第199話:ただの庭の害虫・毛虫の薬剤散布と植木鉢の鉢底ネット敷きと、魔界の浸食魔子爵・次席の強制全自動広域防虫・無限クリーンガーデンバリアインフラ化
第199話:ただの庭の害虫・毛虫の薬剤散布と植木鉢の鉢底ネット敷きと、魔界の浸食魔子爵・次席の強制全自動広域防虫・無限クリーンガーデンバリアインフラ化(総合ライフサポート企業の造園・防虫メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
庭先では、創造神たちが前回の防草シート敷きに続き、すっかり板についた手つきで白砂利の小道を掃き清めている。
そんな平和な庭のテラス席からは、魂の最深部を震わせるような、極上の小麦の香ばしさと、バターとアールグレイの茶葉が焼き上がる甘美な匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大精霊の清冽な香草園で育った『幻獣アールグレイ茶葉と天界バターの極上スコッチ・ショートブレッド〜特製クロテッドクリームと自家製幻獣イチゴジャムを添えて〜』だ。まずは、数百年熟成させた幻獣バターを室温に戻し、星屑の和三盆と細かくすり潰した最高級の幻獣アールグレイ茶葉を限界まで練り込む。そこに、大粒の神仙小麦をふんわりと合わせ、手早くサクッと一口大の四角形に切り分けて、魔法のオーブンでじっくりと香ばしく焼き上げるんだ! 焼き上がったばかりの温かいスコッチ・ショートブレッドをナイフで横にパカリと割り、その上に大精霊の清流で育った乳牛の濃厚な『クロテッドクリーム』と、甘酸っぱい『幻獣イチゴジャム』をこれでもかと乗せる! 付け合わせには、天界ローズヒップの淹れたてハーブティー。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、湯気と共に圧倒的なバターと紅茶の香りを放つ特大のスコーンプレートをダイニングテーブルに運ぶと、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、神竜ポチや星狼シロ、そして庭掃除をしていた創造神たちまでもが目を輝かせて駆け寄ってきた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣バターの圧倒的な乳脂肪とアールグレイのポリフェノールが全身の魔力回路を限界突破させ、イチゴジャムのビタミンとクロテッドクリームのカルシウムが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のティータイムフルコース』である。
「うむ……! このサクサクのショートブレッドに濃厚なクロテッドクリームとイチゴジャムをたっぷり乗せて口に運んだ瞬間に炸裂する、バターと紅茶の芳醇な香りのビッグバン! そしてサクッ、ホロッと口の中で崩れる食感が心地よく、すかさずローズヒップティーを流し込めば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限のティータイムループ! 我が最高福利厚生責任者の職務が、英国貴族の邸宅で至福のブランチを楽しむ伯爵のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、紅茶のカップを持つ両手を震わせ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ダージリンティーが振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える大宇宙最強の経営陣。
しかし、優雅な空気を切り裂くように、テラスの植木鉢のあたりから「ジリジリジリッ……」「モゾモゾモゾッ……」という不気味な這いずる音と、草木を溶かす酸っぱい臭いが漂ってきた。植木鉢の陰には、前回の魔子爵に続き、実力が拮抗している同格の魔界子爵たる『浸食の魔子爵・ヴェルム・インセクト』からの挑戦状が突き刺さっていた。
「……ねえ。今朝からなんだけど、お庭の植木鉢やキレイにしたツツジの植え込みのあたりから、『すごく毛が長くて毒がありそうな毛虫や、葉っぱをボロボロにするアオムシ』が大量に這い上がってきてるんだよね。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが次元の底の『奈落の魔界』から、前回の子爵のライバルとして送られてきた『同格の魔界子爵(虫の魔子爵)』の仕業だってわかる。魔界は爵位で上下が決まるけど、子爵級同士は実力が拮抗しているから、次から次へと同じ爵位の強敵がやってくるんだね。完全に放置された植木に発生する、タチの悪い毛虫の食害トラブルだよ」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「植木に巣食う大量の毛虫」。それはすなわち、前回の魔子爵の敗北を受け、魔界の階級社会において同格の子爵位に座する『浸食の魔子爵・ヴェルム・インセクト』が、無数の毒毛虫や害虫軍団を率いて世界の植物を文字通り丸裸に食い尽くし、世界を荒涼とした不毛の地へと変えようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を毛虫や害虫のいない、美しく健康に育つ緑豊かな庭園にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた魔界・子爵級(次席)の侵攻と植木の害虫被害……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「我が社の情報網にも、奈落の魔界からの次なる子爵級の刺客の報告が届いております。魔界の子爵位において前回の者と実力が拮抗する『浸食の魔子爵・ヴェルム・インセクト』が、猛毒の毛(致死の接触毒)を撒き散らし、我々の世界の庭木を枯らし尽くそうとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔子爵が生み出す『触れるものをただれるほどの毒で焼く毛虫の魔獣ども(※触れるものの次元と皮膚を激痛で蝕む魔獣群)』が植木鉢の底から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の食害の底に沈めようと暴れ回っております」
「なるほど! やっぱり植木鉢の底の通気性が悪くて湿気が溜まっていたせいで、タチの悪い毛虫(子爵)が大発生して葉っぱを全部食べちゃってるんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロの造園・害虫駆除業者としての血を騒がせた。
「僕の力なら魔界の毛虫なんて一瞬で消し炭にできるけど、植木の害虫やケータシの対応はやっぱり、専用の『トレボン乳剤(園芸用殺虫剤)』を葉の表裏にたっぷりと霧吹きで散布して一網打尽にし、植木鉢の底にはジメジメを防ぐ『ステンレス鉢底ネット』を敷き詰めて通気性を完璧にし、最後に株元に『オルトラン粒剤』を撒いて土の中からの害虫の侵入を物理的にブロックするのが一番確実でお庭が元気を取り戻すからね! このまま放置すれば、家(世界)の大切な木が全部丸坊主になっちゃう。安全で美しい緑を守るためにも、植木をキッチリ駆除・手入れして、極上のクリーンガーデンバリアにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。植木に群がる鬱陶しい毛虫ども(毒虫の群れ)と、葉を食い荒らされた傷んだ枝の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の剪定バサミと高圧洗浄機で一つ残さず切り落とし、完璧な『下地処理(食害枝の剪定)』を目にも留まらぬ速さでご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の園芸用剪定バサミのように構えて不敵に笑う。
ウェアを整えた総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、毒虫の嵐の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ,ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ毒毛虫軍団ヲ『植木の害虫と鉢底のネット』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ接触毒デ、貴様ラノ皮膚ヲ永遠ニただれさせてクレルワ!」
魔子爵の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い毒の粉と這い回る毛虫の群れが、一斉にアルドたちに向かって致死の接触毒弾を放ちながら這い寄ってきた。
「うわっ、この毛虫たち、すっごく毒を持ってて触るとすごく痒くなっちゃうやつだ! 放置してたら庭仕事ができなくなっちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の群れを「植木に大発生したタチの悪いチャドケガやドクガの仲間」と完全に認識し、神仙殺虫スプレーのポンプを握りしめた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『毛虫の大量発生と植木の食害被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は造園駆除業者として、こいつらを完璧に駆除して綺麗な植木にするだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、空間がぐにゃりと、より強固な「日常の害虫駆除・植木手入れ現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。殺虫剤の散布で飛び散る薬剤や、パニックになった毛虫が周囲の街に漏れ出ないよう、まずは私が完璧に園芸用防護ネットと飛散防止フェンスを張ります」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔界の植木と魔子爵の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――ピィィィィンッ!
瞬間、庭全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の園芸防護用密閉結界』が展開された。これで、致死の猛毒の毛や害虫は一ミリたりとも外の世界へ逃げ出すことはない。
「完璧な密閉ですわ、シノンさん。では、私は魔子爵が撒き散らすガンコな接触毒と害虫の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に除虫・土壌浄化処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光除虫浄化魔法』が、超強力な園芸用消臭除菌スプレーの光の霧となって周囲の狂気の毒を包み込み、一気に浄化した。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物をただれさせる猛毒の毛は、その浄化の光の霧を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で爽やかなハーブの香りへと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの毛虫や毒の塊など、ただの剪定バサミのマトだ! そして、邪魔な食害枝は俺が綺麗に切り落としてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した毛虫の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「植木食害毒毛虫解体剪定斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、毒毛虫ボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで毛虫に食い荒らされたツツジの枝を専用の剪定バサミでチョキキィィィンッ!と綺麗に切り落とすかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害な剪定枝にしてしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ毒毛虫軍団ガ、タダノ『除虫魔法』ト『剪定バサミ』ノ前ニ、一瞬デただの枝クズニサレテイクゥゥッ!?」
魔子爵は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのゴミ」に変わり、庭の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な虫の体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで毛虫の駆除と枝の剪定は完璧だね! あとは、あの一番デカくて毒を撒き散らしている『毛虫の親玉』の本体に、事象駆除の神仙殺虫乳剤をシャーッ!と吹きかけて一網打尽にし、植木鉢の底に因果防護の神仙ステンレス鉢底ネットをピタッと敷いて湿気をシャットアウトし、最後に絶対予防の神仙オルトラン粒剤を土の表面にパラパラッと撒いて完全ガードするだけだ!」
アルドは、特製『事象駆除の神仙殺虫乳剤』を魔子爵の巨大な本体(次元の食害と毒の中核)へと向けて構え、突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙殺虫乳剤は星の因果の毒虫を物理的に窒息死させる絶対事象駆除ツールであり, 神仙鉢底ネットとオルトラン粒剤は大宇宙のいかなる次元の魔界の子爵や神話級の猛毒の毛虫すらも、物理的に『通気性を保って寄せ付けない』だけで完璧に無害化し, 極上の健康な緑を取り戻す『究極の造園防虫ツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ植物オ丸裸ニスル『終焉ノ絶対食害』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ毒虫ノ底ニ沈メテクレルワ!」
魔子爵が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを食い荒らす超巨大な猛毒の毛虫の波を放ってきた。
「うわっ! 植木鉢の底から、すっごくガンコな毒虫の大群が押し寄せてきた! でも、この特製殺虫剤と鉢底ネットの前には、どんなに酷い大量発生も一発で完全ガードだ!」
アルドが魔子爵の巨大なコア(世界の植木の根元)に向けて神仙殺虫乳剤を当て、「シャーッ!」と力強くスプレーを浴びせかけ、事象の毒虫(魔界の魔力圏)を完全に無力化する。そして、湿気が溜まっていた植木鉢の底に、因果防護の神仙ステンレス鉢底ネットを「カチッ」と隙間なく敷き詰め、水はけを限界まで良くする。
仕上げに、絶対予防の神仙オルトラン粒剤を土の表面に「パラパラパラッ」と撒き、熊手で「ススッ」と混ぜ込んで根に浸透させると、こびりついた魔界の魔力ごと完璧にブロックされ、眩く輝く平和で虫が一匹も寄らない健康なクリーンガーデンバリアへと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒食害ガ、タダノ殺虫スプレーデ駆除サレ、鉢底ネットトオルトランデ因果ゴトブロックサレテ、一ミリモ植物オ食ベラレナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコな毛虫は綺麗に駆除されて、鉢底もネットですっごく水はけが良くなったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域防虫&無限クリーンガーデンバリアシステム』をカチッと取り付けて……あ、そうだ。この毛虫の親玉、綺麗に駆除してネットを敷いたら、凄く強力で絶対に害虫を寄せ付けない、巨大な全自動の広域防虫・無限クリーンバリアインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、魔界の有害な毒虫や食害を完全にブロックして浄化し、代わりに極上の健康な植物の成長と無限の美しい緑だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域防虫&無限クリーンガーデンバリアインフラ』にできそうだよ!」
アルドが魔子爵の本体であった場所に専用の自動散水・防虫ノズルを施し、事象調律のスイッチを「24時間自動防虫・植物活性化モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な造園衛生施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた魔界の禍々しい食害と毒虫の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな園芸エネルギーと無限の防虫機能へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ丸裸ニスルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【植木鉢ノ水切リヲ良クシテ虫オ寄セ付ケナイ為ノ最新ノ鉢底ネットトオルトラン】ノヨウニ……!? イヤ、乳剤ニ駆除サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ防虫力ト、極上ノ園芸環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ食イ荒ラスノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ緑ト極上ノ健康オ提供スル「極上ノ全自動・神仙防虫バリア」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……! 前任ノ子爵ガ浄化サレた理由が、今ナラ全テ理解デキル……!!』
かつて世界を脅かした食害と毒虫の化身たる魔界の魔子爵(次席)は、アルドの「植木の毛虫駆除と鉢底ネット敷き」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を食い荒らす禍々しい魔界の植え込みは、気がつけば「世界の庭木を美しく輝く巨大な造園施設に変え、魔界のどんな毒虫や食害も一瞬で無害化し、極上の健康な緑を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域防虫・無限クリーンガーデンバリアインフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の自動散水ノズルとステンレス鉢底ネット仕立ての植木鉢タワー)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌な毛虫と食害の被害は片付いて、すっごく元気で虫が来ない綺麗な植木鉢になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが害虫や植木の枯れを気にせずに、いつでも安心な環境で美しい緑を育てられるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなのお庭と大切な植物を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドがスプレーを片付けて額の汗を拭うと、庭を覆っていたドス黒い瘴気は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡の植木鉢と、澄み切った清らかな青空が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域防虫・クリーンガーデンバリアシステムは、これより大陸全土の造園・防疫基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。魔界の次席子爵からの不法侵入に対する慰謝料の徴収も完了いたしました」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、創造神たちが「さすが社長、毛虫の駆除すら完璧だな……」と感心しながらお茶をすすっている。
「これからは、どんな魔界のバケモノや毒虫が出ようが、社長の作業前に俺が全部『剪定バサミでチョキキィィィン』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで魔界側の造園防衛利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。魔界の子爵級(次席)による植木の食害侵攻を「毛虫の薬剤散布および鉢底ネット敷き」として処理完了。世界を丸裸に食い荒らす魔子爵(魔界の貴族)を事象の殺虫乳剤と鉢底ネットで駆除・ブロックさせ、立派な特大全自動広域防虫・無限クリーンガーデンバリアシステムへと改修。猛毒の害虫汚染と食害被害の修復を完了し、大陸全土の緑化保護と極上の健康な庭木の提供に貢献を果たした。
魔界の子爵が二人現れようとも、社長の前では「植木の毛虫駆除」以上の意味を持たない。前回の雑草むしりに続き、今回は殺虫剤と鉢底ネットのコンボにより、魔界の次席も完璧にインフラの一部へと変換された。もはや宇宙の危機は、黄昏の守護者の「定期的な植木メンテナンス」として永遠に処理されていくのである。ワシはこの究極の平穏の歴史を、簡素に、かつ的確に記録し続ける。』
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔界の子爵すらもステンレス製鉢底ネットの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、お仕事お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になったお庭の植物みたいにみずみずしくて甘い『特製・大精霊のメロン果汁たっぷり・極上メロンゼリー〜星屑のミントを乗せて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるメロンゼリーは、ことのほか果汁の芳醇な甘みと清涼感が五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの庭の害虫・毛虫の薬剤散布と植木鉢の鉢底ネット敷き」は、世界食害の危機をただの造園メンテナンスとして解決し、魔界の子爵(次席)の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域防虫・無限クリーンガーデンバリアインフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に魔界からの害虫防衛と緑化環境の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
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