第10話 カエルの設備紹介?
うん。ジャガーは一応これまでで一番強いエリアボスだけど
まさか、こんなに軽く扱われるなんて・・・
次の日、湊たちが整備されたボスエリアで試運転をしているとエルフたちが訪れる。因みに今は、4人でボスとやり合えるように整えている。
「おっ、やってますね。調子はどうですか?」
「あぁ、お陰様で。・・・。」
湊は、何かを訴えるように妹エルフを見定める。
「ふふ、別に違約はしてませんよ。」
「まっ、いい。凛、ここの使い方、教えといてくれ、俺はジャガーの準備とここの最終調整する。」
「わかりました。イリアさん説明しますね。」
その後、凛は設備の使い方を教える。まずはエリアを9分割するように設置されたトラバサミに近づく。
「こちらはボスとお供を分ける目印であり、戦闘が混在するのを分ける意味でのトラップになります。歯の先からは管のようにもなっていて、ここから離れたところに湊さん手製のしびれ薬や昏倒薬用のタンクから捕らえた魔物にデバフを与えます。」
「なんで9分割何ですか?」
「湊さんの予想では、これがボス、お供の内、大きいカエルが1体ずつ、小さいお供が周りに6から7体ずつに分かれてリポップする可能性が高いからだそうです。」
凛は続いて、周りの木々や茂みに用意された物の裏に回る。そこには、ここの魔物の皮で作られたジャンプ台と小型のカタパルトが用意されている。
「ここは後衛の方が高さを確保するために木の上に移動するのを補助するのと同時に、9分割されたエリアを1つずつ狙えるようになっています。基本は対角線の1エリアに矢の雨が降らせられます。」
「この矢は、少し小さすぎないか?」
「確かに、あのカエルに傷をつけられると思えない。」
「真奈さん、波留さんの指摘は分かります。これは傷をつけるためのものではなく、矢には湊さん特製の眠り粉を出すように作られてます。」
「なるほど、攻撃ではなく、あくまで補助が目的の設備というわけね。」
効率重視の湊は、素材をギリギリまでコストカット。しかし、それで行える最大限の効果を追及している。
設備は、その多くが放置による設備でなく、最短攻略のための設備として機能している。
「なるほど、やり返されたね。いえ、元々そのつもりでしたが、こちらもやったためお相子の様になったという感じでしょうか。」
「本当、イリアもあの少年も、人をうまぁ〜く騙そうとしていますね。」
「姉さん、騙せない人より、騙し合える人のほうが、信用が置けるものですよ。」
「いや、私はさらけ合える中の方が信用が置けます。」
「それには、私も同意ですよ、アリアさん。」
湊と妹エルフは互いに騙したのだ。
妹エルフは自身たちが攻略していなかったエリアボスを教えており、湊たちに攻略を押し付けたのだ。それに対して、湊は補充が必要であり、罠の再設置、再利用に錬成が必要になるものを用意した。
「腹黒いわよね、湊。」
「アリス様、それは今更なのだ。」
「効率の為なら何でも度外視に利用する、効率バカな少年だぜ。」
「わっははははは。儂はもっとシンプルがいいぞ。」
アリス達は湊たちの関係を否定も肯定もしない。ただ、子供たちの腹の探り合いをほのぼのと見ている。
その後、湊たちは妹エルフたちと別れて、別の島に渡る。中央より少し北東にずれ、島からはみ出す規模のジャングルとなっている。昼過ぎには着いたのにボスを確認するのにかなり苦戦する。それほどまでに入り組み、四方八方から魔物がこちらを狙っている。
その夜、湊たちは作戦会議に移った。
「ジャガーは、ボスの1体だけだったが、周りの地形が異常に整えられていた。」
「つまり、地形操作系の敵の可能性があると。」
「あぁ、それにかなり強いな、数回弱点看破を繰り返したが、全く分からない。」
「それで、どう戦うの?湊のことだからもう決まってるんでしょ。」
「今回は高火力の一撃必殺で行く。タゲ取りは変わらず、詩乃。遊撃は俺がやる。美穂はまだ、本調子じゃないようだから、今回は周辺警戒だ。」
「分かりました。」「しょうがないわね。こんな状態じゃ。」
美穂が手を突き出すと少し小刻みに震えている。まだ、自己世界とスキルの連続使用の疲労が残って、通常は数秒の膠着がまだまだ続いている。
「凛は、魔法を準備しながら、後方組の指示役を頼む。3人のタイミングと敵の隙を見逃さないようにしてくれ。」
「わかりました。」
「未来は限界まで溜めを着けて、剛撃弓をしてくれ、組換技能を使えば、かなり高火力まで引き上げられる筈だ。」
「OK。でも、そうなると弓にかなり負担になるから連発はあまり、期待で来なさそうだね。」
「構わない。舞も、できるだけ高火力で頼む。」
「・・・わかった。」
翌日の昼前、戦いが始まる。ボスの近くに詩乃、数m離れたところで湊、数百mの所に凛たち3人と周辺警戒の美穂の順番で構える。
「周辺に他に敵の気配は無いわよ。」
「『魔法図書:開帳』!・・・」
「『組換技能:剛撃弓《溜めが多いほど火力が上がる》』!」
「・・・『融合召喚』『契約:開』。ガブンド、チャージ。」
未来は、『魔法図書』で周囲に程よい足場を用意すると長時間の詠唱に入る。未来は目一杯弓を引く。舞は、ランドとガブを合成した召喚獣にブレスの準備をさせる。
「『身体強化』『幸運聖女:大盾術』!」
「『身体強化』『創世回帰』『錬成:火炎短剣』×2。」
グルぉォぉォぉォぉォぉォぉォぉォ!!!!!!
