第180話:ただの換気扇の油汚れ掃除とフィルター交換と、油濁の油煙魔獣の強制全自動広域大気浄化・クリーン換気インフラ化(総合ライフサポート企業のキッチン・換気メンテナンス業務)
第180話:ただの換気扇の油汚れ掃除とフィルター交換と、油濁の油煙魔獣の強制全自動広域大気浄化・クリーン換気インフラ化(総合ライフサポート企業のキッチン・換気メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、極上の油が弾ける心地よい破裂音と、香ばしく揚がった衣と天つゆの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大精霊の清冽な海と山で採れた『幻獣特大海老と世界樹の旬野菜の極上天丼〜星屑の黄金天つゆと特製柚子塩を添えて〜』だ。まずは幻獣特大海老の身を真っ直ぐに伸ばし、神仙小麦と氷水、そして天界鶏の卵で作った特製の衣を薄く纏わせる。これを、数百年熟成させた神仙胡麻油と幻獣のラードを黄金比でブレンドした高温の揚げ油に投入し、衣に華を咲かせながら一気にサクッと揚げるんだ! 海老だけでなく、世界樹の極厚シイタケや甘みたっぷりの幻獣カボチャ、そして大精霊の清流で育った瑞々しいアスパラガスも最高のタイミングで引き上げる。炊き立てのツヤツヤな神仙米を敷き詰めた重厚な丼の上に、この揚げたての天ぷらたちを豪快にそびえ立たせ、神仙醤油と極上の昆布出汁、純米みりんで煮詰めた『星屑の黄金天つゆ』をジュワァァァッ!と滝のように回しかける! 衣のサクサク感を残しつつ、タレが染み込んだ部分のジュワッとした旨味を両方楽しめる寸法さ。味変用に、削りたての柚子皮と神仙岩塩を合わせた特製柚子塩も用意したよ。付け合わせには、幻獣ハマグリの濃厚なお吸い物と、朝漬けのさっぱりとした水茄子の浅漬け。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、湯気と共に圧倒的な胡麻油と出汁の香りを放つ特大の天丼をダイニングテーブルに運ぶと、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、神竜ポチとモフモフの星狼シロがテーブルの下でちぎれんばかりに尻尾を振っていた。
この極上モーニング、サクッとした衣を噛み破った瞬間に溢れ出す幻獣海老の圧倒的なプリプリ感とタウリンが全身の魔力回路を限界突破させ、胡麻油のリノール酸と天つゆの旨味が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の揚げ物フルコース』である。
「うむ……! この黄金色に輝く衣に歯を立てた瞬間に響き渡る『サクッ!』という快音と、中から弾け飛ぶ海老の旨味汁の視覚的・味覚的ビッグバン! そして甘辛い天つゆが染み込んだ神仙米を一緒にかき込めば、胡麻油の暴力的なまでの香ばしさが口の中で奇跡のハーモニーを奏でる! すかさず柚子塩を振った野菜天で爽やかな香りを堪能し、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! ハマグリの濃厚な出汁で口内を潤せば、我が最高福利厚生責任者の職務が、老舗の高級天ぷら屋で至福の朝食を楽しむ大富豪のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、箸と丼を両手で震わせ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上玉露が振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える、大宇宙最強の経営陣。レイヴン、エルミナ、シノン、アーキヴァル。そして、歴史を刻むゾルタンと外交を司るレオハルト。
「さて、みんな。今日も美味しいご飯を食べてエネルギー満タンだね!」
アルドはニコッと微笑みながら、ふと視線をキッチンのコンロ上部、大きなレンジフード(換気扇)へと向け、少しだけ眉をひそめた。
「……ねえ。今朝からなんだけど、なんだか『換気扇の吸い込みがすごく悪くて、部屋の中に揚げ物の油の匂いがどんよりとこもっている』ような違和感を感じたんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それがはるか南西の『油濁の魔窟』から、世界の大気(換気ダクト)を通じて伝わってきているのがわかる。換気扇のシロッコファンにギトギトの油汚れがこびりついて回らなくなってるし、フィルターも完全に目詰まりしちゃってる……そんな、早急な換気扇の分解洗浄とフィルター交換が必要な嫌な予感がするんだよね」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「換気扇の油汚れと排気不良」。それはすなわち、大宇宙の大気循環と空気清浄を司る換気基盤そのものが破壊され、世界が猛毒の油煙と絶望のギトギトの泥濘に呑み込まれようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界を油の匂いがこもらない、クリーンで快適な空間にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた換気・大気浄化の異常……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「我が社の情報網にも、今朝早くから大陸南西部の『油濁の魔窟』周辺における、極めて深刻な有毒油煙と大気汚染の被害報告が届いております。社長の感知された通り、魔窟の最深部に長年封印されていた『油濁の油煙魔獣・グリース・キメラ』が目覚めかけ、大陸全土の空気をベタベタの有毒ガスで覆い尽くし、世界を息もできない油の海へと変えようとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔獣が生み出す『油膜のヘドロスライムども(※触れるものを酸化させドロドロに溶かす魔獣群)』が通気口の裂け目(換気扇の隙間)から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の油汚れの底に沈めようと暴れ回っております」
