表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
202/260

第202話:ただの洗濯槽のガンコな黒カビ(ワカメ)洗浄と糸くずフィルター交換と、魔界の腐布魔伯爵(同格)の強制全自動広域洗濯・無限クリーンランドリーインフラ化

第202話:ただの洗濯槽のガンコな黒カビ(ワカメ)洗浄と糸くずフィルター交換と、魔界の腐布魔伯爵(同格)の強制全自動広域洗濯・無限クリーンランドリーインフラ化(総合ライフサポート企業の家電・水回りメンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうとした創造神や天界の神々が、「気さくで働き者の大家さんたち」としてすっかり定着し、朝の日差しの中でシーツをパンパンと叩いて物干し竿に干している。宇宙の真理からすれば、もはやツッコミを入れる気すら起きないほど平和で家庭的な光景が広がっていた。

 そんな中、キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、パンが黄金色にトーストされる香ばしい匂いと、豚肉が分厚く揚げられる暴力的なまでの香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々の皆さんも一緒に食べる『幻獣黒豚の極厚ロースカツと、天界卵のフワフワ・スフレオムレツを挟んだ究極のカツ・オムサンド〜星屑の自家製トリュフマスタードマヨネーズ仕立て〜』だ。まずは、指で押すだけで肉汁が溢れる幻獣黒豚の極厚ロース肉に、粗挽きの神仙生パン粉を纏わせ、数百年熟成の極上ラードで外はサクッと、中はほんのりピンク色に揚げ上げる! その横で、天界鶏の濃厚な卵を白身と黄身に分け、白身を限界までメレンゲ状に泡立ててから黄身と幻獣バターを合わせ、フライパンで一気に焼き上げる『極厚スフレオムレツ』を作るんだ! 鉄板で香ばしくトーストした神仙小麦の食パンに、星屑のトリュフオイルと自家製マスタードを効かせた特製マヨネーズをたっぷりと塗り、揚げたての極厚カツと、ぷるんぷるんのスフレオムレツを豪快にサンドする! 仕上げに上から少し圧をかけてパンと具材を馴染ませ、包丁でザクッ!と半分にカットすれば、断面から肉汁と半熟卵が滝のように溢れ出す、暴力的なまでの極上サンドイッチの完成さ。付け合わせには、幻獣キャベツのシャキシャキ・コールスロー。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な揚げ物とトリュフの香りを放つ特大のサンドイッチプレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、洗濯物を干し終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣黒豚の圧倒的なビタミンB1とスフレオムレツの良質なタンパク質が全身の魔力回路を限界突破させ、トリュフの芳醇な香りとマスタードの酸味が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のパン食フルコース』である。

「うむ……! この極厚サンドイッチに大口でかぶりついた瞬間に響き渡る、トーストとカツの『サクッ!』という快音のビッグバン! そこへスフレオムレツのシュワッと溶けるような食感が加わり、溢れ出す豚の脂の甘みと卵の濃厚なコクが、トリュフマスタードの鮮烈な風味と完璧に混ざり合う! すかさずシャキシャキのコールスローで口内をリセットし、再び極厚サンドに挑めば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 我が最高福利厚生責任者の職務が、高級パーラーで至福のブランチを貪る貴族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、サンドイッチを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて感涙に咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上レモンティーが振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える大宇宙最強の経営陣。

