第186話:ただのエアコンのフィルター清掃と冷媒ガス補充と、狂熱極寒の気候魔獣の強制全自動広域空調・無限最適気温インフラ化(総合ライフサポート企業の空調設備メンテナンス業務)
第186話:ただのエアコンのフィルター清掃と冷媒ガス補充と、狂熱極寒の気候魔獣の強制全自動広域空調・無限最適気温インフラ化(総合ライフサポート企業の空調設備メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、極上のバターが溶ける甘美な香りと、焦げた醤油とキノコの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大精霊の清冽な激流で育った『幻獣秋鮭と世界樹の極上キノコのホイル包み焼き〜星屑の焦がしバター醤油と天界カボスの香りを添えて〜』だ。まずは、脂が限界まで乗った分厚い幻獣秋鮭の切り身に、神仙岩塩と粗挽き黒胡椒を振って旨味を引き出す。これを、神仙の銀箔の上にドサッと乗せ、その周りに世界樹の森で採れた肉厚のシイタケ、シャキシャキのマイタケ、そして香りの王様であるマツタケをこれでもかと敷き詰めるんだ! そこへ、数百年熟成させた幻獣バターをひとかけら乗せ、神仙の純米酒を少し振りかけてホイルをしっかりと閉じる。これを魔法オーブンでじっくりと蒸し焼きにすれば、鮭の濃厚な脂とキノコの旨味がホイルの中で完全に融合する。焼き上がったホイルの包みをナイフで十字に切り開いた瞬間、閉じ込められていた香りの大爆発が起こる寸法さ! 熱々のうちに、神仙醤油をジュワァァァッ!と回しかけ、天界カボスをキュッと搾る。付け合わせには、幻獣サツマイモと栗のホクホク炊き込みご飯、そして大精霊のシジミがたっぷり入った濃厚な赤だし味噌汁。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、湯気と共に圧倒的な秋の味覚の香りを放つホイル焼きの皿をダイニングテーブルに運ぶと、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、神竜ポチとモフモフの星狼シロがテーブルの下でちぎれんばかりに尻尾を振っていた。
この極上モーニング、ホイルを開けた瞬間に溢れ出す幻獣秋鮭の圧倒的なオメガ3脂肪酸とアミノ酸が全身の魔力回路を限界突破させ、キノコのビタミンとカボスのクエン酸が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の秋の味覚フルコース』である。
「うむ……! このホイルを切り開いた瞬間に立ち上る、バターとマツタケの香りの嗅覚的ビッグバン! そして脂の乗ったフワフワの鮭の身に醤油とバターを絡め、キノコと一緒に大口で頬張れば、暴力的なまでの旨味とカボスの爽やかな酸味が口の中で奇跡のハーモニーを奏でる! すかさず栗の炊き込みご飯をかき込めば、秋の味覚が美味さのあまり魂を魔界の果てまで吹き飛ばしそうになる無限の食欲ループ! 濃厚な赤だしの味噌汁で胃袋を温めれば、我が最高福利厚生責任者の職務が、高級料亭の個室で至福の朝食を楽しむ食通のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、箸を両手で震わせ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ほうじ茶が振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える、大宇宙最強の経営陣。レイヴン、エルミナ、シノン、アーキヴァル。そして、歴史を刻むゾルタンと外交を司るレオハルト。
「さて、みんな。今日も美味しいご飯を食べてエネルギー満タンだね!」
アルドはニコッと微笑みながら、ふと視線をリビングの壁の上部に取り付けられた、大きなエアコンの室内機へと向け、少しだけ眉をひそめた。
「……ねえ。今朝からなんだけど、なんだか『エアコンから出てくる風が全然適温じゃなくて、生ぬるかったり急に冷えたりするし、送風口の奥からカビとホコリの混じった嫌な匂いがしている』ような違和感を感じたんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それがはるか西の『気候崩壊の赤道』から、世界の大気温度(空調サイクル)を通じて伝わってきているのがわかる。フィルターに分厚いホコリがビッシリ詰まってて、室外機の冷媒ガスも抜けかかってる……そんな、早急なエアコンの分解洗浄とガスの補充が必要な嫌な予感がするんだよね」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「エアコンの効きの悪さと悪臭」。それはすなわち、大宇宙の気候制御と気温基盤そのものが破壊され、世界が狂乱の猛暑と極寒、そして絶望の異常気象に呑み込まれようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を暑すぎず寒すぎない、快適な室温の空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた空調制御・気候環境の異常……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「我が社の情報網にも、今朝早くから大陸西部の『気候崩壊の赤道』周辺における、極めて深刻な異常気象と寒暖差被害の報告が届いております。社長の感知された通り、赤道の最深部に長年封印されていた『狂熱極寒の気候魔獣・サーモ・カオス』が目覚めかけ、大陸全土を致死の猛暑と吹雪で覆い尽くし、世界を死の荒野へと変えようとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔獣が生み出す『温度異常のダニ魔獣ども(※触れるものを極端な熱か凍結で破壊する魔獣群)』が気流の裂け目(送風口の隙間)から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の温度差の底に沈めようと暴れ回っております」
