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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第181話:ただの窓ガラス清掃と網戸の張り替えと、幻惑の蜃気楼魔眼の強制全自動広域次元透視・絶対防虫インフラ化(総合ライフサポート企業の窓回り・建具メンテナンス業務)

第181話:ただの窓ガラス清掃と網戸の張り替えと、幻惑の蜃気楼魔眼の強制全自動広域次元透視・絶対防虫インフラ化(総合ライフサポート企業の窓回り・建具メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、芳醇な鰹と昆布の極上出汁の香りと、香ばしく焼かれた魚の暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大精霊の清冽な海で一本釣りされた『幻獣真鯛の極上胡麻だれ鯛茶漬け〜星屑の天界出汁巻き卵を添えて〜』だ。まずは幻獣真鯛の最も脂が乗った腹身を薄造りにし、数百年熟成させた神仙醤油、純米みりん、そして煎りたての星屑の金胡麻をたっぷりと擦り込んだ特製の胡麻だれにじっくりと漬け込む。これを、炊き立てでツヤツヤの神仙米の上に贅沢に敷き詰め、大精霊のワサビと天界の三つ葉を乗せるんだ! そして、一番の主役である出汁は、幻獣の利尻昆布と本枯れ節から引いた黄金色の極上スープ。これを、真鯛の身がほんのりと白く霜降りになる絶妙な温度でジュワァァァッ!と急須から注ぎかける! ご飯の一粒一粒に出汁と胡麻だれが絡みつき、真鯛の旨味が限界まで引き出される寸法さ。付け合わせには、天界鶏の産みたて卵に出汁をたっぷりと巻き込んだ、フワフワでプルプルの極厚出汁巻き卵。そして、幻獣の森で採れた柚子大根の浅漬け。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、湯気と共に圧倒的な出汁と胡麻の香りを放つ特大のおひつと急須をダイニングテーブルに運ぶと、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、神竜ポチとモフモフの星狼シロがテーブルの下でちぎれんばかりに尻尾を振っていた。

 この極上モーニング、熱々の出汁をかけた瞬間に溢れ出す幻獣真鯛の圧倒的なイノシン酸と胡麻のセサミンが全身の魔力回路を限界突破させ、黄金出汁のアミノ酸が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の和朝食フルコース』である。

「うむ……! この黄金の出汁を注いだ瞬間に立ち上る、胡麻と鰹の香りの嗅覚的ビッグバン! そして熱が入りほんのり白くなった真鯛とご飯をサラサラとかき込めば、暴力的なまでの旨味とワサビの爽やかな辛味が口の中で奇跡のハーモニーを奏でる! すかさずフワフワの出汁巻き卵を頬張れば、溢れ出す上品な甘みと出汁のコクが、美味さのあまり魂を魔界の果てまで吹き飛ばしそうになる無限の食欲ループ! 柚子大根のパリッとした食感で口内をリセットすれば、我が最高福利厚生責任者の職務が、高級料亭の奥座敷で至福の朝を極める老舗の旦那のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、箸と茶碗を両手で震わせ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ほうじ茶が振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える、大宇宙最強の経営陣。レイヴン、エルミナ、シノン、アーキヴァル。そして、歴史を刻むゾルタンと外交を司るレオハルト。

「さて、みんな。今日も美味しいご飯を食べてエネルギー満タンだね!」

 アルドはニコッと微笑みながら、ふと視線をリビングの壁一面に広がる大きな窓ガラスと、その外側にある網戸へと向け、少しだけ眉をひそめた。

「……ねえ。今朝からなんだけど、なんだか『窓ガラスが手垢や砂埃で白く曇ってて、外の景色が歪んで見えるし、網戸も破れてて変な虫が入ってきそうになっている』ような違和感を感じたんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それがはるか東南の『幻惑の蜃気楼砂漠』から、世界の視界(空間境界)を通じて伝わってきているのがわかる。ガラスの表面にタチの悪い汚れがこびりついて、網戸のゴムも劣化して外れかかってる……そんな、早急な窓ガラスの清掃と網戸の張り替えが必要な嫌な予感がするんだよね」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「窓の曇りと網戸の破れ」。それはすなわち、大宇宙の空間境界と次元の視界を司る防御基盤そのものが破壊され、世界が狂乱の幻覚と異次元からの害虫(魔獣)の侵略に呑み込まれようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。

 しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を外の景色が綺麗に見えて、虫が入ってこない快適な空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。