 しかし、優雅な空気を切り裂くように、脱衣所の洗濯機の方から「ゴトゴト……ピチャッ」という不快な音と共に、部屋干しに失敗したような強烈な生乾き臭と、ドブのようなカビの匂いが漂ってきた。そして、洗い立てのはずのタオルには、ワカメのようなドス黒いカビの塊がべっとりと付着し、禍々しい瘴気を放っていた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、洗濯機から変な臭いがするし、洗ったはずのタオルに『ワカメみたいな真っ黒なカビのピロピロ』がくっついてきているんだよね。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが次元の底の『奈落の魔界』から、前回のエアコンを汚染した魔伯爵と同格のライバルとして送られてきた『もう一人の魔界伯爵(布と汚泥の支配者)』の仕業だってわかる。魔界は爵位が上がるほど同格の実力者が増えるから、伯爵級が連続して攻めてきているんだね。完全に洗濯槽の裏側の掃除をサボったせいで発生する、タチの悪い洗濯槽の黒カビとヘドロ被害だよ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「洗濯物に付着する黒カビ(ワカメ)と生乾き臭」。それはすなわち、前回の空調防衛での敗北を受け、魔界の伯爵位において同等の力を持つ『腐布の魔伯爵・ファブリック・ロト』が、無数のカビ魔獣やヘドロ軍団を率いて世界中の布地や衣服、さらには次元の織り目すらも腐敗させ、世界をドロドロの汚泥と悪臭の底へと変えようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を黒カビや生乾き臭のいない、いつでも洗い立てのフカフカな服が着られる極上の清潔空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた魔界・伯爵級(同格)の侵攻と、次元繊維の腐敗被害……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「我が社の情報網にも、奈落の魔界から次なる伯爵級の刺客の報告が届いております。衣服と布地を腐らせる『腐布の魔伯爵・ファブリック・ロト』が、猛毒の生乾き臭(致死の腐敗胞子)を撒き散らし、我々の世界の繊維を全て溶かし尽くそうとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔伯爵が生み出す『黒ワカメの汚泥魔獣ども(※触れるものの次元と布地をドロドロのヘドロに変える魔獣群)』が洗濯槽の裏側から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の汚染布の底に沈めようと暴れ回っております」

「なるほど! やっぱり洗濯槽クリーナーを定期的に使わなかったせいで、タチの悪い黒カビと石鹸カス(同格の魔伯爵)が洗濯槽の裏側にびっしりこびりついて、せっかくの洗濯物を汚しちゃってるんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロの家電・水回りメンテナンス業者としての血を騒がせた。

「僕の力なら魔界の伯爵なんて一瞬で浄化できるけど、ガンコな洗濯槽のワカメ汚れの対応はやっぱり、洗濯槽にお湯をたっぷり張って、専用の『超強力・酸素系洗濯槽クリーナー』をドバッと入れて数時間つけ置きし、浮いてきた大量の黒カビを『ゴミすくいネット』で根こそぎすくい取る! そして最後にパルセーター(底の羽根)を外して裏側をブラシで磨き、新しく『抗菌・糸くずフィルター』を取り付けて、物理的に奥の奥までピカピカにして二度とカビが服につかないようにするのが一番確実でタオルがフカフカになるからね! このまま放置すれば、家(世界)中が生乾きの匂いで誰も服を着られなくなっちゃう。安全で清潔な洗濯環境を守るためにも、洗濯機をキッチリ分解洗浄して、極上のクリーンランドリーシステムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。洗濯槽の底にこびりついた鬱陶しい汚泥ども(魔獣の群れ)と、邪魔なパルセーターの解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のインパクトドライバーとギアプーラーで一つ残さず分解し、完璧な『下地処理(洗濯槽の分解)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の電動ドライバーのように構えて不敵に笑う。

「ええ。魔伯爵が撒き散らすガンコな生乾き臭と腐敗の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力消臭・除菌魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、清潔な清掃環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、つけ置き洗いの強烈な発泡や、すくい取った真っ黒なワカメ汚れが洗面所や他の部屋に飛び散らないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧な防水目張りテープと洗濯パン隔離(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 洗濯槽のつけ置き洗いは汚れがプカプカ浮いてきてすごく見た目が悪いし、汚水が溢れると大変だから、しっかり防水パンの養生と目張りをして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の腐敗液とカビを完全に弾く特製家電清掃用・防水エプロンとロングゴム手袋、マスク)に着替え、手には巨大な「事象発泡の神仙・酸素系洗濯槽クリーナー」と、プロ仕様の「因果すくい取りの神仙ゴミすくいネット」、そして「絶対捕集の神仙・抗菌糸くずフィルター」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『家電・水回りメンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの黒カビワカメと生乾き臭の悩みを解決するために、邪魔な洗濯槽の裏の汚れを浮かせ取って、洗濯機を優良なクリーンランドリーにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、水回り清掃仕様に改造された魔導バキュームカー(超大型給湯タンク搭載)に乗り込み、空間がドス黒いカビと悪臭に覆われつつある次元の洗濯室『魔界の腐布域』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の洗濯室『魔界の腐布域』の中心部。

