の霧を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で塗料がしっかり食いつく強靭な下地へと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの粉や浮いた塗膜など、ただの高圧洗浄機のマトだ! そして、邪魔な古い汚れは俺が綺麗に洗い落としてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した粉塵の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「外壁劣化塗膜粉塵魔獣解体高圧洗浄斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、粉塵魔獣と古い塗膜の「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで壁面にこびりついた汚れを専用のエンジン高圧洗浄機でバビィィィンッ!と綺麗に吹き飛ばして洗浄するかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、壁面をツルツルの丸裸にしてしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ粉塵魔獣軍団ト絶対ノ崩壊力ガ、タダノ『下塗り剤』ト『高圧洗浄』ノ前ニ、一瞬デ塗料ノノリガ良イ完璧ナ下地ニサレテイクゥゥッ!?」
魔侯爵は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただの汚れ」として洗い流され、本体の急所(巨大なヒビ割れ)が露わになった光景に、驚愕のあまり巨大な岩壁の体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで足場組みと下地処理の洗浄は完璧だね! あとは、あの一番デカくて雨漏りの原因になってる『ガンコなクラックの親玉』のヒビ割れに、事象充填の神仙コーキングガンをギュムッ!と押し当てて隙間なく埋め、因果防壁の神仙防水塗料をたっぷり含ませた絶対塗布の神仙特大ローラーで、下塗り・中塗り・上塗りの三度塗りで一気に塗りたくるだけだ!」
アルドは、特製『事象充填の神仙コーキングガン』を魔侯爵の巨大な本体(次元の崩壊とクラックの中核)へと向けて構え、足場を蹴って突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙コーキングガンは星の因果の崩壊を物理的に塞いで接着する絶対事象補修ツールであり、神仙防水塗料と特大ローラーは大宇宙のいかなる次元の魔界の侯爵や神話級の猛毒の風化すらも、物理的に『強靭な塗膜でコーティングして紫外線を弾く』だけで完璧に無害化し、極上のピカピカな鉄壁空間を取り戻す『究極の外壁塗装ツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ壁ヲ粉砕スル『終焉ノ絶対崩落』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ瓦礫ノ底ニ沈メテクレルワ!」
魔侯爵が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを砕き割る超巨大な猛毒のクラックと崩落の波を放ってきた。
「うわっ! 壁の奥から、すっごく深くてタチの悪いヒビ割れが広がってきた! でも、この特製コーキングガンと防水塗料の前には、どんなに酷いクラックも一発で完全に塞がってピカピカだ!」
アルドが魔侯爵の巨大なヒビ割れ(世界の境界の裂け目)に向けて神仙コーキングガンのノズルを押し当て、レバーを「ギュゥゥゥッ!」と力強く握り込む。事象の崩壊(魔界の魔力圏)の隙間に、絶対に剥がれない神仙のコーキング材が隙間なく充填され、ヘラで「スーッ」と平らに均される。
完全にヒビが埋まったその上から、アルドは因果防壁の神仙防水塗料をたっぷり吸い込んだ絶対塗布の神仙特大ローラーを壁に当て、「コロコロコロッ!!」と豪快に、かつ繊細に転がしていく。
下塗り、中塗り、そして艶出しの上塗り。ローラーが通るたびに、こびりついた魔界の魔力ごと完璧に厚い塗膜でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対に水を通さない、新築のようにピカピカのクリーン外壁へと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒崩落ガ、タダノコーキングガンデ塞ガレ、ペンキ用ローラーデ因果ゴト三度塗リサレテ、一ミリモ世界ニヒビヲ入レラレナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコな外壁のクラックは完全に埋まって、防水ペンキもピカピカに仕上がってすっごく頑丈な壁になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域防壁&無限クリーン外装システム』を壁面にカチッと取り付けて……あ、そうだ。このヒビ割れの親玉、綺麗にコーキングして塗装したら、凄く強力で絶対に風化しない、巨大な全自動の広域防壁・無限クリーン外装インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、魔界の有害な崩壊や風化を完全に弾き返して浄化し、代わりに極上の頑丈な守りと無限のピカピカな美観だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域防壁&無限クリーン外装インフラ』にできそうだよ!」