「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた空間境界・次元透視の異常……間違いありませんね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「我が社の情報網にも、今朝早くから大陸東南部の『幻惑の蜃気楼砂漠』周辺における、極めて深刻な空間の歪みと異次元からの魔獣侵攻の被害報告が届いております。社長の感知された通り、砂漠の最深部に長年封印されていた『幻惑の蜃気楼魔眼・ミラージュ・イビルアイ』が目覚めかけ、大陸全土の空間を歪んだ幻覚で覆い尽くし、世界を狂気の迷宮へと変えようとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔眼が生み出す『次元喰いの魔空蚊ども(※空間の裂け目から侵入し、触れるものの因果を吸い尽くす魔獣群)』が次元の裂け目(網戸の破れ)から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の混沌の底に沈めようと暴れ回っております」

「なるほど! やっぱり長年窓拭きをサボったせいで、空間の境目(蜃気楼砂漠)にガンコな汚れの親玉(蜃気楼魔眼)がこびりついて、そこにタチの悪い虫(魔空蚊)が群がって家の中に入ろうとしてるんだね!」

 アルドはバインダーの報告書を見て、プロの窓回り・建具メンテナンス業者としての血を騒がせた。

「僕の力なら幻覚なんて一瞬で消し去れるけど、窓のお手入れはやっぱり、ガラスクリーナーを吹きかけてスクイージーで水滴一つ残さずピカピカに拭き上げ、古い網戸の網とゴムを外し、新しい防虫ネットを専用のローラーでピンと張るのが一番確実で景色が綺麗に見えるからね! このまま放置すれば、家(世界)の中が変な虫だらけになって外の景色もドロドロに歪んじゃう。安全で快適な視界を守るためにも、窓ガラスをピカピカに磨き上げて、極上の次元透視・防虫システムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。網戸に群がる鬱陶しい魔空蚊ども(魔獣群)と、劣化して外れなくなった古い網の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のカッターとペンチで一つ残さず切り裂き、完璧な『下地処理(網剥がし)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型の網戸カッターのように構えて不敵に笑う。

「ええ。ガラスが撒き散らすガンコな曇りや幻惑の瘴気(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力拭き取り・防汚魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと透明にし、清潔な透視環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、窓拭きで滴り落ちる汚水や古い網の破片が周囲の床に飛散しないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧な窓際用防水シートと養生テープ(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 窓拭きは水が垂れるし、網戸の張り替えは細かいゴムの切れ端が落ちるから、しっかりシートで養生してくれると助かるよ!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の幻覚と次元の隙間を完全に弾く特製窓メンテ用防水エプロンと滑り止め手袋、安全靴)に着替え、手には巨大な「事象洗浄の神仙ガラスクリーナー」と、プロ仕様の「因果払拭の神仙スクイージー」、そして「絶対防虫の神仙網戸ネットとローラー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『窓回り・建具メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの景色の歪みと害虫侵入の不安を解決するために、邪魔な汚れを拭き取って、窓をピカピカにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、建具メンテナンス仕様に改造された魔導軽トラ(窓枠固定用クランプ搭載)に乗り込み、空間がドス黒い蜃気楼と魔空蚊に覆われつつある大陸東南部の『幻惑の蜃気楼砂漠』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、大陸東南部の『幻惑の蜃気楼砂漠』の中心部。

 世界の視界を歪め、全ての存在を永遠の幻覚と次元侵略の地獄に沈める悪夢『幻惑の蜃気楼魔眼・ミラージュ・イビルアイ』が、天を覆うほどの巨大な瞳の形をした歪んだ空間を蠢かせながら、傲慢なノイズを響かせていた。

「ギョロロロォォォッ! ジジジッ! 素晴らしいぞ! この星の忌まわしい澄み切った空間を全て歪め、我が幻惑に変える絶望の魔眼さえあれば、地上の生命など一瞬で方向感覚を失い、永遠の迷宮に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の空間歪曲を!」

 魔眼は、巨大な瞳孔からドス黒い猛毒の蜃気楼を放ち、無数の次元喰いの魔空蚊たちを空間の裂け目へと放った。

「愚かな地上の生命どもめ。我が目覚めたからには、もはやこの世界のどこにも正しい景色を見られる場所などないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての次元の境界を破壊し、大陸全土を永遠の害虫地獄の底に変えよ!」

「我ら幻惑の眷属の歪曲力は絶対だ! この猛毒と幻覚の領域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」

 ――キキィィィィッ!! ドンッ!!