 世界の次元をドロドロの汚泥に沈め、全ての存在を永遠の生乾きと絶望の底に沈める『腐布の魔伯爵・ファブリック・ロト』が、空間を覆い尽くすほどの巨大な真っ黒いカビの塊として蠢き、傲慢なヘドロの音を響かせていた。

「ベチャァァァ……!! 素晴らしいぞ! エアコンの伯爵が敗れようとも、同格たる我ら腐布の伯爵の浸食力の前では、この軟弱な世界など容易くカビの温床へと変貌する! 我が致死の黒ワカメさえあれば、地上の生命が纏う衣服など一瞬で腐り落ち、永遠の悪臭に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の生乾きを!」

 魔伯爵は、巨大なヘドロの渦からドス黒い猛毒のカビ胞子を放ち、無数の黒ワカメの汚泥魔獣たちを次元の洗濯槽へと放った。

「愚かな地上の生命どもめ。我ら魔界の伯爵が繊維を握ったからには、もはやこの世界のどこにもフカフカのタオルなどないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての洗濯物の繊維を真っ黒なカビで塞ぎ、大陸全土を永遠の腐布の底に変えよ!」

「我ら同格伯爵級の腐敗力は絶対だ! この魔界の腐布域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」

 ――キキィィィィッ!! ガッシャァァンッ!!

 魔伯爵が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な悪臭が吹き荒れる腐布域のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導バキュームカー)が、神話級の猛毒とヘドロをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、酸素系クリーナーとゴミすくいネットを持った青年の明るくも呆れた声が、魔界のノイズを完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 洗濯槽のガンコな裏側汚れさん(魔伯爵)、カビのつけ置き洗浄とフィルター交換工事に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどい洗濯槽の黒ずみっぷりと、底に溜まってるタチの悪いワカメ状のヘドロ(汚泥魔獣)だね! 定期的な槽洗浄をサボってこんなにカビを繁殖させるなんて、衣類ケアの怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的につけ置き発泡とネットでのすくい取りのしがいがあるや!」

 アルドは、ロングゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの家電清掃業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対腐敗領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 魔伯爵が驚愕の生乾きブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながらヌルヌルの床へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい底にこびりついた汚泥ども(魔獣の群れ)と、邪魔なパルセーターから、綺麗に『下地処理・分解作業』して差し上げましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の腐敗布の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ魔界伯爵ヲ『洗濯槽の黒カビとワカメ』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ汚泥魔獣群デ、貴様ラノ衣服ヲ永遠ニヘドロニ溶カシテクレルワ!」

 魔伯爵の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒いカビワカメと腐敗液を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の腐敗弾を放ちながら這い寄ってきた。

「うわっ、このワカメみたいなカビたち、すっごくしつこくてお気に入りの白いシャツまで真っ黒にしようとしてる! 放置してたらお出かけできなくなっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の群れを「洗剤の溶け残りと湿気を餌に異常繁殖したタチの悪い洗濯槽の黒カビ」と完全に認識し、神仙クリーナーの袋をカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『洗濯槽の黒カビと生乾き臭被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを完璧に浮かせて清潔な洗濯機にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の洗濯機清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。つけ置き洗いの溢れる汚水や飛び散るヘドロが周囲の街に漏れ出ないよう、まずは私が完璧に防水目張りテープと洗濯パン隔離を張ります」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔界の腐布域と魔伯爵の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――ピィィィィンッ!

 瞬間、空間全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の洗濯槽清掃用密閉結界』が展開された。これで、致死の猛毒のカビワカメや汚水は一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。

「完璧な密閉ですわ、シノンさん。では、私は魔界が撒き散らすガンコな生乾き臭と腐敗の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に強力消臭・除菌処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力消臭魔法』が、超強力なプラズマ除菌の光の風となって周囲の狂気の生乾き臭を包み込み、一気に浄化して無臭にした。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を腐らせる猛毒の臭いは、その浄化の光の風を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でお日様のような爽やかな香りへと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの汚泥や邪魔な底の羽根など、ただのインパクトドライバーのマトだ! そして、邪魔なパルセーターは俺が綺麗に引っ剥がしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した汚泥の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「洗濯槽底面回転翼解体分解斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、汚泥魔獣と底の羽根の「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで洗濯槽の底のパルセーターを専用の電動工具でガガガッ!とネジを外して綺麗に取り外すかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に分解し、底に隠れていた巨大な黒カビの巣を丸裸にしてしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ汚泥魔獣軍団ト絶対ノ防壁(底の羽根)ガ、タダノ『消臭』ト『ネジ外し』ノ前ニ、一瞬デ丸裸ニサレテイクゥゥッ!?」