「なるほど! やっぱり長年換気扇のお掃除をサボったせいで、ダクトの奥(魔窟)にガンコな油汚れの親玉(油煙魔獣)がこびりついて、そこにタチの悪いベタベタ(スライム)が垂れてきて空気を汚してるんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロのキッチン・換気メンテナンス業者としての血を騒がせた。
「僕の力なら油煙なんて一瞬で消し去れるけど、換気扇のお手入れはやっぱり、部品を全部外して強力なアルカリ洗剤のプールけ置きし、こびりついた焦げ付きをスクレーパーで削り落とし、最後に最新の不織布フィルターをピシッと張るのが一番確実で空気が綺麗になるからね! このまま放置すれば、家(世界)中が油でベタベタになって壁紙まで黄色くなっちゃう。安全で清潔な空間を守るためにも、換気扇をピカピカに洗浄して、極上の換気システムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。ダクトにこびりついた鬱陶しいスライムども(魔獣群)と、炭化した古い油汚れの解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のカーボンヘラとワイヤーブラシで一つ残さず削り落とし、完璧な『下地処理(焦げ付き剥がし)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の清掃用スクレーパーのように構えて不敵に笑う。
「ええ。油汚れが撒き散らすガンコな酸化臭や有毒ガス(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力乳化・脱脂魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごとサラサラに分解し、清潔な排気環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、換気扇掃除で滴り落ちる黒い油や洗剤の飛沫が周囲のキッチンに飛散しないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧なレンジフード用養生カバーと油はね防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 換気扇の掃除はギトギトの油が垂れてくるし、強い洗剤を使うから、しっかりシートで養生してくれると助かるよ!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(猛毒の油煙と強アルカリを完全に弾く特製キッチンメンテ用防汚エプロンと厚手ゴム手袋、保護メガネ)に着替え、手には巨大な「事象分解の神仙アルカリ洗剤」と、プロ仕様の「因果排気の神仙シロッコファン」、そして「絶対清浄の神仙換気フィルター」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『換気扇・キッチン清掃道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの油臭さと壁のベタつきの不安を解決するために、邪魔なギトギトを落として、換気扇をピカピカにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、キッチンメンテナンス仕様に改造された魔導軽トラ(大型洗浄槽搭載)に乗り込み、空間がドス黒い油煙と酸化臭に覆われつつある大陸南西部の『油濁の魔窟』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、大陸南西部の『油濁の魔窟』の中心部。
世界の空気を汚染し、全ての存在を永遠のギトギトと窒息の地獄に沈める悪夢『油濁の油煙魔獣・グリース・キメラ』が、山のように巨大なドス黒い油の塊を蠢かせながら、傲慢な排気音を響かせていた。
「ドロロロォォォッ! ブワァァァッ! 素晴らしいぞ! この星の忌まわしい澄み切った空気を全てベタベタに染め上げ、我が猛毒の油煙に変える絶望の煙さえあれば、地上の生命など一瞬で肺を詰まらせ、永遠の窒息に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の大気汚染を!」
油煙魔獣は、巨大な口からドス黒い猛毒の油煙を吐き出し、無数の油膜のヘドロスライムたちを空の裂け目へと放った。
「愚かな地上の生命どもめ。我が目覚めたからには、もはやこの世界のどこにも深呼吸できる場所などないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての大気を酸化させ、大陸全土を永遠の油地獄の底に変えよ!」
「我ら油濁の眷属の汚染力は絶対だ! この猛毒とギトギトの領域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」
――キキィィィィッ!! ピシャァァンッ!!