 魔眼が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な蜃気楼が渦巻く砂漠のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導軽トラ)が、神話級の猛毒と空間の歪みをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、軽トラのドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、ガラスクリーナーとスクイージーを持った青年の明るい声が、魔眼のノイズを完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 各国の方々からご依頼いただいた窓ガラスの清掃と網戸の張り替えに伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいガラスの手垢っぷりと、網戸の破れ目から入ってきてるタチの悪い虫(魔空蚊)だね! 景色が歪んでて気持ち悪いし、ゴムも完全に劣化してる。こりゃ徹底的にお手入れと張り替えのしがいがあるや!」

 アルドは、滑り止め手袋をキュッと締め直しつつ、プロの窓メンテナンス業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対幻惑ノ領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」

 魔眼が驚愕の蜃気楼ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながら歪んだ砂の上へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい網戸に群がる魔空蚊ども(魔獣の群れ)と、劣化して破れた古い網から、綺麗に『下地処理・剥がし作業』して差し上げましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の幻覚の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ空間軍団ヲ『窓ガラスの汚れと破れた網』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ魔空蚊デ、貴様ラノ因果ヲ永遠ニ吸イ尽クシテクレルワ!」

 魔眼の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い蜃気楼と次元の亀裂を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の空間侵食弾を放ちながら襲い掛かった。

「うわっ、この虫、すっごくしつこくて新しい網戸まで破ろうとしてる! 放置してたら家の中が虫だらけになっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の群れを「長年放置されて大繁殖したタチの悪い窓の害虫」と完全に認識し、神仙ガラスクリーナーのトリガーに指をかけた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『窓ガラスの汚れと網戸の破れ被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕はメンテナンス業者として、こいつらを完璧に清掃して虫を防ぐだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の窓拭き現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。窓拭きで滴り落ちる汚水や古い網の破片が周囲の街に漏れないよう、まずは私が完璧に窓際用防水シートと養生テープを張ります」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、砂漠と魔眼の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――ピィィィィンッ!

 瞬間、砂漠全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の窓清掃用防水結界』が展開された。これで、致死の猛毒蜃気楼や魔空蚊は一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私はガラスが撒き散らすガンコな曇りと幻惑の瘴気(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に防汚・透明処理いたしますわ!」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光透明化魔法』が、超強力なガラスコーティング剤の光のミストとなって周囲の狂気の蜃気楼を包み込み、一気に浄化した。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物の視界を歪める猛毒の幻覚は、その浄化の光のミストを浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でクリアな透明の空間へと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの虫や古い網など、ただのカッターのマトだ! そして、邪魔なこびりつきは俺が綺麗に切り剥がしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「防虫網劣化害獣解体剥離斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔空蚊ボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで窓枠にこびりついた古いゴムと網を専用のカッターでスーッと綺麗に切り外すかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害な網の切れ端にしてしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ魔空蚊ガ、タダノ『ガラスコーティング』ト『網カッター』ノ前ニ、一瞬デただの建具ノゴミクズニサレテイクゥゥッ!?」

 蜃気楼魔眼は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただのゴミ」に変わり、砂漠の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な瞳孔を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで古い網の撤去と下地処理は完璧だね! あとは、あの一番デカくて景色を歪めている『ガラスの表面のガンコな汚れ(ミラージュ・イビルアイ)』に、事象洗浄の神仙ガラスクリーナーをシュッシュッ!と吹きかけて汚れを浮かし、因果払拭の神仙スクイージーで上から下へサァーッと水滴一つ残さず拭き上げ、最後に絶対防虫の神仙網戸ネットを専用のローラーでピンと張るだけだ!」

 アルドは、特製『事象洗浄の神仙ガラスクリーナー』を魔眼の巨大な本体(幻覚と空間境界の中核)へと向けて構え、突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙ガラスクリーナーは星の因果の歪みを物理的に溶かして分解する絶対事象洗浄剤であり、神仙スクイージーと網戸ネットは大宇宙のいかなる次元の歪曲や神話級の空間侵略すらも、物理的に『綺麗に拭き取って虫を防ぐ』だけで完璧に無害化し、極上のクリアな視界を取り戻す『究極の窓メンテナンスツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ空間ヲ破壊スル『終焉ノ絶対幻惑アビス・ミラージュ』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ迷宮ノ底ニ沈メテクレルワ!」

