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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第200話:ただのお風呂場のガンコな黒カビ除去と排水口のヌメリ取りと、魔界の魔子爵(筆頭)の強制全自動広域防カビ・無限クリーンバスインフラ化

第200話:ただのお風呂場のガンコな黒カビ除去と排水口のヌメリ取りと、魔界の魔子爵(筆頭)の強制全自動広域防カビ・無限クリーンバスインフラ化(総合ライフサポート企業の水回り・浴室メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を消滅させようとした創造神や天界の神々が、「優良な大家さん」としてすっかり馴染み、朝露に濡れたテラスをモップでピカピカに磨き上げるという、宇宙の真理からすれば頭を抱えたくなるほど平和で家庭的な光景が広がっていた。

 そんな中、キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしく焼かれたベーコンの暴力的なまでの脂の匂いと、濃厚なバターと卵黄が絡み合う極上のソースの香りが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、神々の皆さんも一緒に食べる『幻獣黒豚の極厚ベーコンと天界卵の至高のエッグベネディクト〜星屑の特製オランデーズソースと大精霊のアスパラガスを添えて〜』だ。まずは、数百年熟成させた幻獣黒豚の極厚ベーコンを、カリッカリになるまで鉄板で香ばしく焼き上げる。その横で、大精霊の清流で育った極太のアスパラガスをバターでサッとソテーして甘みを引き出すんだ。そして主役のソース! 天界鶏の濃厚な卵黄に、溶かした幻獣バターを少しずつ加えながら湯煎で徹底的に泡立て、天界レモンの果汁と神仙の白胡椒で味を調えた、黄金色に輝く『特製オランデーズソース』を作る! 外はサクッ、中はフワフワに焼き上げた神仙小麦のイングリッシュマフィンの上に、厚切りベーコンとアスパラガス、そして白身はプルプルで黄身はトロトロの完璧なポーチドエッグを乗せる。最後に、この濃厚なオランデーズソースを滝のようにジュワァァァッ!とたっぷり回しかけるんだ。付け合わせには、幻獣完熟トマトとバジルの爽やかなミネストローネスープ。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的なバターとベーコンの香りを放つ特大のエッグベネディクトのプレートをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、テラス掃除を終えた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣黒豚の圧倒的なビタミンとアスパラガスの栄養素が全身の魔力回路を限界突破させ、オランデーズソースの濃厚なコクとレモンの酸味が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の朝食フルコース』である。

「うむ……! このプルプルのポーチドエッグにナイフを入れた瞬間に決壊する、濃厚な黄金の黄身の視覚的ビッグバン! それが特製オランデーズソースと完璧に混ざり合い、極厚ベーコンの塩気とイングリッシュマフィンの香ばしさを極限まで引き上げる。すかさず大口で頬張れば、バターの暴力的なコクとレモンの爽やかな酸味が口の中で奇跡のハーモニーを奏で、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! シャキシャキのアスパラガスで食感にアクセントを加え、熱々のミネストローネで胃袋を温めれば、我が最高福利厚生責任者の職務が、高級ホテルのスイートルームで至福のルームサービスを貪る王族のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、ナイフとフォークを持つ両手を震わせ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ブレンドコーヒーが振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える大宇宙最強の経営陣。