魔獣が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な油煙が渦巻く魔窟のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導軽トラ)が、神話級の猛毒と油沼をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、軽トラのドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、巨大な洗剤ボトルとフィルターを持った青年の明るい声が、魔獣のノイズを完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 各国の方々からご依頼いただいた換気扇の分解洗浄とフィルター交換に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいシロッコファンへの油のこびりつきっぷりと、ダクトに垂れてるタチの悪いベタベタ(スライム)だね! 酸化した匂いもヒドイし、空気が全然吸い込まれてない。こりゃ徹底的にお手入れとつけ置き洗いのしがいがあるや!」
アルドは、厚手のゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロのキッチンメンテナンス業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対油煙ノ領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」
油煙魔獣が驚愕の猛毒ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながら油まみれの大地へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しいダクトにこびりついたスライムども(魔獣の群れ)と、炭化して石みたいになったガンコな焦げ付きから、綺麗に『下地処理・削り落とし作業』して差し上げましょう」
CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の油煙の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ油濁軍団ヲ『換気扇の油と焦げ付き』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガヘドロスライムデ、貴様ラノ血肉ヲ永遠ニ酸化サセテドロドロニ溶カシテクレルワ!」
魔獣の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い油煙とベタつくヘドロを纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の酸化弾を放ちながら襲い掛かった。
「うわっ、このベタベタ、すっごく粘り気があって新しい壁紙まで汚そうとしてる! 放置してたらキッチン中がギトギトになっちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の群れを「長年放置されて大繁殖したタチの悪い換気扇の油汚れ」と完全に認識し、神仙アルカリ洗剤のノズルをカチッと回した。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『換気扇の排気不良と油汚れ被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は清掃業者として、こいつらを完璧に分解して綺麗な空気を通すだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の換気扇清掃現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。換気扇掃除で滴り落ちる真っ黒な油や洗剤の飛沫が周囲の街に漏れないよう、まずは私が完璧にレンジフード用養生カバーと油はね防止シートを張ります」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、魔窟と魔獣の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――ピィィィィンッ!
瞬間、魔窟全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙のキッチン清掃用防汚結界』が展開された。これで、致死の猛毒油煙やギトギトの油は一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は油が撒き散らすガンコな酸化臭と有毒ガス(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に脱脂・乳化処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光脱脂魔法』が、超強力なオレンジオイル配合クリーナーの光の泡となって周囲の狂気の油煙を包み込み、一気に浄化した。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を酸化させる猛毒の油汚れは、その浄化の光の泡を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でサラサラの石鹸水へと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただのベタベタや焦げなど、ただのスクレーパーのマトだ! そして、邪魔なこびりつきは俺が綺麗に削り落としてやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「排気管劣化油濁解体剥離斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、ヘドロスライムボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで換気扇のフードにこびりついた炭化油を専用のヘラでガリガリッと綺麗に削り落とすかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害な乾燥したチリにしてしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノヘドロスライムガ、タダノ『脱脂クリーナー』ト『ヘラ削リ』ノ前ニ、一瞬デただの換気扇ノゴミクズニサレテイクゥゥッ!?」