 蜃気楼魔眼が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを狂わせる超巨大な猛毒の歪曲波動を放ってきた。

「うわっ! ガラスの表面から、すっごくガンコな手垢の塊が押し寄せてきた! でも、この特製クリーナーとスクイージーの前には、どんなに酷い汚れも一発でピカピカの透明だ!」

 アルドが魔眼の巨大な瞳に向けてガラスクリーナーをシュワァァァッ!!と限界まで吹きかけ、事象の汚れを完璧に分解する。そして、因果払拭の神仙スクイージーをガラスの端にピッタリと当て、手首の絶妙なスナップを効かせて「サァーッ、サァーッ」とリズミカルに水滴と汚れ(狂乱の魔力)を完璧に拭き取っていく。

 仕上げに、窓枠に絶対防虫の神仙網戸ネットを当て、専用のローラーでゴムを「ギュギュッ」と押し込みながらシワ一つなくピンと張り上げると、こびりついた幻惑の魔力ごと完璧に浄化・防虫され、美しく澄み切った無色透明な空間境界へと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒幻惑ガ、タダノガラスクリーナーデ溶カサレ、スクイージーデ因果ゴト拭キ取ラレテ、一ミリモ景色ヲ歪メラレナクナッタだトォォォッ!?」

「よし、ガンコな汚れは綺麗に落ちて、網戸もピンと張って完璧に虫を防げるようになったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動結露防止ワイパー』をカチッと取り付けて……あ、そうだ。この汚れの親玉、綺麗に掃除して網戸を張り替えたら、凄く強力で絶対に曇らない、巨大な全自動の広域次元透視・絶対防虫結界みたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、世界中の有害な幻覚や異次元からの害虫を完全に弾き返し、代わりに極上のクリアな視界と安全な空気だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域次元透視&絶対防虫インフラ』にできそうだよ!」

 アルドが魔眼の本体であった場所に結露防止ワイパーを施し、事象調律のスイッチを「オート」にカチッ!と操作して巨大な防護施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた魔眼の禍々しい幻惑と空間侵食の魔力は、瞬く間に安全でクリアな透視エネルギーと無限の防虫機能へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ迷宮ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【部屋カラ外ノ景色オ綺麗ニ見ル為ノ最新ノ窓ガラス】ノヨウニ……!? イヤ、スクイージーデ拭カレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ透視力ト、極上ノ防虫オ提供スル超大型空間インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ絶望ニ沈メルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノクリアナ視界ト極上ノ安全ナ空間オ提供スル「極上ノ全自動・神仙次元透視窓」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした幻惑と空間歪曲の化身は、アルドの「窓ガラス清掃と網戸の張り替え」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を歪める禍々しい蜃気楼魔眼は、気がつけば「幻惑の蜃気楼砂漠を美しくクリアな巨大な空間境界施設に変え、世界中のどんな幻覚も一瞬で無害化し、極上の透明な視界を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域次元透視・絶対防虫インフラ(見た目は巨大でピカピカに磨き上げられた透明なクリスタル製の窓枠と極細防虫メッシュタワー)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌な曇りと虫の侵入被害は片付いて、すっごく綺麗で外がよく見える窓になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが景色の歪みや害虫を気にせずに、いつでも綺麗な景色を見て笑顔で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの視界と安全な部屋を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがスクイージーを片付けて額の汗を拭うと、砂漠を覆っていたドス黒い蜃気楼は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡のクリスタル窓枠と、澄み切った清らかな空気が広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域次元透視・絶対防虫システムは、これより大陸全土の空間境界・防衛基準のデファクトスタンダードとなるでしょう」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼する。

「これからは、どんな神話のバケモノが出ようが、社長の作業前に俺が全部『古い網の切り剥がし』してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで各国の空間透視・防衛利権は完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 数日後。大陸諸国を統べる王室や空間防衛・境界管理ギルド本部。

 各国の王たちは、猛毒の幻覚被害が完全に解消され、砂漠の跡地に前代未聞の超巨大な広域次元透視・絶対防虫インフラが誕生したという報告書を見て震え上がっていた。

「ば、馬鹿な……。我が世界を狂乱の迷宮に沈めるはずだった幻惑の蜃気楼魔眼が、たった数時間で『完全な窓拭きと網戸の張り替え』をされ、あまつさえ魔眼が『超巨大な次元透視インフラ』に転職して、国中の視界と防衛の管理権を完璧に独占しているだと……!?」