 しかし、優雅な空気を切り裂くように、お風呂場の方向から「ポタッ……ドロォ……」という不快な音と共に、ツンと鼻を突くカビの臭いと、ドブのような排水口の悪臭が漂ってきた。脱衣所の足ふきマットの上には、ドス黒いカビの胞子で書かれた、禍々しい挑戦状が落ちていた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、お風呂場のタイルやパッキンに『すごくガンコで真っ黒なカビ』がびっしり生えてて、排水口もヌメヌメのヘドロで詰まりかけてるんだよね。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが次元の底の『奈落の魔界』から、前回の草むしりや植木の手入れで駆除した子爵たちの、さらに同格のライバルとして送られてきた『子爵級の筆頭(カビと腐水の魔子爵)』の仕業だってわかる。魔界は爵位で上下が決まるけど、子爵級は実力が拮抗してるから、次から次へと同じ爵位の厄介な連中がやってくるんだね。完全に換気をサボったせいで発生する、タチの悪い水回りの黒カビとヌメリ被害だよ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「お風呂場を覆う黒カビと排水口の悪臭」。それはすなわち、前回の造園・植木防衛での敗北を受け、魔界の子爵位において最強の浸食力を誇る筆頭格『腐水の魔子爵・ブラック・モールド』が、無数のカビ魔獣やヘドロ軍団を率いて世界の水回りを完全に腐敗させ、世界をドロドロの腐海へと変えようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を黒カビやヌメリのいない、ピカピカで清潔な極上のバスルームにする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた魔界・子爵級(筆頭)の侵攻と水回りの腐敗被害……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「我が社の情報網にも、奈落の魔界からの子爵級最後の刺客の報告が届いております。魔界の子爵位において最強の浸食力を持つ筆頭『腐水の魔子爵・ブラック・モールド』が、猛毒の黒カビ(致死の腐敗胞子)を撒き散らし、我々の世界を溶かし尽くそうとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔子爵が生み出す『黒死の粘菌魔獣ども(※触れるものの次元と肉体をドロドロに溶かす魔獣群)』が排水溝の奥から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の腐海の底に沈めようと暴れ回っております」

「なるほど! やっぱりお風呂場の湿気を放置したせいで、タチの悪い黒カビ(子爵筆頭)が根を深く張って、排水口の奥までヘドロまみれにしてるんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロの水回り・浴室メンテナンス業者としての血を騒がせた。

「僕の力なら魔界の黒カビなんて一瞬で浄化できるけど、ガンコな水回りの汚れの対応はやっぱり、専用の『超強力・塩素系カビ取りジェル』をパッキンの奥まで密着させてカビの根を完全に溶かし、排水口には『パイプクリーナー』を流し込んでヌメリを分解し、最後に『銀イオンの防カビ燻煙剤』をモクモクと焚いて、物理的に天井から床まで丸ごとコーティングして二度とカビが生えないようにするのが一番確実でお風呂がピカピカになるからね! このまま放置すれば、家(世界)中がカビの胞子だらけになって病気になっちゃう。安全で清潔な入浴環境を守るためにも、お風呂場をキッチリ掃除して、極上のクリーンバス・システムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。浴室にこびりついた鬱陶しい粘菌ども(魔獣の群れ)と、排水口を塞ぐヘドロの解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のデッキブラシと高圧洗浄機で一つ残さず削ぎ落とし、完璧な『下地処理(表面の汚れ粉砕)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の硬質デッキブラシのように構えて不敵に笑う。

「ええ。魔子爵が撒き散らすガンコなカビ臭さと腐敗の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・除湿魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、清潔な清掃環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、カビ取り剤の強烈な塩素の匂いや、飛び散る汚水が脱衣所や他の部屋に漏れ出ないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場のドアの周囲に完璧な防水目張りテープと換気ダクト隔離(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! カビ取り剤は酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが出て危ないし、塩素の匂いがキツいから、しっかり換気と目張りをして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の腐敗液と強アルカリを完全に弾く特製浴室清掃用・防水エプロンとロングゴム手袋、防護メガネ、マスク)に着替え、手には巨大な「事象溶解の神仙カビ取りジェル」と、プロ仕様の「因果分解の神仙パイプクリーナー」、そして「絶対防カビの神仙銀イオン燻煙剤」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『水回り・浴室メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの黒カビと排水口の悪臭の悩みを解決するために、邪魔な汚れの根を溶かして、お風呂場を優良なクリーンバスにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、水回り清掃仕様に改造された魔導バキュームカー(超大型換気ファン搭載)に乗り込み、空間がドス黒いカビとヘドロに覆われつつある次元の浴室『魔界の腐水域』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の浴室『魔界の腐水域』の中心部。