 魔伯爵ファブリック・ロトは、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのパーツ」に変わり、本体の急所(洗濯槽の裏側)が露わになった光景に、驚愕のあまり巨大な黒カビの体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで底の分解と除菌は完璧だね! あとは、あの一番デカくて裏側にへばりついている『ガンコな黒カビの親玉ファブリック・ロト』のいる洗濯槽に、50度くらいの熱めのお湯をたっぷり張り、事象発泡の神仙・酸素系洗濯槽クリーナーをドババッ!と入れて数時間つけ置きして汚れを完全に浮かせ、因果すくい取りの神仙ゴミすくいネットで浮いてきたワカメを根こそぎすくい取り、最後に絶対捕集の神仙・抗菌糸くずフィルターをカチッとはめ込んで『標準コース』で洗い流すだけだ!」

 アルドは、特製『事象発泡の神仙・酸素系洗濯槽クリーナー』の袋を魔伯爵の巨大な本体(次元の腐敗とカビの裏側の中核)へと向けて構え、突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙酸素系クリーナーとすくい取りネットは星の因果の腐敗を物理的に発泡力で剥がし取り除去する絶対事象清掃ツールであり、神仙抗菌糸くずフィルターは大宇宙のいかなる次元の魔界の伯爵や神話級の猛毒のカビすらも、物理的に『ミクロの網目でキャッチして二度と逃がさない』だけで完璧に無害化し、極上のピカピカな清潔空間を取り戻す『究極の洗濯機防カビツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ繊維ヲ溶カス『終焉ノ絶対腐敗布アビス・ファブリック・ロト』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノヘドロノ底ニ沈メテクレルワ!」

 魔伯爵が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを腐敗させる超巨大な猛毒の黒カビワカメの波を放ってきた。

「うわっ! 洗濯槽の裏側から、すっごくガンコな真っ黒いワカメの塊が押し寄せてきた! でも、この特製酸素系クリーナーとすくい取りネットの前には、どんなに酷いカビも一発で剥がれ落ちてスッキリだ!」

 アルドが魔伯爵の巨大な裏側(世界の洗濯槽の隙間)に給湯タンクから50度の熱湯をドバドバと注ぎ込み、神仙酸素系洗濯槽クリーナーを「ザバァァァッ!」と一袋丸ごと投入する。すると、「シュワシュワシュワァァァッ!!」という強烈な発泡音と共に、頑固な魔力が真っ黒なワカメ状の汚れとなって、ボコボコと水面に大量に浮き上がってくる。

 浮き上がった黒カビの核に向けて、因果すくい取りの神仙ゴミすくいネットを「スィーッ、スィーッ」と巧みに動かし、ヌメリの因果を一網打尽にすくい取って完全に除去する。

 仕上げに、古くて破れていたフィルターを捨て、絶対捕集の神仙・抗菌糸くずフィルターを「カチッ」とはめ込み、洗濯機のスイッチを『標準コース(すすぎ・脱水)』に入れる。すると、「ギュイィィィン!」という力強い遠心力と共に、こびりついた魔界の魔力ごと完璧に洗い流され、眩く輝く平和でカビの匂いが一切しない、ステンレスの輝きを放つ極上のクリーンランドリーへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒腐敗布ガ、タダノ酸素系クリーナーデ浮カサレ、百均ノネットミタイナヤツデ因果ゴトスクイ取ラレテ、一ミリモ世界ニワカメヲ付着サセラレナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコな洗濯槽のワカメは綺麗にすくい取れて、フィルターも新品になってすっごく清潔な洗濯機になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域洗濯&無限クリーンランドリーシステム』を操作パネルにカチッと取り付けて……あ、そうだ。この黒カビの親玉、綺麗に裏側を掃除してフィルターをつけたら、凄く強力で絶対にカビを生やさない、巨大な全自動の広域洗濯・無限クリーンランドリーインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、魔界の有害な腐敗やカビを完全に分解して浄化し、代わりに極上の清潔な衣服と無限のフカフカなタオルだけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域洗濯&無限クリーンランドリーインフラ』にできそうだよ!」