 そこへ、アステリア王国の大公にして【最高渉外・政府関係公使(GA)】であるレオハルトが、圧倒的な威圧感と外交特権を纏って現れた。

「各国の代表諸君。我が国が誇る総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の『CSR活動(窓回り設備メンテナンスと広域空間防衛インフラ整備業務)』をご利用いただき、誠に感謝する」

 レオハルトの重厚な声と共に、アーキヴァルが【完全なる境界修復・透視施設開発代金およびコンサルタント料の請求書】を王たちの目の前にドンッと突きつけた。

「社長(アルド様)の理念により、基本の窓拭き・網戸張り替え料金はサービスとさせていただく。……が、魔眼の完全浄化、空間境界の再構築、そして『大陸全土に極上のクリアな視界と絶対的な防虫を供給する巨大システムの永続的な運用費』は、正当なビジネスとして請求させていただこう。支払いは、各国の年間防衛・空間事業収益の九割と、次元透視ネットワークの独占プロデュース権で手を打つ。これは提案ではない、決定事項だ」

 レオハルトの政治的圧力とアーキヴァルの冷たい宣告と共に、王たちは完全に心をへし折られ、震える手で莫大な報酬の永続支払いにサインをするしかなかった。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。大陸東南部の幻惑の蜃気楼砂漠における窓ガラスの清掃、および網戸の張り替え作業完了。世界を幻覚と次元侵略に沈める幻惑の蜃気楼魔眼ミラージュ・イビルアイ(神話の厄災)を事象のスクイージーと網戸ネットで洗浄・防虫させ、立派な特大全自動広域次元透視・絶対防虫システムへと改修。猛毒の空間歪曲と害虫侵入被害の修復を完了し、大陸全土の境界保護と極上のクリアな視界の提供に多大な貢献を果たした。

 ……また、我が社のGAレオハルト閣下とCFOアーキヴァルの連携により、世界各国からは莫大な賠償金と、空間防衛・透視インフラの独占管理権を合法かつ迅速に譲り受けることに成功。これで我が社は、地下水脈、気象、海上物流、クリーンエネルギー、次元基盤、自然環境、信仰、光、交通・物流、情報・娯楽、資源循環、通信網、医療・甘味、睡眠・無意識、生命の息吹(農業)、食の鮮度(低温物流)、住環境からの防壁、生命の癒やし(温泉)、天蓋修復と気象防壁、次元境界修復と絶対防虫、物質修復と外壁防護、光明修復と電力供給、空間境界修復と絶対防犯、歴史因果修復と物資保管、水質衛生と癒やしの循環、大気環境と換気浄化、大地生態系と食糧生産、天候制御と清浄浄水、地殻構造と地熱エネルギー、次元外装と絶対防壁、光学透視と天蓋シールド、空調管理と気候制御、衛生配管と下水処理、電力網と光エネルギー、海洋海流と無限水循環、造園緑化と無限農業、排熱管理とクリーン暖房、熱源管理と広域給湯、時空安定と標準時管理、屋根外装と広域気象シールド、大気清浄とクリーン換気に続き、ついに「世界の空間透視と絶対防虫(窓ガラス・網戸メンテナンス)」の覇権すらも完全に掌握したことになる。

 社長が神仙としての自我を覚醒させて以降、我々の業務はもはや「世界の神話」を「家事のログ」として上書きする領域へと達している。社長は己の全知全能のセンサーで世界の危機を感知し、それを「便利屋の日常業務」として処理することで、世界を極上の平穏へと導いている。新役職のメンバーたちも、各々の専門分野で遺憾なくその力を発揮し、社長の「家事」を最高の形でサポートしている。

 完全覚醒した神仙社長と、大宇宙最強の経営陣。この完璧な布陣の前に、もはや世界のいかなる絶望も、ただの「窓回り・建具メンテナンス業務」として処理される運命にある。ワシはこの究極の平穏の歴史を、永遠に記録し続ける。』

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置くと、ドアの向こうから「みんな、お仕事お疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になった窓ガラスみたいに透き通った『特製・大精霊のクリスタル琥珀糖と透明なマスカットゼリー〜星屑のミントを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げる琥珀糖は、ことのほか外側のシャリッとした食感と中のゼリーの瑞々しさが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの窓ガラス清掃と網戸の張り替え」は、世界空間歪曲の危機をただの建具メンテナンスとして解決し、蜃気楼魔眼の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域次元透視・絶対防虫インフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界の空間透視と防虫の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

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