 世界の次元をドロドロの腐海に沈め、全ての存在を永遠の黒カビと絶望の底に沈める『腐水の魔子爵・ブラック・モールド』が、空間を覆い尽くすほどの巨大な黒い粘菌の塊として蠢き、傲慢な泡立つ音を響かせていた。

「ブクブクブクッ……!! 素晴らしいぞ! 同格の貴族どもが敗れようとも、我ら筆頭子爵の腐敗力の前では、この軟弱な世界など容易くカビの温床へと変貌する! 我が致死の黒胞子さえあれば、地上の生命など一瞬で肺を冒され、永遠のヘドロに絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の浸食を!」

 魔子爵は、巨大なヘドロの口からドス黒い猛毒のカビ胞子を放ち、無数の黒死の粘菌魔獣たちを次元の排水溝へと放った。

「愚かな地上の生命どもめ。我ら魔界の子爵筆頭が根を下ろしたからには、もはやこの世界のどこにも清潔な水回りなどないと知れ! さあ、もっとだ! 全てのタイルとパッキンを真っ黒に染め上げ、大陸全土を永遠の腐海の底に変えよ!」

「我ら子爵筆頭の腐敗力は絶対だ! この魔界の腐水域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」

 ――キキィィィィッ!! ガッシャァァンッ!!

 魔子爵が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な悪臭が吹き荒れる腐水域のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導バキュームカー)が、神話級の猛毒とヘドロをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、カビ取りジェルとパイプクリーナーを持った青年の明るくも呆れた声が、魔界のノイズを完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! お風呂場のガンコな黒カビさん(魔子爵)、カビ取り清掃と防カビコーティング工事に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいタイルの黒ずみっぷりと、排水口に詰まってるタチの悪いヘドロ(粘菌魔獣)だね! 換気扇を回さずにジメジメ放置してこんなにカビを繁殖させるなんて、衛生管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にカビの根の分解と防カビ燻煙のしがいがあるや!」

 アルドは、ロングゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの浴室清掃業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対腐敗領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 魔子爵が驚愕のカビ胞子ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながらヌルヌルの床へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい床にこびりついた粘菌ども(魔獣の群れ)と、排水口の表面を塞ぐゴミから、綺麗に『下地処理・削ぎ落とし作業』して差し上げましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の腐海の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ魔界子爵ヲ『お風呂のカビとヌメリ』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ粘菌群デ、貴様ラノ肉体ヲ永遠ニドロドロニ溶カシテクレルワ!」

 魔子爵の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒いカビ胞子と腐敗液を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の腐敗弾を放ちながら這い寄ってきた。

「うわっ、このカビたち、すっごく根が深くて新しいシャンプーボトルまでヌルヌルにしようとしてる! 放置してたらお風呂に入れなくなっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の群れを「湿気と石鹸カスを餌に異常繁殖したタチの悪い黒カビとヘドロ」と完全に認識し、神仙カビ取りジェルのノズルをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『水回りの黒カビと排水口の詰まり被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを完璧に漂白して清潔なバスルームにするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の浴室清掃現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。カビ取り剤の強烈な匂いや飛び散る汚水が周囲の街に漏れ出ないよう、まずは私が完璧に防水目張りテープと換気隔離を張ります」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔界の腐水域と魔子爵の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――ピィィィィンッ!

