第124話:ただの粗大ゴミ回収と、貪喰の暴食獣の強制リサイクルプラント化(総合ライフサポート企業の廃棄物処理)
第124話:ただの粗大ゴミ回収と、貪喰の暴食獣の強制リサイクルプラント化(総合ライフサポート企業の廃棄物処理)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝は、大宇宙の理すらも平伏す圧倒的な平穏と、魂の底から活力を呼び覚ますような極上の甘辛いタレの焦げる香り、そして油で揚げられた衣の香ばしい匂いと共に幕を開ける。
今日のアルドは、朝からキッチンの巨大な揚げ鍋と特注の羽釜に向かい、見事な手際で『特製・幻獣豚の極厚カツ丼と、世界樹の三つ葉と天界なめこの赤だし』を仕上げていた。
「よし! メインは、大精霊の森を駆け回って育った幻獣豚の極厚リブロースだ。これを、神仙小麦と星屑の生パン粉で包み込み、幻獣油で外はサクッと、中は肉汁が溢れ出すほどジューシーに揚げ上げる! そして、幻獣の昆布と鰹節からとった黄金の出汁に、神仙醤油と星屑のザラメで作った特製の割り下を合わせ、揚げたてのカツをサッと煮込む! 天界鶏の産みたて黄金卵をたっぷりと回し入れ、半熟のトロトロ状態で火を止め、羽釜で炊き上げたばかりの神仙米の銀シャリの上にドーンと乗せる! 付け合わせには、世界樹の三つ葉と天界なめこの旨味が凝縮された、八丁味噌仕立ての濃厚な赤だし! 仕上げに山椒を少しだけ振って……熱々のうちに完成だ!」
アルドがエプロン姿で、黄金色に輝き、甘辛い匂いを暴力的なまでに放つ巨大なカツ丼のどんぶりと、湯気を立てる赤だしをダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチとモフモフの星狼シロがテーブルの下でちぎれんばかりに尻尾を振って待機していた。リビングのソファでは、特大モチモチクッションへと強制リメイクされた元・大宇宙の邪神が、ポカポカと温かいヒーター機能を放ちながら、平和なインテリアとしての職務を微動だにせず全うしている。
この極上カツ丼朝食、一口食べれば幻獣豚の極上のビタミンB1と黄金卵のアミノ酸が全身の魔力回路を限界突破させ、赤だしの圧倒的な発酵パワーが血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・勝負メシフルコース』である。
「うむ……! このカツの衣に出汁が染み込んだ至高の食感と、噛み締めた瞬間に口の中を満たす肉汁と卵のビッグバン! そして赤だしの圧倒的なコクと深み! 見るだけで我が魔界の闘争本能が、休日の昼下がりに大衆食堂で昼から冷酒をあおる初老の男のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
元・魔界大帝サタナスが、どんぶりを両手で震わせながら握りしめ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。
そんな賑やかなダイニングの喧騒が一段落し、食後の極上玄米茶が振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲には、『出張解体アシスタント』のレイヴン、『特殊クリーニング部門責任者』のエルミナ、『総合防犯システム責任者』のシノン、そして『最高財務責任者(CFO)兼・広報担当』のアーキヴァルという、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の頼もしき役員たちが顔を揃えている。
「さて、みんな。次元の境界線の巨大ディスプレイ化(侵略魔神の外壁塗装)も終わって、世界中の通信や景色がすっかり綺麗になったね。これもみんなのチームワークのおかげだよ。……それで、次なる『困り事』の案件は何か入っているかな?」
アルドがニコッと微笑みかけると、CFO兼広報担当のアーキヴァルが、優雅な所作で立ち上がり、分厚いバインダーを開いた。
「はい、社長。我が社の次なるCSR活動として、今回は大陸南部の『忘却の廃棄領域』における、極めて深刻な物質の崩壊とゴミ問題に関するご相談を受注いたしました」
アーキヴァルは、手元の書類を指先で弾きながら、冷徹かつ完璧なプレゼンテーションを開始する。
「大陸南部の巨大なクレーターに、長年封印されていた『万物貪喰の暴食獣・グラトニー・オメガ』が目覚めまして。強靭な顎と胃袋で周囲のあらゆる物質を食らい尽くし、世界を巨大なゴミ山へと変えようとしております。さらにタチの悪いことに、その暴食獣が生み出す『腐敗の残飯ども(※物質を腐食させるスライム群)』がクレーターから溢れ出し、人々の街の建物や森を片っ端からドロドロのゴミに変えて飲み込もうと暴れ回っているのです」
アーキヴァルの言葉の裏にある「真実」を、大公レオハルトと元・大賢者ゾルタンは顔面を蒼白にしながら補完していた。
(万物貪喰の暴食獣だと……!? あれは世界のあらゆる物質を喰らい尽くし、星を永遠の虚無と塵芥に還す神話級の捕食魔獣。それが覚醒したとなれば、大陸南部はおろか、世界のあらゆる資源と生命が食い荒らされ、最終的には星そのものが消滅する。本来なら全国家の魔導士と騎士団を総動員して命がけの超極大空間隔離結界を張るべき、世界終焉レベルの絶望事態だぞ……!)