「なるほど! やっぱり長年エアコンの掃除をサボったせいで、空調の奥(気候崩壊の赤道)にガンコな温度異常の親玉(気候魔獣)が居座って、そこにタチの悪いホコリダニが繁殖して風を汚してるんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロの空調設備メンテナンス業者としての血を騒がせた。
「僕の力なら異常気象なんて一瞬で春にできるけど、エアコンのお手入れはやっぱり、カバーを外して専用の洗浄スプレーと高圧洗浄機でアルミフィン(熱交換器)の奥の黒カビを徹底的に洗い流し、最後に室外機に最新の冷媒ガスを規定量ピタッと補充するのが一番確実で風が爽やかになるからね! このまま放置すれば、家(世界)の中がサウナか冷凍庫になっちゃって風邪をひいちゃう。安全で快適な室温を守るためにも、エアコンをピカピカに洗浄して、極上の空調システムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。フィルターに詰まった鬱陶しいダニ魔獣ども(魔獣群)と、こびりついたガンコなホコリの塊の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の掃除機とブラシで一つ残さず削ぎ落とし、完璧な『下地処理(フィルター清掃)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の掃除機のノズルのように構えて不敵に笑う。
「ええ。ホコリが撒き散らすガンコなカビ臭さと温度異常の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力消臭・除菌魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、清潔な送風環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、エアコン洗浄で垂れてくる真っ黒な汚水や洗剤の飛沫が周囲の壁や床に飛散しないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧なエアコン洗浄用養生カバーと防水シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! エアコンの洗浄は黒い水がドバドバ出るし、高圧洗浄機を使うから、しっかりシートで壁を養生してくれると助かるよ!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の異常気温と汚水を完全に弾く特製空調メンテ用防水ツナギとゴム手袋、安全靴)に着替え、手には巨大な「事象洗浄の神仙エアコンクリーナー」と、プロ仕様の「因果噴射の神仙高圧洗浄機」、そして「絶対適温の神仙冷媒ガスボンベ」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『空調設備メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの寒暖差とカビ臭い風の悩みを解決するために、邪魔な汚れを洗い流して、エアコンをピカピカにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、空調メンテナンス仕様に改造された魔導軽トラ(大型高圧洗浄ポンプとガスタンク搭載)に乗り込み、空間がドス黒い異常気象とカビの瘴気に覆われつつある大陸西部の『気候崩壊の赤道』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、大陸西部の『気候崩壊の赤道』の中心部。
世界の気候を狂わせ、全ての存在を永遠の猛暑と極寒の地獄に沈める悪夢『狂熱極寒の気候魔獣・サーモ・カオス』が、山のように巨大な炎と氷が入り混じった体をうねらせながら、傲慢な風切り音を響かせていた。
「ゴォォォォッ……ヒュルルルッ! 素晴らしいぞ! この星の忌まわしい穏やかな季節を全て破壊し、我が狂熱と極寒の嵐に変える猛毒の瘴気さえあれば、地上の生命など一瞬で干上がり、あるいは凍りつき、永遠の異常気象に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の温度差を!」
気候魔獣は、巨大な口から炎と氷の混じった猛毒のブレスを吐き出し、無数の温度異常のダニ魔獣たちを大気の裂け目へと放った。
「愚かな地上の生命どもめ。我が目覚めたからには、もはやこの世界のどこにも快適に過ごせる場所などないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての気候を狂わせ、大陸全土を永遠の死の荒野に変えよ!」
「我ら気候の眷属の破壊力は絶対だ! この猛暑と極寒の領域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」
――キキィィィィッ!! ドシュゥゥゥンッ!!