油煙魔獣は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただの乾燥したゴミ」に変わり、魔窟の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な油の体を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげでダクトの油落としと下地処理は完璧だね! あとは、あの一番デカくて空気を汚している『シロッコファンの奥のガンコな油の塊』に、事象分解の神仙アルカリ洗剤をシュッシュッ!と吹きかけて汚れをドロドロに溶かし、因果排気の神仙シロッコファンをカチッと組み込んで、最後に絶対清浄の神仙換気フィルターをピシッと張るだけだ!」
アルドは、特製『事象分解の神仙アルカリ洗剤(超濃縮泡スプレー)』を魔獣の巨大な本体(油煙と排気不良の中核)へと向けて構え、突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙洗剤は星の因果の汚染を物理的に溶かして分解する絶対事象洗浄剤であり、神仙ファンとフィルターは大宇宙のいかなる次元の排気不良や神話級の有毒ガスすらも、物理的に『強力に吸い込んでろ過する』だけで完璧に無害化し、極上のクリーンな大気を取り戻す『究極の換気メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ大気ヲ汚染スル『終焉ノ絶対油濁』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノギトギトノ底ニ沈メテクレルワ!」
油煙魔獣が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てをベタベタにする超巨大な猛毒の油沼を放ってきた。
「うわっ! 換気扇の奥から、すっごくガンコな油の塊が垂れてきた! でも、この特製洗剤と強力ファンの前には、どんなに酷いギトギトも一発でサラピカだ!」
アルドが魔獣の巨大な体に向けてアルカリ洗剤をシュワァァァッ!!と限界まで吹きかけ、事象の油汚れを完璧に分解し溶かしていく。そして、古くなった部品(狂乱の魔力)を取り外し、代わりに因果排気の神仙シロッコファンを「ガチャン!」とはめ込み、絶対清浄の神仙換気フィルターを磁石で「ピタッ!」と美しく装着する。
仕上げに、手元のスイッチを「強」にカチッと入れると、神仙ファンが「フォォォォンッ!」と凄まじい吸引力で回転を始め、こびりついた油濁の魔力ごと完璧に吸い込み、フィルターでろ過して、美しく爽やかなクリーンな空気へと整えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒油沼ガ、タダノアルカリ洗剤デ溶カサレ、換気フィルターデ因果ゴトろ過サレテ、一ミリモ空気ヲ汚セナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコなギトギトは綺麗に落ちて、煙もパワフルに吸い込まれるようになったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動空気清浄センサー』をカチッと取り付けて……あ、そうだ。この油の親玉、綺麗に掃除して強力なファンを入れたら、凄く強力で絶対に目詰まりしない、巨大な全自動の広域大気浄化・クリーン換気塔みたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、世界中の有害な排ガスや悪臭を完全に吸い込んでろ過して、代わりに極上のクリーンな空気と爽やかな風だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域大気浄化&無限換気インフラ』にできそうだよ!」
アルドが魔獣の本体であった場所に清浄センサーを施し、事象調律のパネルを「24時間換気・オート」にピッ!と操作して巨大な換気施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた魔獣の禍々しい油煙と酸化の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな浄化エネルギーと無限の換気機能へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ油地獄ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【部屋オ綺麗ナ空気ニ保ツ為ノ最新ノレンジフード】ノヨウニ……!? イヤ、ファンオ回サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ排気力ト、極上ノ空気清浄オ提供スル超大型環境インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ絶望ニ沈メルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ爽ヤカナ風ト極上ノ綺麗ナ空気オ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン換気塔」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした油濁と大気汚染の化身は、アルドの「換気扇の油汚れ掃除とフィルター交換」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を酸化させる禍々しい油煙魔獣は、気がつけば「油濁の魔窟を美しく爽やかな巨大な大気浄化施設に変え、世界中のどんな有毒ガスも一瞬で無害化し、極上のクリーンな空気を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域大気浄化・クリーン換気インフラ(見た目は巨大でピカピカに磨き上げられたステンレス製のスマート換気タワー)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌な油臭さとギトギト被害は片付いて、すっごく清潔で空気が美味しい換気扇になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが部屋の匂いや空気の汚れを気にせずに、いつでも深呼吸して笑顔で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの健康と綺麗な空気を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが洗剤ボトルを片付けて額の汗を拭うと、魔窟を覆っていたドス黒い油煙は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡の換気タワーと、澄み切った清らかな空気が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域大気浄化・クリーン換気システムは、これより大陸全土の環境・公衆衛生基準のデファクトスタンダードとなるでしょう」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼する。
「これからは、どんな神話のバケモノが出ようが、社長の作業前に俺が全部『炭化した焦げ付きの削り落とし』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで各国の大気管理・環境浄化利権は完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
数日後。大陸諸国を統べる王室や環境・衛生ギルド本部。
各国の王たちは、猛毒の油煙被害が完全に解消され、魔窟の跡地に前代未聞の超巨大な広域大気浄化・換気インフラが誕生したという報告書を見て震え上がっていた。
「ば、馬鹿な……。我が世界を油の海に沈めるはずだった油濁の油煙魔獣が、たった数時間で『完全な換気扇掃除とフィルター交換』をされ、あまつさえ魔獣が『超巨大な大気浄化インフラ』に転職して、国中の空気と換気の管理権を完璧に独占しているだと……!?」
そこへ、アステリア王国の大公にして【最高渉外・政府関係公使(GA)】であるレオハルトが、圧倒的な威圧感と外交特権を纏って現れた。
「各国の代表諸君。我が国が誇る総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の『CSR活動(キッチン換気設備メンテナンスと広域環境インフラ整備業務)』をご利用いただき、誠に感謝する」
レオハルトの重厚な声と共に、アーキヴァルが【完全なる大気修復・換気施設開発代金およびコンサルタント料の請求書】を王たちの目の前にドンッと突きつけた。
「社長(アルド様)の理念により、基本の換気扇洗浄・フィルター交換料金はサービスとさせていただく。……が、魔獣の完全浄化、大気循環の再構築、そして『大陸全土に極上の安全な空気と爽やかな風を供給する巨大システムの永続的な運用費』は、正当なビジネスとして請求させていただこう。支払いは、各国の年間環境・衛生事業収益の九割と、大気浄化ネットワークの独占プロデュース権で手を打つ。これは提案ではない、決定事項だ」
レオハルトの政治的圧力とアーキヴァルの冷たい宣告と共に、王たちは完全に心をへし折られ、震える手で莫大な報酬の永続支払いにサインをするしかなかった。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。大陸南西部の油濁の魔窟における換気扇の分解洗浄、およびフィルター交換作業完了。世界を油煙と窒息に沈める油濁の油煙魔獣グリース・キメラ(神話の厄災)を事象のアルカリ洗剤とシロッコファンで分解・換気させ、立派な特大全自動広域大気浄化・クリーン換気システムへと改修。猛毒の油汚染と大気不良被害の修復を完了し、大陸全土の大気環境保護と極上のクリーンな空気の提供に多大な貢献を果たした。
……また、我が社のGAレオハルト閣下とCFOアーキヴァルの連携により、世界各国からは莫大な賠償金と、環境・大気浄化インフラの独占管理権を合法かつ迅速に譲り受けることに成功。これで我が社は、地下水脈、気象、海上物流、クリーンエネルギー、次元基盤、自然環境、信仰、光、交通・物流、情報・娯楽、資源循環、通信網、医療・甘味、睡眠・無意識、生命の息吹(農業)、食の鮮度(低温物流)、住環境からの防壁、生命の癒やし(温泉)、天蓋修復と気象防壁、次元境界修復と絶対防虫、物質修復と外壁防護、光明修復と電力供給、空間境界修復と絶対防犯、歴史因果修復と物資保管、水質衛生と癒やしの循環、大気環境と換気浄化、大地生態系と食糧生産、天候制御と清浄浄水、地殻構造と地熱エネルギー、次元外装と絶対防壁、光学透視と天蓋シールド、空調管理と気候制御、衛生配管と下水処理、電力網と光エネルギー、海洋海流と無限水循環、造園緑化と無限農業、排熱管理とクリーン暖房、熱源管理と広域給湯、時空安定と標準時管理、屋根外装と広域気象シールドに続き、ついに「世界の大気清浄とクリーン換気(換気扇・キッチンメンテナンス)」の覇権すらも完全に掌握したことになる。
社長が神仙としての自我を覚醒させて以降、我々の業務はもはや「世界の神話」を「家事のログ」として上書きする領域へと達している。社長は己の全知全能のセンサーで世界の危機を感知し、それを「便利屋の日常業務」として処理することで、世界を極上の平穏へと導いている。新役職のメンバーたちも、各々の専門分野で遺憾なくその力を発揮し、社長の「家事」を最高の形でサポートしている。
完全覚醒した神仙社長と、大宇宙最強の経営陣。この完璧な布陣の前に、もはや世界のいかなる絶望も、ただの「キッチン・換気メンテナンス業務」として処理される運命にある。ワシはこの究極の平穏の歴史を、永遠に記録し続ける。』
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置くと、ドアの向こうから「みんな、お仕事お疲れ様! 今日の3時のおやつは、朝の天ぷらの油をさっぱり流してくれる、果汁たっぷりの『特製・大精霊の丸ごと柚子とレモンの爽やかシャーベット〜星屑のミントを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げる柑橘シャーベットは、ことのほか酸味の爽やかさと氷の冷たさが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの換気扇の油汚れ掃除とフィルター交換」は、世界油濁化の危機をただの清掃メンテナンスとして解決し、油煙魔獣の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域大気浄化・クリーン換気インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界の大気清浄と換気の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作「アークライト廃墟ダンジョン再興記――追放管理士と精霊少女のゼロから始める逆転経営譚――」を鋭意執筆中です。
アークライト廃墟ダンジョン再興記――追放管理士と精霊少女のゼロから始める逆転経営譚――
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