しかし、アーキヴァルは一切表情を変えず、アルド向けに完璧に翻訳された依頼書を読み上げる。
「近隣の国々からの要望は、この鬱陶しい生ゴミや粗大ゴミ(腐食の魔獣群)の『徹底的な分別(粉砕と回収)』と『ゴミを撒き散らす親玉(暴食獣)の清掃』、そして『地域のゴミ集積所の整備とリサイクル環境の改善』です。このまま放置すれば、街がゴミに埋もれて悪臭が漂い、公衆衛生が最悪になってしまいます。我が社の社会貢献活動として、これほど迅速な対応が求められる案件はないかと」
「なるほど!」
アルドは、依頼書を見て真剣な表情でポンッと手を叩いた。
「地域のゴミステーションがカラスや野良犬に荒らされて、不法投棄の粗大ゴミまで山のようになっちゃってるんだね! ゴミが散乱してると臭いし、景観も悪いし、何より危ないから大問題だ。綺麗でエコな生活を送るためにも、ゴミの分別と回収はしっかりやらないと。よーし、さっそく僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役職を得たクランメンバーたちも、一斉に気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。ゴミ捨て場を荒らす鬱陶しい残飯(腐食の魔獣ども)の解体と撤去は、この『出張解体アシスタント』にお任せを。ゴミの核の一つ残さず綺麗に切り刻んで、燃えるゴミにしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を肩に担ぎながら不敵に笑う。
「ええ。ゴミが撒き散らすガンコな悪臭や腐敗液(※致死の溶解液と瘴気)は、『特殊クリーニング部門』の私が、特製の消臭剤(※極大の聖水浄化魔法)で一瞬にして中和・洗浄して差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら自信満々に頷く。
「……作業中、ゴミの汁や悪臭(※魔獣の残党)が周囲の街へ漏れ出さないよう、『総合防犯システム責任者』として、現場の周囲に完璧な防鳥・防臭ネット(※絶対封殺の空間密閉結界)を張り巡らせておきます」
シノンが、音もなく短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! ゴミ回収は周りを汚さないことが大事だから、しっかりネットを張ってくれると助かるよ!」
アルドは、メンバーたちの頼もしい言葉に満足げに頷き、自身の作業着(腐食液と瘴気を完全に無効化する特製防護服と厚手の手袋)に着替え、手には長い柄のゴミバサミと、巨大なゴミ袋を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、特製『事象分別のゴミハサミ』と『絶対圧縮の神仙ゴミ袋』を持っていくよ! 世界の人たちの綺麗な街並みを守るために、邪魔なゴミを回収して、ゴミステーションをピカピカにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、廃棄物運搬仕様に改造された魔導軽トラ(パッカー車機能付き)に乗り込み、全てがゴミと化しつつある大陸南部のクレーターへと向けて出勤したのである。
***
その頃、大陸南部のクレーターの中心。
あらゆる物質を食らい尽くし、世界を巨大なゴミ山に変える大地の悪夢『万物貪喰の暴食獣・グラトニー・オメガ』が、何でも溶かす溶解液を垂れ流しながら、傲慢な咀嚼音を響かせていた。
「グチャァァァ……! 素晴らしいぞ! この星の全てを喰らい尽くす我が胃袋さえあれば、地上の生命など一瞬で消化液に溶け去る! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な貪喰の宴を!」
暴食獣は、巨大な顎を開き、無数の腐敗の魔獣たちを現実世界へと放った。
「愚かな地上の生命どもめ。我が目覚めたからには、もはやこの星に残る資源はないと知れ! さあ、もっとだ! 全てを飲み込み、大陸全土を永遠の塵芥に塗り潰せ!」
「我ら貪喰の眷属の消化力は絶対だ! この腐敗の領域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」
――キキィィィィッ!! バタンッ!