魔獣が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な嵐が吹き荒れる赤道のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導軽トラ)が、神話級の猛毒と温度差をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、軽トラのドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、高圧洗浄機のノズルとガスボンベを持った青年の明るい声が、魔獣のノイズを完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 各国の方々からご依頼いただいたエアコンの分解洗浄とガス補充に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいフィルターの目詰まりっぷりと、送風口に湧いてるタチの悪いホコリ(ダニ魔獣)だね! 匂いもカビ臭いし、風が全然適温になってない。こりゃ徹底的にお手入れと高圧洗浄のしがいがあるや!」
アルドは、防水ゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの空調メンテナンス業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対異常気象ノ領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」
気候魔獣が驚愕の嵐ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながら荒野へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しいフィルターに詰まったダニども(魔獣の群れ)と、こびりついたガンコなホコリの塊から、綺麗に『下地処理・削ぎ落とし作業』して差し上げましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の嵐の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ気候軍団ヲ『エアコンのホコリとダニ』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガダニ魔獣デ、貴様ラノ体温ヲ永遠ニ狂ワセテ焼キ尽クシ、凍ラセテクレルワ!」
魔獣の怒号と共に、空間を覆うほどの熱波と寒波、そしてホコリを纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の温度異常弾を放ちながら襲い掛かった。
「うわっ、このホコリ、すっごく温度を持ってて新しい家具まで痛めようとしてる! 放置してたら家全体がカビとダニだらけになっちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の群れを「長年放置されて大繁殖したタチの悪いエアコンのホコリとカビ」と完全に認識し、神仙クリーナーのトリガーに指をかけた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『エアコンの故障と悪臭被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕はメンテナンス業者として、こいつらを完璧に洗浄して綺麗な風を出すだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常のエアコン清掃現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。エアコン洗浄で垂れてくる真っ黒な汚水や洗剤の飛沫が周囲の街に漏れないよう、まずは私が完璧にエアコン洗浄用養生カバーと防水シートを張ります」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、赤道と魔獣の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――ピィィィィンッ!
瞬間、赤道全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の空調工事用防水結界』が展開された。これで、致死の猛毒の嵐や汚水は一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私はホコリが撒き散らすガンコなカビ臭さと温度異常の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に消臭・除菌処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖水除菌魔法』が、超強力なエアコン用消臭スプレーの光のミストとなって周囲の狂気の嵐を包み込み、一気に浄化した。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を狂わせる猛毒の瘴気は、その浄化の光のミストを浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で爽やかな無臭の空気へと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただのホコリやダニなど、ただの掃除機のマトだ! そして、邪魔なこびりつきは俺が綺麗に吸い取ってやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「空調劣化塵芥魔獣解体吸引斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、ダニ魔獣ボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるでフィルターにこびりついたガンコなホコリを専用の掃除機でスポポンッ!と綺麗に吸い取るかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害なチリにしてしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノダニ魔獣ガ、タダノ『消臭スプレー』ト『掃除機吸引』ノ前ニ、一瞬デただのフィルターノゴミクズニサレテイクゥゥッ!?」