 アルドが魔伯爵の本体であった場所に専用のタッチパネルを施し、事象調律のスイッチを「24時間自動槽洗浄・プラズマ除菌モード・ON」にピピッ!と操作して巨大な洗濯施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた魔界の禍々しい腐敗と黒カビの魔力は、瞬く間に安全でクリーンな衛生エネルギーと無限の洗濯機能へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ汚泥ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【洗濯物オ綺麗ニ保ッテカビオ生ヤサナイ為ノ最新ノ自動槽洗浄機能付きドラム式洗濯機】ノヨウニ……!? イヤ、ネットデスクイ取ラレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ洗浄力ト、極上ノ衣類環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ腐ラセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ清潔ト極上ノフカフカタオルオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーンランドリー」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……! 同格ノエアコン伯爵ガ浄化サレタ理由ガ、今ナラ全テ理解デキル……!!』

 かつて世界を脅かした腐敗した布と黒カビの化身たる魔界の魔伯爵(同格)は、アルドの「洗濯槽の黒カビ洗浄と糸くずフィルター交換」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を腐敗させる禍々しい魔界の腐布域は、気がつけば「世界の衣類を美しく輝く巨大な衛生施設に変え、魔界のどんな黒ワカメや生乾き臭も一瞬で無害化し、極上のフカフカな仕上がりを24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域洗濯・無限クリーンランドリーインフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式ドラム式洗濯機と乾燥ユニット)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌な黒カビワカメと生乾き臭の被害は片付いて、すっごく綺麗でピカピカの自動槽洗浄付き洗濯機になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが洗濯物の臭いや汚れ残りを気にせずに、いつでも安心な環境で笑顔でフカフカの服を着られるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの清潔な衣服と心地よい肌触りを守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがゴミすくいネットを片付けて額の汗を拭うと、腐布域を覆っていたドス黒いカビの胞子は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡の巨大ドラム式洗濯機と、澄み切ったお日様のような香りが広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域洗濯・クリーンランドリーシステムは、これより大陸全土の衛生・衣類ケア基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。魔界の上位貴族・伯爵(次席)からのハウスクリーニング代行費用の徴収も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、完全に大家さんとして定着した神々が「ほら見ろ、魔界の伯爵が二人来ようが、エアコン掃除と洗濯機掃除の違いでしかないんだ……」と戦慄しながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな魔界のバケモノやガンコな裏側汚れが出ようが、社長の作業前に俺が全部『パルセーターのネジ外し』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで魔界側の水回り・白物家電利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。魔界の伯爵級(同格・二人目)による衣類汚染侵攻を「洗濯槽のワカメ洗浄および糸くずフィルター交換」として処理完了。世界を腐敗の汚泥に沈める魔伯爵を事象の酸素系クリーナーとすくいネットで浮かせ・除去させ、立派な特大全自動広域洗濯・無限クリーンランドリーシステムへと改修完了。異常なし。以上。』

 ゾルタンは非常に簡潔に、わずか数行で記録を終えた。魔界の上位貴族たる伯爵が二人束になって現れようとも、社長の前では「エアコンの次は洗濯機の大掃除」という、年末の大掃除リストが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす魔界の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の白物家電メンテナンス業務としてルーティン化されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔界の伯爵すらもドラム式洗濯機の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、洗濯機掃除お疲れ様! 今日の3時のおやつは、洗い立てのタオルみたいに白くてフワフワの『特製・大精霊のミルクたっぷり・極上台湾風かき氷〜星屑の練乳とフレッシュフルーツを乗せて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げる台湾かき氷は、ことのほかミルクの氷の口どけとフルーツの甘みが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの洗濯槽のガンコな黒カビ(ワカメ)洗浄と糸くずフィルター交換」は、世界衣類腐敗の危機をただの家電メンテナンスとして解決し、魔界の伯爵(同格)の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域洗濯・無限クリーンランドリーインフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に魔界からの水回り・白物家電防衛と衛生環境の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