暴食獣が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、悪臭が漂うゴミ山のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導軽トラ)が、神話級の腐食の沼をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、軽トラのドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、ゴミバサミとゴミ袋を持った青年の明るい声が、咀嚼のノイズを完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 近隣の国の方々からご依頼いただいた粗大ゴミの回収とゴミステーションの清掃に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいゴミの散らかりっぷりと、変な色の悪趣味な生ゴミ(魔獣)だね! こりゃ徹底的に分別しがいがあるや!」
アルドは、ゴミバサミをカチャカチャと鳴らしながら、プロの清掃員としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対捕食ノ領域ニ、地上ノ虫ケラガ何ノ用ダ!」
暴食獣が驚愕の唸り声を上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながらゴミの山へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい生ゴミ(腐敗の魔獣)どもから、綺麗に『切り刻んで』差し上げましょう」
レイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の次なる社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、世界の果てのゴミ捨て場で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ捕食ヲ『ゴミ拾い』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ腐敗ノ魔獣デ、貴様ラノ肉体ヲ永遠ニ溶カシ尽クシテクレルワ!」
暴食獣の怒号と共に、クレーターを覆うほどのドス黒い腐敗のスライム群が、一斉にアルドたちに向かって溶解液を放って襲い掛かった。
「うわっ、この生ゴミ、すっごく臭くてベタベタしてる! 放置してたらハエが湧いちゃって危ないぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の群れを「夏場に放置されてドロドロになったタチの悪い生ゴミの塊」と完全に誤認し、ゴミバサミの柄を強く握りしめた。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。ゴミの汁や悪臭が外に漏れないよう、まずは私が防鳥ネットを張ります」
シノンが音もなく跳躍し、クレーターの周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間密閉結界符)を空中に投げ放った。
――ピィィィィンッ!
瞬間、クレーター全体を覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙のゴミステーション用ネット結界』が展開された。これで、致死の瘴気や腐食液は一滴たりとも外へ漏れ出すことはない。
「完璧なネットですわ、シノンさん。では、私は生ゴミが撒き散らすガンコな悪臭や腐敗液(致死の溶解液と瘴気)を、特殊クリーニングで綺麗に中和いたしますわ!」
エルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖水浄化魔法』が、超強力な消臭スプレーのように周囲の狂気の波動を包み込んだ。
「ギャアアアアッ!?」
万物を溶かす腐食液は、その浄化の光を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で爽やかな香りのする水たまりへと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの汚水など、ただのモップ掛けのマトだ! そして、邪魔な粗大ゴミは私が綺麗に解体してやろう!」
レイヴンが神具の斧を大上段に構え、水たまりと化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「粗大ゴミ解体斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、魔獣の概念ボディの中にある「核の隙間」を完璧に見切り、まるで巨大なタンスをバラすかのように、シャリィィィン!と見事な手際で細かな木っ端へと変え、燃えるゴミの山にしてしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ腐敗ノ魔獣ガ、タダノ『消臭』ト『ゴミ解体』ノ前ニ、一瞬デ木屑ニサレテイクゥゥッ!?」
暴食獣は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただの可燃ゴミ」に変わり、悪臭が消え去った光景に、驚愕のあまり巨体を震わせた。
「よし、みんなのおかげで邪魔な生ゴミは片付いたね! あとは、あの一番ゴミを撒き散らしてる『不法投棄の親玉(暴食獣)』をゴミハサミで回収して、ゴミ袋に詰めるだけだ!」
アルドは、特製『事象分別のゴミハサミ』を構え、暴食獣の巨大な混沌の顔面へと向けて突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。ゴミハサミの刃は星の引力を凝縮した超高密度マジックハンドであり、大宇宙のいかなる次元の歪みや神話級の狂気すらも、物理的に『挟んで持ち上げる』だけで完璧に回収・分別する『究極の清掃ツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ヲ虚無ニ飲ミ込ム『終焉ノ絶対捕食』デ、貴様ラゴト胃袋ノ底ニ飲ミ込ンデクレルワ!」
暴食獣が残された魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを異界に引きずり込む超巨大なブラックホールのような大口を開き始めた。
「うわっ! ゴミの山の中から、すっごくデカい粗大ゴミが口を開けてる! でも、この特製ゴミハサミの前には、どんな重いゴミも一発でヒョイッだ!」
アルドがゴミハサミの取っ手を力強く握り込むと、ハサミの先端が容赦なくガシャンッ!と暴食獣の巨大な口に挟み込まれた。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶捕食ガ、タダノゴミバサミデ口ヲ塞ガレタダトォォォッ!?」