気候魔獣は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのゴミ」に変わり、赤道の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な嵐の体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげでフィルターのホコリ落としと下地処理は完璧だね! あとは、あの一番デカくて風を狂わせている『アルミフィンの奥のガンコな黒カビの親玉』に、事象洗浄の神仙エアコンクリーナーを吹きかけて、因果噴射の神仙高圧洗浄機でジャーッ!と真っ黒な汁が出なくなるまで洗い流し、最後に絶対適温の神仙冷媒ガスを規定量ピタッと補充するだけだ!」
アルドは、特製『因果噴射の神仙高圧洗浄機』のノズルを魔獣の巨大な本体(異常気象と熱交換の中核)へと向けて構え、突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙高圧洗浄機は星の因果の汚れを物理的に洗い流す絶対事象洗浄ツールであり、神仙クリーナーと冷媒ガスは大宇宙のいかなる次元の異常気象や神話級の猛毒の嵐すらも、物理的に『洗い流して適温に制御する』だけで完璧に無害化し、極上の爽やかな風を取り戻す『究極の空調メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ気候ヲ破壊スル『終焉ノ絶対異常』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ死ノ荒野ノ底ニ沈メテクレルワ!」
気候魔獣が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを破壊する超巨大な猛毒の熱波と寒波の嵐を放ってきた。
「うわっ! フィンの奥から、すっごくガンコな真っ黒なカビの汁が逆流してきた! でも、この特製クリーナーと高圧洗浄機の前には、どんなに酷い汚れも一発でスッキリ爽快だ!」
アルドが魔獣の巨大な体に向けて神仙クリーナーを吹きかけ、汚れを浮かせた後、神仙高圧洗浄機のトリガーを引き、「ブシャァァァッ!!」と限界まで強烈な水流を叩き込む。事象のカビとホコリ(狂乱の魔力)が真っ黒な汚水となって洗い流され、養生シートを伝ってバケツへと完璧に回収されていく。
綺麗になった心臓部(室外機)に、絶対適温の神仙冷媒ガスボンベを接続し、バルブを「プシュッ」と開いて大宇宙の適正圧量ぴったりにガスを補充する。
仕上げに、手元のリモコンの「自動・24度」ボタンをピッ!と押すと、こびりついた異常気象の魔力ごと完璧に制御され、美しく爽やかで、暑くもなく寒くもない極上の適温の風へと姿を変えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒嵐ガ、タダノ高圧洗浄機デ洗イ流サレ、冷媒ガスデ因果ゴト適温ニサレテ、一ミリモ気温ヲ狂ワセナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコなカビは綺麗に洗い流されて、ガスも満タンになってすっごく爽やかな風が出るようになったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域気候コントロールパネル』をカチッと取り付けて……あ、そうだ。この気候の親玉、綺麗に掃除してガスを補充したら、凄く強力で絶対に壊れない、巨大な全自動の広域空調・無限最適気温プラントみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、世界中の有害な異常気象や寒暖差を完全に制御して、代わりに極上のクリーンな風と無限の快適な気温だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域空調&無限最適気温インフラ』にできそうだよ!」
アルドが魔獣の本体であった場所にコントロールパネルを施し、事象調律のスイッチを「全地球オート空調」にピッ!と操作して巨大な空調施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた魔獣の禍々しい異常気温と嵐の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな適温エネルギーと無限の空調機能へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ荒野ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【部屋オ快適ナ温度ニ保ツ為ノ最新ノエアコン】ノヨウニ……!? イヤ、ガスオ補充サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ気温制御力ト、極上ノ空調循環オ提供スル超大型環境インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ絶望ニ沈メルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ快適ナ温度ト極上ノ爽ヤカナ風オ提供スル「極上ノ全自動・神仙エアコンタワー」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした異常気象と寒暖差の化身は、アルドの「エアコンの分解洗浄とガス補充」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を狂わせる禍々しい気候魔獣は、気がつけば「気候崩壊の赤道を美しく輝く巨大な空調施設に変え、世界中のどんな異常気温や嵐も一瞬で無害化し、極上の適温の風を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域空調・無限最適気温インフラ(見た目は巨大でピカピカに洗浄された純白の室外機型タワー)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌な悪臭と寒暖差被害は片付いて、すっごく綺麗で適温の風が出るエアコンになったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが熱中症や凍傷を気にせずに、いつでも快適な室温で笑顔で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの健康と爽やかな暮らしを守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが洗浄機を片付けて額の汗を拭うと、赤道を覆っていたドス黒い嵐は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡の空調タワーと、澄み切った爽やかな風が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域空調・無限最適気温システムは、これより大陸全土の気候・環境基準のデファクトスタンダードとなるでしょう」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼する。