ジャガーが、咆哮をするとその毛の一部が緑と黒に発光、周りの木の根が動き出した。それはまるで生きているようにうねり、詩乃、湊を狙う。
「やっぱり地形操作か。詩乃は本体に集中。俺が、根の方を担当する。」
「わかりました。『キュアタイム』!」
光に包まれ継続回復のオーラを纏った詩乃は、ジャガーとの距離を詰めようと走り出す。湊は、詩乃に近づく根に錬成した火炎短剣を投擲する。短剣は、根に接触後、柄に仕込んだボムベリーとカネツ石、パンプランを合わせた爆発玉が炸裂する。
グルがぁっぁァァぁぁぁぁ!!
ジャガーがもう一度咆哮する。すると、空中に半透明の足場が現れる。大きくくりぬかれたボスエリアに立体の足場が出来る。
「これは、もしかして空間系か。」
「逃さない。」
「『創世回帰』『錬成:疾風鎖分銅』。」
「動きを止める。・・・癒しの鎖よ、我が目の前の害意を捕らえよ『レジストバインド』!」
光の鎖が右前足を、湊の回転する鎖が左後ろ足を捕える。しかし、そんな2人の鎖を根が巻き付き、壊そうとする。
「木の根が鬱陶しい。『創世回帰』『錬成:火炎短剣』。」
近くの根は、錬成した短剣を延焼させて、焼き払う。しかし、焼き払われた部分は瞬時に回復を始める。湊は、再生が止まった隙に移動する。それは、軽やかな未来のパルクールとは違い、あまり飛ばないように地面を走り抜けるものである。
「そこでジッとしていて下さい。!」
「そういうことだ。『創世回帰』『錬成:疾風鎖分銅』。」
湊はさらに移動先から左前足を拘束する。詩乃は、抵抗を見せたジャガーの脇腹に一撃を入れる。
ジャガーは近づいてきた詩乃をかみ砕くように、体をねじる。
「させない。湊くんお手製『閃光玉』!」
「『創世回帰』『錬成:疾風鎖分銅』。詩乃は出来るだけボスを一か所に留めてくれ。」
「任せてください。」
ジャガーは目を眩まして、怯む。その隙に、湊は残った足に鎖をかけ、地面にさす。
全ての足を縛られたジャガーは、空中の足場からも落ち、地面で大きく暴れまわっている。まさに、背水の陣、魔法を使い、手当たり次第に暴れる。木の根がズドンズドンと叩きつけられる。
「後は、再生した木の根の処理だ。『創世回帰』『錬成:火炎剣』×∞。」
「貴方は、こっち見てなさい!」
湊は詩乃をサポートしつつ、根の処理を常に繰り返す。回復しようと切り刻み、再生を上回る勢いで、どんどん処理が効率的になる。
「!準備できました!」
「いつでもイケるよ。」
「・・・チャージ完了。」
「詩乃、準備。」「待ってました。」
3人の声を聞くと湊も詩乃も近くの根を薙ぎ払い、溜めの構えを取りながら走り出す。今尚、暴れまわるジャガーの距離を詰めるための隙を伺いつつ、木の根を躱す。一撃もらえば集中砲火を食らう、ギリギリの緊張状態が2人を包む中、ジャガーの右前足の鎖が抜け、ジャガーの動きに乱れができる。
「ここだ!」
一瞬の隙、しかし、二人はそこを見逃さない、常に一息で距離を詰められる位置を動き続けていた。
「『創世回帰』『錬成:火裂剣』×2「『幸運聖女:身体強化魔法』「『身体強化』!」。」
ググゥ!