 瞬間、空間全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の浴室清掃用密閉結界』が展開された。これで、致死の猛毒のカビ胞子や塩素ガスは一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。

「完璧な密閉ですわ、シノンさん。では、私は魔界が撒き散らすガンコなカビ臭さと腐敗の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・除湿処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力換気魔法』が、超強力な浴室乾燥機の光の温風となって周囲の狂気のカビ胞子を包み込み、一気に乾燥させて換気した。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を腐らせる猛毒の胞子は、その浄化の光の温風を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でカラカラのホコリへと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの粘菌や表面のヘドロなど、ただのデッキブラシのマトだ! そして、邪魔な表面汚れは俺が綺麗に削ぎ落としてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した粘菌の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「浴室床面黒死粘菌解体削ぎ落とし斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、粘菌魔獣ボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるでタイルの目地にこびりついた表面のカビを専用の硬質ブラシでゴシゴシッ!と綺麗に削り落とすかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害な汚れカスにしてしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ粘菌軍団ガ、タダノ『浴室乾燥』ト『デッキブラシ』ノ前ニ、一瞬デただの乾燥シタゴミクズニサレテイクゥゥッ!?」

 魔子爵ブラック・モールドは、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのゴミ」に変わり、腐水域の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な黒カビの体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで表面の汚れ落としと乾燥は完璧だね! あとは、あの一番デカくて根を張っている『ガンコな黒カビの親玉ブラック・モールド』の根元パッキンに、事象溶解の神仙カビ取りジェルをピチューッ!と密着させて根こそぎ溶かし、排水口の奥には因果分解の神仙パイプクリーナーをドバドバ流し込んでヌメリを分解し、最後に絶対防カビの神仙銀イオン燻煙剤をモクモクと焚いて、天井から床まで丸ごとバリアでコーティングするだけだ!」

 アルドは、特製『事象溶解の神仙カビ取りジェル』を魔子爵の巨大な本体(次元の腐敗とカビの根の中核)へと向けて構え、突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙カビ取りジェルとパイプクリーナーは星の因果の腐敗を物理的に分解し漂白する絶対事象清掃ツールであり、神仙銀イオン燻煙剤は大宇宙のいかなる次元の魔界の子爵や神話級の猛毒のカビすらも、物理的に『銀イオンの煙で包み込んで発生を抑える』だけで完璧に無害化し、極上のピカピカな清潔空間を取り戻す『究極の浴室防カビツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ水回リヲ溶カス『終焉ノ絶対腐海アビス・ブラックモールド』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノヘドロノ底ニ沈メテクレルワ!」

 魔子爵が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを腐敗させる超巨大な猛毒の黒カビとヘドロの波を放ってきた。

「うわっ! パッキンと排水口から、すっごくガンコな真っ黒い根っこが押し寄せてきた! でも、この特製カビ取りジェルとパイプクリーナーの前には、どんなに酷いカビも一発で真っ白に漂白だ!」

 アルドが魔子爵の巨大な根元(世界のパッキンの隙間)に向けて神仙カビ取りジェルを「ピチューッ!」と隙間なく塗り込み、事象の黒カビ(魔界の魔力圏)の根元にピッタリと密着させて数十分放置する。すると、「シュワシュワシュワッ!」という音と共に、頑固な魔力が真っ白に分解・漂白されていく。

 同時に、排水口の奥深くに潜むヘドロの核に向けて、因果分解の神仙パイプクリーナーを「ドバドバッ」と流し込み、ヌメリの因果を完全にドロドロに溶かして水で一気に洗い流す。

 仕上げに、浴室の中央に絶対防カビの神仙銀イオン燻煙剤を置き、水を入れて「シューッ!!」と煙を発生させる。銀イオンの煙が天井から床まで空間の隅々に行き渡り、こびりついた魔界の魔力ごと完璧にコーティングされ、眩く輝く平和でカビが二度と生えないピカピカのクリーンバスルームへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒腐海ガ、タダノカビ取リジェルデ漂白サレ、パイプクリーナーデ溶カサレテ、銀イオンノ煙デ因果ゴトコーティングサレテ、一ミリモ世界ニカビヲ生ヤセナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコな黒カビは真っ白になって、排水口もスッキリ流れてすっごく清潔なお風呂になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域防カビ&無限クリーンバスシステム』を換気扇にカチッと取り付けて……あ、そうだ。この黒カビの親玉、綺麗に漂白して防カビコーティングしたら、凄く強力で絶対にカビを生やさない、巨大な全自動の広域防カビ・無限クリーンバスインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、魔界の有害な腐敗やカビを完全に分解して浄化し、代わりに極上の清潔な水回りと無限の快適な入浴環境だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域防カビ&無限クリーンバスインフラ』にできそうだよ!」