「よし、ガンコな粗大ゴミは綺麗に挟めたぞ! 最後に、この『絶対圧縮の神仙ゴミ袋』にポイッと入れて……あ、そうだ。このゴミの親玉、何でも吸い込む力が凄いから、ちょっと魔力を調整すれば、集めたゴミを再利用可能な綺麗な資源に変えてくれる『超巨大な全自動リサイクルプラント』にできそうだよ!」
アルドが真っ白な神仙ゴミ袋(事象を完璧に圧縮・変換する魔導コンポスト)に暴食獣をすっぽりと被せ、事象調律の圧縮ボタンを押すと、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた暴食獣の禍々しい捕食の魔力は、瞬く間に漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ塵芥ニ変エルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【ゴミヲ資源ニ変エル為ノ圧縮プレス機】ノヨウニ……!? イヤ、袋ニ入レラレル度ニ、我ガ胃袋ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナリサイクル機能ト、極上ノクリーンエネルギーヲ生ミ出ス超大型プラント】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ絶望ニ沈メルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ資源ト清潔サヲ提供スル「極上ノ全自動・神仙リサイクルセンター」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした貪喰の化身は、アルドの「粗大ゴミ回収とコンポスト処理」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を腐食する禍々しい暴食獣は、気がつけば「クレーターを美しく強固な資源処理施設に変え、世界中のゴミを飲み込んでは純度100%のレアメタルや清らかな水、クリーンなエネルギーとして24時間吐き出し続ける、超高性能な『永久・神仙資源生成プラント(見た目はピカピカで未来的なエコ施設)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌な悪臭とゴミの被害は片付いて、すっごく立派で便利なリサイクル工場になったぞ! おまけに、これがあれば世界中のゴミが資源に変わって、エコで地球にも優しいね。これで大陸の人たちも、毎日綺麗な街並みを見て、安心して暮らせるよ!」
アルドがゴミハサミを片付けて額の汗を拭うと、クレーターを覆っていたドス黒い腐敗のガスは一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡のリサイクル施設が稼働していた。
***
数日後。大陸南部を統べる諸国の王室。
各国の王たちは、無限に生み出される純白の資源と報告書を見て震え上がっていた。
「ば、馬鹿な……。我が世界をゴミの山に沈めるはずだった万物貪喰の暴食獣が、たった数時間で『完全なゴミ拾い』をされ、あまつさえ暴食獣が『超巨大なエコ・リサイクルインフラ』に転職して、国中の資源と廃棄物処理を完璧に管理しているだと……!?」
そこへ、冷徹な執事服に身を包んだアーキヴァルが、うやうやしく一礼して現れた。
「お初にお目にかかります、各国の代表諸君。総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の最高財務責任者、アーキヴァルでございます。この度は、我が社の『CSR活動(粗大ゴミ回収とリサイクルプラント建設業務)』をご利用いただき、誠にありがとうございます」
アーキヴァルは、分厚いバインダーから【完全なる環境修復・資源生成施設開発代金およびコンサルタント料の請求書】を取り出し、王たちの目の前にドンッと突きつけた。
「我が社の社長(アルド様)の理念により、今回は社会貢献として基本のゴミ回収料金はサービスさせていただいております。……が、暴食獣の完全浄化、リサイクルシステムの再構築、そして『大陸全土に極上のクリーン資源を供給する巨大プラントの永続的な運用費』は、正当なビジネスとして請求させていただきます。お支払いは、各国の年間鉱物・エネルギー収益の七割と、廃棄物・資源経済の独占プロデュース権で手を打ちましょう」
アーキヴァルの冷たい宣告(合法的な超・搾取)と共に、王たちは完全に心をへし折られ、震える手で莫大な報酬の永続支払いにサインをするしかなかった。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな社史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。大陸南部のクレーターにおける粗大ゴミ回収、およびゴミ袋への圧縮作業完了。世界を喰らい尽くす万物貪喰の暴食獣グラトニー・オメガ(神話の厄災)を事象のゴミハサミと神仙ゴミ袋で回収し、立派な特大リサイクルプラントへと改修。物質の腐敗の修復を完了し、大陸全土の資源循環・エコ経済の発展に多大な貢献を果たした。
……また、我が社のCFOの尽力により、世界各国からは莫大な賠償金と、資源・廃棄物処理インフラの独占管理権を合法的に譲り受けることに成功。これで我が社は、地下水脈、気象、海上物流、クリーンエネルギー、次元基盤、自然環境、気候、時間、信仰、光、水回り、大気、交通・物流、情報・娯楽に続き、ついに「物質と資源の循環」の覇権すらも完全に掌握したことになる。
社長の「社会貢献」という名の大掃除は、もはや世界のあらゆる概念すらも呑み込み、世界は究極の平穏(我が社による完全支配)へと向かっている。大賢者たるワシの知能をもってしても、神話の捕食獣すらコンポストに変える(物理的にゴミ袋に詰めた)この恐るべき企業の快進撃を止める術は、大宇宙のどこにも存在しない。』
ゾルタンが深い溜息と共にペンを置くと、ドアの向こうから「今日のおやつは、朝のヒレカツの残りで作った、極上の特製カツサンドだよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「神々の絶望を記録した直後のカステラは、ことのほかパンの耳が香ばしかろう」とぼやきながらも、頬を緩ませて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの粗大ゴミ回収」は、世界消滅の危機をただのゴミ分別として解決し、暴食獣の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高のリサイクル・資源インフラを誕生させてしまった。
企業として躍進するクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に資源の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のゴミ出し業務として葬り去る、究極の平穏なる企業伝説をまた一つ、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
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