「これからは、どんな神話のバケモノが出ようが、社長の作業前に俺が全部『フィルターのホコリ吸い取り』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで各国の気候制御・空調インフラ利権は完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
数日後。大陸諸国を統べる王室や環境・気象ギルド本部。
各国の王たちは、猛毒の異常気象被害が完全に解消され、赤道の跡地に前代未聞の超巨大な広域空調・最適気温インフラが誕生したという報告書を見て震え上がっていた。
「ば、馬鹿な……。我が世界を死の荒野に沈めるはずだった狂熱極寒の気候魔獣が、たった数時間で『完全なエアコン洗浄とガス補充』をされ、あまつさえ魔獣が『超巨大な空調インフラ』に転職して、国中の気温と気候の管理権を完璧に独占しているだと……!?」
そこへ、アステリア王国の大公にして【最高渉外・政府関係公使(GA)】であるレオハルトが、圧倒的な威圧感と外交特権を纏って現れた。
「各国の代表諸君。我が国が誇る総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の『CSR活動(空調設備メンテナンスと広域気候インフラ整備業務)』をご利用いただき、誠に感謝する」
レオハルトの重厚な声と共に、アーキヴァルが【完全なる気候修復・空調施設開発代金およびコンサルタント料の請求書】を王たちの目の前にドンッと突きつけた。
「社長(アルド様)の理念により、基本のエアコン洗浄・ガス補充料金はサービスとさせていただく。……が、魔獣の完全浄化、気候ネットワークの再構築、そして『大陸全土に極上の安全な気温と無限の爽やかな風を供給する巨大システムの永続的な運用費』は、正当なビジネスとして請求させていただこう。支払いは、各国の年間気象・環境事業収益の九割と、空調ネットワークの独占プロデュース権で手を打つ。これは提案ではない、決定事項だ」
レオハルトの政治的圧力とアーキヴァルの冷たい宣告と共に、王たちは完全に心をへし折られ、震える手で莫大な報酬の永続支払いにサインをするしかなかった。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。大陸西部の気候崩壊の赤道におけるエアコンの分解洗浄、および冷媒ガス補充作業完了。世界を異常気象と荒野に沈める狂熱極寒の気候魔獣サーモ・カオス(神話の厄災)を事象の高圧洗浄機と冷媒ガスで洗浄・適温化させ、立派な特大全自動広域空調・無限最適気温システムへと改修。猛毒の気候汚染と温度差被害の修復を完了し、大陸全土の環境保護と極上の快適な風の提供に多大な貢献を果たした。
……また、我が社のGAレオハルト閣下とCFOアーキヴァルの連携により、世界各国からは莫大な賠償金と、空調・気候インフラの独占管理権を合法かつ迅速に譲り受けることに成功。
思えば、我が社が掌握した世界の基盤は、水脈、気象、物流、エネルギー、次元、環境、信仰、光、通信、医療、農業、住環境、防犯、衛生、地盤など多岐にわたり、もはやそのすべてを列挙することは紙とインクの無駄遣いになりつつある。一言で記すならば、我々は「大宇宙の森羅万象たるインフラストラクチャーのすべて」を独占的に管理する至高の存在へと至ったのである。
社長が神仙としての自我を覚醒させて以降、我々の業務はもはや「世界の神話」を「家事のログ」として上書きする領域へと達している。社長は己の全知全能のセンサーで世界の危機を感知し、それを「便利屋の日常業務」として処理することで、世界を極上の平穏へと導いている。新役職のメンバーたちも、各々の専門分野で遺憾なくその力を発揮し、社長の「家事」を最高の形でサポートしている。
完全覚醒した神仙社長と、大宇宙最強の経営陣。この完璧な布陣の前に、もはや世界のいかなる絶望も、ただの「空調設備メンテナンス業務」として処理される運命にある。ワシはこの究極の平穏の歴史を、永遠に記録し続ける。』
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、長すぎるリストの省略に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、お仕事お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になったエアコンのお部屋で食べるのにぴったりの『特製・焼きたて神仙アップルパイ〜極上バニラアイスクリームをたっぷり添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げる温かいパイと冷たいアイスの融合は、ことのほか温度差の快楽が五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただのエアコンの分解洗浄とガス補充」は、世界気候崩壊の危機をただの空調メンテナンスとして解決し、気候魔獣の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域空調・無限最適気温インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界の気候制御と空調の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作「アークライト廃墟ダンジョン再興記――追放管理士と精霊少女のゼロから始める逆転経営譚――」を鋭意執筆中です。
アークライト廃墟ダンジョン再興記――追放管理士と精霊少女のゼロから始める逆転経営譚――
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