2人の同時攻撃で、ジャガーは大きく弾かれ、準備していた3人に対してその大きな脇腹を見せる。
「今です!・・・貫け『砂鉄の一撃』!」
「『強化剛撃弓×爆裂炎上矢』!」
「・・・『ブレス・ストライク』!」
3人の最大火力が一筋の光となってジャガーを捉える。3人の最大火力、それでも貫通することは無く、しかし、脇腹を突き刺し、心臓部分を的確に抉る。3人の攻撃の通った場所は、根が貫かれており、地面さえ少しえぐれている。
遅れた轟音が空間を揺らす・・・。
「本当に、今回のは強敵でしたね、私たち3人の高火力なんて、一度も使ったこと無いですよ。」
「確かに、大抵、凛と舞の合わせた火力でどうにかなるもんね。今回は、私たちの3人に更に隙を作るために、湊たちも火力出してたし。」
「・・・今回は、5人でもギリギリ。」
「3人とも、話してる間に湊は、もう作業を始めてるわよ。」
「今回は私と一緒に、ずっと足止めしてたから疲れてると思ったんですが。」
その後、6人で作業を終える。しかし、時間は余り短縮できなかった。まず、ボスが強すぎるのもそうだが、地形操作が折角の有利に整えた地形を壊すのだ。
魔物・ジオジャガー
中規模エリアボス。風と土に少し空間の属性を持つジャガー。地形を操作した多角攻撃が得意で、魔法も物理もバランス良く使える。リポップでのみ出現し、一日でリポップする。
ジオジャガーの瞳
死後に硬化していき、少し空間属性の魔力を宿したアメジストになる。加工は難しくないが、少量しか手に入らない。
ジオジャガーの皮
鞣す事で星空のような色を出す。魔法攻撃への耐性が高く。加工は難しい。
ジオジャガーの牙
黒曜石のように黒光りする20cm程の牙。風と土の魔力を宿していて、魔法効果が高い。加工は難しい。
風土魔石・中
拳大の風と土の属性を含んでいる魔石。また、少し、空間の属性も含む。
その後、帰り際にイリアたちの拠点に寄ってみる。真奈が外で物作りをしており、その手には半透明で白色をした子鎚が握られ、まさに最終調整の最中のようである。
「依頼した物はできたか?」
「あ、あぁ、出来たよ。かなり急ピッチだったが。言われてた通り出来た。」
「良し。なら、風呂はどこに設置したらいい。」
「見たところ、ここは、沖縄と同じくらいの広さがありそうですね。野生の魔物も居そうです。」
「ああ、私たちの拠点は西の端にあるこの拠点と、隣の島が拠点なんだ。島の方に作ってくれ。」
(こっちはダミーで、あの島が本拠点ってわけか。あっちは管理しやすい大きさで森で中は見にくい。)
「わかった。アイテムボックスを一つくれ。」
「あいよ。」
アイテムボックス(C)
設置することで同種の素材などを99個、45種類分収納が可能。時間経過がある。生物は収納できない。
シャワーボックス(D)
火のコアを使ったアイテムボックスの亜種。約2kLの水を貯蔵し、魔力を通すことでお湯になる。コアは30回ほど使用すると交換が必要。
「おお。」
錬成すると、湊はさっといなくなる。しょうがないと呆れつつ、未来が説明に入る。湊は貰った道具の確認に入ったのだ。
「後はこれを取り付ければ、取り込んだ水をお湯として取り出せる。貯蔵量が増えているから、湯船を用意すれば、湯に浸かることも出来ると思うよ。温度はそれほど高くないかな。湯船を用意したのなら、また、改良も出来ると思うよ。」
「なら、次来るまでには用意してるよ。」
「わかった、これは次の依頼だって。ただ、こっちは急ぎじゃないから、無理のない速度で大丈夫だって言っていた。」
「わかったよ。今回みたいに帰りに設備を改良してくれたら、色々サービスするよ。」
「伝えとく。」
メモ
アイテムボックス×20
アイテムポーチ×6
矢(できるだけ多く)
肌着×12
下着×6
シャツ×6
ズボン×6
包帯×18
「待ちなさい。」
「おお、イリア。どうかしたのか?」
「勝手に交渉しないの。特に、あの男が近くにいるときは。油断できない相手なんだから。」
「まぁまぁ、いいじゃないか。湊くんも、互いに利になる交渉をするって、イリア、言ってただろ。」
「そ、そうだけど。」
その後も、交渉はつつがなく済ませる。湊は、交渉には参加してなかったがメモに交渉内容が書かれていたので、話は聞いていたようである。
「なんで湊は、普通に聞けないのよ・・・。」
「無駄、任せていい作業は任せる。それが、仲間だろ。」
「・・・」
アリスは何とも言えない表情を見せる。湊にとっての仲間とは・・・。
いつもはYouTubeで活動してます。
平日夜には作品の制作配信してますので観に来てください
https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg




