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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第197話:ただの害虫・害獣の燻煙駆除と粘着トラップ設置と、魔界の最底辺爵位の強制全自動広域防虫・無限クリーンバリアインフラ化

第197話:ただの害虫・害獣の燻煙駆除と粘着トラップ設置と、魔界の最底辺爵位の強制全自動広域防虫・無限クリーンバリアインフラ化(総合ライフサポート企業の害虫・害獣駆除業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 この日の朝のリビングには、いつもの経営陣に加え、見慣れぬ客たちが平身低頭で正座していた。

 それは、かつて全宇宙の電力を落としてアルドたちを滅ぼそうとし、逆に「スマート分電盤」へと改修された『創造神・創世のアルファ・オメガ』をはじめとする、天界・冥界・外宇宙の全神々の代表者たちであった。彼らは額を床に擦り付け、完全なる白旗を揚げていたのである。

「誠ニ、誠ニ申シ訳ゴザイマセンデシタァァァッ! 我ラ神々ノ傲慢、深ク反省シテオリマス! コノ宇宙ノ管理権ハ全テ貴社ニ譲渡イタシマスノデ、ドウカ我ラヲ『優良な大家や町内会』トシテ末長クお使イ下サイませェェェッ!」

 神々が持参した最高級の星屑の菓子折りを前に、アルドはニコニコと微笑んでいた。

「うんうん、大家さんや町内会のみんなと仲直りできて本当によかったよ! これからはトラブルなく、一緒にこの世界を快適にしていこうね。さあ、和解の記念に、今日はみんなでとびきり美味しい朝ごはんを食べよう!」

 キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、極上のサフランの香りと、焦げた魚介の暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、神々との和解を祝う『幻獣伊勢海老と世界樹の極上キノコの黄金パエリア〜天界の大粒アサリと特製ガーリックマヨネーズを添えて〜』だ。まずは、数百年熟成させた神仙オリーブオイルで、天界のニンニクと幻獣玉ねぎをじっくり炒め、香りを極限まで引き出す。そこへ、洗わずにそのままの神仙米を投入し、油をしっかりと吸わせるんだ。そして、幻獣伊勢海老の殻と頭から三日三晩かけて煮出した、濃厚すぎる黄金の海鮮スープをジュワァァァッ!と注ぎ込み、最高級の星屑サフランで鮮やかな黄金色に染め上げる! その上に、大人の腕ほどもある幻獣伊勢海老のぶつ切り、プリプリの天界アサリ、世界樹の森で採れた肉厚の極上マッシュルームを隙間なく敷き詰める。特大のパエリア鍋を魔法のオーブンに入れ、米がスープの旨味を最後の一滴まで吸い尽くし、鍋底に『おこげ』がカリッと香ばしく焼き上がるまで炊き上げるんだ! 仕上げに天界レモンをたっぷりと搾り、星屑の卵とガーリックを乳化させた特製『アイオリソース(ガーリックマヨネーズ)』を添える。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的な海鮮の香りを放つ特大のパエリア鍋をダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロだけでなく、土下座していた神々すらも、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、涎を垂らして歓喜の涙を流していた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣伊勢海老の圧倒的なタウリンとアサリのミネラルが全身の魔力回路を限界突破させ、サフランとニンニクの薬効成分が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の海鮮飯フルコース』である。

「うむ……! この黄金色の米に特製アイオリソースを少し乗せ、伊勢海老の身と共に口に運んだ瞬間に決壊する、濃厚な海鮮出汁とニンニクの味覚的ビッグバン! そして鍋底の香ばしいおこげのパリパリとした食感がアクセントとなり、すかさずアサリを頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! レモンの酸味が魚介のポテンシャルを極限まで引き上げ、我が最高福利厚生責任者の職務が、地中海の高級リゾートで至福のバカンスを楽しむ大富豪のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、スプーンを両手で震わせ、神々と肩を並べて感涙に咽いでいた。

 賑やかな和解の朝食が一段落し、食後の極上ハーブティーが振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える大宇宙最強の経営陣。そして、すっかり大人しくなった神々たち。

 しかし、平和な空気を切り裂くように、リビングの隅の巾木(壁と床の隙間)や、天井裏の換気口から、「カサカサッ……」「チュウチュウ……」という不快な音と、ドブのような悪臭が漂ってきた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、大家さんたち(神々)と仲直りして家が平和になったと思ったら、今度は床下や隙間から、すごくタチの悪い害虫ゴキブリ害獣ネズミが湧いてきているみたいな嫌な違和感を感じたんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それがはるか次元の底にある『奈落の魔界』から、世界の隙間を通じて伝わってきているのがわかる。『神々が屈したなら、我ら魔界がこの世界を喰らい尽くす。まずは我ら底辺の爵位の者たちが先兵となり、この世界を絶望の病魔と汚物で満たしてやる』って言ってるし、完全に古い家に湧きやすいしつこい害虫・害獣の大量発生だね」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「カサカサという不快な羽音と足音」。それはすなわち、神々がアルドに屈し、世界の神聖な防壁が再構築されている隙を突き、神界の永遠の宿敵である『魔界』が侵攻を開始したという合図である。魔界は厳格な爵位制度によって階級が分かれており、今回次元の隙間から這い出してきたのは、最底辺の爵位たる『下級魔男爵』や、無数の使い魔の群れであった。彼らは世界に致死の病魔と絶望の汚染を広げ、宇宙を魔界の領土にしようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を害虫やネズミのいない、清潔で衛生的で安心な居住空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた魔界軍の侵攻と次元の害虫被害……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「我が社の情報網にも、今朝早くから次元の底『奈落の魔界』からのゲート開通と、下級悪魔たちの不法侵入の報告が届いております。魔界は徹底した階級社会であり、今回は先兵として最底辺の爵位である『汚泥の魔男爵・バールゼブ』率いる下級魔蟲の群れが、猛毒の病原菌(致死の瘴気)を撒き散らし、我々の世界の土台を這い回って汚染しようとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔男爵が生み出す『這いずる黒光り魔獣ども(※触れるものを腐敗させ病に陥れるゴキブリ型の魔獣群)』が床下の裂け目から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の不衛生の底に沈めようと暴れ回っております」

「なるほど! やっぱり大家さん(神々)が綺麗にしてくれた家を妬んで、隣の不衛生な空き地(魔界)から、タチの悪い害虫(下級悪魔)が壁の隙間を伝って大量発生してるんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロの害虫・害獣駆除業者としての血を騒がせた。

「僕の力なら魔界なんて一瞬で浄化できるけど、しつこい害虫の駆除はやっぱり、部屋を完全に密閉して専用の『燻煙殺虫剤バルサン』をモクモクと焚き、煙を隙間の奥まで届かせて一網打尽にし、逃げ出したやつらを最新の『強力粘着トラップ』でピタッと捕獲して、最後に侵入経路を『防虫バリアスプレー』で物理的に塞ぐのが一番確実で安心できるからね! このまま放置すれば、家(世界)中が病原菌だらけになって病気になっちゃう。安全で清潔な居住権を守るためにも、害虫をキッチリ駆除して、極上の防虫システムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。隙間に潜む鬱陶しい害虫ども(這いずる魔獣の群れ)と、壁の奥に作られた汚い巣の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のバールとハンマーで一つ残さず叩き壊し、完璧な『下地処理(巣の物理的破壊)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の解体バールのように構えて不敵に笑う。

「ええ。害虫が撒き散らすガンコな悪臭と病原菌の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力除菌・消臭魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、清潔な駆除環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、燻煙殺虫剤の煙が周囲の街に漏れ出したり、パニックになった害虫が逃げ出したりしないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧な防煙目張りテープと隔離シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 燻煙駆除は煙が漏れると効果が薄れるし、ご近所迷惑になるから、しっかり目張りして密閉してくれると助かるよ!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の病原菌と殺虫成分を完全に弾く特製駆除作業用・防護服と防毒マスク)に着替え、手には巨大な「事象燻蒸の神仙殺虫スモーク(バルサン)」と、プロ仕様の「絶対捕獲の神仙粘着シート」、そして「因果防虫の神仙バリアスプレー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『害虫・害獣駆除道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの不快な害虫と病気への不安を解決するために、邪魔な虫を根絶やしにして、隙間を優良な防虫バリアにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、害虫駆除仕様に改造された魔導バン(超大型噴霧器搭載)に乗り込み、空間がドス黒い瘴気と這い回る魔獣に覆われつつある次元の隙間『魔界へのゲート』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の隙間『魔界へのゲート』の中心部。

 世界の衛生を破壊し、全ての存在を永遠の病と腐敗の地獄に沈める『汚泥の魔男爵・バールゼブ』が、床下を覆い尽くすほどの巨大な黒光りする甲殻の体を蠢かせ、傲慢な羽音を響かせていた。

「キキキキッ……カサカサカサッ! 素晴らしいぞ! 神々が屈した今、我ら魔界の最底辺たる男爵位の力であっても、この軟弱な世界など容易く喰らい尽くせる! 我が致死の病原菌さえあれば、地上の生命など一瞬で腐り果て、永遠の汚物に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の増殖を!」

 魔男爵は、巨大な腹部からドス黒い猛毒の瘴気を放ち、無数の這いずる黒光り魔獣たちを次元の巾木へと放った。

「愚かな地上の生命どもめ。我ら魔界の軍勢が這い出たからには、もはやこの世界のどこにも清潔な場所などないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての隙間に卵を産み付け、大陸全土を永遠の害虫の巣に変えよ!」

「我ら魔界の増殖力は絶対だ! この汚染された領域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」

 ――キキィィィィッ!! ガッシャァァンッ!!

 魔男爵が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な悪臭が吹き荒れる床下のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導バン)が、神話級の猛毒と魔獣の群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、バンのドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、殺虫スモークと粘着シートを持った青年の明るくも毅然とした声が、魔界のノイズを完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 床下の害虫さん(魔男爵)、不快害虫の燻煙駆除と防虫バリア工事に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいゴミの散らかりっぷりと、壁の裏に湧いてるタチの悪い黒光りする虫(魔獣)だね! 不衛生な環境を放置してこんなに繁殖するなんて、公衆衛生の敵も甚だしいよ。こりゃ徹底的にバルサンと粘着トラップのしがいがあるや!」

 アルドは、防毒マスクをカチッと装着しつつ、プロの害虫駆除業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対汚染領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 魔男爵が驚愕の病原菌ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「施工・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながら不衛生な床へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい隙間に湧いた虫ども(魔獣の群れ)と、ゴミで作られた汚い巣から、綺麗に『下地処理・破壊作業』して差し上げましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の害虫の巣の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ魔界軍団ヲ『不快害虫とゴミの巣』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ魔獣群デ、貴様ラノ肉体ヲ永遠ニ食イ破ッテ腐ラセテクレルワ!」

 魔男爵の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い瘴気と黒光りする甲殻を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の汚染弾を放ちながら這い寄ってきた。

「うわっ、この虫たち、すっごく素早くて新しい食材まで齧ろうとしてる! 放置してたら食中毒になっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の群れを「不衛生な場所に大発生したタチの悪い黒光りする害虫(G)」と完全に認識し、神仙殺虫スモークのピンに指をかけた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『害虫の大量発生と不衛生被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は駆除業者として、こいつらを完璧に退治して清潔な家にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の害虫駆除現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。殺虫剤の煙が周囲の街に漏れ出たり、パニックになった害虫が逃げ出したりしないよう、まずは私が完璧に防煙目張りテープと隔離シートを張ります」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔界のゲートと魔男爵の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――ピィィィィンッ!

 瞬間、ゲート全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の燻煙作業用密閉結界』が展開された。これで、致死の猛毒の煙や害虫は一ミリたりとも外の世界へ逃げ出すことはない。

「完璧な密閉ですわ、シノンさん。では、私は魔界が撒き散らすガンコな悪臭と病原菌の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に除菌・消臭処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光除菌魔法』が、超強力な空間除菌スプレーの光の霧となって周囲の狂気の病原菌を包み込み、一気に浄化した。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を腐らせる猛毒の病原菌は、その浄化の光の霧を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で無菌の空気へと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの虫ケラやゴミの巣など、ただのバールのマトだ! そして、邪魔な巣窟は俺が綺麗に叩き壊してやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「不衛生魔獣巣窟解体粉砕斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、這いずる魔獣ボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで壁の裏に作られたゴキブリの巣を専用のバールでメキメキッ!と綺麗に叩き壊して撤去するかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害なチリにしてしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ魔獣軍団ガ、タダノ『除菌スプレー』ト『巣の破壊』ノ前ニ、一瞬デただのゴミクズニサレテイクゥゥッ!?」

 魔男爵は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのチリ」に変わり、床下の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な黒光りする体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで巣の破壊と密閉は完璧だね! あとは、あの一番デカくて卵を産み付けている『害虫の親玉バールゼブ』の目の前に、事象燻蒸の神仙殺虫スモークを置いて水を入れてモクモクと煙を充満させ、逃げ道に絶対捕獲の神仙粘着シートを敷き詰め、最後に因果防虫の神仙バリアスプレーで侵入経路を完全にコーティングするだけだ!」

 アルドは、特製『事象燻蒸の神仙殺虫スモーク』を魔男爵の巨大な本体(次元の汚染と増殖の中核)へと向けて構え、突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙殺虫スモークは星の因果の害虫を物理的に窒息させ死滅させる絶対事象燻蒸ツールであり、神仙粘着シートとバリアスプレーは大宇宙のいかなる次元の魔界の侵攻や神話級の猛毒の瘴気すらも、物理的に『捕獲して寄せ付けない』だけで完璧に無害化し、極上の清潔な無菌空間を取り戻す『究極の害虫駆除ツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ生命ヲ腐ラセル『終焉ノ絶対病魔アビス・パンデミック』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ汚物ノ底ニ沈メテクレルワ!」

 魔男爵が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを汚染する超巨大な猛毒の病原菌と黒い蟲の波を放ってきた。

「うわっ! 隙間から、すっごくガンコな虫の大群が押し寄せてきた! でも、この特製バルサンと粘着トラップの前には、どんなに酷い大量発生も一発で完全駆除だ!」

 アルドが魔男爵の巨大な足元(世界の隙間)に神仙殺虫スモークを置き、起動用の水を注ぐ。「シュゥゥゥゥッ!!」という音と共に、事象の害虫(魔界の魔力圏)を完全に死滅させる強力な白い煙が、密閉された空間の隅々まで一瞬にして充満していく。

 煙に燻されてパニックになり、結界の隙間から逃げ出そうとした魔男爵の分身たち(残存魔力)を、あらかじめ敷き詰めておいた絶対捕獲の神仙粘着シートが「ベチャッ!」と一匹残らず捕らえて逃がさない。

 仕上げに、因果防虫の神仙バリアスプレーを魔界へのゲートの入り口に「シューッ」と満遍なく吹き付けると、こびりついた魔界の魔力ごと完璧にコーティングされ、眩く輝く平和で虫を一匹も通さない強固な防虫バリアへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒病魔ガ、タダノ殺虫ノ煙デ燻サレ、粘着シートデ因果ゴト捕獲サレテ、一ミリモ世界ヲ汚セナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコな害虫は綺麗に駆除されて、侵入経路もバリアでコーティングされてすっごく清潔になったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域防虫&無限クリーンバリアシステム』をカチッと取り付けて……あ、そうだ。この害虫の親玉、綺麗に駆除してバリアを張ったら、凄く強力で絶対に虫を寄せ付けない、巨大な全自動の広域防虫・無限クリーンインフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、魔界の有害な病魔や侵攻を完全にブロックして浄化し、代わりに極上の安全な衛生環境と無限の無菌空間だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域防虫&無限クリーンバリアインフラ』にできそうだよ!」

 アルドが魔男爵の本体であった場所にセンサーを施し、事象調律のスイッチを「24時間自動防虫・完全無菌モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な衛生施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた魔界の禍々しい病魔と害虫の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな衛生エネルギーと無限の防虫機能へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ汚物ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【家ノ中オ清潔ニ保ッテ虫オ寄セ付ケナイ為ノ最新ノ防虫バリアト空気清浄機】ノヨウニ……!? イヤ、煙ニ燻サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ防虫力ト、極上ノ衛生環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ腐ラセルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ清潔ト極上ノ無菌オ提供スル「極上ノ全自動・神仙防虫バリア」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……! 神ヤツラガ和解シタ理由ガ、今ナラワカル……!!』

 かつて世界を脅かした病魔と害虫の化身たる魔界の下級魔男爵は、アルドの「害虫の燻煙駆除と粘着トラップ設置」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を汚染する禍々しい魔界のゲートは、気がつけば「世界の隙間を美しく輝く巨大な衛生施設に変え、魔界のどんな害虫や病原菌も一瞬で無害化し、極上の清潔な無菌空間を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域防虫・無限クリーンバリアインフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の自動殺虫ディスペンサーと透明なバリアフィールド)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌な害虫と悪臭の被害は片付いて、すっごく清潔で虫が来ない家になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが病気や不衛生を気にせずに、いつでも安心な環境で笑顔で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの健康と清潔な生活を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがスプレーを片付けて額の汗を拭うと、ゲートを覆っていたドス黒い瘴気は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡の防虫バリアと、澄み切った清らかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域防虫・クリーンバリアシステムは、これより大陸全土の衛生・防疫基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。魔界の最底辺爵位からの賠償金徴収も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、完全に白旗を揚げた神々が「ほら見ろ、あの社長に逆らうからだ……」と震えながら拍手を送っている。

「これからは、どんな魔界のバケモノや害虫が出ようが、社長の作業前に俺が全部『汚い巣のバール解体』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで魔界側の防衛と衛生利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。神々との完全和解直後、魔界の最底辺爵位による侵攻を「害虫の燻煙駆除および粘着トラップ設置」として処理完了。世界を病魔と汚物に沈める魔男爵(魔界の先兵)を事象の殺虫スモークとバリアスプレーで駆除・防虫させ、立派な特大全自動広域防虫・無限クリーンバリアシステムへと改修。猛毒の害虫汚染と不衛生被害の修復を完了し、大陸全土の衛生保護と極上の無菌空間の提供に貢献を果たした。

 神々が屈し、大宇宙の管理権が我が社に移行した直後、今度は魔界が「床下の害虫」として湧いてきた。だが、神を分電盤にした社長にとって、最底辺の悪魔などただの「ゴキブリ」と同義であった。魔界の厳格な爵位制度など、バルサンの煙の前では何の意味も持たない。もはや宇宙の危機は、黄昏の守護者の「定期的な防虫・防疫メンテナンス」として永遠に処理されていくのである。ワシはこの究極の平穏の歴史を、簡素に、かつ的確に記録し続ける。』

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、魔界の先兵すらも防虫ディスペンサーの一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、お仕事お疲れ様! 今日の3時のおやつは、煙の出ないクリーンな環境にぴったりの、透明で涼しげな『特製・大精霊の清流ミントゼリー〜星屑のレモンシロップをかけて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるミントゼリーは、ことのほか清涼感とレモンの爽やかさが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの害虫・害獣の燻煙駆除と粘着トラップ設置」は、世界汚染の危機をただの衛生メンテナンスとして解決し、魔界の最底辺爵位の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域防虫・無限クリーンバリアインフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に魔界からの侵攻防衛と衛生環境の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜

https://ncode.syosetu.com/n5506ma/

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