アルドが魔侯爵の本体であった壁面に専用の防汚コーティング層を施し、事象調律のスイッチを「24時間自動防汚・超耐久防水モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な外壁施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた魔界の禍々しい崩壊と粉塵の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな防壁エネルギーと無限の防水機能へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ瓦礫ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【家ノ外壁オ雨風カラ守ッテ長持チサセル為ノ最新ノフッ素シリコン塗料トコーキング】ノヨウニ……!? イヤ、ローラーデ塗ラレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ防御力ト、極上ノ外装環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ崩壊サセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ頑丈サト極上ノ新築気分オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン外壁」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……! 下位ノ貴族ドモガ抗エナカッタ理由ガ、侯爵タル我ニモヨウヤク理解デキタ……!!』
かつて世界を脅かした崩壊した次元と風化の化身たる魔界の魔侯爵(一人目)は、アルドの「外壁のクラック補修と防水塗装」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を風化させる禍々しい魔界の崩壁前線は、気がつけば「世界の境界を美しく輝く巨大な外装施設に変え、魔界のどんなヒビ割れや粉塵も一瞬で無害化し、極上の頑丈な壁を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域防壁・無限クリーン外装インフラ(見た目は巨大で新築のようにピカピカに輝く純白の高耐久サイディングボードと防水塗装壁)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌なヒビ割れと雨漏りのリスクは片付いて、すっごく綺麗でピカピカの防水バッチリな外壁になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが外壁の劣化や修繕費用を気にせずに、いつでも安心な環境で笑顔で頑丈な家で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な住まいと綺麗な外観を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドがローラーを片付けて額の汗を拭うと、前線を覆っていたドス黒い風化の粉塵は一瞬にして晴れ渡り、足場が魔法のように解体され、眼下には美しく輝く奇跡の巨大防壁と、澄み切った清らかな青空が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域防壁・クリーン外装システムは、これより大陸全土の建築・外壁基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。魔界のさらに上位貴族・侯爵からの外壁修繕代行費用の徴収も完了いたしました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、完全に大家さんとして定着した神々が「ほら見ろ、魔界の侯爵といえど、築十年の外壁クラック補修扱いで塗り潰されたぞ……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。
「これからは、どんな魔界のバケモノやガンコな古い塗膜が出ようが、社長の作業前に俺が全部『高圧洗浄機で徹底ケレン』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで魔界側の次元防衛・外装利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。魔界の侯爵級(一人目)による次元壁崩壊侵攻を「外壁のひび割れコーキングおよび防水塗装」として処理完了。世界を瓦礫に沈める魔侯爵(魔界の上位貴族)を事象のコーキングガンと防水ペンキで充填・三度塗りさせ、立派な特大全自動広域防壁・無限クリーン外装システムへと改修完了。異常なし。以上。』
ゾルタンは非常に簡潔に、わずか数行で記録を終えた。もはや魔界のさらに上位貴族たる侯爵が現れようとも、社長の前では「築十数年目の外壁リフォーム案件」としてあっさり消化されるのみである。侯爵級の刺客が他にも控えていようが、大宇宙を揺るがす魔界の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の住宅メンテナンス業務としてルーティン化されているのである。
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔界の侯爵すらもピカピカの外壁塗料の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、外壁のペンキ塗りお疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗にコーティングされた壁みたいにツヤツヤでカラフルな『特製・大精霊のアーモンドプードルで作った極上マカロン〜星屑の濃厚ガナッシュをサンドして〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるマカロンは、ことのほか表面のサクッとした食感とガナッシュの甘みが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの外壁のひび割れ(クラック)補修と防水塗装」は、世界崩壊の危機をただの外装メンテナンスとして解決し、魔界の侯爵の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域防壁・無限クリーン外装インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に魔界からの次元防衛と外装環境の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
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