 アルドが魔子爵の本体であった場所に専用の浴室コントロールパネルを施し、事象調律のスイッチを「24時間自動換気・防カビクリーンモード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な浴室施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた魔界の禍々しい腐敗と黒カビの魔力は、瞬く間に安全でクリーンな衛生エネルギーと無限の防カビ機能へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ腐海ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【お風呂場オ綺麗ニ保ッテカビオ生ヤサナイ為ノ最新ノ自動洗浄・防カビユニットバス】ノヨウニ……!? イヤ、銀イオンデコーティングサレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ防カビ力ト、極上ノ入浴環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ腐ラセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ清潔ト極上ノバスタイムオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーンバス」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……! 同格ノ子爵ドモガ浄化サレタ理由ガ、今ナラ全テ理解デキル……!!』

 かつて世界を脅かした腐敗と黒カビの化身たる魔界の魔子爵(筆頭格)は、アルドの「お風呂場のガンコな黒カビ除去と防カビコーティング」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を腐敗させる禍々しい魔界の腐水域は、気がつけば「世界の水回りを美しく輝く巨大な衛生施設に変え、魔界のどんな黒カビやヘドロも一瞬で無害化し、極上のピカピカな入浴環境を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域防カビ・無限クリーンバスインフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式ユニットバスと銀イオン発生装置)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌な黒カビと悪臭の被害は片付いて、すっごく綺麗でピカピカのバリア付きお風呂になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちがカビ掃除の手間を気にせずに、いつでも安心な環境で笑顔でゆったりお風呂に入れるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの清潔な水回りとリラックスタイムを守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがカビ取り剤を片付けて額の汗を拭うと、腐水域を覆っていたドス黒いカビの胞子は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡のユニットバスと、澄み切った清らかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域防カビ・クリーンバスシステムは、これより大陸全土の衛生・水回り基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。魔界の筆頭子爵からの清掃代行費用の徴収も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、完全に大家さんとして定着した神々が「ほら見ろ、あんなガンコなカビでも社長にかかれば一瞬で漂白だ……」と拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな魔界のバケモノやガンコなカビが出ようが、社長の作業前に俺が全部『デッキブラシで削ぎ落とし』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで魔界側の水回り防衛利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。魔界の子爵級(筆頭)による水回り腐敗侵攻を「お風呂場の黒カビ除去および防カビコーティング」として処理完了。世界を腐海に沈める魔子爵(魔界の貴族筆頭)を事象のカビ取りジェルと銀イオン燻煙剤で漂白・コーティングさせ、立派な特大全自動広域防カビ・無限クリーンバスシステムへと改修完了。異常なし。以上。』

 ゾルタンは非常に簡潔に、わずか数行で記録を終えた。もはや魔界の子爵が何人束になって現れようが、社長の前では「家事のバリエーション(草むしり、害虫駆除、風呂掃除)」が一つ消化されたという程度の意味しか持たない。大宇宙の危機など、黄昏の守護者の前では永遠に日常のメンテナンス業務としてルーティン化されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔界の子爵筆頭すらもユニットバスの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、お風呂掃除お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になった白いタイルみたいに真っ白でプルプルの『特製・天界牛乳の極上パンナコッタ〜星屑のブルーベリーソースをかけて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるパンナコッタは、ことのほかミルクのコクとベリーの酸味が五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただのお風呂場のガンコな黒カビ除去と排水口のヌメリ取り」は、世界腐敗の危機をただの水回りメンテナンスとして解決し、魔界の子爵(筆頭)の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域防カビ・無限クリーンバスインフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に魔界からの水回り防衛と衛生環境の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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